海外でも使われている日本語を知りたい外国人の中には、「どのような言葉があるの?」「世界に広まった背景が知りたい」と思う方もいるでしょう。このコラムでは、日本語のまま海外に浸透している言葉を、歴史や文化、食べ物などの分野別に紹介します。また、日本語が広まった背景や歴史についても解説。内容を参考にして、海外でも通じる日本語を知り使えるようになりましょう。
目次
日本語の中には、そのままで海外でも通じる言葉があります。特に、日本特有の文化や思想は英語で表すのが難しいため、日本語のまま海外で使われていることが多いようです。たとえば、「もったいない」は日本の美徳を表現する言葉として世界に広まっています。「reduce(消費削減)」「reuse(再利用)」「recycle(再生利用)」と「respect(尊敬)」の概念があり、英語やほかの言語では表せません。このように、日本語以外で表現できない言葉がそのまま海外に浸透しています。
日本語はいつ海外に伝わったの?
日本語が海外に伝わったのは、16世紀半ばからです。キリスト教の宣教師であるフランシスコ・ザビエルをきっかけに、ヨーロッパ諸国に伝わりました。その頃は「shogun(将軍)」や「samurai(侍)」、「inro(印籠)」などの言葉が海外で使われていたようです。
なお、日本が台湾、朝鮮半島、サハリンなどを統治したことも、日本語が海外に伝わったきっかけであるといわれています。また、ハワイや南北アメリカ大陸へ移住した日本人が現地で日系社会を築いた歴史も、海外で日本語が広まった背景の一つです。
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海外でも通じる日本語を分野別に紹介!
ここでは、海外でも通じる日本語を「歴史や文化、伝統芸能」「食べ物」「スポーツ」「サブカルチャー」「ビジネス用語」に分けて、詳しく紹介します。
歴史や文化、伝統芸能
日本の歴史や文化はほかの言語で表せないため、日本語のまま海外に浸透しています。
・samurai 侍
・kabuki 歌舞伎
・ninja 忍者
・haiku 俳句
・bonsai 盆栽
・bushido 武士道
・ukiyo-e 浮世絵
・zen 禅
・katana 刀
侍や武士道などの文化は日本特有のものであるため、興味を持つ外国人が多くいるでしょう。日本の歴史を題材とした書籍や映画からも、日本文化や伝統芸能に関する日本語を学べます。
食べ物
英語の「ice cream」や「cake」が日本で使われているのと同様に、「寿司」「すき焼き」などの日本食は海外でも日本語で表されます。
・sushi 寿司
・sukiyaki すき焼き
・natto 納豆
・ramen ラーメン
・tempura 天ぷら
・wasabi わさび
・matcha 抹茶
・udon うどん
・takoyaki たこ焼き
・shabu-shabu しゃぶしゃぶ
・nori のり
・sake 酒
・teriyaki 照り焼き
・umami うま味
・yuzu 柚子
・shiitake しいたけ
・bento 弁当
「sushi(寿司)」や「tempura(天ぷら)」などは日本食の代表といえますが、「bento(弁当)」も多くの国に浸透しています。フランスで日本の弁当や弁当箱が流行したのがきっかけで、海外で「bento(弁当)」という言葉が使われ始めました。
スポーツ
「空手」や「相撲」などの日本の伝統的な武道は、海外でも日本語で表されます。
・karate 空手
・sumo 相撲
・aikido 合気道
・judo 柔道
・kendo 剣道
・kyudo 弓道
武道とは、礼儀を重んじる日本独自の運動文化です。武道を通して忍耐力を鍛えたり、人を思いやる気持ちを学んだりできます。
武道のほかに「駅伝」も日本発祥のスポーツです。英語で「long-distance road relay」と説明することもできますが、基本的には「ekiden」を使います。
サブカルチャー
アニメや漫画などの日本のサブカルチャーは、海外でも人気があります。そのため、アニメや漫画の中で使われている日本語が、そのまま海外に広がっているようです。
・otaku オタク
・kawaii かわいい
・idol アイドル
・manga 漫画
・pachinko パチンコ
・karaoke カラオケ
・senpai 先輩
・shonen 少年
・shojo 少女
・tundere ツンデレ
・sailor moon セーラームーン
・doraemon ドラえもん
日本の恋愛漫画や恋愛アニメでは、「先輩」という言葉がよく出てきます。そのため、「先輩=年上の好きな人」とイメージする外国人も多くいるでしょう。本来は上下関係を表す日本語ですが、アニメや漫画のイメージのまま覚えることもあるようです。
ビジネス用語
日本と海外では労働に対する考え方が異なります。そのため、日本で使うビジネス用語と同じ意味を持つ言葉がなく、日本語をそのまま使うケースがあるようです。
・zangyo 残業
・kaizen 改善
・kroshi 過労死
・nemawashi 根回し
・kanban 看板
・zaibatsu 財閥
「看板」が日本語のまま海外に浸透したのは、日本の大手自動車メーカーが「カンバン方式」という生産システムを開発したからです。なお、「残業」や「過労死」は日本の労働状況を表す言葉といえます。
「日本語に対する海外の反応って?外国人に人気の言葉も紹介」のコラムでも、海外で意味の通じる人気の日本語を紹介しています。ぜひ参考にして、日本語への理解をさらに深めましょう。
自然災害や社会問題が原因で海外に伝わった日本語
日本で起きた自然災害や社会問題により、「tsunami(津波)」「hikikomori(ひきこもり)」という日本語が海外に伝わりました。「tsunami(津波)」が海外に広まったきっかけは、1896年に岩手県で発生した「明治三陸地震」だといわれています。また、2011年に起きた「東日本大震災」をきっかけに知った外国人もいるでしょう。
「hikikomori(ひきこもり)」は、仕事や学校に行かず家に引きこもる状態を表す日本語です。日本の社会問題として海外のニュースでも取り上げられたことで、世界中に広まりました。
まとめ
日本語のまま海外で使われている言葉は多く存在します。日本の歴史や文化などは、日本語以外の言葉で表せません。また、世界に広まった日本の食べ物やビジネス用語もあります。日本語について理解を深めたい外国人は、海外でそのまま使われている日本語も覚えてみましょう。
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