「日本の面接の流れが分からない…」「面接ではどのような質問をされるの?」と、疑問に思う人もいるでしょう。日本の面接では服装や態度のほか、質問を通して「人柄」「キャリア」「業務への適正」などがチェックされます。
このコラムでは、日本の面接形式の特徴や外国人がよく聞かれる質問を紹介。内容を参考にして、面接対策を行いましょう。
目次
- 日本で就職面接を受ける際のポイント
- 日本の面接の4つの形式
- 日本の就職面接ではまず自己紹介をする
- 日本の就職面接でチェックされるポイント
- 外国人が面接でよく聞かれる質問と回答のコツ
- 面接で受け答えする際の注意点
- まとめ
日本で就職面接を受ける際のポイント
日本の就職面接では、ほかの国では見られないような特徴があります。そのため、入室から退出までの流れを事前に把握しておくことが重要です。また、言葉遣いや身だしなみもチェックされているため、気をつける必要があります。以下では、面接を受ける際のポイントを解説するので、参考にしてください。
入室から退出するまでの流れを把握しておく
日本の面接には独特なルールがあるため、入室してから退室するまでの流れを十分に理解しておきましょう。面接の流れは以下のとおりです。
- 名前を呼ばれたらドアをノックして、「失礼します」と言ってから入室する
- 名前を述べたあとに「本日はよろしくお願いします」と言ってからお辞儀をし、勧められてから着席する
- 面接官の質問に答える
- 面接が終わったら、「本日はありがとうございました」と言いお辞儀をして退室する
面接官は、お辞儀やあいさつができるかなどもチェックしています。事前に練習して慣れておきましょう。
丁寧な言葉遣いや真摯な態度を心掛ける
面接官には、敬語を使い丁寧な言葉遣いで話しましょう。外国人にとって、謙譲語や尊敬語などは簡単に身に付くものではありません。まずは、「ありがとうございます」「分かりました」「失礼します」などの基本的な敬語を使えるようになりましょう。
また、熱意が伝わるように真摯な態度を心掛けることも重要です。「質問には聞き取りやすいように大きな声で答える」「椅子には姿勢よく座る」といったことにも気をつけましょう。
身だしなみに気をつける
身だしなみも面接官が重視するポイントです。日本の面接では、男女ともに無地のシンプルなスーツと白くて柄のないシャツを着用するのが一般的です。男性の場合だと、髪は耳に掛からない長さに切りましょう。女性で髪の長い人は、後ろで結ぶようにします。派手なメイクも避けて、清潔感を意識しましょう。
そのほか、面接で気をつけるポイントについて、「外国人が就活でよく聞かれる質問と回答例を紹介!面接時のマナーも解説!」「外国人が日本の面接を受ける際のマナーとは?服装や到着時間について解説」のコラムでもまとめています。ぜひ読んで、面接対策の参考にしてください。
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日本の面接の4つの形式
日本の面接には、「個人面接」「集団面接」「プレゼンテーション面接」「グループディスカッション」の4つの形式があります。ここでは、それぞれの面接形式の特徴を紹介するので、就職試験を受ける際に役立ててください。
1.個人面接
個人面接は、応募者1人に対して面接官1人もしくは複数人で行う面接形式です。面接官の視線が集中して緊張しやすいですが、その分印象を残しやすいといえます。また、ほかの応募者と回答が被ったり周りの意見に左右されたりすることもありません。回答に掛けられる時間も集団面接より長い場合が多いため、自分の長所や強みをしっかりとアピールしやすいでしょう。
2.集団面接
集団面接は、応募者複数人と面接官1人もしくは複数人で行われる面接形式です。面接官が全員に同じ質問をして、応募者が順番に答えていきます。集団面接では、ほかの応募者の回答を聞く様子も評価の対象になるため、相手の話に耳を傾けることも忘れてはいけません。自分が答えることばかり考えて、ほかの応募者の話を聞く姿勢がないと、面接官にマイナスの印象を与えてしまうので気をつけましょう。
