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少子高齢化が進む日本では、特定技能ビザの導入など外国人も積極的に雇用できるよう環境を整えています。しかし、外国人とコミュニケーションを取るためには、言葉の壁もクリアしなくてはいけません。
対応策としては、日本語を習得している外国人を雇用するのが一般的です。そして日本語の習得状況は、日本語能力試験の受験内容から確認します。
今回は、外国人の採用を検討している企業へ向けて、日本語能力試験の概要や特徴をはじめ、雇用メリットなどを紹介します。
まずは日本語能力試験の概要や主な主題項目、試験対象者などについて紹介します。
日本語能力試験は、外国人向けの日本語に関する試験です。主に日本語でのコミュニケーション能力と、日本語の単語や文法などの理解度を測定できます。
日本語能力試験に似た名称として日本語検定もありますが、こちらは日本人が正しい日本語を習得するための試験です。
国内の企業では、外国人を雇用する際に日本語能力試験の受験有無や内容をヒアリングし、日本語のコミュニケーションが可能か判断しています。
日本語能力試験の種類について詳しく知りたい方は「日本語能力試験(JLPT)、ビジネス日本語能力テスト(BJT)、実用日本語検定 (J.TEST)の違いは?日本語能力のレベルを知りたい!」のコラムも参考にしてください。
日本語能力試験では、「読み・聞く」から日本語をどの程度理解しているか測定します。そして出題項目は、大きく分けて以下3点を軸にしているのが特徴です。
読解:文章から意味を理解
聴解:日本語の聞き取り
言語知識:単語や文法に関する内容
読解では、漢字で示された単語の意味や文章から適切な単語を導いたり、語彙力や単語に関する知識が求められます。また、正しい文章を組み立てられるか、文法に関する問題も出題されます。
続いて聴解は日本語を聞き取り、適切な応答や意図を回答するのが特徴です。英語のヒアリングに該当します。
言語知識は、約100字のテキストを読み取り、内容の理解を試す問題や各文章の因果関係、最も主張したい部分などを問われます。
書き取りではなく、コミュニケーションに重点を置いているのが、日本語能力試験の大きな特徴です。
日本語能力試験は、N5~N1の5種類に分けられています。また、N1といったクラス分けは、資格試験の1級や2級と同じ意味です。
難易度はN1が最も高くN5は初心者向けの内容です。N2取得者は、日常生活でのコミュニケーションが可能で、基本的なビジネスの日本語も理解しています。
それでは以下に各難易度の目安を紹介します。
N1:日常会話はもちろん、ビジネス用語や流行りの日本語も幅広く理解できる
N2:日常会話やビジネスでのコミュニケーションも可能
N3:日常会話も可能、ビジネスでは書類の読み取りなどは可能
N4:日常会話の聞き取りや基本的な日本語のコミュニケーションは対応できる
N5:挨拶など短い日本語の聞き取りや読み取りは可能
N1とN2は、小説やエッセイなど文章から細かなニュアンスを読み取る能力や、ビジネスの場でも自然なスピードの日本語を理解可能な点といった違いがあります。
日本語能力試験は、日本で働きたい・生活したい外国人にとって正しい日本の読み取り・聞き取り能力を磨けるのが魅力です。
また、国内企業にとっては、日本語に長けた外国人雇用に役立ちます。たとえば日本語能力試験N2習得を確認できれば、基礎的な日本語研修が不要な点も事前に分かります。また、日本語習得の側面で即戦力となる人材を、確保しやすいメリットもあります。
また、日本語能力試験は、1984年から日本・海外で運営されていて年々受験者数が増加傾向にあります。
「日本語能力試験(JLPT)を外国人採用にどう活かす?企業に向けて解説」のコラムでは、日本語能力試験の各レベルの認定基準や採用への活かし方を紹介しています。併せてご覧ください。
続いては、日本語能力試験N2取得者を雇用するメリットを、2点に分けて解説します。
前の項目でも触れていますが、日本語能力試験n2取得者は日常会話に加えて、ビジネスで使用される言葉や文章、専門用語も理解しています。
既にビジネスレベルの日本語を習得しているか判断できるので、人材採用の手間や時間を押さえられますし、入社前の時点でどの程度コミュニケーションを取れるか確認できます。
人材雇用に関わるコストや手間がネックの場合は、日本語能力試験N2習得者を目安に検討するのもおすすめです。
