近年の日本の夏は湿度が高くなり、多くの人がおかしいと感じるほど暑くなりがちです。気象庁が発表している「日本の夏(6〜8月)平均気温偏差の経年変化」のデータによると、日本の夏の平均気温は変動を繰り返しつつ上昇しています。このデータを見ると、今後も夏に厳しい暑さに見舞われることが予想できるでしょう。
このコラムでは、日本の夏の暑さがおかしい原因を解説。また、暑さを和らげるアイテムもまとめています。
目次
日本の夏の暑さがおかしい原因とは?
日本の夏はおかしいほど暑く、過ごしにくいといえます。日本の夏の暑さがおかしいといわれる原因は以下のとおりです。
日本の夏は湿度が高い
通常、快適といわれている湿度は40〜60%ですが、日本の夏はそれ以上に湿度が非常に高くなります。
たとえば、気象庁が公開している東京都の相対湿度の7月の平均値は、2021年は83%、2022年は79%でした。相対湿度とは、一般的に使われる湿度と同じ意味の言葉です。
同じ気温でも湿度が高いと蒸し暑く感じ、過ごしにくくなります。理由は、人は暑くなると汗をかいて、汗の水分が蒸発するときに皮膚から熱が奪われることで体温を下げているからです。湿度が高いと汗をかいても蒸発しにくいため、体温が下がりにくくなります。
参照元 気象庁「観測開始からの毎月の値」
都市部では人口密度の高さも暑い原因
東京都のような人口が多い都市部では、自動車や建物の空調機器、工場などから排出される熱が多く、気温を上げる原因になっています。多くの人が生活しやすいように、森林を切り開きアスファルトで舗装した結果、地面が熱を貯めこみやすくなったのも暑さの一因です。
都市の気温が周囲よりも高くなる現象を表す言葉として「ヒートアイランド(heat island=熱の島)現象」があります。ヒートアイランド現象は、地図上に気温の分布図を描くと都市を中心に高温度域が島状に分布する様子から、名付けられました。
参照元 気象庁「ヒートアイランド現象とはどのようなものですか?」
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海外と比べても日本の夏の暑さはおかしい
海外と比べても、日本の夏はおかしいほど暑いといわれています。海外から来た人が日本の夏の暑さがおかしいと感じる理由は、やはり高い湿度にあるようです。
海外にも気温が高い国や地域はあります。しかし、気温が高い国や地域でも、湿度が低いと快適に過ごせるのです。
観光庁が2019年に行った「訪日外国人旅行者の夏の暑さに関する意識調査」によると、東京の夏が蒸し暑かったと感じた人は回答者全体の約89%に上ります。この結果から見ても、日本の夏は多くの人々が不快に感じるほどの暑さといえるでしょう。
参照元 観光庁「訪日外国人旅行者の夏の暑さに関する意識調査」
日本の夏のおかしい暑さで困る点とは
日本の夏の暑さはさまざまな困りごとを引き起こします。以下で紹介するのは、「汗をかいて気持ちが悪い」「スーツやネクタイなど着用するのが不快」といった困りごとです。また、「屋外とエアコンが効いている屋内の温度差が激しい」のも困る点といえます。
汗をかいて気持ち悪い
日本の夏の暑さで困る点の一つに、汗をかいて気持ち悪いことが挙げられます。前述したとおり、人は暑い環境にいると汗をかいて体温を下げようしますが、湿度が高い日本では汗が乾かず逆に不快感を感じるのです。ほとんどの人が、汗でべたついた肌に服がくっついて気持ち悪い思いをしたことがあるでしょう。
ほかにも、汗のシミが服にできたり匂いが気になったりするのも困る点といえます。
スーツやネクタイなど着用するのが不快
日本の夏のおかしい暑さのなか、ビジネスシーンでスーツやネクタイなどを着用するのが苦痛という人もいます。
日本では、28℃に設定された室内で快適に過ごせるような軽装や取り組みを促す「クールビズ」が進められています。職場によっては、ジャケットやネクタイが不要で、半袖のシャツでの勤務が許可されている場合があるでしょう。しかし、改まった場面では、多くの場合スーツやネクタイ、長袖シャツの着用が必要とされます。
