「文法」とは文や文章を作るうえでの決まりのことです。日本語の文章や会話などは文法に従って作成する必要があります。そのため、日本語を習得するには文法を正しく理解することが欠かせません。
この記事では、ことばの単位や文の構造、品詞の意味・用法・表現などの日本語の文法を詳しく解説します。また、間違いやすい表現や学習者にとって難しいとされているポイントも例文付きで紹介しているので、日本語学習に役立ててください。
目次
- 日本語の文法の基本
- 日本語の文法【品詞一覧】
- 日本語の文法【動詞】
- 日本語の文法【助詞・助動詞】
- 日本語の文法【表現】
- 日本語の文法【敬語】
- 特に難しいと感じやすい日本語の文法
- 日本語の文法を理解するには
- まとめ
日本語の文法の基本
文法とは、文や文章を構成するうえでの決まりのことです。たとえば、日本語は主語 (Subject)・目的語 (Object)・ 動詞 (Verb)の語順をとることが挙げられます。一方、会話ではときに主語を省略したり語順を変えたりすることもあり、日本語学習者の中には文法構造が分かりにくく感じる人も少なくありません。
日本語の文法を身に付けるには、「言葉の単位」や「文の成分」などの基本を正しく理解する必要があります。以下では日本語の文法の基本を解説するので、勉強する際の参考にしてください。
言葉の単位【文章・段落・文・文節・単語】
日本語は文字の数によって「文章」 「段落」 「文」 「文節」 「単語」の5つの単位に分けられます。「文章」が一番大きな言葉の単位となり、一番小さい言葉の単位は「単語」です。
-
文章:文を連ねてまとまった内容を表したもの
-
段落:文章のなかにある複数の文を内容ごとに区切ってできたまとまり
-
文:句点から句点までのまとまった内容の文字列
-
文節:意味が通るように文を区切ってできたまとまり
-
単語:単体で意味を持つ言葉
「文節」は、後述の主語や述語などの文が成り立つうえでの大切な役割を担っています。また、文の終わりに付けて感嘆や強調などの意味を添える「ね」を入れても違和感がない箇所で区切ることが可能です。たとえば、「私は野菜が好きです」という文だと「私は(ね)野菜が(ね)好きです(ね)」となり、「私は」 「野菜が」 「好きです」の3つが文節となります。
文の成分【主語・述語・修飾語・接続語・独立語】
「文の成分」とは文節の働きごとに分けたものです。働きによって「主語」 「述語」 「修飾語」 「接続語」 「独立語」に分けられます。
-
主語:「何が」 「誰が」にあたる文節で、名詞に「は」や「が」などの助詞がついて主語となる
-
述語:「どうする」 「どんなだ」 「ある」など、主語を説明する文節で文末にあることが多い
-
修飾語:ほかの文節の内容を説明する文節
-
接続語:「また」 「しかし」 「~だから」など、前後の文や文節同士を繋ぐ文節
-
独立語:ほかの文節と関係がなく独立しており、「ええ」 「あら」といった感動や驚きなどを表現する文節
「主語」のあとに「述語」がくるのが一般的です。「修飾語」は詳しく説明したい文節の前に、「接続語」は繋ぎたい文や文節の間に置かれます。「独立語」は文の最初、もしくは最後にくる場合がほとんどです。
文の構造【単文・複文・重文など】
文は構造上の種類から、「単文(たんぶん)」 「複文(ふくぶん)」 「重文(じゅうぶん)」の3種類に分けられます。
-
単文:主語と述語が1つずつある文(例:私はスポーツが好きです)
-
複文:1つの単文のなかに別の単文が含まれている文(例:母が作ったおかずを食べた)
-
重文:対等な関係の単文が並んでいる文(例:私は犬が好きで、弟は猫が好きです)
述語が1つであれば単文であることがほとんどです。複文は述語が2つ以上あります。そして、述語が2つ以上で単文が単純に2つ連結した形であれば、重文であることがほとんどです。
文は構造上の種類以外にも、文の意味によって「疑問文」 「命令文」 「感動文」 「平叙文(へいじょぶん)」に分けられます。それぞれの文の意味と例文は以下のとおりです。
-
疑問文:文末が「か」で終わるような疑問を述べる文(例:好きな食べ物は何ですか)
-
命令文:命令や禁止の意味を表す文(例:早く宿題をしなさい)
-
感動文:感動を表す文(例:なんて美しい景色だろう)
-
平叙文:断定や推量を表す文(例:明日は雨が降る)
文の意味や内容を理解できれば、どの種類に該当するかの区別がしやすくなります。
文の区切り【句点・読点】
「句点」と「読点」とは文章や文の区切りに使用する記号のことです。句点と読点の総称を「句読点」といいます。
句点とは「。」のことです。文の終わりを示す記号で、基本的には文末に使用します。以下は句点を使った例文です。
【例文】
-
今日の待ち合わせは何時だった?
