日本の家族形態はどう変化した?海外の家族のかたちとの比較も紹介

WeXpats
2023/03/24

日本の家族形態は、時代に合わせて変化し続けてきました。現在の日本では、核家族と呼ばれる家族形態が増えている一方、大勢の親族と一緒に住む形態は減少しています。このコラムでは、日本の家族形態の変化を紹介。また、海外と日本の家族形態の違いも解説します。内容を参考にして、日本の家族観についての理解を深めましょう。

目次

  1. 日本の家族形態は変化している
  2. 日本の家族で増えている形態
  3. 日本との違いは?海外の家族形態
  4. まとめ

日本の家族形態は変化している

日本の家族形態は変化しているの画像

日本の家族形態は時代を追うごとに変化しています。具体的には、世帯数が増え一緒に住む家族の人数が減少する変化が見られました。


図1「世帯数と平均世帯人員の年次推移」のイメージ

引用:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況

上記の表を見ると、1953年には17,180世帯だったのが、2019年には51,785世帯にまで増加していました。一方、平均世帯人員は5人から2.39人にまで減少しています。この表から見て分かるのは、親族と一緒に住む人が減り、単独で世帯を持つ家族が増えたことです。66年の間にここまで家族形態が変化したのには、さまざまな要因があります。

日本では以前、男性が結婚したら妻とともに実家に住み、親と一緒に子育てをする家族の形態が主流でした。しかし、日本経済が目覚ましい発展を遂げた「高度経済成長期」以降は会社勤めの人が増加し、地元以外の場所に両親と子どもだけで住居を構える家族の形が定着します。そのほかにも、「子どもは両親と住むべき」という考え方の変化や少子高齢化、共働き世帯の増加なども影響し、大きく家族形態が変化していったのです。

日本の家族で増えている形態

日本の家族で増えている形態の画像

日本の家族形態は時代とともに変化しています。その過程で増えているのが、「核家族」「単身者」「ひとり親世帯」「同性カップル」などの家族形態です。

核家族

日本では、夫婦と未婚の子どもの世帯を核家族と表します。核家族の定義には、夫婦だけの世帯やひとり親世帯も含まれますが、「父・母・子」の家族をイメージする人が多いでしょう。なお、両親と子供の家族が一緒に住む世帯は拡大家族といいます。日本は人口が集中する都市部を中心に、核家族が増加し、拡大家族が減少している状況です。核家族には「広い住居が必要ない」「自分達のペースで生活を営める」などのメリットがあります。一方、子育てや家事の負担が大きくなりやすいデメリットもあるようです。

単身者

日本では単身者、いわゆる一人暮らしの人が増加しています。さまざまな要因が考えられますが、結婚観の変化による晩婚化や未婚化が大きく影響しているでしょう。日本では以前、20代後半までに結婚し、子どもを持つべきという考えを持つ人が多くいました。しかし、昨今では女性の社会進出やライフスタイルの多様化により、「結婚は急がない」「独身でも良い」と考える人が増えています。

ひとり親世帯

日本では、ひとりで子どもを育てている父親や母親が増えています。離婚に対する偏見があった以前と比べ、家族のあり方に対する理解が進んでいるのが要因の一つでしょう。また、結婚後も働く女性が増えたのも関係しています。日本では以前まで、女性は結婚したら仕事を辞めて家事や育児に専念するといった考えが一般的でした。そのため、離婚をしたくても収入がなく生計を立てられないことから、我慢する人もいたようです。しかし、昨今では結婚・出産後も仕事を続けている女性は珍しくありません。以上の理由から、離婚後も各種支援や手当を利用しつつ、一人で子育てを行う親が増えているのでしょう。

