在日外国人数は増加傾向にある!課題や良い点を解説

2020年07月27日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

少子高齢化が進み、人口減少傾向の日本。一方で、在日外国人の数は年々増加傾向で、さまざまな産業を支えている側面もあります。

しかし、在日外国人数が、どのように増加していてどの地域に多いのか具体的な情報を知る機会は少ないのではないでしょうか。今回は、在日外国人数の傾向や統計を紹介します。そして、各データから課題点や良い点を解説します。

2019年の在日外国人数

まずは、2019年の在日外国人数や、都道府県や国別に紹介します。これから外国人を雇用するにあたって、国内の状況を詳細に把握することも重要です。

・合計人数は過去最多

2019年の在日外国人数は、法務省管轄の出入国在留管理庁のデータ(2019年6月末時点)によると過去最多の282万9,416人を記録しています。

観光目的の外国人はもちろんですが、就労目的の外国人も増加しているのが特徴的です。多くの企業が人材不足を解消するために外国人雇用を強化していることも要因の一つと考えられます

ちなみに2019年4月には、単純労働分野の在留資格を得られる特定技能が導入され、在日外国人がさらに増加するかと思われましたが、新しい制度ということもあり、2019年12月末時点で、特定技能ビザを許可された外国人の数は、合計1621人となっています。

外国人が増加する要因として大きいのは、留学生や技能実習2号の増加です。

・都道府県別の人数

都道府県別では、東京都や大阪府・神奈川県・愛知県・北海道などに外国人が流入しています。一方地方に在留している在日外国人数は、1万人未満といったケースもあり人材不足の解消には力不足といえる状況です。

  • 総数:2,829,416人

  •  北海道:37,906人

  •  青森:6,076人

  •  岩手:7,591人

  •  宮城:22,408人

  •  秋田:4,230人

  •  山形:7,618人

  •  福島:14,886人

  •  茨城:67,986人

  •  栃木:42,791人

  •  群馬:60,168人

  •  埼玉:189,043人

  •  千葉:162,588人

  •  東京:581,446人

  •  神奈川: 228,029人

  •  新潟:17,675人

  •  富山:19,362人

  •  石川:16,024人

  •  福井:15,142人

  •  山梨:16,507人

  •  長野:37,845人

  •  岐阜:57,606人

  •  静岡:96,654人

  •  愛知:272,855人

  •  三重:54,254人

  •  滋賀:32,441人

  •  京都:62,603人

  •  大阪:247,184人

  •  兵庫:112,722人

  •  奈良:13,155人

  •  和歌山:6,868人

  •  鳥取:4,739人

  •  島根:9,649人

  •  岡山:29,182人

  •  広島:54,419人

  •  山口:17,425人

  •  徳島:6,232人

  •  香川:13,385人

  •  愛媛:12,459人

  •  高知:4,746人

  •  福岡:79,129人

  •  佐賀:6,732人

  •  長崎:10,489人

  •  熊本:16,592人

  •  大分:13,379人

  •  宮崎:7,162人

  •  鹿児島:11,453人

  •  沖縄:19,360人

  •  未定・不詳1,221人

参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)

※「第4表 都道府県別 国籍・地域別 在留外国人」から一部抜粋、人など単位追加

農業や漁業など都市部以外の地域で盛んな産業の就労ビザも含まれる特定技能は、認知度の向上に伴い利用者数が増加する可能性もあります。

また、在日外国人数の総数に捉われず、自社や支社のある地域での流入数も確認することが大切です。

・国別の在日外国人数

国別では、主に中国・韓国・ベトナム出身の在日外国人数が多い傾向にあります。

  • 中国:786,241人

  • 韓国:451,543人

  • ベトナム:371,755人

参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)

※「第1表 国籍・地域別 在留資格(在留目的)」から一部抜粋、人など単位追加

上記3か国の在日外国人数で全体の50%を超えています。近年ではベトナムの増加率が非常に目立っており、、2018年と比較して11.1%の増加を記録しました。

今後は、ベトナムの留学生や技術者などが、日本企業に就職するケースが増加すると見られています。

他には、ブラジルやフィリピンも増加率7%超えで、アメリカやイギリス・フランスよりも増加傾向にあります。

在日外国人数の推移と読み取れること

続いては在日外国人数から読み取れることを、3つのポイントに分けて解説します。

・年々増加傾向

何度か触れていますが、在日外国人数は年々増加傾向です。また、観光目的だけでなく、就労目的で来日・在留しているケースも多いのが特徴です。

一方日本の人口は今後も減少し続けると予想され、大企業・中小企業共に人材不足という大きな課題に直面しています。

そして在日外国人数は2.2%の増加率を記録しており、積極的に外国人を雇用するケースも増えるでしょう。

・政府の政策による影響

日本政府は、人口減少という大きな課題を解決するため、2019年4月に新しい在留資格「特定技能」を導入しました。

ただ、2019年12月の統計では、特定技能を取得した在日外国人数は約1,600人とわずかであるため、2019年・2020年時点では、「特定技能」の設置と在日外国人数の増加に関連性を見出すことは難しいでしょう。