日本語能力試験N2習得者は、ビジネスの場で日本語のコミュニケーションが可能ですし、資料や仕様書の読み取りも対応してもらえます。
採用後に日本語研修を改めて組む必要はありませんので、スムーズに業務を任せることも可能です。また、N2習得者は自然なスピードの会話も聞き取れることが多いので、聞き取りに関する基礎的な研修も組む必要がありません。
ここからは日本語能力試験N2の概要を、分かりやすく解説します。日本語能力試験N2は、言語知識105分、聴解50分の試験時間で、計5つの出題項目をこなします。
文字(語彙)では、言葉の意味や漢字とひらがなの関係性(言葉=ことば)、派生語や複合語等の意味を問われます。
他には出題される文章や単語から、似た意味の言葉や表現を回答したり、単語を会話や文章でどのように使用するのか一例を考えたりといった内容も含まれています。
このように単語や文法の正しい意味や言い換え、語彙力が必要とされるのが特徴的です。
文法では、文章題から正しい日本語・文章の組み立て方を回答したり、統語法に従って文章を作成できるか問われたりします。
統語法とは、単語を並べた文章ではなく、意味が理解できるよう論理的に組み立てられた文章を指します。
つまり、文章の構成に関する内容が出題されるので、主語や述語といった日本語の構造を理解する必要があるでしょう。
語彙では、ビジネス関係の文書・エッセイ・新聞・説明文・評論といった、一定のボリュームを持つ文章が出題されます。
そして各テキストを読み込み、内容の理解をはじめ著者の主張したい部分、文章ごとの因果関係、概要などを正しく回答するのが、語彙で求められるスキルです。
聴解では、日本語の文章や質問を聞き取り、質問の正しい返答や問題に沿った情報を回答します。また、他にも聞き取った日本語から、全体の内容や主張したい部分など意図を適切に理解できているか求められます。
N2取得者は日常会話の聞き取りだけでなく、ビジネスで用いられる複雑な会話の流れにも対応可能です。
日本語能力試験N2を取得している外国人を採用することは、メリットもあります。しかし、取得状況などについて注意点もあるので、ここで紹介するポイントを参考にしてみてください。
日本での就労を目指してきた外国人の中には、日本語能力試験を受験していないにも関わらず取得していると主張される可能性もあります。
日本語能力試験は、N2やN1などクラスごとに成績証明書を発行しているので、面接などの際に確認するのがおすすめです。多少の手間はかかりますが、日本語能力に関するミスマッチを防げます。
日本語能力試験は、知識や理解度に応じてクラス分けされています。そしてN1やN2取得者は、ビジネスの現場で即戦力となる人材です。
ただし、取得者数は少なく、さまざまな企業が求めているため競争率も高い傾向もあります。
単純にN2・N1取得者の採用を検討するのではなく、自社に必要なレベルを社内で確認した上で人材募集を行いましょう。また、日本語研修など、人材育成にかけられる予算や時間も同時に考えるのがおすすめです。
日本語能力試験は、日本語の読解力や聞き取りの能力を判断する上で役立ちます。また、採用後に、どのレベルの日本語研修を用意すればいいのか、人材育成の道筋も立てやすいでしょう。
しかし、日本語能力試験だけで、人材採用を判断しないことが大切です。たとえば日本語能力試験のみを受けた方と、過去に日本への留学経験や日本人とのコミュニケーションの経験がある方では、同じn2取得者でもスキルに違いがあります。
日本語能力試験は指標の1つと考え、面接時の対応やその他経歴などから総合的に判断することをおすすめします。
日本語能力試験は、外国人を雇用する際に日本語の習得レベルを判断材料としても活用できます。
スキルに応じてN5~N1までに分けられ、N1が最も難易度の高い試験内容です。また、日本語能力試験N2取得者以上で、ビジネスで使用される日本語や自然なスピードの会話を理解できると言われています
ただし、試験の結果だけで判断するのではなく、過去の経歴や誠実な態度・面接での対応力なども確認した上で、採用を検討するのが人材のミスマッチを防ぐために大切なことです。
N1レベルを知りたい場合はこちら:日本語能力試験N1の難易度は?外国人採用で求められる日本語レベル
N3レベルを知りたい場合はこちら:日本語能力試験N3スコアのレベルとは
N1~N5のレベルの違いを知りたい場合はこちら:日本語能力試験とは?日本語検定との違い・試験概要やレベルを解説