また、集団面接は個人面接と比べて質問に答える時間が限られます。そのため、自分が伝えたい内容を簡潔にまとめるのがポイントです。
3.プレゼンテーション面接
プレゼンテーション面接は、応募者1人が複数の面接官の前で、与えられた課題をもとに発表する面接形式です。課題の内容は事前に伝えられる場合と当日に伝えられる場合があります。与えられる課題は、「入社後に取り組みたいこと」や「自己PR」などさまざまです。事前によく出る課題の傾向を調べておくと良いでしょう。
プレゼンテーション面接でチェックされるのは、表現力や論理的な思考力です。与えられた課題に対して、説得力のある答えを分かりやすく伝えましょう。また、自信を持った表情や聞き取りやすい速さで話すことも重要です。
4.グループディスカッション
グループディスカッションでは、与えられた話題に対して応募者複数人で議論を行います。面接官がチェックするのは、応募者の協調性や積極性、集団のなかでの立ち回りなどです。発言が少なかったり周りの意見を聞かなかったりするのは、好ましくありません。グループディスカッションでは、積極的に発言をしつつ全体の意見を上手にまとめられると、面接官に好印象を与えられるでしょう。
日本の就職面接ではまず自己紹介をする
日本の就職試験の面接では、まず自分自身のことを説明する自己紹介をします。自己紹介で伝える内容は、氏名・学歴・職歴などです。外国人の場合は、出身国も伝えましょう。ほかにも、日本で学んでいる内容や趣味、特技などを簡単に述べます。
自己紹介は自己PRとは異なり、「長所」や「強み」をアピールする時間ではありません。伝えたい内容を簡潔にまとめる能力もチェックされているので、1分程度で自己紹介できるように事前に練習しておきましょう。
日本の就職面接でチェックされるポイント
日本の面接では人柄や個性、業務の適性などをチェックされます。ここでは、面接時に「何を見られているのか」「どのような質問をされるのか」を紹介するので、参考にしてください。
どのような人柄や個性か
人柄や個性は、日本の面接でチェックされるポイントの一つです。面接官は応募者の性格や強み、長所を知るために複数の質問をします。自分がどのような人間か知ってもらうために、素直に質問に答えることが大切です。外国人の場合は、語学力をアピールしても良いでしょう。
【質問例】
- 長所や短所をおっしゃってください
- 周りの人からどのような性格だと言われますか?
- 現在の悩みや課題を教えてください
- 趣味や特技は何ですか?
特に、長所・短所は面接でよく聞かれる質問です。しっかりと答えられるように、事前に回答を考えておきましょう。
コミュニケーション能力はあるか
日本の面接では、どの程度コミュニケーション能力があるかもチェックされます。面接官に何か聞かれた際は、質問の意図に沿った回答を簡潔にしましょう。なお、面接官の言葉に被せてしまったり長く話し過ぎたりするとコミュニケーション能力が低いと判断される可能性があります。適切なタイミングや長さで答えることが大切です。
コミュニケーション能力があるかは、主に以下のような質問でチェックされます。
【質問例】
- 学校では、どのような人間関係を築いていますか?
- コミュニケーションを円滑にするために、どのようなことに気をつけていますか?
- 苦手な人と一緒に働くことになったらどうしますか?
質問に対して的外れな回答をしてしまうと、日本語が正しく理解できていないと判断される可能性があります。相手の話をよく聞き、落ち着いて回答するようにしましょう。
どのようなキャリアを培ってきたか
どのようなキャリアを培ってきたかも、日本の面接でよく聞かれます。学校で学んだことや職歴に関する質問は、以下のとおりです。
【質問例】
- 大学では、どのようなことを学びましたか?
- 今までの経歴や職務内容についてお話しください
- これまでの仕事で大きな実績や成功体験があればお聞かせください
- 過去に仕事で大きなミスをしたことはありますか?
- 仕事をしていて、どのようなときにやりがいを感じるのかを教えてください
- どのようなことに気をつけて仕事をしてきましたか?
