日本の花粉の飛散時期は、気候が温暖化する春がピークです。そのため、毎年春に近づくと花粉症に悩まされる人が増加傾向にあります。花粉症は、日本だけでなく海外の国でも同様に確認されている季節性のアレルギーです。
このコラムでは、花粉症の症状や多く飛散が確認されるピークの時期について解説します。また、海外の国の花粉症の状況や個人でできる対策も紹介するので、参考にしてください。
目次
花粉症とは?
花粉症(かふんしょう)とは、植物の花粉が原因となって人体に表れるアレルギー症状のことです。日本ではスギやヒノキから飛散される花粉により、花粉症になる人が多くいます。スギの木は外国には少ないため、スギ花粉症を発症するのは日本人や日本に在住している人がほとんどです。スギ花粉症は、ヨーロッパのイネ花粉症やアメリカのブタクサ花粉症と並ぶ、世界三大花粉症の一つに挙げられています。
症状
花粉症の症状は、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど人によってさまざまです。また、花粉症は医学用語では、「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれ、1年中くしゃみや鼻水が続く人も少なくありません。ほかにも、のどや皮膚のかゆみ、熱っぽさ、下痢の症状が出る人もいます。
飛散時期
スギやヒノキの花粉の飛散時期は、地域によっても異なります。花粉は一年中飛散しているものの、ピークは2月から4月にかけての春の季節です。また、飛散する花粉の量は、気温や降水量、日照時間により毎年変化します。
ほかにも、日本の四季の注意点について知りたい方は、「日本の気候や天気の特徴とは?各季節の注意すべきポイントも解説」のコラムを参考にしてください。
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「外国人は花粉症にならない」は間違い
花粉症は日本では認知度の高いアレルギー疾患で、毎年多くの人が罹患しています。一方で、「外国人は花粉症にならないのでは」といった意見も少なくありません。しかし、世界で初めて花粉症が発見されたのはイギリスで、イネ科の花粉による症例が1819年に確認されました。現在でも、日本と同様に海外でも花粉症に悩まされている人がいます。国によって花粉症の原因となる植物が違うため、なかには日本に来て初めて花粉症を発症する外国人も。花粉症は国籍にかかわらず誰でも発症する恐れがあるため、注意が必要です。
日本と海外の花粉症
花粉症は、日本だけでなく海外でも発症する可能性のあるアレルギーです。ここでは、日本と海外の花粉症について解説します。
日本の花粉症
日本で飛散する花粉の量は地域により差があります。日本で花粉の飛散量が多いのは、スギやヒノキ、イネです。スギなどの木本植物は、風で広範囲に大量の花粉を飛散します。スギの花粉は主に東北や関東、東海に飛散し、4月頃がピークです。一方で、北海道や沖縄にはスギの木がほとんどないため、スギ花粉症の人も少ないといわれています。
アメリカの花粉症
アメリカの花粉症は、主にブタクサの花粉が原因です。アメリカでは、3月から夏にかけて飛散のピークを迎えます。アメリカの人は花粉症になっても病院へは行かず、市販の薬を飲んで症状を抑えるのが一般的です。また、アメリカでは車移動が多いため、日本ほど花粉症を気にする必要がないともいわれています。
カナダの花粉症
カナダの花粉症の原因は、オークやハンノキ、カエデ、ウォルナッツの木といわれています。なかでも、オークの木が原因で花粉症を発症する人が多いようです。花粉のピークは4月から5月で、トロントやバンクーバーなど、温暖な気候の都市で発症する可能性が高いといわれています。
イギリスの花粉症
イギリスは、世界で初めて花粉症が発見された国です。そのため、花粉症の歴史は長く、症状に悩まされている人が多くいます。花粉症の原因とされる植物は、オークやプラタナスの木です。街路樹として植えられているため、都市部での発症率が高いといわれています。花粉症のピークは、5月から8月です。ほかにも、公園や広場の芝生が原因で花粉症を発症する人もいます。
