日本で初めて就職活動を行う人のなかには、新卒・第二新卒・中途採用など複数の採用方式の違いに戸惑う人もいるでしょう。日本の就職活動で最も採用市場が大きいのが新卒採用です。未経験の学生を積極的に採用する日本の新卒採用は、海外から見ると独特で珍しい採用方式といえます。このコラムでは新卒・第二新卒・中途採用の違いについて詳しく解説。就職活動を行う予定の人は、参考にしてください。
目次
- 日本で働く外国人は増加傾向
- 日本の就職活動事情
- 新卒・第二新卒・中途採用とは?
- 新卒採用で入社するメリット・デメリット
- 第二新卒採用で入社するメリット・デメリット
- 中途採用で入社するメリット・デメリット
- 新卒・第二新卒・中途採用の就職活動方法
- まとめ
日本で働く外国人は増加傾向
日本で働く外国人は年々増加しています。厚生労働省が公表した外国人雇用に関する届出状況によると、令和4年10月末現在の外国人労働者は約182万人で過去最高を更新しました。
国籍別ではベトナムが最も多く 、462,384人で外国人労働者数全体の25.4%を占めています。次いで中国が385,848人、フィリピンが206,050人です。在留資格別では「専門的・技術的分野の在留資格」が最も多く 479,949人で、前年に比べると21.7%増加していました。また、「特定活動」「身分に基づく在留資格」も前年に比べると増加しています。
今後も人手不足やグローバル化などの社会情勢から、外国人労働者のニーズが日本で高まっていくと考えられます。
参照元 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)」
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日本の就職活動事情
日本では大学を3月に卒業し、4月から新入社員として働くのを前提とした新卒採用が一般的です。新卒採用は日本の採用市場では最大規模であることから、応募者も熱心に就職活動を行います。日本の大学生は大学3年生の5月頃から新卒採用に向けた就職活動を始め、卒業前に内定取得を目指すのが一般的です。社会人経験のない卒業予定の学生を採用する新卒採用は、海外から見ても珍しく日本独自の採用方式といえるでしょう。
日本企業の特徴について詳しく知りたい方は、「日本の企業文化の特徴を解説!組織内での働き方や仕事の慣習を理解しよう」のコラムを参考にしてください。
新卒・第二新卒・中途採用とは?
日本では、卒業から就職するまでの期間やキャリアによって、新卒・第二新卒・中途と採用区分が分けられています。ここでは、新卒・第二新卒・中途採用それぞれの意味について解説するので、日本の採用方式について理解しましょう。
新卒採用
新卒採用とは、学校(専門学校、短期大学、四年制大学、大学院など)を卒業する予定の学生を、定められたスケジュールに沿って一括で採用する日本独自の採用方式です。新卒採用は社会人経験やスキルの無い学生を受け入れるため、ポテンシャル採用とも呼ばれ、活躍できる可能性や成長を期待されています。
新卒と似た意味の言葉に「既卒」があります。既卒とは、学校を卒業して一度も就職をしていない人を指すことが多く、対象となる期間は卒業後1~3年が一般的です。
第二新卒採用
第二新卒採用とは、卒業後に一度就職をして3年以内に離職した人を採用する方式です。卒業後社会人として働いた経験はあるものの、短期間で離職した若手の求職者を指します。
中途採用
中途採用は、過去に1社以上就業した経験がある人を採用することを指します。新卒採用と違ってスケジュールは特に決められておらず、企業が必要に応じて採用活動を行うのが一般的です。基本的に、新卒採用以外は中途採用者と位置づけられます。
昨今では、「中途」という言葉が否定的な意味を持つ理由から「経験者採用」と呼ぶ動きも出てきています。
新卒採用で入社するメリット・デメリット
ここでは、新卒採用で入社するメリット・デメリットについて解説します。新卒入社を目指す学生は参考にしてください。
新卒採用で入社するメリット
新卒採用は採用コストを抑えられたり、社内の年齢構成を均等化できたりするなど企業側にも多くのメリットがある採用形式です。ここでは、新卒採用で入社するメリットを解説します。
