日本の税金の還元率は海外と比べて高い?低い?国税と地方税の種類も紹介

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2023/03/24

日本に暮らす人のなかには、「日本の税金の還元率ってどれくらいなの?」と気になる人もいるでしょう。税金の還元率は正確な数値としては出ていないものの、国民負担率と社会保障制度の状況から読み取れます。このコラムでは、日本の税金の還元率を他国と比較しながら紹介。内容を参考にして、日本経済への理解を深めましょう。

目次

  1. 日本の国民負担率と社会保障の給付の現状
  2. 日本人が税金の還元率を低いと思う理由
  3. 日本の税金の種類
  4. まとめ

日本の国民負担率と社会保障の給付の現状

日本の国民負担率と社会保障の給付の現状の画像

支払った税金や年金がどれほど国民に還元されているかは、「国民負担率」と「社会保障の給付状況」を見ることで読み取れます。ここでは、海外とのデータと比較しながら日本の国民負担率と社会保障の給付の現状を説明します。

日本の国民負担率

国民負担率とは、所得のうち税金や社会保険料が占める割合のことです。国民負担率が高くなればなるほど、自由に使える収入が減ります。財務省によると、2021年の国民負担率は見通しで44.3%、財政赤字を加えた潜在的国民負担率は見通しで56.5%でした。所得の約半分が税金や社会保険料として徴収されるので、「負担が大きすぎるのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、海外と比較して見るとまた違った印象になります。以下の表を参考にしてください。

日本の国民負担率の画像

引用:財務省「国民負担率の国際比較

以上の表から、日本の国民負担率は世界的に見ても低いといえるでしょう。一方、ヨーロッパは社会保障負担が多く、その分国民負担率が高い傾向にあります。国民負担率は低ければ良いわけではありません。国民負担率が低いとその分、福祉や医療の保障が受けにくくなります。国民負担率が高い国でも、社会保障としてしっかり還元されれば安心して生活できるでしょう。

日本の社会保障の給付

日本は国民負担率が低い国ですが、社会保障の給付は「中程度」といわれています。以下の表を参考にしてください。

日本の社会保障の給付の画像

引用:財務省「 あるべき受益と負担のバランスとは

以上の表からも分かるように、社会保険料の負担が大きいほど、国の社会保障の支出が多く国民の受益になると考えられます。日本は、低い国民負担率の割に一定水準の福祉が保障されている「低負担・中福祉」の国です。特に今後の日本では、高齢化に伴い社会保障の給付と国民の負担の関係性に関して、議論していく必要性が問われています。「負担が増えても良いので高福祉を受けたい」「自己責任になっても良いから負担を減らしたい」など、国民のなかでも意見は分かれています。

少子高齢化との関係

日本の国民負担率および社会保障の給付の状況は、少子高齢化が大きく影響します。日本は生まれる子どもが減り、人口における高齢者の割合が増えている少子高齢化社会です。少子高齢化は、税金や社会保険料を多く納める現役世代の減少に繋がります。税収が減る一方で、介護や医療サービスなどの社会保障の還元を必要とする高齢者は増え続けている状態です。日本の税金や社会保険料の還元率を上げるためには、少子高齢化への対策が必要不可欠です。

参照元
財務省「令和3年度の国民負担率を公表します

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日本人が税金の還元率を低いと思う理由

日本人が税金の還元率を低いと思う理由の画像

ここでは、日本人が税金や社会保険料の還元率を低いと感じる理由を紹介します。日本は、税金や社会保険料の負担が少ないのにも関わらず、一定水準の福祉が保障されている国です。しかし、日本人の多くは「税金や社会保険料が高すぎる」「納めた税金や社会保険がしっかり還元されていない」と、感じています。

福祉サービスが充実していない

日本人の多くは、福祉サービスの水準に不満を持っています。もちろん、世界的に見たら日本より福祉が充実していない国はたくさんあるでしょう。しかし、日本人は日々の生活で負担を大きく感じているのが現状です。少子高齢化により、日本の社会保障が高齢者に対する福祉サービスに集中しているのが理由の一つでしょう。

税金の引き上げが頻繫にある

税金の引き上げが頻繁にあったのも、日本人が負担を大きく感じる原因です。たとえば、国民にとって身近な税金である消費税は1989年まで日本にありませんでした。1989年に3%の消費税が導入されてから段階を経て3度の引き上げがあり、2022年時点では軽減税率8%、標準税率10%まで上がっています。2010年代は2014年と2019年の短い期間で消費税の引き上げが2度ありました。今後も引き上げられる可能性があります。税金が頻繫に上がっているのにも関わらず、根本である国の社会保障の支出は増えてないため、還元されていると感じることができないと推測できます。

