来日を考えている人のなかには、「日本ではどのような地震対策がとられているの?」「過去に起こった大きな地震について知りたい」と思っている方もいるでしょう。
日本は地震が頻繁に起こる国です。地震の揺れや津波による被害を防ぐため、緊急地震速報や津波警報などのさまざまな対策が講じられています。このコラムでは個人でできる対策もまとめているので、参考にして地震に備えましょう。
目次
日本ではなぜ地震がよく起きるのか?
【2月の地震回数】毎月の地震回数についてお知らせします。2月の1か月間に発生した震度1以上の地震は145回でした。いつ大きな地震や津波に襲われても身を守ることができるように、日頃から備えておきましょう。 #いのちとくらしをまもる防災減災https://t.co/xPWbIidrHq pic.twitter.com/s2E1vy03Po
— 気象庁防災情報 (@JMA_bousai) March 8, 2022
日本列島は環太平洋火山帯に属しているため、地震がよく起きます。環太平洋火山帯とは、太平洋を取り囲んでいる火山帯のことです。円を意味する「環」の文字がついていますが、実際は馬蹄形の形をしています。
日本以外でも、環太平洋火山帯に属している地域では地震がよく起きます。過去には、インドネシアやチリでも大きな地震が起きました。
参照元 気象庁「日本の地震 これまでとこれから」
ピックアップ記事
地震の揺れの大きさを示す震度とは?
震度は、ある地点における地震による揺れの強さを示します。日本では地震そのものの規模を示すマグ二チュードも計測されますが、よく使われる尺度は震度です。震度は0〜7までの階級が存在し、値が大きくなるほど地震の揺れが強いことを表します。震度の階級と揺れの強さ・被害の大きさなどは、以下のとおりです。
- 震度0:地震計には記録されるが、人は感じない程度の揺れ
- 震度1:静かな場所にいる人だと、揺れを感じる場合もある
- 震度2:静かな環境にいる人のほとんどが揺れを感じる
- 震度3:建物内にいる人の多くが揺れていると気付く
- 震度4:電灯が揺れて、固定していない置物が倒れることがある
- 震度5弱:棚に入れた本や食器が落ちたり家具が動いたりする
- 震度5強:物につかまらないと歩くのが難しく、固定していない家具が倒れる場合がある
- 震度6弱:立っているのが難しく、壁のタイルや窓ガラスが落下する危険がある
- 震度6強:耐久性の低い木造建築の場合は、傾いたり倒壊したりする可能性が高くなる
- 震度7:鉄筋コンクリート造りの建物でも倒壊する恐れがある
参照元 気象庁「震度について」
地震や津波を知らせるシステム
日本では地震が発生すると、気象庁が地震計のデータを分析して、迅速に緊急地震速報や震度速報、津波警報などを発表します。地震に関して発表される速報や警報は以下のとおりです。
- 緊急地震速報:地震発生後、大きな揺れが到達する数秒から数十秒前に震度や震源などを予測して発表する
- 震度速報:地震が発生してから約1分半後に、震度3以上の揺れがあった地域名と時刻を報じる
- 津波警報・注意報: 地震の発生後、約2分、もしくは、3分ほどで津波の高さや到達する地域を伝える
- 津波フラッグ:大津波警報や津波警報、津波注意報が発表されたことを知らせるための旗で、海岸で振られるいるのを見かけたら避難が必要
地震が起きた際は、以上の速報や警報などを確認し、必要な場合は避難をしましょう。
参照元 気象庁「地震・津波と火山の監視 地震・津波の警報と情報」 気象庁「津波フラッグ」
日本で行われている地震対策
日本の電車は、基本的に震度5以上の地震があると停止するようにできています。地震発生後は安全確認を終え次第、運行を再開しますが、時間が掛かることもあるでしょう。また、建築基準法では、建物の耐震性を確保することを義務付けています。建築基準法は、1981年と2000年に改正されました。1981年以前の建築基準法は、建物に震度5までの耐震性を義務付けるものでしたが、改正により震度6強や7の地震を受けても倒壊・崩壊しないという条件が加わります。2000年の改正では、より頑丈な建物を建てるため、柱や壁に関する条件が追加されました。
