「富士山にはどのような魅力があるのだろう」「富士登山のルートについて知りたい」と考えている方も多いでしょう。富士山は日本で一番標高が高い山です。遠くからの眺望が美しく、浮世絵や歌などの多くの芸術作品のモチーフとされてきました。
このコラムでは、富士山の魅力について解説します。また、登山シーズンやルートについても触れているので、富士山に登る際の参考にしてください。
目次
富士山はどのような山?
富士山は日本一標高が高い火山です。古くは大きな噴火をしたこともありました。ここでは、富士山の特徴や5合目までの交通手段を解説するので、参考にしてください。
日本一標高が高い
富士山は日本一高い山で、静岡県と山梨県にまたがっています。山頂は噴火口の縁で、八神峰(はっしんぽう)といわれる8つの峰があるのが特徴です。この8つの峰のうち、一番高い剣ヶ峰(けんがみね)の標高3,776mが富士山の高さとされています。
富士山の山頂に登ると、南アルプスや奥多摩といった遠くまでの眺望がが望めるでしょう。また、富士山に登る際にぜひ見てほしいのが、「ご来光」です。ご来光とは富士山から見える日の出を指す言葉で、眼下に広がる雲の間から太陽が昇ってくる様子は、一見の価値があります。
山頂には神社がある
富士山の山頂には、富士山頂上浅間大社奥宮(ふじさんちょうじょうせんげんたいしゃおくみや)という神社があります。祀られているのは、木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)という神様です。木花之佐久夜毘売命は、富士山の噴火を鎮める力を持っているとされています。
なお、富士山の8合目以上は富士山頂上浅間大社奥宮の境内であり、私有地です。そのため、静岡県にも山梨県にも属していません。
富士山5合目まではバスや自動車で行ける
富士山のふもとから山頂までの行程の半分である、5合目目までは公共交通機関や自家用車で行くことが可能です。登山道は4つあり、各ルートの5合目付近に登山口があります。なお、自家用車規制期間中は、自家用車では5合目まで行けません。規制期間は年によって変わるため、事前にオフィシャルサイトで調べましょう。
以下では、お土産屋が多く観光スポットとしても人気のある吉田ルートの5合目への行き方を紹介します。
- 公共交通機関の場合:富士山麓電気鉄道「河口湖駅」から富士急行バス「富士スバルライン五合目方面行き」に乗車し、「富士スバルライン五合目 」で下車
- 自家用車の場合:東富士五湖道路富士吉田IC、もしくは、高速道路中央自動車道河口湖IC、国道139号から「富士スバルライン」(普通車の場合は往復で2,100円必要)を利用
規制期間中は、富士山の麓にある「富士北麓駐車場」に自家用車を停めて、シャトルバスかタクシーで富士山5合目まで行きましょう。
また、富士山に関しては「中部地方の気候や観光地まとめ!有名な料理も紹介」のコラムでも触れているので、ぜひご覧ください。
参照元 富士登山オフィシャルサイト 「アクセス情報・マイカー規制」
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世界文化遺産に登録された富士山の魅力
富士山は、2013年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。ここでは、世界文化遺産として認められた富士山の魅力を紹介します。
遠くから見える姿が美しい
遠くから見る富士山は、裾が広がった円すい形をしているのが印象的です。また、山自体の美しさに加えて、周囲の自然と調和して作られる風景や朝日に照らされて赤く染まった様子なども、人々に感動を与えてきました。以下で富士山に起こる現象や風景にまつわる言葉を紹介します。
- ダイヤモンド富士:富士山の山頂に太陽が重なり、ダイヤモンドが光っているように見える様子
- 赤富士:夏の終わりから秋の初めの朝早くに、朝日が富士山を照らし赤く染まったように見える現象
- 逆さ富士:周辺の湖の水面に、富士山が上下逆に移りこんでいる風景を表す言葉
なお、桜や紅葉した葉、雪などとともに見る富士山の姿も絶景です。
変化に富む地形をしている
現代に至るまでに富士山は何度も噴火を繰り返し、湖や沼、洞穴などの変化に富む地形を作ってきました。富士五湖や白糸ノ滝、忍野八海などは、富士山の構成資産として世界遺産に登録されている重要なスポットです。
富士山の魅力は変化に富む地形をしているだけではありません。標高が高くなるにつれて風景も変わります。ふもとには樹海が広がりますが、5合目に当たる標高約2,500m辺りから上は樹木が見られません。ルートによっても異なりますが、標高が高くなるに連れて急な岩場も増えます。さまざまな風景を見られるのも、富士山の魅力の一つです。
