ドラマや映画、アニメなどを見ていると、関西弁を話すキャラクターが登場します。関西弁はイントネーションや語尾が特徴的で、親しみやすさや暖かみを感じる方言です。関西地方出身お笑い芸人が話す、ノリの良い関西弁が好きという人も多いでしょう。
このコラムでは、よく聞く関西弁の意味と使い方、発音のコツを、あいさつ・日常会話・語尾・食べ物に分けて解説。また、関西弁のかわいいフレーズや早口言葉も紹介します。
目次
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標準語とは違う関西弁の特徴
関西弁とは、大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県・三重県で使われている方言の総称です。
関西弁の発音は、標準語のイントネーションと異なります。たとえば、「おにぎり」のアクセントの位置は標準語だと「に」ですが、関西弁では「ぎ」です。「ポテト」のアクセントは標準語だと「ポ」ですが、関西弁では「テ」に付きます。
また、関西弁は「~へん」「~ねんやんか」「~でんな」など、多くの特徴的な語尾があります。
日本には関西弁以外にも多種多様な方言があります。「日本の方言について外国人に分かりやすく解説!種類もあわせてご紹介」では方言の種類と特徴を紹介しているので、あわせてご覧ください。
また、「日本語のなかでも特に難しい言葉は?外国人が知っていたら驚かれるフレーズ」のコラムでは、ことわざや四字熟語、和製英語などを紹介しているので、日本語の知識を深めたい方はぜひチェックしてみましょう。
各地域で話される関西弁の特徴
関西弁と一言でいっても、実際は各府県によってイントネーションや語調が異なります。地域によって、よく使われる言葉が違うのも特徴です。以下では、各府県の方言の特徴を紹介します。
- 大阪府の方言:勢いと明るさが感じられる方言で、「~ねん」「〜へん」などの語尾がよく使われる
- 京都府の方言:独特のゆったりとした語調が特徴で、「~しはる」「~かぁ」などの伸ばすような語尾が多い
- 兵庫県の方言:地域により異なる方言が使われるが一般的に上品な響きがあるとされ、「~とぉ」といった柔らかな語尾が用いられる
- 奈良県の方言:ゆっくりとした穏やかな話し方で、「~やん」「~やよ」などの最後の音が少し上がる語尾が使われるのが特徴
- 滋賀県の方言:温かさを感じる響きがあり、「ほっこりする(疲れている)」「いかい(大きい)」など、ほかの関西地方ではあまり使わない言葉がある
- 和歌山県の方言:親しみやすさが感じられる方言で、長音が短くなったり「〜しやん」「〜よ」などの独特の語尾が使われたりする
- 三重県の方言:関西弁と名古屋弁が混ざって生まれたといわれる、「~やに」「~げな」「せやもんで」などの言葉が使われる
三重県は、名古屋市がある愛知県に隣接しているため、言葉や文化など、さまざまな影響を受けているといえます。
言葉以外にも、関西地方は各府県で気候や有名な食べ物が異なり、多彩な魅力がある地域です。「近畿地方といえば?人気の観光スポットや有名な食べ物とは」のコラムでは、関西地方の人気スポットや有名な食べ物をまとめています。
関西弁の意味と使い方一覧
ここでは、関西弁ならではの言葉の意味と使い方を、「あいさつ」「日常会話」「語尾」「食べ物」に分けて紹介します。関西弁の発音のコツも解説するので、イントネーションを意識して読んでみましょう。
関西弁のあいさつ一覧
関西弁でよく使われるあいさつは以下のとおりです。
まいど
関西弁で「まいど」は、「毎度ありがとうございます」「毎度お世話になります」という意味です。「いらっしゃい」や「こんにちは」の代わりに使います。
「まいど」を発音するときは元気良く、「い」にアクセントを付けて言ってみましょう。
おおきに
「おおきに」は、主に「ありがとう」の代わりに使います。「大いに」や「非常に」の意味もあり、「おおきに、ありがとう」「おおきに、すんまへん(すみません)」などの言い方も可能です。「おおきに」と言う際は、「き」にアクセントを付けて発音しましょう。
なお、「おおきに」は関西地方だけでなく北海道や岩手県、長崎県など幅広い地域で使われている方言です。
さいなら
「さいなら」は「さようなら」という意味の関西弁です。「ほな(では・それじゃあ)」と組み合わせて、「ほな、さいなら」と言う場合もあります。関西弁で「ほな、さいなら」と別れのあいさつをしたいときは、「ほ」と「さいなら」の「な」にアクセントを付けましょう。
