日本企業への就職を目指す人のほとんどは採用面接を受けます。しかし、どのようなことを質問されるのか、詳しく分からない人もいるでしょう。外国人留学生の場合は、日本に来た理由や来日して感じた母国の文化・慣習とのギャップを聞かれることが多いようです。
このコラムでは、日本の採用面接の特徴やよくされる質問を紹介します。内容を参考にして、希望する企業の内定を得ましょう。
目次
日本の採用面接の特徴
日本の採用面接は海外の面接とは異なる点が多くあり、戸惑う外国人もいます。ここでは、日本の採用面接の特徴を紹介するので、内容を把握しておきましょう。
マナーが細かく決まっている
日本の面接では、入退室や受け答えのマナーが細かく決まっています。採用担当者は、面接で応募者の人柄や能力だけでなく、社会人としてのマナーが備わっているかをチェックしているのです。学生は面接で好印象を与えられるよう、模擬面接を受けたり友人同士で練習したりして、マナーを身に付けます。
時間が掛かる
日本の面接は海外の面接と比べて、時間が掛かる傾向にあります。面接時間の目安は30分から1時間です。一次面接では1人当たりの面接時間は短く収まります。しかし、選考が進むに従って長くなり、最終的には1時間以上掛かるケースも珍しくありません。日本の面接では採用担当者ができるだけ多くの質問をし、応募者のことを深く知ろうとしています。また、形式的な質問が多いのも、時間が掛かる理由でしょう。
スキルより性格や人柄に対する質問が多い
日本の面接は、スキルや経歴を中心に聞く海外の面接とは異なり、性格や人柄に対する質問が中心です。日本は集団のなかでの調和や協力を重んじる傾向にあります。そのため、採用においては能力や経歴だけではなく、「他者と協力して働けるか」「人柄に問題ないか」なども重要な判断材料です。性格や人柄は履歴書や職務経歴書からは分かりません。採用担当者は面接時に詳しく質問することにより、応募者の人間性を慎重に見極めようとします。
緊張感がある
日本の面接は独特の緊張感があります。企業にもよりますが、和やかな雰囲気になることはあまりありません。一昔前は、応募者にわざと緊張感のある態度で接しストレス耐性を見る、「圧迫面接」が行われていた時期もありました。昨今はほとんど行われなくなりましたが、今でも重苦しい雰囲気は残っています。
日本の採用面接を受ける予定の方は「日本の就職面接の対策を外国人に向けて解説!質問例も紹介」「外国人が就活でよく聞かれる質問と回答例を紹介!面接時のマナーも解説!」のコラムをぜひ参考にしてください。
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日本の採用面接でよくされる質問と回答のコツ
ここでは、日本の採用面接でよくされる質問と回答のコツを紹介します。基本の質問と外国人留学生に対してよくされる質問に分けているので、参考にして面接対策をしましょう。
基本の質問
以下で紹介するのは、日本の面接で必ずされるといっても過言ではない定番の質問です。
当社を選んだ理由は何ですか?
いわゆる「志望動機」です。採用担当者は、応募者が自社へどれほどの熱意を持って入社したいと思っているかをはかるために、志望動機を質問します。そのため、「どこでも良いから日本で働きたかった」「日本で有名な企業だから」などと答えてしまうと、採用に繋がりにくくなるでしょう。詳しいエピソードや思いを添え、なぜこの会社が良いのかという理由を具体的に説明します。
最近興味を持ったニュースや出来事はありますか?
採用担当者は、応募者が世の中の出来事にどれほどアンテナを張っているか、またどのような事柄に興味を持つ人物なのかを知るために質問します。アニメやゲームなどの娯楽にしか興味がなかったりニュースを知らなかったりする人物は、面接で評価されません。普段からニュースや新聞に目を通して、内容を理解し自分の頭で考えるクセを付けておきましょう。
学生時代に力を入れたことはありますか?
「学生時代に力を入れたこと」は、通称ガクチカとも呼ばれています。学生時代に何を頑張ったか、それにより何を得られたかを話すと良いでしょう。学生時代何もせずダラダラしていた人より、何かに一生懸命打ち込んでいた意欲がある人のほうが印象が良くなります。ただし、特別な経験しか話してはいけないわけではありません。アルバイトやサークル活動などの日常の活動であっても、入社後の業務で活かせる経験をしたのであれば、積極的に話すべきです。
自分の強みや弱みは何だと思いますか?