日本にある富士山以外の世界遺産については「日本の世界遺産を解説!一度は訪れたい人気スポットも紹介」や「日本の文化遺産を外国人に向けて紹介!おすすめの世界遺産とは」のコラムでも紹介しています。
参照元 山梨県「『富士山』の構成資産紹介」
古くから富士山は人々に多くの影響を与えてきた
日本人は古くから富士山を神聖な山として信仰してきました。また、富士山の美しい姿は芸術家にインスピレーションを与え、その結果、多くの作品が生まれたのです。ここでは、信仰の対象や芸術の源としての富士山について紹介します。
信仰の対象として崇められてきた
古来より日本人は、度々噴火する富士山を神がいる山として、恐れながらも敬ってきました。繰り返す噴火を鎮めるために、富士山のふもとには富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)が建てられます。噴火活動が落ち着いた平安時代後期には、古くから日本に伝わる山岳信仰と密教などが融合した「修験道」の修業の場所となりました。その後、室町時代後半には、修験道を信仰していない人も富士山に登るようになります。江戸時代中期には、多くの庶民が富士登山や富士五湖への参拝を行うようになりました。
芸術家にインスピレーションを与えてきた
富士山の美しい姿は、多くの浮世絵師や小説家、歌人などにインスピレーションを与えてきました。その結果、多くの絵画や歌、小説などが生まれ、現代でも人々に親しまれています。富士山が登場したりモチーフになっていたりする作品は、以下の通りです。
- 歌:作品名『万葉集』選者「大伴家持」、作品名『古今和歌集』選者「紀貫之」「紀友則」「壬生忠岑」「凡河内躬恒」
- 小説:作品名『三四郎』作者「夏目漱石」、作品名『富嶽百景』作者「太宰治」
- 浮世絵:作品名『冨嶽三十六景』浮世絵師「葛飾北斎」、作品名『不二三十六景』『東海道五拾参次』浮世絵師「歌川広重」
このほかにも、現代に至るまでさまざまな魅力的な作品が生み出されています。
「日本の画家の名前を紹介!有名な作品を知って芸術鑑賞に役立てよう」のコラムでは、富士山をモチーフにした作品にも触れています。
富士山に登る際に知っておきたいポイント
富士山は入山できる時期が決まっており、山頂まで登るには準備も必要です。ここでは、富士山の登山シーズンやルート、登る際の注意点を紹介します。重要なポイントを知り、登山に臨みましょう。
富士山の登山シーズンとルート
富士山の登山シーズンは7月上旬~9月上旬 で、吉田・須走・御殿場・富士宮の4つの登山道があります。各ルートの5合目にある登山口から山頂までの所要時間は、約6~7時間です。ただし、ルートによって難易度が異なり、人によっては9時間ほど掛かる場合もあります。登山ルートを選ぶ際は、自分の体力や登山経験を考慮しましょう。
富士山に登る際の注意点
富士山に登る際は、服装や持ち物をしっかり準備する必要があります。また、トイレの位置の確認や山小屋の予約もしておきましょう。ここでは、5つの注意点についてまとめているので、参考にしてください。
暖かい上着や帽子も用意する
基本の服装は長袖のトップスとズボンですが、山頂は夏でも気温が低いため厚手の上着や帽子も持って行きましょう。
登山靴を履く
急な岩場を登らないといけない箇所もあるため、スニーカーではなく登山靴が必要です。
トイレの位置を確認しておく
富士山にはトイレの設置個所が少ないので、事前にどこにあるのかを確認しておきましょう。
山小屋は予約しておく
混雑時には山小屋に泊まれない可能性もあるため、宿泊する場合は事前に予約をおすすめします。
ゴミは持ち帰る
富士山の景観を守るために、ゴミは持ってきた袋に入れて持ち帰るようにしましょう。
富士山の魅力が感じられるおすすめスポット
静岡県や山梨県には、富士山の魅力が感じられる多くのスポットがあります。山梨県立富士山世界遺産センターや静岡県富士山世界遺産センターは、富士山の歴史や価値を学べる施設です。
静岡県三島市にある三島スカイウォークは全長400mもある日本一長いつり橋で、歩きながら富士山を眺められます。また、山梨県富士吉田市にある新倉富士浅間神社は、富士山とともに桜を楽しめる場所として人気です。
富士五湖の一つである河口湖では、逆さ富士が見られます。遊覧船に乗って、湖面から富士山と周辺の景色を楽しむのも良いでしょう。
まとめ
富士山は標高が3,776mもある、日本一高い山です。円すい形をしており、周辺は豊かな自然に囲まれています。富士山はただ姿が美しいだけではなく、古くから信仰の対象になったり多くの芸術作品の題材にされてきました。このような価値が認められ、2013年にはユネスコ世界文化遺産に登録されています。富士山の魅力を知って、実際に訪れてみましょう。