日本の採用選考では、グループディスカッションが行われる場合があります。初めてグループディスカッションに臨む外国人留学生の中には、不安を感じる方もいるでしょう。
このコラムでは、就活におけるグループディスカッションについて詳しく解説。企業がグループディスカッションを行う目的や、就活生がしておくべき対策をご紹介します。他の就活生と協力して、選考突破を目指しましょう。
目次
- 日本の就活におけるグループディスカッションとは
- 企業がグループディスカッションを行う目的
- グループディスカッションの基本的な流れ
- グループディスカッション対策~基本のポイント~
- グループディスカッション対策~役割別~
- グループディスカッション対策~テーマ別~
- グループディスカッション対策~練習方法~
- まとめ
日本の就活におけるグループディスカッションとは
日本の就職活動において、グループディスカッションは選考の一種です。少ない場合は3人、多い場合は10人ほどの就活生でグループを作り、一つのテーマについて議論を行います。30分から1時間程度で結論を出し、最後に発表するのが一般的です。
グループのメンバーは選考当日に発表されるため、初めて出会った就活生同士で協力し合う必要があります。
ピックアップ記事
企業がグループディスカッションを行う目的
ここでは、企業が選考の一つとしてグループディスカッションを行う目的を解説します。企業の意図を把握し、グループディスカッションの対策に役立てましょう。
選考に進む就活生の数を絞る
企業の多くは、大勢の就活生を一気に選考する目的でグループディスカッションを行うようです。選考フローの序盤でグループディスカッションを実施し、次の選考に進む就活生の数を絞るのだと考えられます。
グループディスカッションで足切りされないよう、早めに対策を講じておきましょう。
チームワークをチェックする
企業はグループディスカッションにおいて、就活生のチームワークをチェックしています。チームワークに関する能力は仕事において重要な要素ですが、面接や筆記試験からは測りにくいもの。そのため企業は、就活生同士で議論し、結論を導き出す過程から個人の能力を見極めようとしているのです。
協調性やリーダーシップ、論理性、周囲への気配りなどをアピールできれば、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。
「日本の面接で外国人留学生がチェックされるポイントとは?質問例も紹介」でも、面接官に見られるポイントも解説しています。面接を控えた外国人留学生は、ぜひご一読ください。
グループディスカッションの基本的な流れ
ここでは、就活におけるグループディスカッションの基本的な流れをご紹介します。
1.採用担当者から説明を受ける
初めに、企業の採用担当者からグループディスカッションのテーマや制限時間などについて説明を受けます。聞き逃さないように注意し、ルールを把握しましょう。
2.自己紹介と役割の決定
グループのメンバー同士で自己紹介を行います。大学名と名前を述べましょう。あらかじめ名札が用意されている場合もありますが、なければ議論中に話しかけやすいようメモしておくのがおすすめです。
また、グループディスカッションにおける役割を決めます。設定する役割は企業側から指示がある場合と、グループ内で相談して自由に決めて良い場合があります。司会やタイムキーパー、書記、発表者を決めておくと良いでしょう。
3.議論して結論を導き出す
役割を決めたら議論を開始します。制限時間内にメンバーの意見をまとめて、一つの結論を導き出しましょう。
無計画に議論を進めるのではなく、個々に資料を読む時間、議論する時間、意見をまとめる時間と、あらかじめタイムスケジュールを決めておくのがおすすめです。結論が出ないまま時間切れになることを防げるでしょう。
4.結論を発表する
最後に、グループで導き出した結論を発表します。ディスカッションが終わったからといって気を抜かず、他のグループの発表にもきちんと耳を傾けましょう。
グループディスカッション対策~基本のポイント~
ここでは、グループディスカッションにおいて気を付けるべきポイントをご紹介します。チームワークを大切にすることと、常に採用担当者に見られていることの両方を意識しましょう。
1.グループのメンバーを敵対視しない
グループディスカッションでは、メンバーを敵対視しないことが大切です。
採用選考において他の就活生はライバルといえますが、グループディスカッションで「自分だけは選考を突破しよう」という気持ちが強まると、チームワークが乱れてしまいます。足を引っ張り合ったり、抜け駆けしようとしたりせず、メンバー全員で選考を突破するつもりで臨みましょう。
2.必ず発言する
グループディスカッションにおいて何も発言しないのは望ましくありません。萎縮したり、否定されるのを恐れたりせず、自分の意見はしっかり述べましょう。
3.「クラッシャー」にならない
グループディスカッションでは「クラッシャー」にならないことが重要です。クラッシャーとは、自分の意見ばかりを強調して他人を批判したり、話が思いどおりに進まないと悪い態度を取ったりして、チームワークを乱す人のことを指します。
採用担当者に積極性をアピールしようとするあまり、クラッシャーになってしまう就活生もいるようですが、自己中心的な人間は歓迎されません。周囲への気配りは忘れないようにしましょう。
4.クラッシャーに対処する