弱み・強みもよく聞かれる定番の質問です。強みは入社後どのような活躍をしてくれるか、どのような仕事が向いているかを確かめるために聞かれます。また、自己分析をしっかりできている人物であるかを見極めるためともいえるでしょう。
強み・弱みを答えるときは、選考を受ける企業との相性を考える必要があります。たとえば、営業職や接客業に携わる企業の採用選考で、「人と話すのは苦手」とそのまま伝えるのは好ましくありません。「人と話すのが苦手だったが、接客のアルバイトを選ぶなど努力をしている」など、改善策と一緒に伝えましょう。
外国人留学生ならではの質問
日本人と同じ質問のほかに、外国人留学生ならではの質問もよくされます。
就職先に日本を選んだ理由は何ですか?
母国ではなく日本での就職を選んだ理由は、外国人留学生にされる定番の質問です。「給料が母国より高いから」「母国より労働条件が良いから」などの理由だったとしても、そのまま答えると印象がよくありません。「◯◯をきっかけに日本に興味を持ち、働きたいと思った」「習得した日本語と母国を活かしたい」など、前向きな回答をしましょう。
日本に来て驚いたことはありますか?
日本に来て驚いたことは、母国との価値観のギャップに対し、どれほど対応できているかを確認するために質問されます。また、日本の慣習や価値観に柔軟に対応する気持ちがあるのかを確認するための質問ともいえるでしょう。ただ「▲▲に驚いた」だけではなく、「はじめは▲▲に驚いたけれど▲▲のような工夫をして乗り越えた」のように答えるのが賢明です。
将来母国に帰国する予定はありますか?
入社後、長く働いてもらえる人材なのかを確かめる質問です。なかには、日本で職務経験を積み、いずれは帰国して母国で働くことを想定している人もいるでしょう。しかし、企業としては、せっかく採用した人材が入社後すぐ帰国してしまうのは損害です。「仕事を一通り覚えたら帰国します」とハッキリ答えてしまっては、なかなか採用には繋がりません。嘘を付くのは良くありませんが、明確に時期が決まっていなければ「将来的には帰国予定ですが日程は決まっていません」「できる限り日本で働き続けたいです」などといった答え方をしましょう。
「外国人が日本の面接で聞かれる質問とは?採用につながる回答を考えよう!」のコラムでは、面接でされる質問をさらに詳しく説明しています。
日本の採用面接をクリアする秘訣
日本の採用面接をクリアし内定を得るためには、マナーや身だしなみに気を配りましょう。また、ポジティブな言葉選びやハキハキとした受け答えなど、意欲的な態度を示すことも重要です。
マナーや身だしなみに気を配る
日本の面接は先述したとおり、細かいマナーが決まっています。繰り返し練習をして、面接担当者に失礼な印象を与えないようにしましょう。また、行動面のマナーに加えて、身だしなみも重要です。日本の採用面接では、華美でない清潔感のある身だしなみが求められます。服装はリクルートスーツで、髪は派手なカラーリングを避けましょう。男性は、ヒゲが生えていたり長髪だったりする状態で面接を受けてはいけません。面接ではいつも以上に、身だしなみに気を配りましょう。
ポジティブな言葉選びを心掛ける
面接ではネガティブな印象を与えないことが大切です。愚痴が多くマイナスに捉えがちな人は、日本では調和を乱す協調性のない人とみなされます。普段から会話を前向きに言い換えるように意識しましょう。たとえば、「優柔不断」は「思慮深い」、「落ち着きがない」は「行動力」があると言い換えられます。
ハキハキと元気に受け答えをする
受け答えはハキハキと元気に行いましょう。面接の受け答えに自信がなくなり、声が小さくなってしまう人は日本人でもたくさんいます。母国語ではない日本語で面接を受ける外国人はなおさらでしょう。しかし、先述したとおり面接では前向きな姿勢を見せることが大切です。間違いを気にして自信なさげにボソボソと受け答えするより、多少日本語を間違ってもハキハキと話すほうが面接担当者に好印象を与えられます。
まとめ
日本の採用面接には独特なルールや雰囲気があり、戸惑う外国人が非常に多くいます。しかし、日本企業に就職するためには、採用面接で良い結果を残さなくてはなりません。このコラムを参考にして、面接を突破しましょう。