夏の美しい季語を知りたい!爽やかさや涼しさを表現する言葉には何がある?

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2023/06/01

日本語には、特定の季節を表す言葉である季語があります。夏には真っ青な海や白い波、太陽が輝く空などを意味する季語があり、どれも美しい言葉です。
風や夜の短さなどを意味する季語は、目に見えない季節の特徴を繊細に表現しています。同じ風を意味する季語でも、夏の初めと終わりで使う言葉では表している様子が異なっているのも特徴です。美しい夏の季語を知り、繊細で趣深い日本語の表現に触れてみてください。

目次

  1. 季語は季節を表す言葉
  2. 夏を通して使われる美しい季語
  3. 5月に使われる美しい夏の季語
  4. 6月に使われる美しい夏の季語
  5. 7月に使われる美しい夏の季語
  6. まとめ

季語は季節を表す言葉

季語は季節を表す言葉の画像

季語は俳句や複数の人で一首の歌を作る連歌(れんが)などを詠む際に、特定の季節を表すために入れる言葉のことです。以下では、有名な俳句とその俳句の作者、使われている季語を紹介します。

  • 「夏草や 兵どもが 夢の中」:松尾芭蕉(まつおばしょう)の俳句で、「夏草」が季
  • 「夏の雲 朝からだるう 見えにけり」:小林一茶(こばやしいっさ)の俳句で、「夏の雲」が季語
  • 「夕凪や 三日月見ゆる 船の窓」:正岡子規(まさおかしき)の俳句で、「夕凪」が季語

季語は、ビジネスメールや改まった手紙の冒頭の挨拶文にも用いる言葉です。「拝啓(はいけい)」という言葉のあとに、「~の候(こう)」や「~のころとなりました」などと繋げて使います。

ビジネスメールの書き方を知りたい方に向けて!注意点や例文を紹介」のコラムでは、季語を入れたビジネスメールの書き方を解説しています。また、「外国人にも人気のある俳句とは?英語で詠むHAIKUのルールも解説」のコラムでは俳句について紹介しているので、ぜひご覧ください。

夏を通して使われる美しい季語

夏を通して使われる美しい季語の画像

夏を通して使われる季語には、涼し気な夏の夜を意味する言葉があります。一方で、太陽が輝く空や日差しを受けて光る波などが、鮮やかに思い浮かぶ季語があるのも特徴です。以下では、初夏から夏の終わりまで使われる美しい季語を紹介します。

夏の宵(なつのよい)

夏の宵(なつのよい)の画像

「夏の宵」は、「夏の日が暮れてからそれほど時間が経っていないころ」を意味する季語です。「宵」は「夜の初めの時間帯」である18時から21時ごろを指します。「夏の宵」は、日が落ちて日中の暑さが収まりくつろげるようになった時間帯です。夜風や夜空とともに、涼しさを連想させる美しい夏の季語といえるでしょう。
同じような意味がある季語に「宵の夏(よいのなつ)」があります。

夏の波(なつのなみ)

夏の波(なつのなみ)の画像

「夏の波」は、「強い日差しのもと、白い波頭を立てて海岸に押し寄せる波」を意味する夏の季語です。強い日差しを浴びて真っ白に輝く大きな波は、生命力や爽やかさを連想させます。

夏の季語には、太陽の光を浴びてきらきらと輝く海を意味する「夏の海(なつのうみ)」もあります。「夏の浜(なつのはま)」「夏の潮(なつのうしお)」などもあり、海に関連した夏の季語は多いといえるでしょう。

夏の空(なつのそら)

夏の空(なつのそら)の画像

「夏の空」は「太陽が輝く真っ青な空」を意味する夏の季語です。同じような意味の夏の季語に「夏空(なつぞら)」があります。

夏の季語には、空に現れる気象現象を表現した言葉もあります。「夏雲(なつぐも)」は、夏の空によく発生する入道雲や雷雲などを表している季語です。
「夏の雨」も夏の季語で、涼しさや草木にとっての恵みを意味します。

日本の夏の気候について知りたい方には、「日本の夏を楽しもう!気候の特徴やおすすめの観光地を紹介」「日本の四季は海外とは違う?春夏秋冬それぞれの特徴や魅力を知ろう」のコラムもおすすめです。日本の夏の気候を知っておくと、夏の季語の意味を理解しやすいでしょう。

5月に使われる美しい夏の季語

5月に使われる美しい夏の季語の画像

春から夏に季節が移る5月は、きらめく日差しや爽やかな風を感じさせる季語が使われます。初夏である5月に使われる美しい季語は以下のとおりです。

めく(なつめく)

めく(なつめく)の画像

「夏めく」は、「夏が近づいている様子」を意味する初夏の季語です。
穏やかな春が過ぎると、日に日に気温が上がり夏が近づいていると感じるときがあります。「夏めく」は、強くなっていく日差しや濃くなっていく木々の緑といった、春から夏への季節の変化を感じさせる美しい季語です。

風薫る(かぜかおる)

「風薫る」は、「若葉や花の香りがするような爽やかな初夏の風」を意味する夏の季語です。
春が過ぎて、若葉の緑が濃くなる5月。穏やかな風が草花を揺らし、若葉や花の香りが漂っている様子を表現しています。肌に当たる風や晴れた空、草花の鮮やかな色を連想させる美しい季語といえるでしょう。
「風薫る」と同じ意味の季語に「薫風(くんぷう)」があります。

