日本で仕事を探している外国人のなかには、職務経歴書の書き方が分からない人もいるでしょう。職務経歴書は、自分の今までの経験をアピールする重要な書類です。書き方によって、採用選考の結果が変わってくるといっても良いでしょう。このコラムでは、職務経歴書の種類や書き方のポイントを解説します。各項目ごとに書くと良い内容もまとめているので参考にして、魅力的な職務経歴書を完成させましょう。
目次
日本での就職に欠かせない職務経歴書とは?
職務経歴書とは、これまでの仕事経験に関する情報を記載した書類のことです。中途で採用選考を受ける際に応募先から提出を求められる場合があります。企業が職務経歴書の提出を求める理由は、応募者の詳細な経験やスキルを知るためです。履歴書は、学歴や資格などを記入する欄が中心で、細かく仕事の経験を書くスペースはありません。そのため、経験やスキルを重要視する企業は、履歴書とは別に職務経歴書の提出を求めます。なお、経験やスキル不問の企業は履歴書のみの提出で良い場合もあるようです。職務経歴書についてより詳しく知りたい方は、「日本の職務経歴書の書き方とは?外国人に向けて解説」のコラムをご覧ください。
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求職中の外国人が知るべき職務経歴書の書き方
日本には、手書きの職務経歴書が好まれる企業もあるので注意しましょう。ここでは、外国人に向けて職務経歴書の書き方を紹介します。
日本には手書きの職務経歴書を好む企業もある
日本には、まれに手書きの職務経歴書の方が好まれる企業もあります。海外で職務経歴書を作成する際は、パソコンを用いるのが一般的で、手書きが求められることはありません。しかし、日本には、手書きで作成されたものは誠意を感じる、といった考えを持つ人もいます。もちろん、日本でもIT化が進んでいるため、パソコンで作成しても問題はないでしょう。しかし、選考を受ける企業をよく研究したうえで、手書きの方が好まれそうであれば、自筆で職務経歴書を作成するのも内定を得るための一つの手段といえます。
職務経歴書に記入する内容
職務経歴書に記入する基本的な項目は以下のとおりです。
職務要約
職務要約の項目には、今までしてきた仕事の要約を250文字程度にまとめて記載します。詳細は職務経歴の項目に記載するので、この項目では自分がどのような経験をしてきた人物かが一目で分かるような簡潔な書き方を心掛けましょう。
職務経歴
「企業名」「設立年度」「資本金」「従業員数」などの情報や、担当した仕事内容を記載します。省略せずに、携わった仕事はすべて書き込むのがポイントです。また、在籍が新しい企業が一番上にくるように時系列を揃えて書く必要があります。経験したことのある仕事が多数ある場合には、文書にすると分かりにくくなりがちなので、箇条書きにすると良いでしょう。
語学スキル
語学スキルは、能力を証明できる試験などの成績があれば明記します。特に、日本語の能力を測る試験の成績は外国人採用のカギを握るので、日本語能力検定(JLPT)やビジネス日本語能力テスト(BJT)のレベルや獲得点数は積極的に記入しましょう。
語学スキルを証明できる資格がない場合は「ドイツ語ネイティブレベル」「中国語ビジネスレベル」などの表現を使うと、採用担当者がレベル感をイメージしやすくなります。
PCスキル
WordやExcel、PowerPoint、Accessなど、扱えるビジネス用のパソコンソフトについて書きます。ポイントは、応募する職種に求められるスキルを的確にアピールすることです。「少し使える」「問題なく使える」といった曖昧な表現は採用選考時にはふさわしくありません。「Wordでは文章作成、Excelではデータ表作成、分析が行えます」など、詳しく記入しましょう。
取得スキル
取得スキルは履歴書の資格欄と内容を一致させましょう。職務経歴書と履歴書の記載内容にズレがあると信憑性を損ないます。両方を見比べながら記入するのがおすすめです。
表彰および受賞経験