また、地震の影響による津波の被害を軽減するために、海岸には波を遮断する防波堤や消波ブロックが置かれています。
個人でできる地震対策
Earthquake Warning: May 1, 10:27 am, A strong earthquake hits Miyagi (seismic intensity of 5-upper).#JNTO
— Japan Safe Travel (JST) (@JapanSafeTravel) May 1, 2021
地震の被害の拡大を防ぐためには、日ごろから対策しておくことが重要です。以下では、個人でできる地震対策を紹介します。
- ホームセンターやインターネットで転倒防止用品を購入し、家具や家電を固定する
- 水と食料を備蓄しておく
- 市区町村のWebサイトや配布されたハザードマップで、避難経路や指定された避難場所を確認する
- リュックに水や乾パン、懐中電灯、予備の電池などを入れて置き、速やかに持ち出せるように準備しておく
リュックに余裕がある場合は、服の替えや毛布なども入れましょう。その際に、実際に背負って持ち運べる重さか、確認するのも大切です。
日本で過去に起こった大きな地震
日本では過去に何度も大きな地震が起きました。以下では、関東大震災・阪神淡路大震災・東日本大震災についてまとめています。
関東大震災(1923年)
関東大震災は、大正時代に首都圏で起きた巨大地震です。以下では、発生日や被災地、震度などをまとめています。
- 発生日:1923年9月1日
- 主な被災地:神奈川県や東京都、千葉県、静岡県など
- マグニチュード:7.9
- 最大震度:7
- 津波:最大12mの津波があった
- 死者数:105,385名
関東大震災では、神奈川県や東京都を中心に多くの人が亡くなりました。近代以降の日本で起きた地震のなかで、被害は最大といわれています。
阪神淡路大震災(1995年)
阪神淡路大震災は、兵庫県の淡路島を震源とした地震です。兵庫県や大阪府で大きな被害が出ました。概要は以下のとおりです。
- 発生日:1995年1月17日
- 主な被災地:兵庫県や大阪府、京都府など
- マグニチュード:7.3
- 最大震度:7
- 津波:数10cmの津波の報告あり
- 死者数:6,434名
阪神淡路大震災は、高速道路やビルの崩壊が起きて人々に衝撃を与えた地震です。また、大規模な火災が起きたことで多くの人が家を失い、仮設住宅で生活することになりました。
東日本大震災(2011年)
東日本大震災は東北地方を中心とした地震で、津波により大きな被害が起きました。地震の詳細は以下のとおりです。
- 発生日:2011年3月11日
- 主な被災地:宮城県や福島県、岩手県、茨城県など
- マグニチュード:9.0
- 最大震度:7
- 津波:福島県相馬では9.3m以上の津波を観測し、海から陸地へかけあがった遡上高では40.5mを記録した地点もあった
- 死者数:15,270名
東日本大震災では、津波により多くの建物が流されました。死者数は15,270名で、多くの行方不明者も出ています。また、福島第一原子力発電所にも津波が押し寄せ、原子力事故が起きました。そのため、2022年8月時点でも避難指示区域に指定されている地域があります。
まとめ
日本列島は環太平洋火山帯に属しており、地震が頻発する地域です。過去には、関東大震災や阪神淡路大震災、東日本大震災などの大きな地震がありました。
これらの地震の被害から学び、日本では建物や公共交通機関などでさまざまな地震対策が講じられています。また、地震の被害拡大を防ぐためのシステムとして、緊急地震速報や津波警報などが開発されてきました。
地震が起こった際は、震度速報や津波警報などのお知らせをよく確認したうえで、落ち着いて行動しましょう。
また、「引っ越し時の電気・ガス・水道の手続きを紹介【一人暮らしの外国人向け】」など、地震のほかに日本で生活するにあたって備えておきたい知識が学べるコラムは、こちらの情報一覧ページ「日本で生活する」にまとめています。ぜひチェックしてみてください。