日本の税金の種類を外国人に向けて解説!海外との比較も紹介

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2023/02/09

「日本の税金にはどのような種類があるの?」「母国の税金とどう違うのだろう」と気になる外国人もいるでしょう。日本の税金の種類は約50種類です。なかには、日本人でも一部の人しか知らないような珍しい税金もあります。このコラムでは、外国人に向けて日本の税金の種類を紹介。日本の税金について知って、日本という国をより深く知りましょう。

目次

  1. 日本の税金の分類
  2. 日本の税金の種類
  3. 日本や海外の変わった税金の種類
  4. まとめ

日本の税金の分類

日本の税金の分類の画像

日本の税金は納付先や徴収方法、課税対象によって分類されます。ここでは、日本の税金の分類を紹介するので、母国の税制度と比較してみてください。

納付先による分類

日本の税金には納付先による分類があります。種類は、「国税」と「地方税」です。

国税は国に納める税で、日本全体に関わることに使われます。具体的には日本の国防や福祉、宇宙開発などです。また、国家規模の大きな災害が起こったときにも国税を使い、復興を進めます。

地方税の納付先は、都道府県や市町村などの地方自治体です。主に、その地域に住む人々の暮らしを良くするために使用されます。

徴収方法による分類

日本の税金は、徴収方法による分類もあります。

「直接税」は、税金を納める義務のある人が直接納税します。一方、納める義務がある人と実際に負担する人が違う税金は「間接税」です。たとえば、給料から天引きされる所得税は直接税に分類されます。物品・サービスを購入した際に代金と一緒に支払う消費税は、販売した事業主が納付する間接税です。

課税対象による分類

課税対象による分類は「所得課税」「資産課税」「消費課税」です。

所得課税は、個人や法人が働いて得た報酬から、必要経費を引いた金額(所得)に対して課税されます。資産課税は、個人や法人が持っている資産や財産が対象です。消費課税は、物品・サービスを消費する活動に対して課税されます。

参照元
財務省「税の種類に関する資料

日本の税金の種類

日本の税金の種類の画像

日本の税金の種類を各分類ごとに紹介します。日本には多くの税金があるため、初めて聞く種類もあるでしょう。日本の税金の種類を知って、母国の税金と比べてみてください。

所得課税

所得に掛かる税金の種類は所得税や法人税、住民税などです。

国税

所得課税のうち国税に該当するのは、以下の種類です。

  • 所得税
  • 法人税
  • 地方法人税
  • 特別法人事業税
  • 復興特別所得税

名称に「法人」と付く税金は、会社や協同組合などに納税義務があります。「復興特別所得税」は、2011年3月11日に東北地方で発生した「東日本大震災」の復興財源を確保するために作られました。東日本大震災は東北地方を中心に甚大な被害をもたらしており、これからも復興に向けて多くの予算が必要です。そこで、日本政府は2013年1月1日から2037年12月31日の間に所得税を納める人は、復興特別所得税をあわせて納税することを定めました。納める税金は増えましたが、東北地方の人々のために必要な税金といえるでしょう。

地方税

所得に課せられる税金のうち、地方税に該当するのは「住民税」と「事業税」です。

住民税は、都道府県県民税と市町村民税を指します。住民税を支払うのは前年に一定以上の収入がある人です。そのため、多くの場合働き始めた1年目は徴収されません。社会人2年目からは、毎月の給料から天引きされます。なお、住民税は前年の収入に対して課せられる仕組みです。転職や独立により前年より収入が下がった人は、税負担が大きくなるので注意しましょう。

資産課税等

資産課税等に分類されるのは相続税や固定資産税、不動産取得税などです。

国税

資産課税のうち国税に該当するのは「相続税・贈与税」「登録免許税」「印紙税」です。

相続税と贈与税は両方とも財産を引き継がれた人に掛かる税金ですが、タイミングに違いがあります。相続税は亡くなった人から財産を受け取った人に掛かり、贈与税は存命の人から財産を受けとった人に掛かる税金です。贈与税には非課税枠(税金が掛からない金額)が設定されているため、生前に子どもや配偶者へ財産を譲る人も多くいます。

登録免許税は土地や建物など、不動産の所有権を公示する手続き(登記)をすると掛かる税金です。

印紙税は契約書や通帳などを作成するときに掛かります。

地方税

資産などに掛かる地方税は以下の種類があります。

  • 不動産取得税
  • 固定資産税
  • 特別土地保有税
  • 法定外普通税
  • 事業所税
  • 都市計画税
  • 水利地益税
  • 共同施設税
  • 宅地開発税 
  • 国民健康保険税
  • 法定外目的税

固定資産税は土地や家屋、または償却資産に掛かる税金です。償却資産とは時間の経過とともに価値が下がる品物のことで、会社のパソコンや備品などが該当します。また、企業や個人が所有する航空機や船舶も償却資産なので、固定資産税の対象です。

事業所税は、一定規模以上の事業を展開する法人や個人に課せられる税金です。ただし、事業所税が掛かるのは特定の市町村にある法人や個人に限られます。基本的には人口が多い大都市の法人や個人に適用される税金です。