なお、近年は「さいなら」を使わない人が増えているようです。「さいなら」の代わりに、「バイバイ」や「ほなね(じゃあね)」などが使われています。
ぼちぼち
「ぼちぼち」は「まあまあ」「そこそこ」の意味があり、良いわけではないが悪くもないときに使います。「元気?」「調子はどう?」と聞かれときに、「ぼちぼちでんな」「ぼちぼちやな」と答えるのが関西では定番のあいさつです。
また、「そろそろ」の意味で、「ぼちぼち家帰ろか(そろそろ家に帰りましょうか)」といったように使う場合もあります。
「ぼちぼちやな」のアクセントの位置は、2つ目の「ぼ」と「な」です。
日常会話に使われる関西弁一覧
日常会話で使う関西弁は以下のとおりです。会話の場面を想像しながら読むと、より関西弁への理解が深まるでしょう。
なんでやねん
「なんでやねん」は、「なんで?」「何を言っているの」「そんなわけないでしょ」と言いたいときに使う関西弁です。たとえば、「友人がふざけてあり得ないジョークを言った」「レストランが臨時休業で入れなかった」など、幅広い場面で使えます。
「なんでやねん」の「で」にアクセントを付けて言ってみましょう。
あかん
関西弁で「あかん」は、「ダメ」「良くない」という意味です。「それはあかんわ(それはダメだよ)」「あの店員あかんわ(あの店員良くないね)」などと批判的な意見を言うときに使います。
「あかん」は特定の文字にアクセントを付けず、同じ音の高さで発音しましょう。
「あかん」の逆の意味を持つ関西弁は「ええ(良い)」です。「ええよ」「ええで」「ええやん」など、物事を肯定するときに使います。
ほんま
「ほんま」は、「本当」という意味の関西弁です。「あの店、閉店したらしいで」と言われたときに、「それ、ほんま?(それ、本当?)」「ほんまいかいな(本当ですか)」のように使います。
また、「とても」という意味で、「ほんまに美味しいわ」「ほんま悲しいわ」などの言い方も可能です。
発音するときは「ま」にアクセントを付けます。
めっちゃ・ばり
関西弁で「めっちゃ」や「ばり」は、どちらも「とても」「すごく」の意味があります。「めっちゃ大きい(すごく大きい)」「ばりキレイやった(とてもキレイだった)」など、さまざまな会話の場面で使われる方言です。
発音するときは、「めっちゃ」の「ちゃ」や「ばり」の「り」にアクセントを付ける場合と、アクセントを付けずに言う場合があります。
ちゃう
「ちゃう」は、「違う」という意味の関西弁です。「ちゃうで(違うよ)」「これちゃう?(これ違う?)」のように使います。
また、「ちゃうちゃう!」と素早く2回続けるのも、会話中によく使われる言い方です。
アクセントはそのときによって変わり、「う」に付けたりどこにも付けなかったりします。
かまへん
「かまへん」は、「構わない」「問題ない」「大丈夫」「気にしないで」といった意味の関西弁です。「待ち合わせに遅くなってごめん」や「プレゼントありがとう」など、謝罪や感謝の言葉を言われたときの返答に使います。
「か」にアクセントを付けて、「かまへんで」や「かまへん、かまへん」といったようによく言います。
せや
「せや」は、「そうだ」と肯定するときに使う関西弁です。たとえば、「週末はバイト?」と聞かれたときに、「せやねん(そうだよ)」のように使います。
また、感嘆の意味でも使われる関西弁で、「せや!忘れとったわ!(あ、そうだ!忘れてた!)」といった言い方も可能です。
アクセントは「せ」に付けます。
はよ
関西弁で「はよ」は、「早く」という意味です。「はよ行こう(早く行こう)」「はよ食べ(早く食べなさい)」のように使います。
「はよ〜」と言うときはアクセントを付けず平坦に言い、「はよ」だけを言うときは「よ」にアクセントを付けましょう。
おもろい
「おもろい」は「面白い」という意味です。「めっちゃおもろい人いる(すごく面白い人がいる)」「おもろいゲーム見つけた(面白いゲームを見つけた)」のように使います。
発音するときは、「おも」にアクセントを付けて言ってみましょう。
なんぼ
関西弁の「なんぼ」は、主に値段や量を聞くときに使う言葉です。たとえば、商品の値段を知りたいときは、「これなんぼ?(これいくら?)」と聞きます。
また、好きな食べ物を多く貰ったときに「なんぼあってもええ(どれだけあっても困らない)」というように、日常生活の会話でよく使われる言葉です。
「なんぼ」は、「ぼ」にアクセントを付けて発音します。
似おてる