麦の秋(むぎのあき)

麦の秋(むぎのあき)の画像

「麦の秋」は、「麦の収穫をする季節」を表す初夏の季語です。「秋」は、四季の一つを表すのではなく、「穀物が成熟する季節」を意味しています。
一般的に麦の種を巻く季節は、秋の終わりから冬の初めにかけてです。冬に芽を出した麦は、暖かい春に成長し背丈を伸ばします。「麦の秋」は、初夏を迎えて多くの穂ができて、麦畑一面が黄金色に染まった風景を表している美しい季語です。

「麦の秋」と同じような意味の季語に、「麦秋(ばくしゅう)」があります。

6月に使われる美しい夏の季語

6月に使われる美しい夏の季語の画像

6月に使われる季語には、雨に濡れている瑞々しい草木の様子や涼しげな夜を表している美しい言葉があります。

青梅雨(あおつゆ)

青梅雨(あおつゆ)の画像

「青梅雨」は、「梅雨の季節に降る、草木の葉をより色鮮やかに見せる雨」を意味する夏の季語です。雨に濡れて青々とした草木や、葉についてきらきらと輝く雨粒を連想させる美しい季語といえます。

なお、「梅雨」は「6月ごろに降る長雨」を意味する言葉です。梅雨に関連する季語には、梅雨に入る日を意味する「入梅(にゅうばい)」もあります。

短夜(みじかよ)

「短夜」は「短い夏の夜」の意味がある夏の季語で、「たんや」とも読みます。一年のうちで一番昼が長く夜が短い日である夏至(げし)を表す際にも使われる言葉です。
日差しが厳しい昼間から夜に変わると、涼しく心が休まる時間が訪れます。しかし、短くてすぐに終わるのが夏の夜です。暗闇や静けさといった夏の夜の様子とともに、すぐに過ぎる時間の儚さを感じさせる美しい季語といえます。

白夜(はくや)

白夜(はくや)の画像

「白夜」は夜になっても暗くならない現象を意味する言葉で、夏の季語として使われます。主に緯度の高い地域で起こる現象で、日本では完全な白夜は起こりません。しかし、夏の夜の短さを表現する言葉として、「白夜」が使われます。
なお、俳句に使う際は「はくや」と読みますが、一般的な読み方は「びゃくや」です。

7月に使われる美しい夏の季語

7月に使われる美しい夏の季語の画像

以下では、7月に使われる美しい夏の季語を紹介します。

小暑(しょうしょ)

「小暑」とは「7月7日ごろ」を意味する夏の季語です。「小さな暑さ」という字が表しているように、梅雨が明けて段々と暑くなる時期を表しています。暑さに備えて生活の準備や心構えをする人々が目に浮かぶような季語です。

なお、暑さが本格的になる7月23日ごろを指す「大暑(たいしょ)」という夏の季語もあります。

三伏(さんぷく)

「三伏」は「暑さが最も厳しい期間」を意味する夏の季語です。
中国から伝わった思想である「陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)」が元となっており、7月中旬から8月上旬までの期間を表しています。「夏の暑さが厳しくて秋の気配が負ける」との意味があり、手紙の挨拶文にも使われる季語です。

朝曇(あさぐもり)

朝曇(あさぐもり)の画像

「朝曇」は、「夏の朝方に靄(もや)がかかり空が曇って見える様子」を意味する夏の季語です。明治末期に新しい季語として認められました。
午後に暑くなる日の朝は、靄がかかって曇る場合が多いとされています。理由は、前日の厳しい日差しにより暖められた空気中の水分が、早朝に靄となって現れるからです。

緑に彩られた山や真っ青な海に靄がかかっている、美しい様子が思い浮かぶ夏の季語といえます。

朝凪(あさなぎ)・夕凪(ゆうなぎ)

朝凪(あさなぎ)・夕凪(ゆうなぎ)の画像

「朝凪」は「夏の朝に、海に近い地域で一時的に風が止む現象」を意味する夏の季語です。陸から海に吹いていた風の向きが逆になる際に現れる現象で、陸と海の温度の差によって起こるとされています。
「朝凪」と対になる言葉が「夕凪」です。海から陸に吹いていた風の向きが逆になる夕方に、一時的に無風状態になる現象を意味します。

「朝凪」と「夕凪」は静かな美しい海を連想させる夏の季語といえるでしょう。

涼風(すずかぜ)

「涼風」は「夏の終わりころに吹く涼しい風」を意味する言葉です。毎日暑いと思っていた夏も過ぎていき、ふとした瞬間に涼しい風が吹くときがあります。夏の盛りの湿気を帯びた風とは異なる爽やかさに、秋の気配を感じるでしょう。
夏の終わりを感じさせる少し儚げな様子とともに、新たな季節の訪れを予感させる季語です。

まとめ

まとめの画像

季語とは俳句や手紙に使われる、季節を表すための言葉です。夏の季語は真っ青な海や白い波、晴れた空を意味する多くの言葉があり、色鮮やかな風景を想像させます。また、涼しさを表現する季語として、爽やかな風や短い夜に関する言葉があるのも特徴です。
美しい夏の季語を知ると、日本語の奥深さや繊細さを感じられるでしょう。

ライター

WeXpats
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