面接の際にスムーズに答えられるように、自分の学歴や職歴を振り返り、学んだ内容や実績をまとめておきましょう。
志望動機は具体的か
面接でよく聞かれる志望動機では、入社意欲やその企業にマッチする人材かを見られます。答える際は、入社したいという熱意だけでなく、その企業を選んだ理由を具体的に伝えることが大切です。志望動機に関する質問には、以下のようなものがあります。
【質問例】
- 弊社を志望した理由をお聞かせください
- 弊社のどのようなところに魅力を感じていますか?
- 弊社の商品やサービスを実際に利用したことがありますか?
- 入社後、どのような仕事がしたいですか?また、その理由を教えてください
- 弊社の仕事を行ううえで、どのようなことが重要になると思いますか?
面接官は採用後のイメージを膨らませるために、入社後の目標も質問します。興味がある業務や挑戦したいことを伝えましょう。
業務に対する適性があるか
面接官は、応募者に業務の適性があるのかもチェックしています。そのため、自分の強みや長所のほか、大学で学んだ内容を業務にどのように活かせるのかを具体的に伝えましょう。外国人の場合は、業務に関連した言語の能力や母国での経験をアピールするのもおすすめです。
【質問例】
- あなたの長所や強みはどのように業務に活かせそうですか?
- 希望する業務に就いたら、まず何をしたいですか?
- あなたの学んできた内容を活かした弊社の事業改善案をお話しください
志望する企業の業務内容をよく理解したうえで、自分の長所や強み、学んできた内容と関連付けて答えられるようにしましょう。
どのような勤務条件を希望しているか
面接では、希望する勤務地や年収、入社可能な時期なども聞かれます。あらかじめ面接を受ける企業の求人情報をよく確認しておき、希望する勤務条件を整理しておきましょう。勤務条件に関しては以下のような質問がされます。
【質問例】
- 希望する勤務地を教えてください
- いつ入社できますか?
- ご希望の年収はいくらぐらいですか?
高過ぎる希望年収を主張すると、面接官にマイナスな印象を与えかねません。応募する職種の相場を事前に調べておき、自身の実績やスキルに見合った額を提示すると良いでしょう。
外国人が面接でよく聞かれる質問と回答のコツ
外国人が日本で面接を受けると、「来日理由や日本の印象」「日本で就職したい理由」「日本で苦労した経験」などについてよく聞かれます。ここでは、質問例を紹介するので面接対策に役立ててください。
来日理由や日本の印象などについて
面接官は外国人の来日の目的や日本に持っている印象を知るために、以上のような質問をします。
【質問例】
- 日本に来た目的を教えてください
- 日本のどのようなところが好きですか?
- 日本に来てびっくりしたことや母国と異なっている点について教えてください
- 日本の印象について、来日前とあとで変わった点はありますか?
来日した目的について、「日本語が話せるようになりたくて留学した」「日本の文化が好き」といった回答を考える人も多いでしょう。しかし、ほかの人と同じ回答では印象に残りません。自分の言葉で理由を言えると、プラスの評価に繋がるでしょう。
キャリアプランや日本で就職したい理由
面接官は、日本で就職したい理由や何年ぐらい働く予定かもよく聞きます。これらの質問をすることで、応募者が長期的に日本で働けるかを判断しているのです。
【質問例】
- なぜ日本の企業に就職したいのですか?
- 日本で何年くらい働く予定ですか?
- 日本ではどのような技術を身につけたいですか?
- 応募する企業を選ぶ際の基準を教えてください
- 今後のキャリアプランを聞かせていただけますか?
- 理想とする将来像をお話しください
これらの質問に、漠然と「日本が好きだから」「できるだけ長く働きたい」と答えるのは、適切ではありません。なぜなら、日本で就職したいことを強くアピールできないからです。面接官の印象に残るためには、日本でどのようなキャリアを積みたいかを具体的に答えましょう。
日本で苦労した経験
面接官は、日本で苦労した経験や課題と、その状況をどう乗り越えたかについてもよく質問します。なぜなら、外国人は言語やコミュニケーション方法の違いで、入社後も同様の悩みを抱える可能性があるためです。悩みや課題に直面した際にどのように解決するのか、また問題解決能力があるのかを見極めるために、以下のような質問を行います。
【質問例】
- 日本に来て一番困ったことは何ですか?また、どのように解決しましたか?