現在の増加傾向は、主に各外国人の個別の事情や企業の外国人採用強化などが関係しています。

下記参考にできない場合は、本文を削除いたしますのでご確認の程よろしくお願いいたします。

参照:みずほ総合研究所 外国人材の受入拡大と今後の課題 「図表4参考」

・大都市で増加傾向が顕著

在日外国人数は、毎年増加傾向にありますが大都市への流入が顕著という側面もあります。特に東京都・大阪府・愛知県・神奈川県・埼玉県といった地域での影響が顕著です。

一般的に都市部は、多数の求人や公共交通機関の豊富さ・さまざまなサービスや専門店があるため、在日外国人にとっても住みやすいと考えられます。

しかし、人口減少は都市部よりも地方の方が深刻です。政府や自治体は、在日外国人への積極的な宣伝・誘致・偏った人口比の改善策を打ち出す必要があります。

在留資格と在日外国人数

ここからは在留資格と在日外国人数の比率や、2019年の統計から読み取れることを分かりやすく紹介します。

・技能実習

技能実習ビザを取得している在日外国人数(1~3号合計)は、367,709人です。また、最も多いのは技能実習2号ロ180,289人です。2号ロとは、企業による直接雇用ではなく事業協同組合(農協など)による受け入れです。

過去の在日外国人数は、以下の通りとなっています。

  • 2014年:167,626人

  • 2015年:192,655人 

  • 2016年:228,588人

  • 2017年:274,233人

  • 2018年:285,776人

参照:法務省 国籍・地域別在留外国人数の推移

2015年までは200,000人以下でしたが、2016年に200,000人を超えて以後急速に増加しています。また、2018年から2019年にかけて、約80,000人もの技能実習生が新たに在留しているのも大きな特徴です。

・留学生

留学生はフルタイムでの就労は禁止されていますが、将来的に日本で就職する可能性もあります。また、日本政府は特定技能の他にも、2008年から留学生30万人計画と呼ばれる留学生受け入れを推し進めています。

在日外国人の中でも、特にベトナム留学生の増加傾向が顕著で、2019年の記録では中国(132,845人)に次いで2位(82,266人)です。

そのため、在日外国人の雇用を検討している企業は、ベトナム人の採用も視野に入れるのがおすすめです。

参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)

・永住者

永住者は、783,513人と2018年の759,139人と比較して、微増といった傾向です。また、2014年から2017年までの永住者数も、毎年2~3万人の増加数です。

就労目的での来日も増えているので、永住者の在日外国人数は今後も増えることが予想されます。

在日外国人数と国内の課題

在日外国人の増加傾向は、人材不足に悩む企業にとってメリットもあります。しかし、国内全体で考えた場合は、課題もあるのでメリット・課題どちらも考えた上で行動しましょう。

・短期間の雇用に関してメリットの多い環境

特定技能など多くの在留資格は、5年間など短期間の就労を認めています。そのため短期間の雇用については、今後多くの企業で可能となります。

しかし、5年や10年を超える雇用については、特定技能2号取得者など一部の在留資格および産業でのみ可能です。

中長期的な雇用を視野に入れた外国人労働者の採用強化は、今後の制度拡大・変更を待つ必要があります。

・事実上の移民とも捉えられる

政府は、少子高齢化による人口減少を解決するために、在日外国人の受け入れを推し進める方針へ変化しています。

2019年4月に始まった特定技能は、単純労働分野(建設・農業・漁業・サービス業)への就労も認められているので多くの外国人が日本へ在留可能です。そして、このような状況から事実上の移民とも捉えられています。

企業も単に人材確保として考えるのではなく、これからの日本をどのように支えるのか・変えるのか考えた上で方針を決めることも大切です。

・各業種が抱える人材不足の解消につながる可能性

在日外国人数の増加および特定技能の導入は、各業種が抱える人材不足の解消につながる可能性はあります。

また、専門的な技能「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持つ在日外国人も増加していて、特定業種でのさらなる人材確保も期待できます。

在日外国人数は増加傾向だが人材コストも考慮する必要がある

在日外国人数は年々増加傾向で、企業の人材不足を解消する可能性があります。また、2019年の統計では特定技能取得者20人とわずかですが、認知度向上と共に利用者増加も期待できるでしょう。

近年ではベトナムやフィリピンの在日外国人数も増加傾向です。

ただ、外国人労働者の雇用には、日本語研修や生活のサポートなど人材コストの負担に注意が必要です。

在日外国人数の増加のみに捉われず、自社で負担する人材コストや外国人労働者の在留期間なども配慮した上で雇用を検討しましょう。