-
父が「今夜は帰宅時間が遅くなりそう」と母に話しかけた。
-
母が「今日は雨だよ。傘持った?」と父に声をかけた。
1のように感嘆符(!)や疑問符(?)で文末が終わる場合、句点は使用しません。また、2のように、かぎかっこの中には句点を使用しないのが基本です。ただし、3のようにかぎかっこの中が2文以上の場合は、1文目の文末のみに句点を使用します。
「読点」は「、」のことです。読みやすくしたり、内容を伝えやすくしたりするために文の途中で使います。位置によって意味が変わったり、読みにくくなったりすることがあるので、使い方に注意が必要です。
【例文】
-
何年も努力してきた彼女の成果は、この場でようやく実を結んだのだろう。
-
旅行には着替えや飲み物、お菓子、お小遣いを持ってきてね。
-
私は、笑顔でベンチに座っている妹に声をかけた。
1のように主語が長い場合、主語のあとに読点をつけます。2は、語句を並べている箇所に読点をつけることで読みやすくしている使い方です。3は違う意味で捉えられそうな場合、正しい位置に読点をつけることで本来の内容を理解しやすくしています。たとえば、3の例文の読点を「私は笑顔で、ベンチに座っている妹に声をかけた」にすると笑顔でいるのは私となり、妹の表情ではありません。
句読点は文や文章を分かりやすくするために欠かせないものですが、多すぎると読みづらくなったり、正しい内容を伝えられなくなってしまったりする可能性があります。句読点を使用する際は、読み手が分かりやすい文になることを意識して使いましょう。なお、一般的に1文あたり句点が80文字程度に1回、読点が20~30字程度の1回つけるのが読みやすい目安といわれています。
外国人に日本語を教える際のポイントについては「日本語の文法は難しい!?外国人に教えるときに知っておきたいポイントを紹介」をご覧ください。
ピックアップ記事
日本語の文法【品詞一覧】
「品詞」とは単語を文法上の性質や機能によって分類したものです。品詞の分類は、文を単語ごとに分けて、その単語だけで意味が通じるかで判断します。
一つの単語だけで意味が通じるものは「自立語」、一つの単語では意味が通じないものは「付属語」です。たとえば、「私」や「明日」は一つの単語だけで意味が通じるため「自立語」となります。一方、「が」や「で」はほかの単語と繋げないと意味が通じないため「付属語」です。
さらに、「自立語」と「付属語」を「活用がある語」と「活用がない語」に分けられます。活用とは文の中で使い方によって形が変わる単語です。たとえば、「来る」は「来た」や「来ない」などに変化するため「活用がある語」に分けられます。「海」や「森」などは変化しないため、「活用がない語」です。
活用のある自立語・活用のない自立語・活用のある付属語・活用のない付属語を文法上の性質によって10種類の品詞に分けています。日本語の文法の習得には、単語の品詞や性質への理解が欠かせません。以下では、それぞれの品詞の定義と例文を紹介します。
動詞
物事の動作・作用・存在を表す単語が「動詞」です。活用のある自立語で、単独で述語になります。また、言い切りの形がウ・ク・ス・ツなどの五十音図の「ウ段」で終わるのが特徴です。
【例文】
-
パンを食べる( 「食べる」が動詞)
-
赤ちゃんが泣く( 「泣く」が動詞)
形容詞
「形容詞」は性質や状態を表す単独です。活用のある自立語で、動詞と同じく単独で述語になります。特徴は言い切りの形が「イ」になることです。
【例文】
-
雪は白い( 「白い」が形容詞)
-
夏の日差しは強い( 「強い」が形容詞)
形容動詞
「形容動詞」も形容詞と同様に性質や状態を表します。活用がある自立語で、単独で述語となる単語です。形容動詞の言い切りの形は「ダ」となります。
【例文】
-
部屋が静かだ( 「静かだ」が形容動詞)
-
夜桜が綺麗だ( 「綺麗だ」が形容動詞)
名詞
「名詞」とは人や物事の名称を表す単語です。名詞は別名「体言」ともいいます。活用がない自立語で、単独で主語になるのが特徴です。
