日本の専門学校への留学を検討している方もいるでしょう。専門学校とは、専修学校専門課程の通称です。日本には数多くの専門学校があり、多様なジャンルの実践的な教育を受けられます。
このコラムでは、日本の専門学校の概要を紹介。また、入学に必要な資格や学校を選ぶ際のポイントも解説します。内容を参考にして、留学の準備を始めましょう。
目次
日本の専門学校の制度
ここでは、日本の専門学校の制度について解説します。
各分野について専門的な知識が学べる
専門学校とは「専修学校専門課程」のことです。職業や生活に必要な技術を学ぶ教育機関を専修学校といい、そのうち高等学校を卒業した学生に入学資格が与えられている教育機関を、専門学校と呼んでいます。専門学校では、特定の職業に関する専門的な知識を実習を通して深く学べるのが特徴です。将来就きたい職業や分野が明確に決まっている人にとっては、最適の学校といえるでしょう。
「専門士」もしくは「高度専門士」の称号が得られる
2年制の専門学校を卒業すると「専門士」、4年制を卒業すると「高度専門士」の称号を得ることが可能です。具体的には、文部科学大臣が指定する修業年限2年以上(総授業時間1,700時間以上)の課程を修了したら「専門士」、修業年限4年以上(総授業時間3,400時間以上)の課程を修了したら「高度専門士」の称号が与えられます。
ピックアップ記事
短期大学との違いは?
日本の専門学校の多くは2年制です。同じ2年制の教育機関である短期大学との違いが気になる人もいるでしょう。専門学校と短期大学は同じ2年制であっても、教育機関としての分類や教育内容が大きく異なります。
短期大学は、文字通りの「短期間の大学」です。一般教養科目が全体の40%を占め、残りの60%で職業や実際の生活に必要な能力を学びます。4年制大学で学ぶ一般教養と専門学校で学ぶような実践的なスキルの両方を、同時に取得できる教育機関といえるでしょう。短期大学を卒業すると、短期大学士の学位が与えられます。一方、専門学校は、専門教育・職業教育がカリキュラムの約80%を占めており、卒業後即戦力として活躍できるのが特徴です。
短期大学のように専門学校以外の学校にも興味がある方は、詳しい解説が掲載されているコラム「日本短期大学とは?私立・公立・国立の違いは?日本の大学制度、取得学位を紹介」をご覧ください。
外国人が専門学校に入学する条件
外国人が日本の専門学校に入学するためには、以下の条件を満たす必要があります。
日本語能力
外国人が専門学校に入学するために「留学」の在留資格を得るには、一定の日本語能力を有している必要があります。定められている基準は以下のとおりです。
- 外国人に対する日本語教育を行う教育機関において、6ヶ月以上の日本語教育を受けている(法務大臣が文部科学大臣の意見を聞いて定めた機関に限る)
- 専修学校もしくは各種学校において教育を受けるに足りる日本語能力を、試験により証明されている(JLPTのN1またはN2、日本留学試験の200点以上、BJTビジネス日本語能力テストJLRT聴読解テストの400点以上のいずれか)
- 学校教育法第1条に規定される学校(幼稚園をのぞく)において、1年以上の教育を受けている
学校教育法第1号における学校とは小学校、中学校、高等学校、大学、盲学校、聾学校、養護学校を指します。
上記基準の2項目にあるJLPTについては「JLPT(日本語能力試験)の申し込み方法や期間を外国人に向けて解説」で詳しくご説明しています。ぜひ合わせてチェックしてみてください。
学歴および年齢
専門学校に入学できる人の要件は以下のとおりです。
- 外国において、学校教育における12年の課程を修了している者
- 外国における、12年の課程修了相当の学力認定試験に合格し満18歳になった者
- 日本で外国の高校に該当すると指定された外国人学校を修了し、満18歳になった者
- 外国で文部科学大臣が指定した11年以上の課程を修了した者
- 外国の大学入学資格である国際バカロレア、アビツアー、フランスバカロレア資格を所持して、満18歳になった者
- 日本に設置された外国人学校のうち、国際的な評価団体の認定を受けた学校で12年課程を修了し、満18歳になった者
- 高校卒業程度認定試験に合格し、満18歳になった者
- 学校の個別入学資格審査で高校を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者で、満18歳になった者
- 学校教育法で定める上記以外の入学資格のいずれかを満たす者
学校制度は各国によって違いがあります。自分の受けた教育の課程については、大使館や総領事館に問い合わせてみてください。
入学試験
年齢や日本語能力、学歴の条件を満たすほかに、入学を希望する専門学校の入学試験に合格する必要があります。専門学校の入学試験は、書類と面接のみの場合がほとんどです。準備をしっかり行っていれば、不合格になることはなかなかありません。しかし、定員枠が埋まってしまうような人気のある学校の入試では、不合格になる人も出てきます。
参照元 文部科学省「専修学校入学資格について」 出入国在留管理庁「専修学校又は各種学校へ入学するための日本語能力について」
専門学校を選ぶポイント
専門学校を選ぶ際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 正式な認可校:都道府県知事の認可を受けている学校であるか(無認可校でも学ぶことは可能だが、専門士や高度専門士の称号は得られない)
- 教育内容や教員の数:自分が学びたい内容を余すところなく学べるか、また学生数に対して、教員数は十分足りているか
- 施設や設備:新しい設備や施設が揃っており、勉強に打ち込めるか
- 就職指導体制や卒業生の進路:しっかり就職指導を行っているか、卒業生の希望職種への就職率は高い水準か
- 学費:相場より高すぎる学費が設定されていないか、学費が高い場合は見合うだけの教育体制が取られているか
- 周囲の評判:インターネット上で、悪い口コミが多く書かれていないか
学校選びには、「オープンキャンパス」を利用してみましょう。オープンキャンパスとは、専門学校側が入学希望者に学校内を開放し、施設や教育内容を詳しく知ってもらうためのイベントです。Webサイトや口コミだけでは分からない内情を知れるので、学校選びの助けになります。
参照元 独立行政法人日本学生支援機構「専修学校(専門課程)」
専門学校は就職に役立つって本当?
「専門学校が就職に有利」という噂を聞いたことがある人もいるでしょう。専門学校では、実践的なスキルや知識を身に付けられます。また、資格合格のための対策や就職活動へのフォローが手厚いのも特徴です。そのため、技術を活かす職種に就きたい人からすれば就職に有利といえます。具体的には、デザイン系や調理、美容関係、福祉系などです。
一方、目指す職種によっては、大学や大学院に進んだほうが就職に有利です。たとえば、一般企業の総合職や営業職などは、たいていの場合大卒以上の学歴が求められます。また、医師や薬剤師や教員などの職業は、大学を卒業していないと資格試験を受けられません。
専門学校と大学、どちらが就職に有利かは就きたい仕事によって異なります。将来の夢を叶えるためにどうすれば良いのかを良く考えて、最良の選択をしましょう。
まとめ
専門学校に入学すると、特定の職種で働くために必要なスキルや知識を集中的に学べます。さまざまな学校やカリキュラムがあるので、自分に合った学校を慎重に選ぶことが重要です。また、短期大学、大学などともよく比較してみましょう。十分に検討し、自分にぴったりの専門学校を見つけてください。