関西弁の「似おてる」は、「似合ってる」の意味です。たとえば、家族や友人と着ている服が似合っているときに、「よう似おてる(良く似合っているよ)」のように使います。
「似おてる」と言う際のアクセントの位置は、「お」です。
いらち
関西弁で「いらち」は、「落ち着きがなくせっかちな人」「すぐにイライラする人」を意味する言葉です。人の性格を表す言葉で、「あの人、ちょっといらちやな(あの人は少しせっかちな性格だな)」といったように使います。
「いらち」という際は、「い」と「ら」にアクセントを付けて発音しましょう。
ほかす
関西弁の「ほかす」は、「物を捨てる」という意味があります。大阪府・京都府・兵庫県・奈良県などで、日常的な会話で使われる言葉です。
「これほかして(これを捨てて)」「もうほかさんとあかんわ(もう捨てないとだめだね)」などと言います。
「ほかす」のアクセントの位置は、「ほか」です。
こすい
「こすい」は「ずるい」の意味で使われる関西弁です。普段の会話ではアクセントはなく平坦に発音します。「ずるい」の意味を強調したいときは「こ」と「す」の間に「っ」を入れて、「こっすいわ」のように発音するのが一般的です。
なお、「こすい」は、長野県や静岡県、愛知県、高知県などでも使われている方言です。
おかん
関西弁の「おかん」は、「お母さん」を意味する言葉です。「おかん、はよしてや(お母さん、早くして)」のように使います。
なお、「お父さん」を表す関西弁は「おとん」です。「おとん、弁当忘れとるやん(お父さんが弁当を忘れている)」「おとん、帰り遅いなあ(お父さんは帰りが遅いな)」のように用いられます。
「おかん」「おとん」というときは、「おか」と「おと」にアクセントを付けましょう。
関西弁の語尾一覧
関西弁は特徴的な語尾が多くある方言です。「なんやねん(なんだよ)」「そんなん知らんわ(そんなことは知らない)」などの語尾は、リズムの良さが感じられます。
「今、起きとる?(今、起きてる?)」「何してんのん?(何してるの?)」などの語尾は、独特の響きがかわいいと感じられるでしょう。
ほかにも、「~やん・~やんけ」「~てん・~してん」「~はる・~しはる」などの語尾があります。
~やん・~やんけ
関西弁の「~やん」は、感嘆や了解を表す「~ね」の意味で使われる方言です。「その服、素敵やん(その服、素敵だね)」「そうやん(そうだね)」といったように用いられます。
「~やんけ」は「~じゃないか」の意味で、驚きや非難を表す際に使われる方言です。「ちゃうやんけ(ちがうじゃないか)」「あかんやんけ(だめじゃないか)」のように用いられます。
~てん・~してん
「~てん」は「~たんだ」、「~してん」は「~したんだ」の意味で使われる関西弁です。「うちも今来てん(私も今来たんだ)」「むっちゃ勉強してん(すごく勉強したんだ)」のように用いられます。
「~てん」「~してん」は、相手に何かを問うときにも用いられる言葉です。「おとん、何してん?(お父さん、何してるの?)」のように使います。
~はる・~しはる
「~はる」「~しはる」は「~される」「~していらっしゃる」の意味があり、目上の相手に使われる関西弁です。「先生が黒板に書きはる(先生が黒板に書かれる)」「今週、旅行に行きはるんよ(今週、旅行に行かれるのよ)」といったように使われます。
主に、大阪府や京都府で使われますが、地域によって「~はる」「~しはる」につく動詞の形が異なるのが特徴です。たとえば、大阪府では「書きはる」「行きはる」と表現されますが、京都府では「書かはる」「行かはる」になります。
食べ物に関する関西弁一覧
関西弁ならではの、食べ物の言い方を以下に紹介します。
炊いたん
「炊いたん(たいたん)」は煮物を指す関西弁です。関西地域では食材の煮炊きを「炊く」と言うことから、「炊いたもの=炊いたん」と呼ばれるようになりました。
発音するときは「た」にアクセントを付けます。
突き出し
「突き出し」は「お通し」を意味する言葉です。居酒屋で何を注文するかに関わらず、席についた時点で提供される少量の料理を指します。
関西弁で「突き出し」と言うときは、特定の文字にアクセントを付けずに発音しましょう。
おばんざい
「おばんざい」とは、京都の一般家庭で作られるお惣菜を表す言葉です。煮物や和え物、きんぴらなどの家庭料理全般を表し、特定のメニューを示す言葉ではありません。「このおばんざい、美味しいわ(この料理は美味しいな)」といったように使われます。
京料理を売りにしている飲食店では、店名やメニュー名に「おばんざい」が使われている場合もあるでしょう。