屋外とエアコンが効いている屋内の温度差が激しい
暑い屋外とエアコンが効いている涼しい屋内の温度差が激しいのも、困る点といえます。屋外からエアコンの設定温度を低くしている屋内に入ったら、急に身体が冷えて体調を崩したというのはよく聞く話です。逆に、よく冷えた室内から屋外にでると、余計に暑く感じて嫌だという人もいるでしょう。
個人によって快適な温度が異なるため、エアコンの温度設定を何度にするかも難しい問題です。屋外が暑いからといって、エアコンの温度設定を低くし過ぎると、逆に寒いと感じる人も出てきます。
おかしいほど暑い日本の夏を快適に過ごせるアイテム
おかしいほど暑い日本の夏を快適に過ごすためには、工夫が要ります。ここで紹介するのは、涼しさを感じたり日差しを避けたりするためのアイテムです。暑さによって引き起こされる熱中症を防ぐためにも、さまざまなアイテムを使って、日本の夏を乗り切りましょう。
団扇・扇子
手軽に涼しい風を起こせる団扇(うちわ)や扇子(せんす)は、夏に必須のアイテムです。
団扇は、店舗で購入したり駅前や店頭で配っている物をもらったりして手に入れられます。薄くてかさばらないので、家や職場に置いておくと良いでしょう。
扇子は小さく折りたためるので、持ち運びにぴったりです。バッグに入れておいて、通勤や通学の途中に汗をかいたときに風を送ると気持ちが良いでしょう。
団扇や扇子はさまざまな色合いやデザインがあり、自分の好みに合った物を選べるのも魅力です。
帽子・日傘
日差しが強い屋外に出るときは、帽子(ぼうし)や日傘(ひがさ)が欠かせません。帽子や日傘は、日差しが直接頭や肌に当たるのを防ぎ、暑さを和らげます。
つい帽子や日傘をし忘れるという方には、折り畳める物がおすすめです。小さく畳んで常にバッグに入れておくと、外出先で日差しが強くなった場合にも対応できます。
帽子や日傘には日焼けを防ぐ効果もあります。日焼け防止のために帽子や日傘を使う場合は、UVカット率の高い物を選びましょう。
通気性の良いTシャツ・インナー
日本では、夏になると通気性の良いTシャツやインナーが人気です。通気性のほかにも、抗菌作用や消臭効果など、夏を快適に過ごせるような機能が付いている衣服もあります。
ほかにも、脇パッド付のTシャツやインナーも服に汗のシミができるのを防げるため、おすすめです。
さまざまな機能が付いている服を着ると、汗によるべたつきや匂い、シミなどが軽減できるでしょう。
制汗剤と吸収性の良いハンカチ
制汗剤や吸収性の良いハンカチも、日本の夏に欠かせないアイテムです。
制汗剤には、事前に塗っておく物や発汗したあとに使って汗によるべたつきや匂いを抑える物があります。形状も直接塗る固形タイプやスプレー、液体など、さまざまです。自分の好みの形状や香りの商品を選ぶと良いでしょう。
なお、制汗剤を使うのは、汗を拭き取ったあとでないといけません。吸収性の良いハンカチや濡れたタオルなどで肌を拭いてから、使うと良いでしょう。
飲み物
暑さが厳しい夏は、飲み物による水分補給を忘れてはいけません。なぜなら、身体のなかの水分が不足すると、体温の上昇やめまい、頭痛、けいれんなど、さまざまな症状が起こる熱中症になるからです。
外出する際は、忘れずに水やお茶などを持ち歩きましょう。激しい運動をして多くの汗をかく方には、水分やミネラルを効率良く補給できるスポーツドリンクもおすすめです。
まとめ
日本の夏は湿度が高く、おかしいほど暑いといえます。海外でも気温が高い国や地域はありますが、湿度が低いとそれほど不快には感じません。しかし、日本の夏は、汗をかいても乾かず過ごしにくいのが特徴です。
日本の夏を快適に過ごすためには、団扇や扇子、帽子、日傘などを使いましょう。また、通気性の良いTシャツやインナー、制汗剤などのアイテムもおすすめです。工夫して暑さをしのぎ、日本の夏を快適に過ごしましょう。