外国人が日本の免許を取得するには、「海外の免許から切り替える」「一から取得する」の2つの方法があります。また、運転する期間が入国から1年以内であれば、国際運転免許や一部海外の免許でも運転可能です。
ここでは、外国人が日本の運転免許を取得する方法を紹介します。内容を参考にして、日本での生活をもっと便利にしましょう。
目次
- 外国人が日本で運転できる免許
- 外国人が日本の運転免許を取得する方法
- 日本語に自信がない人が運転免許を取得するには
- 日本で自動車を運転する際に知っておくべきこと
- 運転する人を見分けるステッカーの種類
- 日本で自動車に乗る方法
- まとめ
外国人が日本で運転できる免許
外国人が日本で運転するには、以下のいずれかの免許が必要です。
国際運転免許
ジュネーブ条約加盟国で国際運転免許証(IDP)を所有している方は、日本で車を運転できます。アメリカやカナダ、イタリア、フランスなど100以上の国が対象です。国際運転免許証を所持している方は、母国が該当するかチェックしてみましょう。
国際運転免許証の有効期限は発行日から1年です。日本に上陸した日から1年以内であることも車を運転する条件に含まれるので、注意してください。なお、在留資格を持っている外国人が一時出国して海外で国際運転免許を取得した場合、日本への再入国まで3ヶ月以上空いていなければ、日本で運転はできません。これを3ヶ月ルールといいます。日本での運転を目的に、海外で国際運転免許を取得する人をなくすための仕組みです。
一部の外国の運転免許
日本と同水準の免許制度がある国の運転免許がある外国人も、日本で運転できます。2023年11月時点では、以下の国・地域で発行された運転免許証が日本で有効です。
- スイス
- ドイツ
- フランス
- ベルギー
- モナコ公国
- 台湾
上記の国の免許を持つ人が日本で自動車を運転する条件は、国際運転免許証を持つ人と基本的に同じです。運転できるのは日本に入国してから1年以内、出国後再入国して自動車に乗る場合は3ヶ月以上期間を空ける必要があります。なお、外国の運転免許証の正式な翻訳文の所持も必須です。日本で運転するときは常に携帯しなければならないので、用意しておきましょう。運転免許証の翻訳文は、母国の在日大使館や日本自動車連盟などで取得できます。
日本の運転免許
国際運転免許や他国の免許は1年間しか運転できないため、長期的に日本に住む予定のある人は、日本の運転免許取得をおすすめします。すでに海外の運転免許を持っている人は切り替え、免許を持っていない人は一からの取得手続きが必要です。
参照元 警察庁「外国の運転免許をお持ちの方」
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外国人が日本の運転免許を取得する方法
ここでは、外国人が日本の運転免許を取得する方法を、切り替えと新規取得に分けて紹介します。
海外の運転免許から切り替える
海外の運転免許を持っている場合は、切り替えの手続きをします。
必要書類
運転免許の切り替えに必要な書類は以下のとおりです。
- 申請書
- 申請用写真(6ヶ月以内に撮影した3cm×2.4cmのもの)
- 住民票の写し
- 在留カードやマイナンバーカードなどの証明書
- 海外の免許証(国際運転免許証を除く)
- 海外の免許証を翻訳文(政令で定める者が翻訳したもの)
- 免許を取得した国に3ヶ月以上滞在していたことを証明する書類
- 手数料
書類や手数料は免許を発行する都道府県によって異なる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
切り替えの流れ
海外の運転免許からの切り替えは、以下の流れで行います。
1.書類審査
2.視力や色覚などの適性検査
3.技能・知識確認(後日実施)
4.合格者に免許交付
出身国が確認特例国に該当する場合は、技能・知識確認が免除される場合があります。なお、切り替えの手続きは混雑しており、書類審査や技能試験の予約には数日掛かることも珍しくありません。仕事やプライベートで日本の免許が必要な場合は、余裕を持って切り替えを行いましょう。
一から運転免許を取得する
海外の運転免許がない場合は、日本で一から取得します。直接運転免許センターに行き試験を受けることもできますが、日本人でも合格するのは至難の業です。一般的には「自宅から教習所に通う」「免許合宿に参加する」のどちらかの方法を取ります。教習所もしくは合宿所で仮免許を取得してから、住んでいる都道府県の免許センターで取得の手続きを行いましょう。
必要書類
免許を取得するのに必要な書類は以下のとおりです。
- 住民票の写し
- 在留カードなどの身分を証明する文書
