日本語を学んでいる外国人のなかには、難しくてなかなか覚えられず悩んでいる人もいるでしょう。語学の勉強は、楽しみながら行うのが上達の近道です。たとえば、クイズやアニメ、音楽などさまざまな方法があります。
そこで、このコラムでは外国人向けに日本語クイズを出題。初級・中級・上級に分かれているので自分の日本語能力にあわせて挑戦できます。日本語だけでなく、日本自体を知れるクイズもあるので解いてみましょう。
目次
【問題】外国人向け日本語クイズ
ここでは、外国人向けの日本語クイズを出題します。初級・中級・上級に分けて問題を出すので、解けそうなレベルから挑戦してみてください。
初級編
日本語を勉強し始めて日が浅い方は、初級の外国人向けクイズから挑戦してみましょう。
問1
()に入れるのに相応しいものを、選択肢の中から一つ選んでください。
「冬が近づいてきて()寒くなってきた」
- ついつい
- ほのぼの
- だんだん
- にやにや
ヒント:時間の流れを表すオノマトペはどれでしょう?
問2
日本で最も高い建造物は?
- 東京タワー
- スカイツリー
- あべのハルカス
- ブルジュハリファ
ヒント:「建造物」がこの問題のポイントです。
問3
日本で一番人口の多い都道府県はどこですか?
- 北海道
- 沖縄県
- 東京都
- 京都府
ヒント:都道府県の広さと人口の多さは関係ありません。
問4
()に漢字を入れてことわざを完成させましょう。
「火中の()を拾う」
- 石
- 柿
- 栗
- 木
ヒント:問題のことわざは「危険をおかしてでも人助けを行う」という意味です。
問5
スポーツを指しているものを選んでください。
- 弓道
- 茶道
- 書道
- 華道
ヒント:正解の選択肢以外は、日本の伝統芸能です。
中級編
中級編の外国人向け日本語クイズを解くには、日本に関する詳細な知識と長文読解能力が必要です。ある程度日本語能力に自信がある方は、中級にも挑戦してみましょう。
問1
七夕の説明で正しいものを選んでください。
- 「男子の成長を祝う行事、兜を飾り笹団子を食べる」
- 「生まれて1ヶ月の子どもと地元の神社に参拝する」
- 「七草と呼ばれる野草で作ったお粥を食べて健康を祈る」
- 「短冊に願いごとを書いて笹の葉に吊るす」
ヒント:七夕は年に1度しか会えない彦星と織姫にあやかった行事です。
問2
「陽性」の対義語を選んでください。
- 女性
- 適合性
- 陰性
- 相性
ヒント:対義語とは「反対の意味の言葉」という意味です。
問3
間違っている敬語表現を1つ選んでください。
- 「申し訳ございません。以後気をつけます」
- 「何か分からない点がありましたら遠慮なくお申し付けください」
- 「了解しました。私から申し伝えます」
- 「私のような未熟者にはもったいないお褒めの言葉を頂き、恐縮です」
ヒント:丁寧でない・尊敬の意味が込められていない言葉は敬語表現ではありません。
問4
自然の景色が美しいことを表す四字熟語を1つ選んでください。
- 風光明媚
- 淳風美俗
- 美辞麗句
- 大樹美草
ヒント:漢字単体と四字熟語の意味が一致するとは限りません。
問5
世界的に有名な日本原産の犬は?
- 狛犬
- 済州犬
- 柴犬
- 狂犬
ヒント:選択肢の中には犬種でない言葉が2つ入っています。
上級編
上級の外国人向けクイズは、日本人でも解けない人がいるほどの高難易度です。全問正解できた方は、ネイティブスピーカーにも劣らない日本語能力を持っているといえるでしょう。日本語を勉強し始めたばかりの方も、力試しとして挑戦してみてください。
問1
魚編がつく漢字のなかから、魚ではないものを1つ選んでください。
- 鰐
- 鰈
- 鱚
- 鱈
ヒント:鰐はもともとはあごが強く獰猛なサメを表す漢字でした。
問2
「侃侃諤諤」この四字熟語の意味として正しいものは?
- 大人数で大騒ぎする様子
- 怖くてぶるぶる震えること
- 何もなく開けている様子
- 自分の意見を主張して議論を盛んにすること
ヒント:「侃侃諤諤」は「かんかんがくがく」と読みます。
問3
専門家のように詳しい様子を表すのに適している言葉を1つ選んでください。
- 凡人はだし
- 素人はだし
- 玄人はだし
- 職人はだし
ヒント:専門家でないのに物事に詳しい人を見たときプロはどう感じるでしょうか?
問4
丑三つ時とは何時を指しますか?
