日本でのゴミの捨て方はわかりますか?この記事では、日本のゴミ処理システムを紹介し、日本での正しいゴミの分別方法、ゴミの捨て方、日本で「粗大ごみ」と呼ばれる大きな物の捨て方などについてご説明します。
目次
日本の廃棄物処理システムの発展
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
20世紀以前の日本では、廃棄物処理に決まった制度はありませんでした。明治政府の発足後、公衆衛生は国全体の大きな関心事となり、1900年には「汚物掃除法」が施行されました。その後、自治体と廃棄物の投棄を監視するために、さまざまな政府組織が運営されるようになりました。
第二次世界大戦後、戦後の被害や急激な経済発展もあり、日本各地にゴミが山積みになりました。そこで、国や地方自治体が協力し、廃棄物を処理するために必要な技術の資金が各自治体に提供されました。さらに、市民の自己責任でごみを処理することを促すために旧法が改正され、1954年に「清掃法」が導入されました。
日本の廃棄物処理システムとリサイクル技術
1963年、政府は生活環境の改善と公衆衛生の向上を目指し、「生活環境施設整備緊急措置法」を制定し、「生活環境施設整備五カ年計画」をスタートさせました。この計画は、日本全国に廃棄物処理施設を建設するというものでした。
日本では、好景気とともに大量生産・消費が進み、多くの有害なゴミが出るようになりました。そのため、1970年の「公害国会」で「掃除法」が改正され、「廃棄物処理法」が制定されました。これにより、産業廃棄物については工場や事業者が、一般廃棄物については市町村が責任を持つことになりました。
また、適切な埋立地を作り、廃棄物管理に関する啓蒙活動や地域の廃棄物プロジェクトを開始することを目的とした「リサイクル法」も導入されました。
※環境省『日本の廃棄物処理の 歴史と現状』参照
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日本のゴミ出しガイド ーゴミの分別ー
分別とは、ごみを「資源物」「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「粗大ごみ」の4種類に分けることです。各家庭や事業所では必ず行う必要があります。まずは、日本のリサイクルについてご説明します。
資源ゴミ
- 缶:飲料缶、缶詰、容器、スプレー缶など
- 古紙:新聞紙、雑誌、本など
- 紙パック:牛乳やジュースのパック
- 段ボール
- ビン:ガラス製のボトルなど
- プラスチック:発泡スチロール、容器・包装など
- ペットボトル
ごみ捨てのルール
- 缶、ビン、プラスチック、ペットボトルは十分に洗います。汚れている場合は、「燃えるゴミ」になります。
- 段ボールや紙パックは、平らになるまで分解します。
- ペットボトルは、キャップやラベル部分とボトル部分を分別します。キャップやラベルは通常プラスチックで、ボトルはペットボトルになります。公共のゴミ箱では分別する人がいるので、分別する必要はありません。
- 紙類、紙パック、ダンボールは、ひもで縛って分別します。
- ペットボトルと同じように複数の部品で構成されているものは、部品ごとに分ける必要があります。
- プラスチック製のフォーク、スプーン、ストローなどの食器類はリサイクルできません。
- ヘアスプレーなどのエアゾール缶は、まず空気を抜く必要があります。専用の道具もあります。
知っておきたい大切なこと
日本で使われているリサイクルマークを紹介します。
燃えるゴミ
- 生ゴミ:生製品(肉、魚、野菜)、卵の殻など
- 汚れているリサイクル品:油がかかっている容器、未洗浄の容器、洗浄不可能な容器など
- 衛生用品:絆創膏、包帯、生理用ナプキン、歯ブラシ、おむつ、ティッシュペーパーなど
燃えないゴミ
- 小さな金属類:はさみ、フライパン、ハンガー、包丁、刃物など
- 電池
- 電球
- 小型の電化製品:ケトル、トースターなど
- 食器:お椀、コップ、皿など
- ガラス:鏡、グラスなど
- ライター
粗大ごみ
日常的に出るゴミは分別しやすく、ビニール袋に入れたり、小さく砕いたりして捨てられますが、大きなゴミはどうでしょうか?これらの大きなゴミは「粗大ゴミ」と呼ばれ、お金を払わなければ処分できません。