【例文】
-
公園が広い( 「公園」が名詞)
-
あの方が山本さんだ( 「山本さん」が名詞)
副詞
主に動詞・形容詞・形容動詞の総称である用言を修飾して、状態や意味を詳しく説明する単語を「副詞」といいます。活用がない自立語です。副詞には状態の副詞・程度の副詞・呼応の副詞の3種類があります。
【例文】
-
ふと思い出す( 「ふと」が副詞)
-
たいへん悲惨な事故( 「たいへん」が副詞)
-
もし声が出ないなら、休もう( 「もし」が副詞)
連体詞
「連体詞」とは、名詞を修飾して状態や意味を詳しく説明する単語です。活用がない自立語で、語尾が「の」 「る」 「な」 「た・だ」などになります。
【例文】
-
あらゆる手段を使って手に入れる( 「あらゆる」が連体詞)
-
小さな鏡を持ち歩く( 「小さな」が連体詞)
-
たいした噂ではない( 「たいした」が連体詞)
接続詞
「接続詞」とは、前後の文や文節をつなぐ単語です。活用がない自立語で、接続詞は別名「つなぎ言葉」とも呼ばれています。
【例文】
-
昨晩は暴飲暴食をした。だから、今朝は胃が痛い( 「だから」が接続詞)
-
今日は予定がない。さて、何をしようか( 「さて」が接続詞)
感動詞
「感動詞」とは、感動・呼びかけ・応答などを表す単語です。活用がない自立語で、単独で独立後になります。感動詞の種類は、感動・呼びかけ・応答・あいさつ・掛け声の5種類です。
【例文】
-
おや、おかしな話ですね( 「おや」が感動詞)
-
ねえ、喉が乾いた( 「ねえ」が感動詞)
-
僕が鞄を持つよ、どっこいしょ( 「どっこいしょ」が感動詞)
助詞
「~を」や「~が」など名詞に接続して意味を添えたり、「~と」のように語と語をつなげたりする単語を「助詞」といいます。活用がない付属語です。単独では文節を作れない特徴があります。
【例文】
-
ライオンがシマウマを食べる( 「が」 ・ 「を」が助詞)
-
ピザとパスタの両方注文する( 「と」が助詞)
-
大人のイベント( 「の」が助詞)
助動詞
用言と体言に接続して、複雑な述語を作る単語が「助動詞」です。活用がある付属語で、一語では意味が通じないという特徴があります。「~れる」 「~られる」 「~らしい」 「~です」などが助動詞の一例です。
【例文】
-
誰でも食べられる( 「られる」が助動詞)
-
笑い者にされたらしい( 「らしい」が助動詞)
-
このカレーは辛そうだ( 「そうだ」が助動詞)
日本語は動詞や形容詞を変えることなく、主語を省略できます。その他の特徴については、「日本語の特徴とは?文法や漢字など言語学習において難しいポイントを解説」の記事にまとめています。
日本語の文法【動詞】
動詞は、自然現象や状態のほか、人の行動、感情の変化などを表します。また、述語として機能する品詞です。ここでは、動詞の活用や他動詞と自動詞の違い、時制について解説するので参考にしてください。
動詞の活用
動詞は、あとに続く言葉や文の意味によって形が変わる品詞です。たとえば、「書く」という動詞は後ろに付く言葉によって「書かない」 「書こう」 「書けば」などと変化します。この形が変わることを「活用」といい、動詞の特徴です。なお、活用する際に変化しない部分を「語幹」、変化する部分を「活用語尾」といいます。
活用には「未然形(みぜんけい)」 「連用形(れんようけい)」 「終止形(しゅうしけい)」 「連体形(れんたいけい)」 「仮定形(かていけい)」 「命令形(めいれいけい)」の6つの種類があります。
-
未然形:内容を表す際に使う活用形。「~ない」 「~う」 「~よう」が動詞の後に続く
-
連用形:用言や助動詞に続く際の活用形。「~ます」 「~た(だ)」 「~て(で)」が後に続く
-
終止形:文が終わるときや言い切る際に使われる活用形
-
連体形:名詞に続くときの活用形。「~とき」 「~こと」が後に続く
-
仮定形:条件を仮定するときの活用形。「~ば」が続く