- 午後3時~午後3時30分
- 午前3時~午前3時30分
- 午後2時~午後2時30分
- 午前2時~午前2時30分
ヒント:丑三つ時は怖い話をするときによく登場するフレーズです。
問5
「謙譲語」を選んでください。
- 召し上がる
- 受け賜る
- 買います
- 仰せになる
ヒント:謙譲語とは自分の立場を下げて相手に敬意を表す敬語表現です。
ほかにも、日本語クイズに挑戦したい方は「日本語をクイズで楽しく覚えよう!略語や誤用されやすい言葉を中心に出題」がおすすめです。日本独特の略語やオノマトペをクイズ形式で紹介しているので、ぜひチャレンジしてみましょう。
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【解答】外国人向け日本語クイズ
クイズを解き終わったら、解答が合っているかチェックしてみましょう。ここでは、問題の解説もしています。解けないクイズがあった方は解説をよく読み、日本語の知識を身につけましょう。
初級編の解答
初級の外国人向け日本語クイズは、シンプルながら漢字力が必要とされる問題を中心に出題しました。
問1の解答
問1の正解は3番の「だんだん」です。問1の選択肢はすべて畳語(じょうご)といいます。同じ語を繰り返す言葉のことで、オノマトペの一種です。日本語は、世界的に見てオノマトペが多い言語とされています。日常会話でもよくオノマトペが使われるので、日本語を学んでいる方は勉強してみましょう。
問2の解答
問2の正解は2番の「東京スカイツリー」です。スカイツリーの高さは634mで、電波塔・展望台・商業施設としての役割を果たしています。この問題のキーになるのは「建造物」という言葉です。建築物は内部で人が活動することを前提に作られた家やビルしか該当しませんが、建造物には寺院や橋、電波塔なども含まれます。そのため、この問題では東京スカイツリーが正解になるのです。
問3の解答
問3の正解は3番の「東京都」です。北海道は日本で最も面積が広い都道府県ですが、人口も多いわけではありません。一方、東京都は日本の首都ということもあり、面積はそれほど広くないものの多くの人々が集まっています。
問4の解答
問4は3番の「栗」が正解です。「火中の栗を拾う」ということわざは、人のために危険なことをする様子を表します。火の中にある栗を拾おうとすると、はじけて火傷を負う可能性が高く危険です。転じて、このことわざではそれだけのリスクを負って栗を拾おうとする様子を、人助けに当てはめています。
問5の解答
問5の選択肢の中でスポーツを指しているのは、1番の「弓道」しかありません。弓道とは、日本の伝統的な武道で弓矢を使って的を射るスポーツです。ほかの選択肢の茶道・書道・華道は日本の伝統芸能で、古くから多くの人々に親しまれています。茶道はお茶を点て客人にふるまう「おもてなし」の一種で、書道は墨と筆を用いて文字を書く芸術活動です。また、華道は花や植物を生ける中で礼儀作法や命の尊さを学びます。近年では外国人向けに茶道や書道、華道を教える教室もあるので、日本を訪れた際は体験してみるのも良いでしょう。
中級編の解答
外国人向け日本語クイズの中級は、日本語だけでなく日本自体の知識も必要とされる問題を中心に出題しました。
問1の解答
問1の答えは4番の「短冊に願いごとを書いて笹の葉に吊るす」です。なお、1番は端午の節句で2番はお宮参り、3番は七草がゆという行事を説明しています。
問2の解答
問2の答えは3番の「陰性」です。陰と陽は中国の思想をもとに生まれた言葉で、表裏一体と考えられています。たとえば、病気の検査を受けたときに「陽性だった(病気が見つかった)」「陰性だった(病気ではなかった)」といった使い方が一般的です。
問3の解答
問3の正解は3番の「了解しました。私から申し伝えます」です。「了解」とは、目上の人が目下の人に使う言葉なので、敬語表現として相応しくありません。代わりに「承知しました」というのが適切です。
問4の解答
正解は1番の「風光明媚」です。ちなみに、2番の「淳風美俗」は人情に厚く、優れた風俗や慣習のことで、3番の「美辞麗句」は美しく立派に聞こえる言葉を指します。4番の「大樹美草」は、立派な人の下につく人間は上に行けず育たないという意味の四字熟語です。
問5の解答
日本原産の犬は3番の「柴犬」です。1番の狛犬は空想上の生き物で、神社や寺院の入口に守り神として像が立てられています。また、2番の「済州犬(さいしゅうけん)」は日本ではなく、韓国の済州島原産の犬です。4番の「狂犬」は本来狂犬病にかかった犬を指しますが、暴れ回る狂暴な人物を狂犬と比喩する場合もあります。
上級編の解答
