2022年時点で日本全体の平均年収は約496.5万円です。年齢や学歴、性別、産業別ごとに平均年収は変わるので、自分の場合はどれくらいが相場なのか気になる方は多いでしょう。このコラムでは厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに、区分ごとの平均年収をまとめています。社会人なら知って損はない給与明細の見方も解説しているので、自分の収入に疑問を持っている方や分からない項目がある方は参考にしてください。
目次
日本の平均年収
厚生労働省の発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、2022年の日本の一般労働者の平均年収は約496.5万円でした。一般労働者とは、無期限もしくは1ヶ月以上の期間雇用されている常用労働者のうち、パートタイム労働者を引いた人のことです。前年2021年の平均年収は約489.3万円だったので、ややプラスへと転じました。新型コロナウイルスの流行拡大によって停滞していた経済活動が再開しつつある影響で、基本給や賞与額が上がったことが要因と考えられます。
以下の項目では、性別や学歴、年齢ごとに分けた日本の平均年収に関するデータを紹介するので、自分が該当する項目をチェックしてみましょう。
男女別
2022年の日本の平均年収を性別ごとに見ていくと、男性は約554.9万円、女性は約394.3万円でした。日本では、結婚や育児のために、途中でキャリアをストップする女性が多い傾向にあります。また、女性の社会進出が進んだのはここ数十年のため、管理職の男女比は男性のほうが優勢です。役職に就いている社会人女性の母数が少ないこともあり、男女別の平均年収は男性のほうが高くなっています。
学歴別
日本の学歴別の平均年収は以下のとおりです。
【最終学歴別の平均年収】
中学校:約402.2万円
高等学校:約434.5.万円
専門学校:約456.7万円
高等専門学校および短期大学:約463.4万円
大学:約587.1万円
大学院:約786.4万円
平均年収は学歴が上がるにつれて高くなります。低学歴で高収入を実現している人もいますが少数派です。学歴以上の能力や実績がなければ、自分より高学歴な人の年収に並ぶのは難しいでしょう。
年齢階級別
年齢階級別で算出した日本の平均年収は以下のとおりです。
【年齢階級別の平均年収】
~19歳:約255.4万円
20~24歳:約327.1万円
25~29歳:約403.5万円
30~34歳:約456.8万円
35~39歳:約508.6万円
40~44歳:約540.6万円
45~49歳:約563.5万円
50~54歳:約587.7万円
55~59歳:約590.2万円
60~64歳:約444.8万円
65~69歳:約360.2万円
70歳~:約322.4万円
日本で働き盛りの世代は「35~59歳」あたりだといわれています。この世代のデータを見ると年齢を重ねるにつれ、年収がどんどん上がっていることが分かるでしょう。特に、50~54歳がピークです。この世代は会社で重要な役職に就く人や経営に回る人が増えてきます。
参照元 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
ピックアップ記事
日本で働く外国人の平均年収
賃金構造基本統計調査では外国人労働者の賃金も調査しています。2022年の外国人労働者全体の平均年収は、約356.1万円です。日本人全体の平均年収の約496.5万円と比べると50万円以上の差があります。
日本人と外国人労働者で平均年収に差が生まれるのは、平均年齢と勤続年数の違いが理由です。海外から働きに来る外国人労働者はキャリアアップやスキルの習得、母国よりも高い収入などを目的としている場合が多く、30代以下の若年層が中心。目的を達成したあとは母国に帰国する人もいるため、日本時に比べると平均年齢が若く、勤続年数が短くなるのです。日本は勤続年数や年齢が上がるほど賃金もアップする傾向にあるため、平均年収に差が生まれています。なお、平均年収はどの在留資格を持っているかで変わることも。在留資格による平均年収は以下のとおりです。
【在留資格別の平均年収】
- 身分に基づく在留資格:約411.3万円
- 専門的・技術的分野の在留資格:約442.6万円
- 特定技能:約303万円
- 技能実習:約262.3万円
技能実習生の平均年収がほかの在留資格を持つ労働者に比べて低いのは、ビジネスではなく、外国人への技能の移転を目的とした技能実習制度が理由です。利益を優先させられない技能実習生は、賃金が上がりにくい傾向にあります。
日本で働く外国人が賃上げを目指す方法は、ほとんど日本人と変わりません。年収アップを叶える方法を知りたい方は、「外国人が日本で年収アップを目指して転職するには?コツや交渉方法を解説」のコラムをご覧ください。
参照元 厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
給与明細の各項目の見方
紙や電子データで発行される「給与明細」には、給与額だけでなく、総支給額から引かれる保険料や働いた日数などが細かく記載されています。自分が正しい給与を受け取っているかを知るためにも、給与明細の見方を覚えましょう。なお、会社によって給与明細の文言は多少異なるので確認の際は注意が必要です。
働いた日数や残業に関する項目
働いた日数や時間、有給などに関することは「勤怠」の項目に記載されています。なお、「有給」とは日本の法律で付与が定められている、賃金が発生する休日のことです。
就業日数:会社が定めているその月に働く日数
出勤日数:実際に働いた日数
欠勤日数:その月に会社を休んだ日数
遅刻日数:就業規則で定められている始業時間よりあとに業務を開始した日数
早退日数:就業規則で定められている終業時間より前に退勤した日数
有給消化日数:有給を使った日数
有給残:有給の残り日数
勤務時間:その月に働いた時間
普通残業時間:本来の労働時間を超えて働いた時間
休日出勤時間:法律で定められている週1回の休日(法定休日)に出勤した時間
「残業したはずなのに無かったことにされていないか」「有給を使っていないのに減っていないか」などの確認は、毎月自分で行いましょう。
会社から支払われる金額の項目
会社から支払われる金額については「支給額」の項目に記載されています。
基本給:会社から支払われる基本の賃金
通勤手当:通勤に掛かる電車代やバス代の手当
住宅手当:家賃や住宅ローンなどの手当
役職手当:会社での役割や責任に対する手当
残業手当:勤務時間外の労働に対する手当
資格手当:取得した資格に対する手当
深夜勤務手当:午後10時~翌午前5時の間の労働に対する手当(基本級の25%以上の上乗せが法律で定められている)
法定休日手当:法律で決まっている休日の労働に対する手当(基本給の35%以上の上乗せが法律で定められている)
なお、手当の種類は会社によってさまざまです。紹介した手当のほかにも、健康促進を目的とした「禁煙手当」や昼食代を補助する「食事手当」などを支給している企業もあります。
支給額から引かれる金額の項目
会社員の場合、年金や健康保険料、税金などは給料から天引きされるのが一般的です。支給額から引かれる金額は「控除」の項目に書かれています。実際に給与として渡されるのは、支給額から控除額を引いた金額です。
健康保険:病気や怪我の際に給付を受けるために納付
厚生年金:将来年金を受け取るために納付
介護保険:将来介護サービスに対する給付を受けるために納付(40歳以上から)
雇用保険:失業時に給付を受けるために納付
所得税:会社から支払われる賃金に対して掛かる税金
住民税:自分の住んでいる地域の行政サービスを維持するために納付する税金
なお、これらの控除金額は、支払われる給与金額や前年の収入などによって変動します。
給料明細の見方は「給料明細の見方が分からない外国人に向けて!項目ごとに解説」のコラムでさらに詳しく紹介しているので、参考にしてください。
まとめ
平均年収は今後、感染症の拡大状況や他国の戦争状況、為替相場などに左右されて変動すると考えられます。年収を上げたいと考えている方は、世界各国の状況や日本経済の流れにも目を通しましょう。