-
命令形:命令の意味で文を終わらせるときに使う活用形
動詞を活用した場合、活用語尾の変化によって「五段活用」 「 上一段活用」 「 下一段活用」 「 カ行変格活用」 「サ行変格活用」に分類できます。
五段活用 |
上一段活用 |
下一段活用 |
カ行変格活用 |
サ行変格活用 |
|
基本形 |
聞く |
起きる |
捨てる |
来る |
する |
未然形 |
聞かない 聞こう |
起きない |
捨てない |
来ない |
しない させない せぬ |
連用形 |
聞きます |
起きます 起きた |
捨てます |
来ます |
します |
終止形 |
聞く |
起きる |
捨てる |
来る |
する |
連体形 |
聞くとき |
起きたとき |
捨てるとき |
来るとき |
するとき |
仮定形 |
聞けば |
起きたら |
捨てたら |
来れば |
すれば |
命令形 |
聞け |
起きろ |
捨てろ |
来い |
しろ せよ |
活用語尾が五十音図のア・イ・ウ・エ・オの五つの段にわたって変化するような場合を五段活用といいます。上一段活用は、活用語尾の最初の音が「イ段」、下一段活用は「エ段」で始まる場合です。カ行変格活用に該当するのは「来る」のみとなります。また、「する」 「~する」 「~ずる」の活用はサ行変格活用です。サ行変格活用には、「する」と「する」の複合語である「愛する」 「発する」などがあります。
他動詞と自動詞の違い
他動詞と自動詞は動詞の分類の一つです。動詞は、動作の対象を必要とする「他動詞」と、必要としない「自動詞」に分けられます。
「他動詞」とは、誰かが作用して起こる動作を示す動詞のことです。他動詞は、名詞のあとに「を」が続くことで動詞が表わす動作の対象を示します。
【他動詞を使った例文】
-
ロウソクを消す( 「消す」が他動詞)
-
椅子を倒す( 「倒す」が他動詞)
-
テレビを見る( 「見る」が他動詞)
一方、主語がやる動作を示す動詞を「自動詞」といいます。自らの動きを表す動詞が多く、「を」のあとに動詞が続かないものがほとんどです。
【自動詞を使った例文】
-
学校に行く( 「行く」が自動詞)
-
犬が走る( 「走る」が自動詞)
-
市長と会う( 「会う」が自動詞)
【自動詞の例文】
-
公園を走る(公園が場所なので「走る」は自動詞)
-
空を飛ぶ(空が場所なので「飛ぶ」は自動詞)
-
家を出る(家が場所なので「出る」は自動詞)
名詞のあとに「を」が続く場合でも、名詞が場所を表す場合は自動詞となります。
「自動詞」と「他動詞」の区別がついていないと、正確な意味は伝わりません。たとえば、「落ちる」は自動詞で、「落とす」は他動詞です。男性がえんぴつを落とした様子を表現する際に、「自動詞」を使って「彼はえんぴつを落ちた」というのは間違っています。この場合は、「他動詞」を使い、「彼はえんぴつを落とした」とするのが正しい表現です。
時制の表現方法
日本語の時制には、「現在形」と「過去形」の2つの形があります。
現在形のときの動詞は、基本的に「ウ段」で終わります。一方、過去形の場合は「~た」もしくは「~だ」で終わる場合がほとんどです。
基本形 |
現在形 |
過去形 |
会う |
会う |
会った |
食べる |
食べる |
食べた |
飲む |
飲む |
飲んだ |
渡す |
渡す |
渡した |
踊る |
踊る |
踊った |
する |
する |
した |
来る |
来る |
来た |
飛ぶ |
飛ぶ |
飛んだ |
文中で動詞が「現在形」の形をとりながら「今から」 「これから」 「明日」などの言葉が添えられている場合は、未来の内容を表しています。未来の内容を表す際は「現在形」を使うので、覚えておきましょう。
日本語の文法【形容詞・形容動詞】
日本語の文法上の品詞分類では、状態や性質を表すのが「形容詞」、言い切りの形が「だ」で終わるものが「形容動詞」です。日本語教育においては、形容詞を「い形容詞」と形容動詞を「な形容詞」と呼び、2つをまとめて「形容詞」と分類しています。