- 大型の電化製品:テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン など
- 大型の家具:ソファー、ベッド、テーブル、椅子など
廃棄のルール
- ゴミ集積場のゴミ箱にそのまま捨てたり、その横に置いたりしてはいけません。スペースを取りすぎて通りを塞いだり、他の人がゴミを捨てるのを妨げたりして迷惑になります。
- 再利用は素晴らしいことですが、収集前の「粗大ごみ」は、自由に取ってはいけません。盗みとみなされます。
- 「粗大ごみ」は、ゴミの大きさに応じた料金を支払って、市町村に収集・処分してもらう必要があります。電子機器(大小を問わず)については、廃棄の問い合わせ先を確認できる「家電リサイクル券センター」のポータルサイトが便利です。
- その他の処分方法としては、以下のようなものがあります。
- 元の販売者に連絡する。
- それを必要とする人に寄付する。
- 中古品販売サイトで売る。
- 買い替えの際、新しい家具・家電の販売元が廃棄処分のサービスを行っている場合がある。
- 引っ越しをする際、引っ越し業者が処分してくれる場合がある。
※東京都多文化共生ポータルサイト『ごみ収集』参照
日本のゴミ出しガイド ーゴミの出し方ー
次に、ゴミの出し方についてご説明します。
ゴミ出しの事前準備
お住まいの自治体によって、ゴミ袋のルールは異なります。ゴミの分類を表す特定の色の袋を自治体が指定している地域もあれば、透明であればゴミ袋の種類や色は問わない(または、白い透明な袋しか認めない)という地域もあるようです。そのため、区役所で住民登録をする際に、ゴミの出し方のマニュアル・ガイドをもらってしっかりと確認してきましょう。
粗大ごみ
「粗大ごみ」は、インターネットや電話で集荷を予約する必要があります。予約できたら、コンビニで粗大ごみシールを購入し、よく見える位置に貼ります。回収日までは自宅で保管し、回収時間までにゴミを回収場所に出してください。
ゴミ出しのスケジュール
各自治体では、ゴミ収集のスケジュールが決まっています。その情報は、ゴミの出し方のマニュアル・ガイドに記載されているか、インターネットで確認することができます。曜日によって収集されるゴミが異なるので気をつけましょう。
「資源ゴミ」の場合、段ボールは毎月第2、第4土曜日、プラスチックは毎週火曜日、ガラスと缶は毎週木曜日といったように、別々に収集される場合もあります。
また、マンションなどでは、24時間ゴミ出し可能なゴミ置き場が設置されている場合もあります。管理人さんがゴミを分別して、決められた日に回収に来てくれるのでとても便利です。
ゴミ集積場
皆さんの家やアパートには、決められたゴミの集積場があります。ゴミはここに捨て、他の場所には捨てないようにしましょう。青いネットや扉がある場合は、害虫や鳥がゴミを荒らさないように、きちんと蓋をしたりネットをかけたりするようにしましょう。
自治体やマンションによっては、「紙パックは収集しないので、区役所やスーパーマーケットに持ち込んでください」といったように、特定のゴミ捨て場に持ち込まなければならないものもあります。
不適切なゴミ処理による被害
他者への配慮を重んじる日本では、ゴミの不適切な扱いは大問題です。ゴミを出すのが遅かったり早かったりすると、狭いゴミ置き場にゴミが溜まってしまうので、ご近所の迷惑になり、近隣トラブルになってしまう場合もあります。
間違った日に出された段ボールなどの資源ゴミは、ゴミ回収業者が回収を拒否し、「これは間違っています」と注意喚起するシールやメモを残していくこともあります。
事業者の場合、ゴミの不法投棄や産業廃棄物の処分は、5年以下の懲役または1億円以下の罰金となります。
※国連食糧農業機関「FAOLEXデータベース-廃棄物の管理及び清掃に関する法律(1970年第137号)」参照
まとめ
日本に住む外国人(あるいは観光客として訪れる外国人)の中には、日本はゴミ出しのルールが厳しいと感じる方も多いことでしょう。しかし、ゴミ出しのルールが厳しいからこそ、世界で日本は「清潔で、美しい自然があり、伝統と文化が守られている国」といわれ、「日本の世界遺産を解説!一度は訪れたい人気スポットも紹介」や「日本の文化遺産を外国人に向けて紹介!おすすめの世界遺産とは」などで紹介されている世界遺産が数多く存在しているのです。日本の美しさをこれからも保つために、外国人の皆さんもぜひ一緒に日本のルールを理解して取り組んでいきましょう。