- 申請用写真(6ヶ月以内に撮影した3cm×2.4cmのもの)
- 自動車教習所の卒業証明書
- 手数料
- 教習所が発行した仮免許証
書類を忘れると学科試験を受けられないので、忘れずに用意しましょう。なお、申請用写真は免許センターでも撮影可能です。
取得の流れ
日本の免許取得は以下の手順で進みます。
1.受験料の支払い
2.適性検査(視力・色彩識別・聴力・運動能力検査)
3.学科試験
4.合格発表
5.写真撮影
試験を受けた当日中に免許証が交付されます。
参照元 警察庁「外国の運転免許をお持ちの方」
日本語に自信がない人が運転免許を取得するには
自家用車を運転する第一種運転免許であれば、外国語で学科試験を受けられる場合があります。どの言語で受けられるかは各都道府県によって異なり、英語と中国語は基本的に受験可能です。また、ベトナム語やポルトガル語で受験できる都道府県もあります。
なお、顧客を乗せて運転する仕事で必要な第二種運転免許は、日本語でしか受験できません。問題文を読み、回答できる程度の日本語能力を付ける必要があります。
日本語の勉強に苦労している方は「日本語の文法を知りたい!正しく理解するためのポイントを説明」や「日本語が難しいといわれる理由とは?外国人が学習するときのコツを解説!」のコラムを参考にしてください。
日本で自動車を運転する際に知っておくべきこと
日本で自動車に乗りたい方は、安全に運転するために交通ルールを把握する必要があります。母国と日本でルールが違う部分をよく確認しておきましょう。
通行する方向
世界的に見ると右側通行の国が多数ですが、日本の車道は左側通行です。いつもとは反対の車線を走る点に注意しましょう。なお、日本製の車は、運転席が右、助手席が左です。
交通ルール
日本で自動車を運転する際は、交通ルールを必ず把握しましょう。基本的には外国でも禁止事項だったりルールとして定められていたりする内容ばかりなので、覚えるのは難しくありません。
主な交通ルールは以下のとおりです。
- 自動車や自転車などの車両は歩行者の通行を妨げてはいけない
- 飲酒した状態で運転するのは厳禁
- 運転手を含め自動車に乗る乗客はシートベルトの着用義務がある
- 常に道路の制限速度を守って走行しなければならない
- 自動車の乗車定員をオーバーして運転するのは禁止
- 携帯電話やタブレット端末などを操作しながら運転するのは禁止
- 横断歩道に近づいたときは減速し、歩行者用信号機がないときは一時停止して歩行者に道を譲る
- 乳幼児や6歳未満の子どもを自動車に載せる際はチャイルドシートが必須
日本で自動車を運転する予定がある方は、上記の交通ルールは必ず覚えておきましょう。
道路標識の種類
日本独自の道路標識を理解できなければ、安全に自動車を運転することはできません。日本の道路標識は母国と異なる可能性が高いので、事前に調べておきましょう。なお、イラストに加えて日本語が書かれている道路標識もあるので、言葉の意味も合わせて勉強する必要があります。
上記の道路標識は一時停止の意味を持っており、日本語の部分は「とまれ」と読みます。この標識を見たら、たとえ車が通行していなくても一時停止しなければなりません。先に進む前に、車やバイクがないかどうかを確認してください。
徐行は「じょこう」と読みます。この道路標識を見たら、スピードを落としてゆっくり進みましょう。具体的な速度は決まっていませんが、10km/h以下かつ1m以内で停止できる速度を目安にしてください。
バス専用の道路であることを表す標識で、「せんよう」と読みます。道路自体に専用レーンと書かれていることもあるので、日本で自動車を運転するときは確認してみましょう。
上記の標識は通行禁止を表しており、通行止は「つうこうどめ」と読みます。自動車や自転車といった車両のほか、歩行者も通行できません。
強風が吹きやすい道路に設置されている標識です。特に、高速道路や有料道路に設置されていることが多くあります。この標識がある場所では強い風で自動車の運転に支障をきたす可能性があるので、十分気を付けましょう。
「クラクションを鳴らす」という意味の標識は、見通しが悪い場所に設置されているものです。そこまで多い道路標識ではありませんが、覚えておくと運転の際に役立ちます。
制限速度
自動車を運転するときに制限速度をオーバーしていると、スピード違反で罰金が科せられます。基本的には道路標識に既定の速度が書いてあるので、自動車を運転する際にチェックしましょう。なお、道路によっては速度制限を示す標識がないこともあります。標識がない場合の制限速度は走行する場所によって異なるので、以下の内容を参考にしてください。
- 住宅地:30~40km/h
- 一般道:50~60km/h
- 高速道路:80~100km/h
