日本料理の献立にある名前を一覧で紹介!食文化を知って食事を楽しもう

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2023/02/21

日本の食文化に興味がある人のなかには、日本料理で出てくる献立の名前や意味を知りたい方もいるのではないでしょうか。また、伝統的な日本料理の名前や特徴について知識を深めたい方もいるでしょう。伝統的な日本料理は4種類です。「先付け」「八寸」「箸洗い」など、名前だけではどのような料理が出てくるのかが、分かりにくい献立があります。このコラムの内容を参考にして料理の特徴を知り、日本での食事を楽しみましょう。

目次

  1. 伝統的な日本料理は4種類
  2. 日本料理に出てくる献立の名前と特徴
  3. 日本ならではの料理の名前
  4. まとめ

伝統的な日本料理は4種類

伝統的な日本料理は4種類の画像

伝統的な日本料理の名前は、「本膳料理」「懐石料理」「会席料理」「精進料理」の4種類です。料理の形式やマナーなどが一般的な食事とは異なるため、専門のお店で提供されます。

1.本膳料理

本膳料理の画像

本膳料理(ほんぜんりょうり)の基本形式は一汁三菜(いちじゅうさんさい)で、脚が付いた膳で提供される料理です。一汁三菜とは、ご飯・汁物・香の物・なます・煮物・焼き物のことを指します。本膳料理を食べるときは、「ご飯とおかずを交互に一口ずつ食べる」「香の物は食事の最後、またはお茶が出てから食べる」などのマナーを守らなくてはいけません。

本膳料理は室町時代、武家が客人をもてなすために始めたとされています。しかし、明治時代以降は次第に廃れ、現在では一部の日本料理店でしか食べられない珍しい料理となりました。

2.懐石料理

懐石料理の画像

懐石料理(かいせきりょうり)の基本形式は本膳料理と同様の一汁三菜ですが、ご飯や汁物の量が少ないのが特徴です。料理は、脚の付いていない縁付きの膳(折敷=おしき)で提供されます。また、懐石料理には、「旬の食材を使う」「素材の持ち味を活かす」「おもてなしの心を大切にする」の3つの規則があるのです。これを守るために、過剰な味付けを避ける調理法が用いられているので、薄い味付けの料理が多いといった特徴もあります。

懐石料理は安土桃山時代、お茶会でお茶(抹茶)を飲む前に食べる軽食として始まりました。現在では、必ずしもお茶の前に食べるとは限らず、数種類の料理を少量ずつ食べられる食事として懐石料理を楽しむようになったのです。また、漢字の読み方が同様の「会席料理」と区別するために、懐石料理を「茶懐石(ちゃかいせき)」と呼ぶこともあります。

3.会席料理

会席料理の画像

会席料理(かいせきりょうり)の基本形式も一汁三菜ですが、内容はお吸い物・刺身・焼き物・煮物です。一汁三菜のあとに、お酒と一緒にお通し・揚げ物・酢の物が提供されます。そして、ご飯・味噌汁・香の物という順に食べるコース料理です。会席料理は旬の食材が使われており、華やかに盛り付けられています。

会席料理の始まりは江戸時代です。室町時代に武家が楽しんでいた本膳料理を、庶民が楽しめるように形式を変えたものが会席料理だといわれています。現在、最もポピュラーな日本料理は会席料理です。

4.精進料理

精進料理の画像

精進料理(しょうじんりょうり)は、肉や魚を使った料理が提供されないという特徴があります。精進料理はもともと、仏教の修行僧が食べていた食事です。仏教では殺生が禁止されているので、野菜・穀物・果実・木の実を使った料理や大豆の加工品(豆腐や味噌など)を食べます。

仏教の精進料理の始まりは6世紀ごろです。日本では仏教文化が広まった飛鳥時代に、天皇が僧侶の肉食を禁じたことによって、現在の精進料理のもととなる形式ができたといわれています。なお、現在では僧侶や修行僧だけでなく、健康のために精進料理を食べる人もいるようです。

日本料理を食べるときのマナーを知りたい方は、「日本料理の配膳マナーを外国人に解説!食器の並べ方やお箸の作法もご紹介」のコラムも、あわせてご覧ください。

日本料理に出てくる献立の名前と特徴

日本料理に出てくる献立の名前と特徴の画像

ここでは、日本料理に出てくる献立の名前と特徴を一覧で紹介します。

先付け(さきづけ)