ニュージーランドの花粉症
ニュージーランドでは、12月から2月にかけて多くの農場で草刈りが行われます。牧草を刈る際に花粉や種子が飛散するため、花粉症を発症する人も少なくありません。ニュージーランドでは、花粉症は認知されているものの、日本のように医療機関で原因を詳しく調べることはありません。個人の判断で乳製品の摂取を控え、抗ヒスタミン剤を飲んだり点鼻薬を使ったりする人が多くいます。
オーストラリアの花粉症
オーストラリアは、世界的に見ても花粉症などのアレルギーを発症する人が多い国です。自然豊かなオーストラリアでは、9月から1月が花粉のピークといわれています。花粉症の原因とされているのが、芝生やアカシア、シーオーク、ニレなどの植物です。オーストラリアは芝生が多いため、避けて過ごすのは難しいといえるでしょう。症状が出た場合は、病院を受診し皮膚のパッチテストで検査するのが一般的です。
南アフリカ共和国の花粉症
南アフリカの花粉症の原因は、イトスギです。イトスギは、昔から木材資源や鑑賞用の木として南アフリカで多く使われてきました。広大で豊かな自然を持つ南アフリカでは、1年を通して花粉が飛散しています。森林伐採による花粉の影響で、花粉症に悩まされる人も増加傾向にあるのが現状です。
花粉症対策
花粉症の対策は、早めに行うことが推奨されています。花粉の飛散がピークを迎える前に、予防や対策を行いましょう。ここでは、花粉症対策について紹介するので、参考にしてください。
マスクを着用する
花粉の吸入を防ぐには、マスクの着用が効果的です。マスクをしていても隙間から花粉が入ってくる可能性がありますが、未着用に比べると着用した方が効果が高いといわれています。花粉は室内にも入ってくるため、症状が出やすい人は就寝時もマスクを着用すると良いでしょう。
メガネをかける
花粉は目からも体内に入ってきます。そのため、花粉症により目が痒くなったり、涙が止まらなくなったりする人もいるでしょう。花粉の飛散シーズンに近づいたら、メガネをかけて花粉が目から入るのを防ぐことが大切です。なかには、隙間ができにくい花粉症予防のための専用のゴーグルもあります。症状が出た際は、タオルで目を冷やすと良いでしょう。
鼻洗浄を行う
花粉症の主な症状は、鼻水や鼻づまり、くしゃみです。花粉が鼻から入ってくるのを防ぐために外出中はマスクを着用し、帰宅後は鼻洗浄やうがいを行いましょう。鼻うがいがしやすい専用のグッズも販売されているので、チェックしてみてください。
空気清浄機を使用する
花粉は換気を行う際や帰宅したときに、室内に入ってきます。室内に浮遊した花粉を除去するには、空気清浄機を使用すると良いでしょう。空気清浄機は、ファンで空気中の花粉を吸い込んで内蔵のフィルターに集めます。空気中の花粉の浮遊を防ぐことで、症状を抑える効果があるといわれているので使用してみましょう。
床掃除を行う
花粉は、衣類や体に付着して室内に入ります。床掃除を行うことで、室内の花粉やほこりが少なくなり、アレルギー症状が軽減されるでしょう。濡れ雑巾などを使用し、室内で花粉が浮遊しないように掃除をするのがおすすめです。
病院へ行き薬をもらう
症状が出た場合には、早めに病院に行き薬をもらいましょう。日本では、抗ヒスタミン剤や点鼻薬などが花粉症の薬として一般的です。なかには、眠気などの副作用が出る薬もあるため、医師に相談して自分の症状やライフスタイルに合う薬を処方してもらいましょう。
病気やアレルギーの症状がでたときに、どこへ行けば良いのか分からない人は、「日本で病気になったらどうする?外国人向け医療ガイド」のコラムを参考にしてください。
まとめ
花粉症に悩まされるのは、日本人だけでなく外国人も多いといえます。また、今まで花粉症の症状が出たことがない人でも、海外の国で発症する可能性もあるため注意が必要です。花粉症の原因となる植物は、国や地域によって違います。症状が重い人は、日常生活や仕事に支障が出る恐れもあるため、早めに病院へ行き薬を処方してもらいましょう。