自らに還元されている実感がじにくい

現在の日本は税金や社会保険料を納めても、自らに還元されていると実感しにくい状態です。日本の財政は逼迫(ひっぱく)しており、支出の多くを国債(借金)により調達される収入で賄っています。そのため、いくら所得に対して高額な税金や社会保険料を納めても、すぐには国民に還元されないのです。また、日本政府は福祉サービスより、道路や空港などの社会資本を整える公共事業を優先させてきた経緯があります。社会資本を整えることも、もちろん税金の還元です。しかし、目の前の困難に苦しむ人々は、「道路を作るより福祉サービスを充実させてほしい」「今生活が苦しいので助けてほしい」と考えるでしょう。このように、日本では国民が身近で実感できる福祉の充実が不十分なため、国民の負担感が減らないのです。

日本の税金の種類

日本の税金の種類の画像

外国人に向けて、日本の税金の種類を紹介します。「在留する外国人でも税金を納める義務があるのか?」「どんな税金の種類があるのか?」と、気になる方も多いでしょう。

日本の税金の種類は国税と地方税に分かれており、さらに直接税と間接税に分かれているのが特徴です。国税は納税する対象が国なのに対し、地方税は都道府県や市町村に納めます。そのうち、納税者が直接納める税金は直接税、納税義務がある人と負担する人が違う税は間接税です。たとえば、相続人が直接国に納める相続税は「国税の直接税」、商品やサービスを購入したときに代金と一緒に支払い、あとで事業者が国に納付する消費税は「国税の間接税」になります。

中でも、日本に在留する外国人が支払う税金で覚えておくべき基本的な種類は下記となるので、参考にしてください。一部永住者、居住者、非居住者で納税範囲が異なる税金もありますので、定義はそれぞれで確認する必要があります。

国税

日本の国税の種類は以下のとおりです。

消費税

消費税は、物品の購入やサービスの授受などの消費活動に対して課税されます。2022年時点での日本の消費税率は、軽減税率の対象になる「酒類除く飲食料品」「新聞の定期購読料」が8%、そのほかは10%です。ヨーロッパには20%を超える消費税が設定されている国も多く、日本の消費税は世界的に見てもかなり低い部類に入るでしょう。なお、厳密には消費税のなかには地方税である「地方消費税」も含まれています。

酒税

酒税とはアルコール分1%以上の飲料に課される税金で、アルコール飲料を購入する際の金額に含まれています。アルコール分が高くなるほど税率が高くなるのが特徴です。特に、ビール系飲料の税率が高く設定されています。

所得税

所得税は所得に対して課税され、会社から支払われる給料から毎月差し引かれる仕組みです。これを源泉徴収といいます。なお、源泉徴収の金額はおおよその金額で算出されるため、毎年1月から12月までの1年間、全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。12月の年末調整で足りない分の徴収や過払いの還付を行うのです。

相続税

相続税とは、亡くなった人から財産を相続した際に掛かる税金のことです。亡くなった人の妻や夫、子どもなどが相続します。相続財産が多ければ多いほど、相続税の税率も高くなる仕組みです。日本では2015年に制度改正があり、相続税の基礎控除額が引き下げられました。そのため、日本では相続税を払わなければならなくなった国民が増加しています。

地方税

ここでは、地方自治体に納める地方税の代表的な種類を紹介します。

住民税

住民税とは、都道府県民税と市町村税のことです。会社員の住民税は、企業が本人に代わり納めます(特別徴収)。個人事業主やアルバイトで働く人は、自らで納める仕組みです(普通徴収)。住民税は福祉や教育など、公共サービスを充実させるために使用されます。

自動車税

自動車税は、自動車を所有する人に納税義務があります。道路整備に掛かる費用を自動車を利用する人に負担させるのを目的に作られました。自動車税は所有する自動車の排気量で金額が異なります。また、製造から13年以上経った自動車の場合、税負担が大きくなるのも特徴です。古い車に掛かる税金が高くなる理由には環境負担が大きいことや、買い替えを促進する目的などが挙げられます。

また自動車税の中には、自動車重量税という税金の種類もあります。自動車税は1年に1回納付しますが、自動車重量税は自動車の新規登録時と車検時に納めます。また、自動車税額は排気量および製造年で変化するのに対し、自動車重量税の税率は車の重さごとに変わるのです。日本で自動車の購入を考えている人は、覚えておくとよいでしょう。

日本の税金の種類については詳しく書かれた「日本の税金の種類を外国人に向けて解説!海外との比較も紹介」のコラムもおすすめです。

参照元
国税庁「税の仕組みと分類

まとめ

まとめの画像

世界的に見ると、日本の税金の還元率は低いわけではありません。しかし、「国民負担率」「社会保障の給付」のバランスにより、国民の多くは不満を抱えているのが現状です。納得して税金を納めていくためにも、このコラムで日本の税制度への理解を深めましょう。

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