社内を活気づけるフレッシュな人材として期待される
新卒者は大学を卒業したばかりの若い人材であることから、パワフルでフレッシュな人材として期待されます。新卒者は、未経験のため即戦力としてすぐに活躍はできません。しかし、学ぶ意欲や柔軟性など若者ならではのやる気が周囲を活気づけ、会社を盛り上げていく存在として期待されるでしょう。そのため、スキルや経験よりも意欲的な態度や積極性が評価されます。
長期的な目線で指導を受けられる
新卒者は企業にとって、長期的に育成する社員という位置づけです。そのため、企業情報や仕事内容についても、研修を通じて丁寧に時間をかけて指導してもらえるでしょう。即戦力となるスキルを期待される中途採用者に比べると、新卒者は段階を経て少しずつスキルアップしていけるので安心です。
新卒採用で入社するデメリット
新卒採用の採用市場は大きいため、毎年積極的に採用が行われています。一方で、社会人経験がないまま入社する新卒者にとっては、デメリットも少なくありません。ここでは、応募者向けに新卒採用で入社するデメリットについて解説します。
社会人のマナーや会社のルールなど覚えることが多い
新卒採用で入社した場合、社会人経験がないため多くの知識やビジネスマナーを覚える必要があります。全てが未経験からのスタートになるため、覚えることも多くストレスを感じる人も少なくありません。また、学生生活と社会人生活は大きく異なるため、会社や新生活に慣れるまで時間がかかる人もいるでしょう。
内定から入社まで時間がかかる
新卒採用で入社する際、内定をもらってから入社するまで1年以上かかる場合があります。卒業後の就職先が決まって安心する一方で、入社までの期間に社会情勢などで会社の景気が変わる可能性もあることから、不安になる人もいるでしょう。また、入社までの期間が長いと内定辞退を考えたり、ほかの企業に魅力を感じたりする人もいます。内定から入社までの期間は、語学力やビジネスマナーを身につけるなど、充実した時間を過ごすよう心がけましょう。
新卒採用向けの就職活動について詳しく知りたい方は、「留学生の就職活動について解説!外国人が日本での就職を成功させるコツは?」のコラムを参考にしてください。
第二新卒採用で入社するメリット・デメリット
ここでは、第二新卒採用で入社するメリット・デメリットについて解説します。第二新卒採用での入社を目指す人は、参考にしてください。
第二新卒採用で入社するメリット
第二新卒採用は、採用時期を調整できたり新卒同様に若くエネルギッシュな人材を確保できたりするなど、企業側にも多くのメリットがある採用形式です。ここでは、第二新卒採用で入社するメリットについて解説します。
就業経験や社会人経験を活かせる
第二新卒者は、前職での就業経験があるため新卒者のように何もかもが未経験というわけではありません。そのため、社会人としてのビジネスマナーや知識、前職で得たスキルや経験を活かして働けます。新卒者のように最初から全て覚えるのではなく、不足している知識を補えば済むので、仕事や環境にも慣れやすいでしょう。また、前職の業務と関連のある企業に就職した場合は、スキルや知識を活かして働けます。
若い人材として長期的な活躍を期待される
第二新卒採用は、学校を卒業後3年以内の人が対象とされるのが一般的です。新卒者と同様に若い人材を求める企業に採用されることから、長期的な活躍が期待されるでしょう。また、企業の良さを理解し意欲的に働けば、将来的にコア人材になれる可能性もあります。ほかにも、企業によっては新卒者同様のサポートが受けられ、段階的に成長していけるなど若い人材ならではのメリットがあるでしょう。
第二新卒採用で入社するデメリット
第二新卒者は新卒者に比べると、前職の経験やスキルがあるため企業側の期待も大きいといえます。一方で、若く経験が浅いため、社会人としては不十分な点もあるでしょう。ここでは、第二新卒者として入社するデメリットについて解説します。
最低限のマナーやスキルがあると思われている