「い形容詞」 「な形容詞」は、名詞や述語を修飾して、主体の性質や状態・感情や感覚などを表す品詞です。また、「い形容詞」も「な形容詞」もどちらも述語になります。
【い形容詞の例文】
-
高い店( 「高い」が、い形容詞)
-
赤い花( 「赤い」が、い形容詞)
-
今日の空は美しい( 「美しい」が、い形容詞)
【な形容詞の例文】
-
幸せな生活( 「幸せな」が、な形容詞)
-
大切な存在( 「大切な」が、な形容詞)
-
今日の夜空はとても綺麗だ( 「綺麗だ」が、な形容詞)
「い形容詞」と「な形容詞」の見分け方は、後ろに名詞がついたときの前の語です。名詞の前が「い」であればい形容詞、「な」であれば、な形容詞となります。
日本語の文法【助詞・助動詞】
助詞と助動詞は非常に多く、文中の中で最も出てくる品詞です。ここでは助詞の種類や助詞・助動詞の違いについて解説します。
助詞の種類
名詞や動詞などのあとに「~が」 「~を」 「~に」 「~の」などを付けて、文の意味や構造を示すのが助詞です。助詞は機能によって「格助詞」 「副助詞」 「接続助詞」 「終助詞」の4種類に分けられます。
-
格助詞:名詞のあとについて前後の言葉の機能を示す(例:が・を・に・へ・で・から・まで)
-
副助詞:名詞や動詞のあとについて強調や程度などの意味を付け加える(例:こそ・ばかり・だけ)
-
接続助詞:文や文節を結びつける(例:ながら・けれども・から)
-
終助詞:主に文末について感動や禁止などの意味を付け加える(例:な・かしら・わ・か)
書き言葉では助詞が省略されることは基本的にありません。しかし、話し言葉では言葉や文の意味が理解できる場合、助詞が省略されることもあるので注意が必要です。
助詞と助動詞の違い
助詞も助動詞も述語の一部になる品詞のため、違いが分かりづらいことがあります。以下は述語に助詞と助動詞が使われている例文です。
-
ほかのチームに奪われるな
上記の文には受け身の意味がある助動詞の「れる」と、禁止の意味がある助詞の「な」が使われています。助詞と助動詞の違いは「活用の有無」です。形が変わらないのが助詞で、変わるのが助動詞となります。
助詞・助動詞の違いを理解するために、それぞれの主な種類を覚えておくと良いでしょう。
助詞と助動詞の違いは日本語を勉強するなかでも難しいポイントといわれています。「日本語の勉強でつまずきやすいポイントとは?効率の良い学習方法も紹介」では、主語・述語の順番や助詞の選び方など、日本語の勉強でつまづきやすい7つのポイントについてまとめています。
日本語の文法【表現】
受け身や使役、授受動詞の意味と用法を理解することで、自分と他者の行為を正確に表すことが可能です。ここでは、受け身や使役、授受動詞について解説します。動詞や助動詞の活用に注意して覚えましょう。
受け身
受け身とは、他から受ける動作のことです。受動態(じゅどうたい)とも呼ばれます。自分の意志に関係なく、他者から受ける行為を表す表現です。
【例文】
-
先生に叱られた
-
服装を褒められた
-
プリンを食べられた
受け身文は、動作の主体となる名詞に「に」または「を」の助詞をつけ、行為となる動作に助動詞「れる」 「られる」をつけて文を作ります。
使役
使役とは、他者を使って行わせる動作のことです。使役の表現は、使役の助動詞である「せる」 「させる」を使ってつくります。
【例文】
-
先生を怒らせた
-
息子に野菜を食べさせた
-
弟に荷物を運ばせる
-
兄は親を不安にさせた
使役は「せる」 「させる」のほか、助動詞「しめる」でも表せます。たとえば、「彼女に事実を知らしめる」などがその一例です。
授受動詞
授受動詞は、他者と物や行為をやり取りする際に使う動詞で「やりもらい動詞」とも呼ばれます。物の授受を表す際は、「あげる」 「くれる」 「もらう」という3つの動詞を単独で使うのが特徴です。