先付け(さきづけ)の画像

先付けは、会席料理で最初に出てくる「酒の肴(さかな)」です。酒の肴とは、お酒に合う料理を指します。なお、「肴=さかな」と読みますが、魚を使った料理という意味ではありません。先付けが出てきたら、お酒を呑みながら食べてみましょう。また、先付けのことを「お通し」や「突き出し」「箸割り」「座付き肴」と、呼ぶこともあります。

前菜(ぜんさい)

前菜(ぜんさい)の画像

前菜とは、料理の最初に出てくる「つまみ物」や「酒の肴」のことです。会席料理では、先付けのあとに出てくる数種類の酒菜盛りを指します。

八寸(はっすん)

八寸(はっすん)の画像

杉の木を使った縁のある盆(約24cm四方)に盛り付けられた料理、または盆そのもののことを八寸と呼びます。現在は、丸い形の盆や陶器の盆で出てくるお店もあるようです。

先吸い(さきすい)

先吸い(さきすい)の画像

先吸いとは前菜のあと、または後述する向付けの前に出てくる椀物のことです。また、先吸いを「先吸い物」と呼ぶこともあります。入っている具の名前は、「椀だね=主となる具」「椀づま=野菜や海藻」「吸い口=香り付けの柚子や木の芽」です。椀物にはこの3種類が必ず入っています。

向付け(むこうづけ)

向付け(むこうづけ)の画像

向付けは、なますと刺身を指します。懐石料理で、ご飯と汁物の向こう側に器を置いたことから「向付け」と呼ばれるようになりました。現在の会席料理では、なますと刺身全般を向付けと呼びます。

刺身(さしみ)・刺身代わり

刺身(さしみ)・刺身代わりの画像

刺身は、生の魚を食べやすい大きさにカットした料理です。また、刺身の代わりに火を通した魚が「刺身代わり」という名前で出てくる場合もあります。

煮物椀(にものわん)

煮物椀(にものわん)の画像

深めの大きい塗り椀に盛り付けられた汁物の名前が、煮物椀です。懐石料理では、ご飯・汁物・向付けのあとに出てきます。

焼き物(やきもの)

焼き物(やきもの)の画像

直火または間接的に、食材に火を通した料理の名前を焼き物といいます。焼き物は、日本料理の献立の中心となる料理です。また、脚の付いた台に乗せて出てくる焼き物を、「台の物」と呼ぶこともあります。なお、焼き物のタイミングでほかの料理が出てくる場合、献立の名前は「焼き物代わり」です。

焼き肴(やきざかな)

焼き肴(やきざかな)の画像

「焼き肴」という献立の名前ですが、食材を火で炙った料理(炙り物)のことを指します。火の近くで食材をかざしたり、食材に火をあてて焼き目を付けたりする調理法が「炙り」です。

預け鉢(あずけばち)

預け鉢(あずけばち)の画像

預け鉢とは一汁三菜のあとに、店主の心遣いによって出てくる小鉢の名前です。預け鉢には、専用の取り箸が添えられています。また、預け鉢を「合肴(あいざかな)」と呼ぶこともあるようです。複数出てくる場合は、順番によって強肴(しいざかな)・進肴(すすめざかな)・追肴(おいざかな)という名前があります。

口代わり(くちがわり)

海・山・里の食材が、少量ずつ盛り付けられた料理を口代わりといいます。「口取り」という名前で呼ぶこともあるようです。口取りは本来「甘い菓子」を指しますが、現在は口代わりと同じ意味で使われています。

箸休め(はしやすめ)

箸休め(はしやすめ)の画像

箸休めとは、少量の和え物・酢の物・汁仕立ての料理を指します。食事の途中で一旦箸を休めて、次の料理に備えて口の中をさっぱりさせるのが目的です。

箸洗い(はしあらい)

箸洗い(はしあらい)の画像

箸洗いは一汁三菜や預け鉢のあとに出てくる、吸い物のことです。箸休めと同様に、口の中をさっぱりさせる目的があります。また、「食事で使った箸を一旦洗ってください」という意味も込められているのです。箸洗いのことを、湯吸い物・小吸い物・一口椀という名前で呼ぶこともあります。