同じグループ内にクラッシャーがいた場合、放置しておくのは禁物です。議論を乱され、グループ全体の評価が下がらないよう、うまく対処しましょう。
クラッシャーとはいえ、頭ごなしに非難するのは望ましくありません。まずはクラッシャーの意見を受け止めたうえで、他の就活生に話を振ったり、今はなすべきことを再確認したりするのが良いでしょう。冷静に、本来の目的から外れないように心がけることが大切です。
5.声のトーンや姿勢に注意
グループディスカッション中は、声のトーンや姿勢にも気を付けましょう。
声のトーンは明るく、ハキハキ話すのがおすすめです。ぼそぼそ話していると、せっかく良い意見を述べても採用担当者に気付かれなかったり、暗い印象を持たれたりする恐れもあるでしょう。
姿勢は硬くなりすぎない程度に正しておきます。椅子にふんぞり返って座ったり、足を組んだりするのは望ましくありません。また、頬杖をついたりペンを回したりしてしまう癖がある人は要注意。好ましく思わない採用担当者も多いようです。
グループディスカッション対策~役割別~
先述のとおり、グループディスカッションでは役割を決めます。しっかり役割をはたして議論に貢献すれば、採用担当者から好評価をもらえるでしょう。
グループディスカッションにおける4つの役割
グループディスカッションにおける主な役割は、リーダー(司会・議長)、タイムキーパー、書記、発表者の4つです。自分に合った役割に立候補すると良いでしょう。
リーダーは目立つ立場ではありますが、自分勝手に議論を進めようとすると採用担当者の印象を悪化させます。また、タイムキーパーや書記は時間管理やメモばかりに集中しすぎず、自分の意見も発言することが大切です。せっかくの役割がマイナス評価につながらないように注意しましょう。
リスニングに自信がなければ書記は避けよう
日本語のリスニングに自信がない外国人留学生は、書記を避けるのが無難です。
書記は、グループ全員の意見を聞き、要点をまとめながらメモを取らなければいけません。重要な発言を聞き漏らしてしまったり、書くことに必死になって自身の意見を述べられなかったりすれば、評価を下げてしまう可能性もあるでしょう。
役割がない場合も議論を盛り上げよう
たとえ役目を割り当てられなくても、議論を盛り上げるように努めましょう。
採用担当者は、役割がない人にもしっかり注目しています。積極的に発言したり、メンバー全員が発言しやすい雰囲気を作ったりすることで、評価されやすくなるでしょう。
グループディスカッション対策~テーマ別~
グループディスカッションのテーマは企業によってさまざまですが、主に2種類に分類されます。ここでは、グループディスカッションのテーマごとに対策をご紹介します。
1.抽象的なテーマ
テーマが抽象的な場合は、メンバー一人ひとりが意見を出し合う前に、全員で共通の認識を持つことが重要です。
例えば、「当社のイメージカラーは何色か?」という議題であれば、「なぜイメージカラーを決めたいのか?」という条件から考えます。「企業の成長性を表現するため」「主力商品をアピールするため」といった基準を決めておけば、意見がまとまりやすいでしょう。
2.具体的な課題解決型テーマ
具体的な課題解決型テーマの場合は、相手に納得感を与える結論を出すことが重要です。事前に資料を渡されるケースもあるため、データからしっかりした仮説を立てたうえで解決策を挙げましょう。
例えば「〇〇の売り上げを伸ばすためにはどうすれば良いか?」という議題であれば、「20~30代の購入者が少ないから、若い世代の認知度が必要」「中高齢者の購入者が多いので、その年齢層への訴求をさらに強化すべき」といった仮説を固めれば、納得感のある結論が出やすいでしょう。
グループディスカッション対策~練習方法~
グループディスカッションは、実践を積んで慣れることも重要です。苦手意識を持たず、できる限り場数を踏みましょう。
1.友人と練習する
複数の友人に協力してもらい、練習するのも有効です。「意見を交わすこと」に慣れ、論理的思考力を鍛えましょう。
その際、動画を撮っておくと自分の話し方や姿勢を見直すことができます。本番までに、採用担当者に好印象を与える振る舞いを身に付けられるとベターです。
2.大学のキャリアセンターで練習する
大学によっては、キャリアセンターでグループディスカッションの対策講座を行っている場合があります。就学中の大学のキャリアセンターに確認し、積極的に活用しましょう。
3.就職支援サービスのイベントや講座に参加する
民間の就活支援サービスが開催しているイベントや講座に参加するのも効果的です。大学外部のグループディスカッションに参加すれば、他大学の就活生と議論することができるため、より本番に近い状況を体験できます。
4.ニュースをチェックし自分の意見を持つ
普段からニュースをチェックし、自分の意見を持つことも、実はグループディスカッションの重要な練習の一つです。論理的思考力が高まり、時事問題に関するテーマが出された時にも備えられるでしょう。
まとめ
日本語力に自信がない留学生にとっては、グループディスカッションは難関に感じられるかもしれません。しかし、萎縮せずに自分の意見を述べ、周囲と協力することで十分選考の突破を目指せます。
さまざまな就活生の意見を聞けることを楽しむ気持ちで臨み、失敗を臆せず発言しましょう。
また、就職試験について詳しく知りたい方には「外国人留学生の関門?!就職試験(筆記試験、面接試験)の対策方法を解説」のコラムもおすすめです。