日本の城は、景観のかっこよさを楽しめるのはもちろん、歴史も学べる人気の観光スポットです。しかし、どの城を見たら良いのか分からないという方もいるでしょう。初めて見るときは、国宝や重要文化財に指定されている有名な城から選ぶのがおすすめです。
このコラムでは、外国人に向けて日本の有名な城を紹介します。内容を参考にして、実際に観光に訪れる計画を立てましょう。
目次
日本と西洋の城の違い
日本と西洋の城には、城壁の有無という違いがあります。西洋の城は高い城壁で囲み、敵からの侵入を防ぐ作りになっていることがほとんどです。一方、日本の城は水を貯めた溝「お堀」を作り、敵からの侵入を食い止めています。日本に城壁がないのは、地震が多いため、崩れたときに城が危険に晒されるからという説が有力です。
また、西洋の城の多くは町全体を守る作りになっており、城壁も町を囲うように建てられます。一方、日本の城と城下町は独立しているのも、異なる点です。
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日本の城【国宝5天守】
ここでは、国宝に指定されている天守を持つ、5つの城を紹介します。天守とは、城の一部として建てられた高層建築物で、シンボルともいえる部分のことです。多くの人が城と聞いて思い浮かべる建物は、天守を指します。
姫路城
兵庫県姫路にある姫路城は、日本を代表する城です。規模が大きく広いうえ、真っ白な外観が美しく、別名「白鷺城(しらさぎじょう)」とも呼ばれています。また、戦闘が激しかった戦国時代に建てられた城なので、敵の侵入を防ぐためのさまざまな仕掛けを実際に見られるのも魅力です。
彦根城
滋賀県彦根市にある彦根城は、井伊直継・直孝によって築城されました。天守は小ぶりですが、見た目が洗練されている城として知られています。明治維新後に解体の危機にありましたが、明治天皇の勅令(天皇から直接下される命令)により残されました。彦根城には、「ひこにゃん」という兜を被った白猫のマスコットキャラクターが毎日登場します。ひこにゃんは、滋賀県のみならず全国的にも大人気のご当地キャラクターです。
松本城
長野県松本市にある松本城の天守は、白黒のモノトーンが特徴です。ただし、見た目を美しくするために白黒にしたわけではありません。白い部分は漆喰で塗ることで水に強く、黒い部分は漆塗りにして火に強くしています。なお、松本城は国宝天守唯一の平城(ひらじろ)です。平城は山や丘のうえではなく平地に建てられた城を指します。
松江城
島根県松江市にある松江城は、黒塗りの堂々とした佇まいが特徴です。天守最上階まで登ると壁がない造りのため、松江市と出雲市にまたがる宍道湖や松江市全体を見渡せます。事前に申し込みをすると、武者の格好をした「まつえ時代案内人」のガイドを受けながら城郭を見学可能です。気になる人はぜひ体験してみましょう。
犬山城
愛知県犬山市にある犬山城は、日本で最も古い天守を持つ城です。小さめの城で派手さはあまりありませんが、気品と歴史を感じられます。2004年までは江戸時代藩主である成瀬家が所有しており、国宝のなかで唯一個人所有の城でした。現在では、財団法人の所有に変わっています。
日本の城【現存天守】
日本で現存天守を持つ城は全部で12個あります。現存天守とは、江戸時代以前に建てられ、現在まで保存されている天守のことです。ここでは、先述した国宝5城を除いた、現存天守を持つ7つの城を紹介します。これらの城は、重要文化財に指定されている非常に貴重な建造物です。
弘前城
青森県弘前市にある弘前城は、日本の最も北にある現存天守です。雪国ならではの工夫がされており、屋根は大雪が積もっても割れないように、丈夫な銅瓦葺き(どうかわらぶき)が使われています。
もともとは5層5 階の天守がありましたが、雷による火災で消失したため1810年に現在の3層3階に改装されました。
丸岡城
福井県坂井市にある丸岡城は北陸地方唯一の現存天守です。春は桜のなかにぼんやり浮かぶ様子が美しく、別名「霞ヶ城」と呼ばれています。外からだと2階建てに見えますが、実際は3階建てです。ふもとには歴史民俗資料館があり、甲冑や刀剣の展示も見られます。
丸亀城
香川県丸亀市にある丸亀城は、「石垣の名城」といわれています。さまざまな技法で美しく均一に積まれた高石垣はあわせて60m以上にもなり、圧巻です。なお、ARアプリで江戸時代の丸亀城を体感できる試みも行われているので、観光に訪れた際はぜひ利用してみてください。
宇和島城
愛媛県宇和島市にある宇和島城は、上から見るといびつな五角形をしています。これは、敵には四角形に見せかけておき、死角になった残りの一辺から攻撃を仕掛けたり逃げたりするのが目的です。城周辺には豊かな自然が残っており、城の見学と一緒に森林浴も楽しめます。
松山城
愛媛県松山市にある松山城の天守は、現存12天守のなかで最も新しく、江戸時代後期に建てられました。連立式天守という、メインの天守と2つ以上の小さい天守が連結された珍しい構造をしているのが特徴です。登城にはリフトやロープウェイも利用できるので、気軽に見学ができます。
高知城
高知県高知市にある高知城は、日本で唯一天守と本丸御殿が揃って現存している城です。本丸御殿とは城主が生活をする場所で、城の最も重要な部分を指します。本丸御殿の中に入ると、時代劇の登場人物になった気分を味わえるでしょう。
備中松山城
岡山県高梁市にある備中松山城は、現存天守を持つ城のなかで最も高い場所にある山城です。雲海に浮かぶ光景は「天空の山城」と呼ばれています。雲海とは、標高が高い位置から雲を見下ろしたときに、海のように見える現象のことです。雲海は気候や気温の条件がぴったり合わないと見られません。備中松山城を見学する際は、雲海が発生しやすい10月下旬~12月上旬の早朝を狙うのがおすすめです。
まとめ
日本の城のうち、シンボルである天守が築城当時から現在まで残っているのは日本に12城しかありません。一見似たように見える城でも、それぞれに異なる特徴があります。観光で城の見学をする際は、何箇所か回って見比べてみるのもおすすめです。場所によっては外国語ガイドの案内を受けられる場合もあるので利用してみましょう。
なお、WeXpats Guideでは「近畿地方で外国人に人気がある観光スポット・名物料理まとめ」「四国地方の情報まとめ!グルメや観光スポットを知って旅を楽しもう」「中国地方の観光情報まとめ!郷土料理やおすすめのお土産も紹介」といったコラムで、これまでにご紹介した城がある地域の情報をお届けしています。こちらの一覧「日本を旅行する」にもまとめて掲載しているので、観光に行く前に、ぜひチェックしてみてください。