なお、制限速度だけ気にして運転してはいけません。常に周囲の様子に気を配り、歩行者や自転車の近くでは速度を落とし、必要に応じて一時停止をするなどして危険を回避しましょう。
高速料金
信号がなくスムーズに走行できる高速道路は、利用するのに料金が掛かります。高速道路に入るときに自動発券器で通行券を発行し、出るときに係員もしくは自動精算機に料金を支払う仕組みです。料金をスムーズに支払わないと交通の流れを滞らせる原因になるので、あらかじめ準備しておきましょう。
よく高速道路を利用する人は、車にETC車載機を搭載するのがおすすめです。ETC車載機にETCカードを挿しておくと、ETC専用レーンを通れます。支払いの手続きが通行時は発生せず、後から引き落とされるので便利です。
運転する人を見分けるステッカーの種類
日本では一部のドライバーを識別するために、自動車に貼るステッカーが用意されています。以下のステッカーを貼った車を見かけたら、配慮しつつ運転をしましょう。
初心者マーク
運転免許取得後1年未満のドライバーは、自動車に初心者マークを貼るよう義務付けられています。形が葉っぱに似ているため、別名は「若葉マーク」です。免許を取得して間もないドライバーが運転する車には初心者マークが付いているので、安全に運転できるよう配慮しましょう。
高齢者マーク
75歳以上の高齢ドライバーが運転する自動車は、高齢者マークの使用が義務です。70歳以上のドライバーの場合は、義務ではなく推奨とされています
現在利用されている高齢者マークは、しずく型の紅葉マークとクローバー型の四葉マークの2種類です。
聴覚障がい者マーク
蝶のイラストが描かれた円形のステッカーは、聴覚障がい者マークです。ドライバーが聴覚障がいを持っていることを意味するので、緊急車両のサイレンやクラクションといった音が聞こえにくい可能性があります。街中で見かけた際は、聴覚障がいを持ったドライバーにも周囲の状況が分かるように配慮しましょう。
身体障がい者マーク
ドライバーが身体障がいを持っている場合、自動車の見えやすい位置に四つ葉のクローバーが描かれた円形のステッカーが貼られています。このステッカーは身体障がいマークといい、車両が車イス用に改造されていることも。街中で身体障がいマークを付けた車を見かけたときは、相手に配慮して安全運転を心掛けてください。
日本で自動車に乗る方法
日本で有効な運転免許証の種類や交通ルールを把握できたら、自動車を入手しましょう。自動車を短期間利用する場合はレンタカーやカーシェア、長期的に利用する場合は購入がおすすめです。
自家用車購入
公共交通機関が発達していない地域に滞在する方は、移動手段として自動車があると便利です。「駅から遠い」「電車やバスの本数が少ない」というときは、自動車の購入を検討してみましょう。日本で普段使いで乗るのに一般的なのは、普通車か軽自動車です。
軽自動車は普通車より安く、エネルギー効率が良いのが特徴です。コンパクトサイズの自動車なので小回りがきくため、運転が苦手な方でも扱いやすいでしょう。なお、5人以上載せる予定があったり大きな荷物を積んだりする場合は、普通車がおすすめです。
車を購入する際は、新車か中古車の選択肢があります。大きな買い物になるので、ライフスタイルに合わせて慎重に選びましょう。新車は購入費用が高いものの、自分の好みに合わせてカスタマイズできるのが魅力です。一方、中古車は購入費用を安く抑えられる反面、メンテナンス費用が高くついたり状態が悪かったりする可能性も。メリット・デメリットを比較して自動車を購入しましょう。
レンタカー
旅行やレジャーのために一時的に自動車を運転する予定がある方は、レンタカーの利用をおすすめします。公共交通機関が発達していない場所に行ったり大きな荷物を運んだりする際は、レンタカーが役立つでしょう。レンタル期間が長いほど1時間あたりの利用料金が安くなるのが一般的です。
カーシェアリング
カーシェアとは、15分から利用できるレンタカーサービスの一種です。短時間の利用が可能なので、普段の買い物やちょっとしたお出かけの際はカーシェアの利用を検討してみましょう。
カーシェアリングでは会員登録をしたあとに、アプリやWebサイトでシェアカーを予約します。予約時間になったら車が停まっているカーステーションに行き、アプリなどで鍵を開けて運転する仕組みです。カーシェアリングは地方よりも車を所有するハードルが高い都心で人気があります。
まとめ
日本で自動車を運転するには、「日本の運転免許」「一部の海外の免許」「国際運転免許」のいずれかが必要です。また、母国とは異なる日本の交通ルールや道路標識についても学ばなければなりません。母国で運転する以上に気を配り、安全にカーライフを楽しみましょう。