上級の外国人向け日本語クイズは、日本人も正解するのが難しいレベルです。1問以上正解できれば自分の日本語能力に自信を持って良いでしょう。
問1の解答
問1の正解は1番の「鰐」です。鰐は「わに」と読みます。常用漢字ではないので、多くの日本人は「ワニ」とカタカナ表記する場合が多いようです。なお、2番は「鰈(かれい)」3番は「鱚(きす)」4番は「鱈(たら)」と読みます。
問2の解答
問2の答えは4番です。なお、侃侃諤諤は「かんかんがくがく」と読みます。1番は「喧喧囂囂(けんけんごうごう)」、2番は「戦々恐々(せんせんきょうきょう)」の説明です。3番は「空空漠漠(くうくうばくばく)」の意味を説明しています。畳語の四字熟語は間違いやすく、日本人でも「けんけんばくばく」「かんかんごうごう」など間違って覚えている人が多いようです。
問3の解答
問3は3番の「玄人はだし」が正解です。玄人(くろうと)とは、一つの道を極めた人を指します。玄人がはだしで逃げ出してしまうほど物事に詳しいという意味で、「玄人はだし」の言葉が使われるのです。たとえば、「彼女の料理の腕は玄人はだしだ」というように表現できます。「素人はだし」と誤認している日本人も多い言葉なので、外国人が意味を正しく理解していると驚かれるでしょう。
問4の解答
問4の正解は、4番の「午前2時から午前2時30分」です。かつての日本には、24時間を2時間ずつに区切って十二支を当てはめる時間の数え方が存在していました。午前1時から3時の間の2時間は「牛の刻」に当たります。牛の刻の2時間を4等分したとき、午前2時から午前2時30分は3番目になるので、「丑三つ時」と表現するようになりました。丑三つ時は、真夜中で静まり返っている時間帯です。そのため、怪談話を聞くときに耳にすることが多いでしょう。
問5の解答
問5の答えは2番の「受け賜る」です。1番の「召し上がる」と4番の「仰せになる」は尊敬語、3番の「買います」は丁寧語といいます。
さらにクイズを解きたい方は、「日本にまつわる面白いクイズをご紹介!あなたはいくつ正解できるかな?」にも挑戦してみましょう。
日本人でも難しい?超難問日本語クイズ
上級の外国人向け日本語クイズが物足りない方は、さらに難易度が高い問題にも挑戦してみましょう。なお、各クイズの答えと解説は設問の下に記載します。答えを見ずに自分で考えたい方は、スクロールしすぎないように注意してください。
日本の難読地名クイズ
ここでは、日本の難読地名をクイズ形式で出題します。
問1
「八街」は何と読む?
- はちまち
- やまち
- やまた
- やちまた
正解は4番の「やちまた」です。日本語の中には単語になることで特殊な読み方をする漢字もあります。八街は千葉県の地名です。地名・人名は特殊な読み方をする場合が多いので、日本人であっても正しく読める人は多くありません。そのため、難読地名を読める外国人は、日本人からも一目置かれる存在になれるでしょう。
問2
「先斗町」は何と読む?
- さきとまち
- せんとちょう
- ぽんとちょう
- せんとまち
正解は3番の「ぽんとちょう」です。京都にある地名で、鼓が「ポン」となる音やポルトガル語で先を意味する「ポント」が由来とされています。
問3
「今治」は何と読む?
- こんじ
- いまばり
- いまじ
- きょうじ
正解は2番の「いまばり」です。愛媛県の地名で、関ヶ原の戦いのあとに土地を授けられた武将が、「これからこの地を治める」という意味で名づけたのが由来とされています。
間違えやすい日本語クイズ
ここでは、日本人も間違えることが多い日本語クイズを出題します。
問1
「舌鼓を打つ」の正しい読み方は?
- したつづみをうつ
- したづつみをうつ
- ぜっこをうつ
- したつずみをうつ
正解は1番の「したつづみをうつ」です。「したづつみをうつ」と読み間違える日本人もいるので、誤った読み方を覚えないように注意しましょう。
問2
「さわり」の正しい意味は?
- 話の初め
- 話の重要な部分
- 話の最後
- 話のどうでもいい部分
正解は2番の「話の重要な部分」です。「物語のさわり」「曲のさわり」というように使います。多くの日本人は「話の初め」という意味だと勘違いしており、誤用されることが多い日本語です。
問3
「かんぺき」の正しい漢字は?
- 元壁
- 完壁
- 元璧
- 完璧
正解は4番の「完璧」です。間違って「壁」という漢字を書いてしまう日本人もいますが、「璧」と書くのが正しいので覚えておきましょう。
まとめ
日本語を学ぶ外国人向けに初級・中級・上級とレベル別にクイズを出題しました。解けないクイズがあっても、落ち込む必要はありません。ほかの日本語クイズにも挑戦して、どんどん知識を身につけましょう。