【例文】
-
私は祖父にお菓子をあげた
-
祖父が私に人形をくれた
-
私は祖母からケーキをもらった
「あげる」 「くれる」 「もらう」を使う際は、対象となる物がどこへ移動したのかに注意します。自分から相手へ物が移動した場合に使う動詞は「あげる」です。相手から自分に物が移動した場合は「もらう」または「くれる」を使います。
一方、行為のやり取りを表す際にも授受動詞は使われており、「あげる」 「くれる」 「もらう」は他の動詞とくっついて使うのが特徴です。
【例文】
-
妹のコップに水を入れてあげた
-
叔父がカバンを持ってくれた
-
先生に参考書を買ってもらった
このような行為のやり取りを表す授受表現は、「~てあげる」 「~てくれる」 「~てもらう」という補助動詞として用いることができます。
日本語の文法【敬語】
「尊敬語」 「謙譲語」 「丁重語」 「丁寧語」 「美化語」の5種類が敬語です。ビジネスシーンなどにおいては、敬語を頻繁に使用するため、マナーの一つとして覚えておきましょう。
尊敬語
「尊敬語」とは、目上の人などに対して相手を立てるときに使う敬語です。また、相手の行為だけでなく、物事や状態に対しても使えます。たとえば、「御名前(おなまえ) 」や「ご立派(ごりっぱ) 」などが一例です。
謙譲語
自分がへりくだる表現を使うことで、相手を立てるような言葉を「謙譲語」といいます。謙譲語は自分の行為を述べるときに使う表現です。たとえば、自分が相手のところへ「行く」という行為を謙譲語では「伺う」と表します。
【謙譲語の例】
-
伺う
-
申し上げる
-
お目にかかる
-
差し上げる
-
お届けする
なお、謙譲語は、2007年に文部科学省が発表した「文化審議会「敬語の指針」(答申)について」で、謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱ(丁重語)に分けられました。
丁重語
謙譲語Ⅱとも呼ばれる「丁重語」は、自分をへりくだらせて丁寧な印象にする敬語です。自分のした行為や物事などを、相手に対して丁重に述べるときに使います。
【丁重語の例】
-
いたす
-
参る
-
申す
-
おる
丁寧語
相手に対して丁寧に伝える敬語を「丁寧語」といいます。「伝えます」の「ます」や「鉛筆です」の「です」が丁寧語です。尊敬語や謙譲語と比較して敬意の度合いは低くなりますが、失礼にあたる言葉ではありません。相手との関係性を問わず使用できる敬語です。
美化語
上品で美しい言葉遣いをするための敬語を「美化語」といいます。「お時間」の「お」や「ご両親」の「ご」、「御社(おんしゃ)」の「おん」などが美化語です。多くは「お・ご・おん」がつくことによって上品な意味合いを加えています。
ほかにも、「誰」を「どなた」や「こっち」を「こちら」などに言い換える表現も美化語です。
敬語の使い方や間違えやすい敬語については「日本語の敬語5種類をわかりやすく解説!一覧や使い方、注意点も紹介」をご覧ください。
参照元 文部科学省「文化審議会「敬語の指針」(答申)について」
特に難しいと感じやすい日本語の文法
日本語の文法には、主語の省略や意味が分かりづらい表現などがあります。また、自分を示す一人称の種類が多いことに対して、「難しい」と感じる日本語学習者も多いようです。ここでは具体的にどのようなポイントが特に難しいと感じやすいのか紹介します。
擬音語と擬態語について
「擬音語(擬声語)」とは音や声を表す言葉です。人の様子や物の状態を表す言葉を「擬態語」といいます。「オノマトペ」は擬音語と擬態語の総称です。
【擬音語の例】
-
壺がガシャンと割れる( 「ガシャン」が物が割れる音を表した擬音語)
-
猫がゴロゴロのどを鳴らす( 「ゴロゴロ」が猫が鳴らす声を表した擬声語)
【擬態語の例】
-
日差しがキラキラしている( 「キラキラ」が擬態語)
-
子どもの肌はつるつるしている( 「つるつる」が擬態語)