- 日本の文化で馴染めないものはありますか?その文化に慣れるため、どのような工夫をしましたか?
答える際は、苦労した体験や困難な状況をどのように乗り越えたのかを具体的に伝えるようにしましょう。
時事問題
面接では、最新情報を収集する能力や常識的な知識があるかどうかを確認するために、下記のような時事問題を出す場合があります。
【質問例】
- 日本の外国人労働者の受け入れ状況についてどう思いますか?
- 日本政府の方針をどう思いますか?
- △△のニュースについてどのように考えますか?
外国人ならではの視点を期待されるような質問もされるでしょう。日頃からニュースや新聞で情報を集めて、自分の考えをまとめておくのがおすすめです。
そのほか、面接でよく聞かれる質問と回答例は、「外国人が日本の面接で聞かれる質問とは?採用につながる回答を考えよう!」や「外国人留学生必見!アルバイト面接でよくある質問を紹介」のコラムで確認できます。面接前にチェックしておきましょう。
面接で受け答えする際の注意点
日本で面接を受ける際には、「曖昧な回答をしない」「砕けた言葉を避ける」「自分の話ばかりしない」などの注意点があります。また、ポジティブな回答を心掛けることも重要です。外国人が面接を受ける際に、特に抱えやすい問題も紹介しているので、チェックしてください。
曖昧な回答をしない
面接では、曖昧な回答を避けてはっきりと自分の意見を伝えるのが重要です。面接で聞かれる内容によっては、質問の意味が分からずに答えに迷うこともあるでしょう。また、面接官の日本語が聞き取りにくいことも考えられます。
もし、質問の意味を理解できなかったり聞き取れなかったりした場合は、聞き返しても問題ありません。その場合は、「△△という意味で間違いないでしょうか」や「もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」と言います。早く質問に答えようとして、曖昧な答え方や的外れな回答をしないように気をつけましょう。
砕けた言葉は避ける
日本で面接を受ける際は、敬語を心掛けるとともに砕けた言葉を使わないようにしましょう。砕けた言葉とは、「わかんない」「超」「どっか」などのカジュアルな表現です。これらの言葉は、面接では「分かりません」「とても」「どこか」に言い換える必要があります。日本にいる外国人のなかには、日本語での日常会話には困らない人も多いでしょう。しかし、ビジネスシーンで通用する敬語は、簡単に身に付くものではありません。日ごろから砕けた言葉と敬語の違いを意識してみましょう。
自分の話ばかりしない
面接では、相手の話を聞かずに自分をアピールし続けるのは避けましょう。特にグループディスカッションでよくあるのが、自分の意見だけを通そうとする行為です。自分の話ばかりすると、協調性がなく業務を円滑に進められないと判断される可能性が高くなります。日本の面接では協調性もチェックされているということを、覚えておきましょう。
ポジティブな回答を心掛ける
面接官の質問に答える際には、ネガティブな内容は避けてポジティブな回答を心掛けましょう。たとえば、前職を辞めた理由について聞かれた場合に、以前の就職先への不満を言うのは良くありません。自分にどのような課題があると考えて転職しようと思ったのかを、前向きに答えるようにしましょう。
また、他社の選考状況について聞かれた際は、もし落ちた企業があったとしても、言わない方が賢明です。他社の選考に落ちたと伝えると、面接官に「能力が低いのでは」「他社の選考でミスをしたのか」などの懸念を抱かせる可能性があります。選考中の企業がある場合は、「△社も受けています」といったように答えましょう。
まとめ
日本で就職面接を受ける際は、事前に入室から退室までの流れを知っておくのが重要です。面接中は、「人柄や個性」「コミュニケーション能力」「志望動機」などに関する質問がされます。また、外国人の場合は、来日した目的や日本企業に就職したい理由などもよく聞かれるでしょう。これらの質問にはっきりと敬語で答えることが、面接官に良い印象を与えるポイントです。
面接の流れや面接官にチェックされるポイントを知り、自信を持って就職活動に臨みましょう。