特定技能とは?取得条件や活用方法を紹介

2020年07月27日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

日本では入管法の改正によって、特定技能ビザと呼ばれる新たな制度が2019年4月から導入されています。特定技能の導入は、戦後から長く続いた外国人の労働条件に関する制限を緩和しました。簡単に説明すると、これまで原則禁止されていた業種でも外国人を雇用できるようになりました。

特定技能とは?

まずは特定技能とは、どのような在留資格なのでしょうか。

・特定技能とは在留資格の1種

特定技能とは、2019年4月から導入された在留資格の1つです。外国人労働者および外国人を雇用する国内企業に向けた制度で、外国人を雇用しやすい環境へ変わっています。

戦後から2018年まで日本の方針は、外国人による労働を多くの職種で禁止していました。しかし、中小規模事業者の多くは、少子高齢化による深刻な労働力不足に陥りつつあり、早急に人材を確保しなければいけない状況です。

そこで政府は2018年12月に入管法の改正法案を可決し、2019年4月から介護や外食など、特定産業の外国人労働者の雇用を認める在留資格「特定技能」を創設しました。

在留資格とは、日本に滞在するための資格であり、外国人が地方入国在留管理官署へ申請手続きを行い、認定されれば滞在と就労が可能になります。

・就労解禁となる職種

特定技能に該当する産業は、あらゆる対策を講じても人材不足が止まらず、生産性を維持することが難しい14分野と定められています。

  • 航空

  • 産業機械製造

  • 介護

  • 建設

  • 造船・船用工業

  • 素形材産業

  • 外食業

  • 宿泊

  • 漁業

  • 農業

  • ビルクリーニング

  • 電気・電子情報関連産業

  • 自動車整備

  • 飲食料品製造業

参照:出入国在留管理庁 在留資格「特定技能」について

特定技能に定められている産業は、製造業だけでなくサービス業や福祉など多種多様ですので、多くの企業に関連する制度といえるでしょう。また、今後、対象業種が増える可能性もあります。

・特定技能以外の就労ビザとは

特定技能の導入によって外国人材を確保しやすい環境となっていますが、就労ビザ(在留資格)は特定技能だけではありません。他にも幾つかのありますので雇用予定の企業は確認しておきましょう。

特定技能以外の就労ビザには、主に以下のビザが発行されています。

  • 技術・人文知識・国際業務:国内で、技術職、貿易や通訳に関する業務に携わる方

  • 医療:医師や看護師、薬剤師などの国家資格を持ち、医療業務に従事する方

  • 特定活動:外国の大学生がインターンシップなどを行う場合等

なお、技能実習ビザは日本で技能を身に付け、母国で技能を活かして働いてもらうことが目的のビザであるため、日本で就業することが目的である特定技能とは異なります。

・特定技能の受け入れ機関

特定技能ビザの受け入れ機関とは、特定技能を保有している外国人を、雇用する法人企業や個人事業主のことです。

まず受け入れ機関は、以下4つの基準をクリアしていることが必要です。

  1. 外国人と結ぶ雇用契約が適切(例:報酬額が日本人と同等以上)

  2.  機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)

  3.  外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)

  4.  外国人を支援する計画が適切(例:生活オリエンテーション等を含む)

参照:出入国在留管理庁 在留資格「特定技能」について

4つの基準をより分かりやすく説明すると、適切な労働環境を整えているか・労働基準法を遵守した事業者であるかが重要視されています。

そして受け入れ機関として、特定技能を持った外国人を雇用する場合は、以下3つの義務も遵守する必要があります。

  1.  外国人と結んだ雇用契約を確実に履行(例:報酬を適切に支払う)

  2.  外国人への支援を適切に実施 → 支援については,登録支援機関に委託も可。 全部委託すれば、上記項目3も満たす。

  3.  出入国在留管理庁への各種届出 

参照:出入国在留管理庁 在留資格「特定技能」について

義務違反の場合は、出入国在留管理庁から改善指導の他、受け入れできないケースもあります。

特定技能1号と2号の違い

続いては、特定技能の中で分けられている1号と2号の違いや条件を紹介します。

・特定技能1号

特定技能1号は、在留期間の上限5年間と定められていて、1年間・6ヶ月・4ヶ月ごとに更新する在留資格です。

在留期間に制限があるため、5年以上の長期間にわたって育成、活用することが難しい制度でもあります。

受け入れ可能な業種は、特定技能14業種全てです。

外国人が特定技能1号を取得するためには、日本語能力や各技能に関する試験を受ける必要があります。また、原則として家族の帯同は認められていません。

・特定技能2号

特定技能2号は、特定技能1号よりもさらに熟練した技能や知識を持った外国人を受け入れるための在留資格です。

在留期間に定めはありませんので、定年まで雇用できます。また、在留資格の更新は、3年・1年・6ヶ月ごとです。

ただ、特定技能に定められている業種は、現時点では、建設、造船・舶用工業、宿泊の3種類に限られています。今後拡大する可能性も考えられるので、出入国在留管理庁や経済産業省などの情報を定期的に確認するのがおすすめです。

技能実習と特定技能の違いや切り替え方法

最後に、技能実習と特定技能の違いや、移行・切り替え方法について簡単に紹介します。手続き自体は、行政書士などの専門家に依頼することが多いですが、受け入れ機関として最低限知っておくべきことを記載します。

・目的が異なる

技能実習と特定技能の主な違いは、受け入れの目的です。

技能実習の目的は国際貢献ですので、日本国内で働き続けてもらうための制度ではありません。具体的には、日本で技術を身に付けてもらって、母国で技術や知識を活かしてもらうために活用されています。一方、特定技能は外国人の労働力を確保するための制度です。

・雇用契約

技能実習は受け入れ企業と実習生だけでなく、帰国後の就労予定企業・事業協同組合など複数の組織が関わるため、雇用契約も複雑です。また、外国人労働者との間に事業協同組合等の監理団体が入るため、受け入れ企業が主体的に活用できない側面もあります。

特定技能の場合は、外国人と受け入れ企業の間で雇用契約を行うシンプルな仕組みですので活用しやすい制度です。

・技能実習から特定技能への切り替え

外国人労働者が特定技能ビザを取得するためには、日本語能力や特定業種に関する試験を受ける必要があります。しかし、技能実習2号修了者は試験を免除してもらえるので、必要書類(10種類以上)を管轄の出入国在留管理局へ提出し、許可が出れば手続き完了です。

特定技能ビザは就労ビザの1つ

特定技能ビザは、就労ビザの1つであり、2019年4月から運用開始しています。企業や個人事業主にとっては、技能実習ビザよりも活用しやすい部分もあります。

適用されている業種は建設業など14業種で、在留期間5年間の特定技能1号は14業種・特定技能2号は2業種です。

これから外国人を受け入れることを検討している企業は、特定技能ビザの要件や受け入れ義務などを確認しましょう。