第二新卒者は働いた経験があるため、社会人として最低限のマナーやスキルを身につけていると考えられています。しかし、短期間で前職を離職して、新卒者同様に社会人経験がほぼない人もいるでしょう。社会人として一定のマナーやスキルを持ち合わせていることを期待され、プレッシャーを感じる人もいます。
前職と比較しデメリットを感じやすい
第二新卒者は、以前働いていた企業と比較をしやすい傾向にあります。なかには、デメリットが目に付いたり合わないと感じたりする人も少なくありません。そのため、前職との違いを受け入れるまで時間がかかる場合があります。
就活の面接で聞かれる質問について詳しく知りたい方は、「留学生が面接で聞かれる質問は?内容を理解し日本での進学や就職に活かそう」のコラムを参考にしてください。
中途採用で入社するメリット・デメリット
ここでは、中途採用で入社するメリット・デメリットについて解説します。中途採用での入社を目指す人は、参考にしてください。
中途採用で入社するメリット
中途採用は、欲しい人材をピンポイントで確保できたり年間を通じて採用を行えたりするなど、企業側にもメリットがある採用形式です。ここでは、応募者向けに中途採用で入社するメリットについて解説します。
スキルや経験を活かして活躍できる
中途採用者は、これまでに培ったスキルや経験を活かして即戦力として活躍できるでしょう。社会人経験があるため、職場や環境に馴染みやすいというメリットもあります。
経験により新たな視点やアイディアを活かして働ける
中途採用者はこれまでの経験から、新たな視点やアイディアを提案して活躍できる可能性があります。異なる業種からの転職であっても、これまでに培ったノウハウを活かして社内の活性化に貢献できるでしょう。長年の習慣により根付いた企業文化を変えたり、働きやすい職場環境を作ったりするなど、社会人経験者ならではの視点が重宝される可能性があります。
中途採用で入社するデメリット
中途採用で入社する人は社会人経験がある一方で、離職に抵抗がないなど企業側がリスクと感じる点も少なくありません。ここでは、中途採用で入社するデメリットについて解説します。
企業文化に馴染むのに時間がかかる
日本企業は、会社によって独自のルールや習慣があります。中途採用者のなかには、転職先の企業文化を受け入れるのに時間がかかる人もいるでしょう。特に前職で長く勤めていた人は、転職先の社風や方針にギャップを感じる恐れもあります。
即戦力を求められる
中途採用者は企業から求められるレベルが高く、入社直後から即戦力になることを期待されます。そのうえ、新卒者や第二新卒者のように丁寧なサポートが受けられない可能性があるでしょう。実際のスキルと求められているレベルが合わず、入社後にギャップを感じるケースもあります。
転職面接でよく聞かれる質問について詳しく知りたい方は、「転職の面接で外国人が聞かれる質問と回答例 「日本に来た理由」はどう答える?」のコラムを参考にしてください。
新卒・第二新卒・中途採用の就職活動方法
新卒採用を目指している留学生は、自分が所属している大学のキャリアセンターや国際部に相談するのがおすすめです。キャリアセンターか国際部に相談すれば、留学生に向けた求人を紹介してもらえる可能性があります。
ほかにも、国際留学生協会(IFSA)など、日本に留学している外国人の生活をサポートしている非営利法人もあります。留学生が活躍できる求人の紹介を中心に就職支援を行っているので、新卒入社を希望する人はチェックしてみましょう。
また、外国人雇用サービスセンターでは、全ての就職希望者を対象に求人の紹介や就活セミナーを行っています。企業と応募者をマッチングする民間の人材紹介サービスなどもあるので、一人で就職活動をするのが不安な人は、相談してみましょう。
外国人が多い職業について詳しく知りたい方は、「日本で働く外国人が多い職業ランキングを紹介!狙い目の業界や職種とは?」のコラムを参考にしてください。
まとめ
新卒・第二新卒・中途採用には、それぞれにメリット・デメリットがあります。また、日本には企業文化と呼ばれる会社独自の習慣もあるため、留学生は特に社会人生活に慣れるまで時間がかかる場合があるでしょう。どのような採用方式であっても自分の強みを活かして働けるよう、就職・転職前には自己分析や企業分析をしっかり行うことが大切です。