同性カップル

日本の家族形態に大きな変化をもたらしたといえるのが同性カップルの存在です。日本では、未だ同性での結婚は認められていません。法律上では養子縁組をしない限り、家族として認められないのが現状です。しかし、多様な性のあり方への理解は年々高まっています。パートナーシップ制度を創設し、同性カップルを公的に認める自治体も少しずつ増えてきました。また、以前は同性カップルは住まいを借りにくかったり審査に通りにくかったりもしたようですが、現在はそのような偏見も減りつつあります。
今後、日本の法律や制度がどのように変化していくかは分かりませんが、諸外国のように結婚が許される日を待ち望んでいる同性カップルは多いのは確かです。

日本との違いは?海外の家族形態

日本との違いは?海外の家族形態の画像

日本と海外では文化や慣習、宗教観が違うため家族形態も大きく異なります。また、日本の家族形態が時代の移り変わりにともない変化しているのと同じように、海外でも家族形態が変わりつつあるようです。

海外の家族形態

ここでは、海外でよく見られる家族形態を紹介します。各家族の経済状況や考え方によって違いはあるものの各国ごとに特色があるので、母国の家族形態と比較してみてください。

アフリカ

アフリカ諸国は大家族が多いことで知られています。女性が一生のうちに産む子どもの数が多い分、一緒に住む人数も多くなるのでしょう。また、経済状況の厳しい地域の家族は、親戚同士一緒に住んで助け合いながら働いたり、家事を分担したりします。

一部の地域ではありますが、一夫多妻制の国があるのもアフリカ諸国の特徴です。一夫多妻制では多くの場合、一つの家に夫と複数人の妻、その子どもが暮らします。そのため、世帯人数が多くなりやすいのでしょう。アフリカ諸国では10人以上の大人数で同じ家に住むのも珍しくありません。日本とは大きく異なる家族の形といえます。

アジア

アジアは、地域によって家族の形態が異なります。日本を含む韓国や中国などの東アジアは、核家族化が進んでいるようです。一方、東南アジアの開発途上国では、親戚を含めて大人数で住む家族の形態が多くあります。

同じ地域でも、国によって家族観に違いが生まれるようです。たとえば、韓国と日本では家族に対する考え方が異なります。日本では、成人した親と子は比較的対等に接しますが、韓国では両親はいつまでも最も敬うべき存在です。そのため、離れて暮らしていても常に気にかけて、手伝いをしたり贈り物をしたりします。韓国は儒教の影響が強く、「年長者を敬う」「家族を大切にする」との考えが浸透しているのが関係しているでしょう。

ヨーロッパ

ヨーロッパは、古くから核家族の多い地域です。子どもは成人したら独立し、自ら生計を立てるべきという考えが浸透しています。しかし、家族同士の繋がりは深く、家族やパートナーとの時間を何よりも大切にする人は少なくありません。夫婦2人の時間を大切にし、愛情をストレートに表すのは日本とは異なる部分でしょう。

日本だけではなく海外の家族形態も変化している

国や地域ごとに伝統的な家族の形態が存在します。しかし、日本の家族の形が時代とともに変化しているのと同じく、海外でも家族形態は移り変わっているようです。たとえば、以前までヨーロッパやアメリカでは子どもは成人したら実家を出て自立するのが一般的でした。それが現在では、国内の経済状況の悪化により満足な収入が得られなかったり職に就けなかったりして、実家で両親と同居する若者が増えているようです。

一方、古くから拡大家族が多かった中国では、世帯数が増加し、核家族化が進んでいます。これは、中国国内の経済発展が要因に挙げられるでしょう。なお、中国は2015年に夫婦が子どもを持つのは1人までとする「一人っ子政策」を廃止しました。それにより、今後中国の典型的な家族形態に変化が生じる可能性があります。

まとめ

まとめの画像

日本の家族形態は時代により変化しています。ライフスタイルや結婚観の変化など、要因はさまざまです。また、日本と同じように海外の家族形態にも変化が見られます。家族形態に目を向けることで、今後の日本のあり方も分かってくるでしょう。

ライター

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