消費課税

消費課税には、代表格である消費税のほかに、自動車重量税やたばこ税などがあります。

国税

消費活動に課せられる税金のうち、国税に該当するのは以下の種類です。

  • 消費税
  • 酒税
  • たばこ税
  • たばこ特別税
  • 揮発油税
  • 地方揮発油税
  • 石油ガス税
  • 航空機燃料税
  • 石油石炭税
  • 電源開発促進税
  • 自動車重量税
  • 国際観光旅客税
  • 関税
  • とん税
  • 特別とん税

たばこ税や酒税は嗜好性の高い品物であるため、税率が高いのが特徴です。自動車重量税は、自動車の重さに対して掛かります。自動車は重ければその分道路や環境に与える負担が大きくなるので、税率もその分上がる仕組みです。

とん税は、日本の港に入港した外国貿易船が納める税金です。とん税の「とん」は、重さの単位である「t(トン)」を指します。とん税は、1tあたり△円といった単位で徴収されます。

消費税の歴史については「日本の消費税の歴史とは?導入された背景についても解説」のコラムで詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

地方税

消費にまつわる税金のうち、地方税に分類されるのは以下の種類です。

  • 地方消費税
  • 地方たばこ税
  • ゴルフ場利用税 
  • 軽油引取税 
  • 自動車税(環境性能割・種別割)
  • 軽自動車税(環境性能割・種別割)
  • 鉱区税 
  • 狩猟税
  • 鉱産税
  • 入湯税 

自動者税は、自動車の所有者に課せられる税金です。所有している自動車の排気量によって税率は変わりますが、軽自動車に限っては一律の税率が設定されます。

地方消費税は消費税のなかに含まれています。日本の消費税の税率は2022年1月時点では10%、軽減税率が適応される品目に関しては8%です。そのうち、地方消費税は標準税率で2.2%、軽減税率で1.76%を納めています。

参照元
国税庁「消費税及び地方消費税の税率

日本や海外の変わった税金の種類

日本や海外の変わった税金の種類の画像

日本や海外には、一般的な税金のほかにユニークな税金の種類が存在します。各国の変わった税金の種類を紹介するので、税制度に対する理解を深めるのに役立ててください。

ゴルフ場利用税

ゴルフ場利用税の画像

ゴルフ場利用税は、ゴルフプレイヤーが地方自治体に対して納める日本の税金です。ゴルフ場利用税は、ゴルフ場の利用料金に含まれています。なお、「18歳未満」「70歳以上」「障がい者」は非課税対象です。

ゴルフ場利用税を納める理由は、ゴルフ場利用料金がほかのスポーツ施設の利用料金と比べ高額なためです。ゴルフを楽しむ人には多くの税金を支払う力、「担税力」があるとみなされ、特別な税金が課されます。また、ゴルフ場の整備に掛かる費用を利用者に負担させるのも目的です。

入湯税

入湯税の画像

入湯税は、日本の温泉を利用した際に納める税金です。税率は原則利用者1人につき1日150円ですが、自治体によって金額は異なります。人気の温泉地では高めに設定されていることが多いようです。

入湯税は温泉施設のある自治体の環境・衛生整備や観光振興に利用されます。なお、入浴税が掛かるのは鉱泉温泉のみで、人工的に湯を沸かしたスーパー銭湯やスパなどでは課税されません。

犬税

犬税の画像

犬税は犬の飼い主が納める税金で、ドイツやオランダ、スイスなどで導入されています。犬を飼育できる人は経済的に余裕があるとみなされ、贅沢税として導入されたのが始まりでした。しかし、現在では動物愛護の観点から犬税を導入している国がほとんどです。犬税を課すことにより無責任に犬を飼育する人を減らす目的があります。また、犬のフン害の清掃費用に利用する国も多いようです。

現在は廃止されたものの、日本にも1982年まで犬税を導入している自治体がありました。

脂肪税

脂肪税の画像

脂肪税はデンマークで導入されている税金で、肥満の原因となる飽和脂肪酸を多く含む食品に課されます。品目はチーズやバター、牛乳などの乳製品や肉類です。脂肪税を導入することで国民の健康を増進させ、医療費の削減を目的としています。

月餅税

月餅税の画像

月餅とは、中国で古くから親しまれている月に見立てた平たいお菓子です。中国では、伝統行事として中秋の名月(旧暦の8月15日にあたる日)に月餅を食べる風習があります。中国企業は、中秋の名月の時期に従業員への福利厚生として、月餅を配るのが一般的です。中国政府は2011年に、職場で受け取る月餅は給与の一部に当たるとして月餅税を導入しました。伝統行事を利用して税金を徴収する方法に、導入当時は国民の反発が大きかったようです。

まとめ

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日本には、約50種類の税金があります。それぞれが目的を持って徴収され、国民の生活をより良くするために使われているのです。日本の税金を知り、日本経済への理解を深めるきっかけにしてください。

ライター

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