炊き合わせ(たきあわせ)

炊き合わせ(たきあわせ)の画像

2種類以上の煮物が同じ器に盛られて出てくることを、炊き合わせといいます。また、「炊き合わせ」は関西地方の言い方です。関東地方では、「煮合わせ」という名前で出てきます。関西地方の味付けは比較的薄く、関東地方は濃いのが特徴です。

冷やし鉢(ひやしばち)

冷やし鉢(ひやしばち)の画像

器と料理の両方が冷たい状態で出てくる、夏の献立が冷やし鉢です。ガラス食器や竹食器、磁器などに盛り付けられ、涼しさが演出されています。

お凌ぎ(おしのぎ)

お凌ぎ(おしのぎ)の画像

お凌ぎは、メインの食事とは別に出てくる軽食のことです。会席料理では、飯蒸し・茶そば・寿司・芋類・季節の野菜など、腹もちの良い食材の料理が少量出てきます。

和え物(あえもの)

和え物(あえもの)の画像

和え物は、野菜・魚介・肉類などを下処理したあとに、和え衣と一緒に混ぜた料理を指します。和え衣とは砂糖や塩、醤油、味噌などを混ぜて作る、合わせ調味料のことです。

蒸し物(むしもの)

蒸し物(むしもの)の画像

蒸し物とは、蒸気で蒸しあげた料理の名前です。茶碗蒸し・桜蒸し・酒蒸し・骨蒸しなどがあります。

揚げ物・油もの

揚げ物・油ものの画像

油の中で加熱調理した料理を、揚げ物または油ものといいます。調理法は、食材をそのまま揚げる「素揚げ」、衣を付けてから揚げる「衣揚げ」の2種類です。

酢の物

酢の物の画像

酢の物は、食材をポン酢や土佐酢などの合わせ酢で和えたり漬け込んだりして調味した料理の名前です。酢の物を食べると口の中がさっぱりするので、揚げ物・油ものの前後に出てきます。

止め鍋(とめなべ)

止め鍋(とめなべ)の画像

止め鍋とは鍋料理のことです。会席料理でご飯と一緒に、もしくはご飯の前に出てきます。鍋料理は、具を食べ終わったあとの汁にご飯を入れて、雑炊を楽しむことも可能です。

小菜(しょうさい)

小菜は、普茶料理(ふちゃりょうり)という精進料理、または卓袱料理(しっぽくりょうり)という宴会料理で使われる名前です。普茶料理で小菜は、胡麻豆腐・すまし汁・炊き合わせなどを指し、卓袱料理では奇数の数の皿に盛られた冷菜を指します。

澄子(すめ)

澄子は、すまし仕立ての汁物の名前です。普茶料理(ふちゃりょうり)または黄檗料理(おうばくりょうり)という精進料理で出てきます。

蔴腐(まふ)

蔴腐(まふ)の画像

蔴腐とは胡麻豆腐のことです。普茶料理(ふちゃりょうり)または黄檗料理(おうばくりょうり)と呼ばれる精進料理で出てきます。

素汁(そじゅう)

素汁は味噌汁を指す献立の名前です。普茶料理(ふちゃりょうり)または黄檗料理(おうばくりょうり)と呼ばれる精進料理で出てきます。

御飯物

御飯物の画像

御飯物とは食事の終盤に出てくる、米を使った料理のことです。炊き込みご飯や混ぜご飯、寿司などがあります。お店によっては白米の代わりに、麦や雑穀米を使った御飯物が出てきたり「御飯代わり」として麺類が出てきたりすることもあるようです。

止め椀

止め椀は御飯物と一緒に出てくる椀盛りです。すまし汁仕立て・味噌仕立て・酒粕仕立てなど、先吸いとは異なる味の椀盛りが出てきます。

湯桶(ゆとう)

湯桶(ゆとう)の画像

湯桶とは、香の物と一緒に出てくる「焦げ湯」のことです。焦げ湯とは、釜の底に残ったご飯を弱火で焦がして熱湯を加え、塩で味付けした料理を指します。

香の物(こうのもの)