今までの職歴のなかでの表彰経験を職務経歴書に記入すると、大きなアピールポイントになります。社長賞や奨励賞などの社内表彰経験は、真摯に仕事と向き合ってきたことが示せるでしょう。なお、人命救助をした際の感謝状や、誰もが知る全国規模の大会の賞は、履歴書の賞罰欄に書いても良いとされています。
自己PR
職務経歴書の自己PRは、履歴書の自己PR欄で書ききれなかった内容を掘り下げて書くのがおすすめです。アピールしたい事柄が複数ある場合は段落を分けて分かりやすくまとめましょう。「転職活動における自己PRの書き方とは?外国人に向けて例文を紹介」のコラムでは、自己PRの例文をご覧いただけます。
外国人が職務経歴書を作成する際のポイント
職務経歴書を作成するときのポイントは、誤字脱字を見直し、フォントや文字サイズを統一することです。また、用紙サイズにも気を配りましょう。
用紙サイズはA4がベター
職務経歴書の用紙サイズはA4が一般的です。ただし、企業によってはデジタルデータで用紙サイズの指定がある場合もあります。その場合は応募先の指示に従いましょう。なお、履歴書はB5サイズが主流のようです。
誤字や脱字に気を付ける
外国人が職務経歴書を作成する際は、誤字脱字の見直しを徹底するのがポイントです。あまりにも間違いが多いと「日本語能力が低い」「業務に支障がでる」と判断される可能性もあるでしょう。職務経歴書をパソコンで作成しても変換ミスや打ち間違いは発生してしまうものなので、見直しをしっかり行います。不安であれば日本人の友人や知人に添削を頼むのもおすすめです。
フォントや文字サイズは統一する
職務経歴書のフォントや文字サイズがバラバラだと非常に読みにくいため、統一しましょう。フォントや文字サイズの揺れは、見栄えが悪いだけではなく「仕事がいい加減な人物」との印象を与えます。どのような仕事でも、書類を作成する機会が少なからずあるものです。重要であるはずの職務経歴書も読みやすく作れないのでは、採用選考で良い印象を与えるのは難しいでしょう。
フォントは履歴書や職務経歴書の場合、明朝体が良いとされています。また文字サイズは10.5から11サイズが読みやすく、おすすめです。
必要な情報のみ記入する
職務経歴書には、必要な情報のみを記入しましょう。職務経歴書は、今までの仕事の経験や、身に付けてきたスキルを書く書類です。自分をアピールするために、情報を盛り込みすぎてしまっては、本当に知ってほしいことが伝わりません。書いてしまいがちな趣味や特技などの内容は、履歴書への記載にとどめておきましょう。
「日本での転職!書類選考に通過するには?転職したい外国人へポイントを解説」のコラムでは、日本での就職・転職活動において、書類選考を通過するポイントを解説しています。あわせてご確認ください。
今までの経験をアピールできる職務経歴書を選ぶ
職務経歴書には「編年体式」と「キャリア式」の2種類があり、自分に合ったもので今までの経験をアピールするのが重要です。以下でそれぞれの特徴をまとめているので、職務経歴書を作成する際の参考にしてください。
編年体式の特徴
編年体式とは、職歴を時系列で明記する方法です。職務経験が浅かったり、転職回数が少なかったりする人におすすめです。時系列でまとめているので見やすい反面、キャリアが単調に見えやすいデメリットもあります。そのため、バリエーションに富んだ表現をする必要があるでしょう。
過去から時系列で記入する編年体式に対し、現在から過去にさかのぼって職歴をまとめていくのは逆編年体式といいます。海外では逆編年式が主流のようです。直近の職種でアピールしたいスキルや技術があるときは、逆編年体式を用いるのも良いでしょう。
キャリア式の特徴
キャリア式の特徴は、経験を職種分類別に記載する点です。そのため、多彩な職務経験を積んできた人に向いている方式といえるでしょう。デメリットは、時系列で書いているわけではないので、一目で経歴が分かりにくいことです。そのため、冒頭で編年体式を用い、そのあとにキャリア式で書く方法を取る人もいます。キャリア式は、専門的なスキルや得意分野について詳しく書きたいときにおすすめです。
まとめ
外国人が職務経歴書を作成する際は、誤字脱字に注意し、見やすい内容を心掛けましょう。また、自分に合った形式を選び、自分の今までの経験を効果的にアピールするのが内定を得る近道です。