レイコー
関西弁の「レイコー」は、アイスコーヒーを意味します。冷たいという意味の「冷」は「レイ」とも読むため、「冷たいコーヒー」を「レイコー」と省略化するようになりました。喫茶店やカフェでアイスコーヒーを注文する際に、「レイコー、1つ」のように言います。
ただし、年配の人が使う場合が多く、若い人はほとんど言いません。
アテ
「アテ」とは、「酒にあてがう食べ物」という意味の関西弁です。居酒屋で店員に注文する際に、「今日のおすすめのアテは?」のように使うと良いでしょう。また、「昔話をアテに日本酒を飲もう」のように、酒を飲みながら楽しむ食べ物以外の対象を指す場合もあります。
「アテ」と言う際は、「テ」にアクセントを付けて発音してみましょう。
なお、関東では「アテ」を、「おつまみ」や「酒の肴(さけのさかな)」と言うのが一般的です。酒の肴については、「日本料理の名前を4種類紹介!献立についても解説」や「日本料理の献立にある名前を一覧で紹介!食文化を知って食事を楽しもう」のコラムでも触れています。伝統的な日本料理や献立も紹介しているので、あわせてご覧ください。
他県出身の人が「かわいい」と感じる関西弁一覧
関西弁は、ほかの地域出身の人が「かわいい」と感じることが多い方言です。標準語と異なる独特のイントネーションが柔らかさや温かみを生み、かわいいと感じさせるのでしょう。以下では、他県出身の人が「かわいい」と感じる関西弁を一覧にしています。
「楽しみにしとったねん(楽しみにしてたんだよね)」
「やんなぁ?(だよね?)」
「めっちゃ好きやで(すごく好きだよ)」
「そんなんあかん(それは良くないよ)」
「ほんま言うたらあかんで(本当に言ったらダメだよ)」
「それだけはいやや〜(それだけはいやだな)」
「どしたん?(どうしたの?)」
「なんなん?(何なの?)」
「ちゃうねん(違うよ)」
「ええの?(いいの?)」
また、関西弁は物の名前に「ちゃん」や「さん」を付ける場合もあり、その言い方がかわいいと感じる人も多くいるようです。たとえば、「飴ちゃん」「お粥さん」「お揚げさん」などと言います。
関西弁のほかにも、かわいいといわれる方言に広島弁があります。「広島弁はかわいい?怖い?広島県で話される方言を標準語と比較!」のコラムでは、広島弁の魅力について解説しているのでぜひご一読ください。
また、日本の「かわいい」という言葉について詳しく知りたい方には、「かわいい(Kawaii)の意味とは?対象や派生語もあわせて覚えよう」のコラムもおすすめです。
関西弁の早口言葉「あんた」と「チャウチャウちゃう」
ここでは、関西弁の早口言葉を紹介します。関西弁のイントネーションを意識しながら、言えるかどうか挑戦してみましょう。
「あんた」を使った早口言葉
「あんたあたしのことあんたあんた言うけど、あたしもあんたのことあんたあんた言わへんから、もうあんたもあたしのことあんたあんた言わんといてよあんた!」
【標準語】
「あなたは私のことアンタアンタって言うけど、私もあなたのことアンタアンタと言わないから、もうあなたも私のことをアンタアンタと言わないでね!あなた!」
【発音のコツ】
「あんた」のアクセントは「た」で、「あたし」は強弱を付けません。なお、「言わへん(いわへん)」を「言えへん(ゆえへん)」と言う地域もあります。どちらの場合も「言」と「へ」にアクセントを付けて発音してみましょう。
「ちゃう」を使った早口言葉
「あれチャウチャウちゃう?」
「ちゃうちゃう!チャウチャウちゃうんちゃうん?」
【標準語】
「あれチャウチャウじゃない?」
「違う!違う!チャウチャウと違うんじゃないの?」
【発音のコツ】
チャウチャウとは、がっしりとした体格で比較的長い毛をもった中型犬の犬種です。「チャウチャウ」はアクセントを付けずに平坦に発音します。
「ちゃう」の意味は、前述したとおり否定を意味する「違う」です。「ちゃう?」と「ちゃうんちゃうん?」は疑問形なので、語尾を上げて発音してみましょう。
関西弁の早口言葉からは、関西人らしいユーモアが感じられます。関西の中でも、特に「笑い」の文化が根付いているのが大阪府です。大阪府の魅力については、「外国人に大阪が人気の理由とは?魅力とおすすめの観光コースを紹介!」のコラムでも紹介しています。
まとめ
関西弁は、関西地方で使われている方言の総称です。イントネーションや語尾、あるいは単語そのものが標準語とは異なります。関西弁の言葉の意味を知ると、お笑い芸人のコントや関西地方への旅行がより楽しめるでしょう。