香の物(こうのもの)の画像

香の物は漬け物の総称です。野菜を塩や酢で漬けた献立で、大根やきゅうり、ナスなどさまざまな種類があります。香木の香りを楽しむ際に、たくあん(大根の漬け物)をかじって臭覚を取り戻したことから、香の物と呼ばれるようになりました。

水物(みずもの)

水物(みずもの)の画像

日本料理のデザートとして出てくる、かき氷やシャーベット、フルーツなど水分が多く含まれている食べ物が「水物」です。また、食べ物だけでなく飲み物も水物と呼ばれています。

棹物(さおもの)

棹物(さおもの)の画像

棹物とは、羊羹や外郎といった棒状の和菓子のことです。日本料理で棹物が出てくるときは、一口サイズにカットされています。

甘味(あまみ)

甘味(あまみ)の画像

日本料理の最後に出てくるのが、甘味と呼ばれる菓子です。お茶(抹茶)と一緒に出てきます。季節ごとの植物が型取られていたり旬の果物が使われていたりする献立です。

日本料理の名前や献立については、「日本料理の名前を4種類紹介!献立についても解説」でも解説しています。

日本ならではの料理の名前

日本ならではの料理の名前の画像

ここでは、日本ならではの料理の名前を、「有名な料理」「肉を使った料理」「麺類」「丼物」に分けて紹介します。

有名な料理

有名な料理の画像

有名な料理の名前と特徴は以下のとおりです。

  • 寿司…酢飯の上に魚介類の刺身が乗っている料理
  • 天ぷら…魚介類や野菜を小麦粉を主体とした衣で包み、油で揚げる料理
  • 味噌汁…だしと味噌で味付けした汁に、野菜や豆腐などを入れる汁物

寿司は刺身以外にも、肉や天ぷらなどが乗っているものがあります。また、握り寿司のほか、巻き寿司や押し寿司、ばら寿司などがあり種類も豊富です。

肉を使った料理

肉を使った料理の画像

肉を使った、日本ならではの料理の名前は以下のとおりです。

  • すき焼き…肉や野菜などを浅い鍋で煮込み、醤油や酒、砂糖で味付けする料理
  • とんかつ…豚肉に小麦粉やパン粉などを付けて、油で揚げる料理
  • 肉じゃが…肉とじゃがいも、玉ねぎなどを醤油や砂糖などで味付けする煮込み料理

すき焼きや肉じゃがは醤油に加えて砂糖が使われているので、甘辛い味付けという特徴があります。

麺類

麺類の画像

日本ならではの麺類は以下のとおりです。

  • そば…蕎麦の実からできた麺
  • うどん…小麦粉(中力粉)でできた麺
  • ラーメン…小麦粉(強力粉)でできた麺

ラーメンはもともと、中国から日本に伝わったあと日本独自の変化を遂げてきました。地域やお店ごとに多種多様な味を楽しめる、日本の料理といえるでしょう。

丼物

丼物の画像

以下は、日本ならではの丼物料理の名前です。丼物とは、ご飯とおかずが1つの器に盛り付けてある料理を指します。

  • うな重…ご飯の上にうなぎの蒲焼きが乗っている料理
  • カツ丼…煮込んだトンカツが、ご飯の上に乗っている料理
  • 親子丼…煮込んだ鶏肉が、ご飯の上に乗っている料理
  • カレーライス…カレー味で煮込んだ肉や野菜を、ご飯にかけて食べる料理

丼物は量によって、「並・上・特上」「並・大盛り・特盛り」「松・竹・梅」などの呼び方があるのが特徴です。

日本の料理の特徴を知りたい方は、「日本の食べ物を外国人に向けて紹介!文化について解説」のコラムも、あわせてご覧ください。

まとめ

まとめの画像

伝統的な日本料理の名前は、「本膳料理」「懐石料理」「会席料理」「精進料理」の4種類です。いずれも、現在の一般的な家庭料理とは形式が異なります。日本の食文化や日本料理で出てくる献立の名前を知って、食事を楽しみましょう。

ライター

WeXpats
生活・仕事・留学に関するお役立ち情報から、日本のディープな魅力を紹介するコラムまで、バラエティ豊かな記事をお届けします。

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