日本語の会話や文章には多くのオノマトペが使われています。また、日本語の擬音語や擬態語は日本独自の表現のため、外国人には意味が分かりづらいこともあるようです。基本的なオノマトペを覚えておくと会話や理解がしやすくなります。
日本語のオノマトペについては「日本語のオノマトペとは?意味や使い方を覚えて表現を豊かにしよう」にまとめています。また、クイズ形式で楽しく学習したい方は「日本語のオノマトペクイズ全35問を出題!楽しく学びたい人におすすめ」をご覧ください。
主語の省略が多い
「主語の省略が多いこと」も日本語を難しく感じるポイントの一つです。日本語は、ほかの言語と比べて主語や目的語が省略されやすい傾向にあります。主語を省略するのは、文脈を読んで相手の考えを悟ることに長けていたり、相手を傷付けないようにハッキリとした表現を避けたりする特有の性質も関係していることが理由です。
同じ主語が続く場合や言わなくても主語が通じる時などに、主語を省略します。特に、日常会話では主語の省略が頻繁に行われるので注意が必要です。主語が分からない場合は、相手に「何がですか」「誰がですか」などと確認しても問題ありません。
一人称が多い
一人称とは話し手・書き手が自分自身のことを指す言葉のことです。「私」 「僕」 「わたくし」 「俺」 「うち」 「わし」 「小生(しょうせい)」 「当職(とうしょく)」などが挙げられます。日本語の一人称は多く、難しく感じる日本語学習者も多いようです。
日本は相手によって自分の立場を変えるため、日本語は一人称が多いとされています。相手の立場や環境によって自分の呼び方を変える必要があったことから、日本語は一人称が多いようです。
一般的にビジネスシーンでは「わたしく」を一人称として使います。性別に関係なく使用できる一人称です。
日本語の文法を理解するには
日本語の文法を学ぶには、日本の映画や本など、興味のあるものに触れるのがおすすめです。ここでは、日本語の文法を学ぶ方法を4つ紹介します。
本やWebサイトなど日本語の文章を読む
日本語の文法を学ぶには、本やWebサイトの文章を読むと良いでしょう。出版されている本や大手メディアのWebサイトは、プロが編集しているものです。そのため、正しい日本語の文法を身に付けるのに適しています。また、小説は独特な言い回しが多く使われているので、正しい文法に加えて新たな表現も学べるでしょう。
日本の映画やドラマなどの動画を観る
日本の映画やドラマを観るのも、日本語の文法を学ぶ方法の一つです。日本の映画やドラマでは、日常的な場面で使う自然な会話を学ぶことができます。字幕や吹き替えを選べば、目と耳の両方で日本語を勉強できるのもメリットです。
また、最新の映画やドラマは、その作品が作られているときに流行っている言葉が使われます。そのため、若者言葉やSNSで使われている言葉など、新しく生まれた単語を学ぶことも可能です。
分からない単語を辞書で調べる
日本語の文法を学ぶ際は、辞書を用意しておくと良いでしょう。分からない単語や文章が出てきたときに辞書で調べる習慣を付けると、疑問点を曖昧なままにせず解決できます。また、一度調べた単語は記憶に残りやすく、効率的に学べるのがメリットです。
日本人と会話する
日本語の文法を習得するには、日本人と積極的に会話を重ねましょう。日本語の文法がわからなくても、言いたいことのニュアンスが相手に伝わりさえすれば会話は成り立ちます。日本人と会話することで自然な日本語の文法を習得できるのでおすすめです。
日本語の勉強方法については「日本語初心者におすすめの勉強方法を紹介!間違えやすいポイントとは」で紹介しています。
まとめ
文法とは文章を構成するうえでのルールや書き方のことです。正しい日本語を習得するには、ことばの単位や文節、品詞などの文法を理解する必要があります。
日本語の文法を学ぶ方法はさまざまです。本や小説などの日本語の文章を読んだり、ドラマや映画などの動画を観たりなどして、正しい日本語を身につけましょう。