旅館に泊まって、日本の伝統的な生活を体験し、日本のおもてなしを受けてみませんか。この記事では、旅館の魅力や、客としてのマナーなどついてご紹介します。これらは難しいことではなく相手を思いやることが一番大切ですが、文化の違いも知っておく必要があります。
旅館は、日本を旅行する際に滞在する多くの宿泊施設の種類の 1 つです。他の日本の宿泊施設については、 こちらにある記事で紹介しているので、ぜひご覧ください。
目次
「旅館」とは
「旅館」は、日本の宿のことです。特徴は、伝統的な建築様式やデザイン、高いホスピタリティ、伝統的な日本料理の提供があることで、温泉や大浴場があるのが一般的です。
旅館の歴史は古く、8世紀にまでさかのぼります。江戸時代になると、旅人たちが江戸を行き来するようになり、疲れた旅人に快適な場所を提供する旅館は人気を博しました。
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旅館の魅力
日本の旅館は、日本や世界の現代的なホテルとは外観もサービスも全く異なります。
外観や内装デザインが美しい
伝統ある旅館ほど、華やかで美しいものはありません。典型的な旅館の外観や部屋は次のとおりです。
旅館の部屋にある設備
- 畳:日本で古くから利用されている伝統的な床材です。茶室などの和室には欠かせません。
- 布団:畳の上で寝るための寝具です。上質な布団はとても快適です。また、床で寝ることは、腰にも良いと言われています。
- 座布団:床に座るときに使うクッションです。畳に座るだけでも十分快適ですが、座布団に座るとさらに快適になります。
- 座卓(ローテーブル):座布団とセットになっています。くつろいだり、仕事をしたり、お茶を飲んだり、旅館によっては朝食や夕食、お茶のサービスなどが用意されたりと、いろいろな使い方があります。
日本のホスピタリティ「おもてなし」がすばらしい
「おもてなし」は、特にサービス業でよく耳にする言葉です。サービス提供者やホストがお客様やゲストの要望を聞きながら、良いサービスを提供するために積極的に取り組む「日本のホスピタリティ」を指します。
「おもてなし」の原点は、常に期待以上のものを提供し、試行錯誤しながら感動を与えようとする心です。「おもてなし」の見返りとして、報酬を期待することはないので、日本ではチップの習慣がありません。感謝の気持ちを伝えたい場合は、口頭で伝えるか、メモや手紙などで伝えましょう。
旅館の「おもてなし」の例
- ご案内:旅館のスタッフがチェックイン時に宿泊客を案内することです。ほとんどの旅館では、館内や施設の案内、部屋への案内、そしてお茶やお菓子のサービスがあります。
- できたての料理:旅館での食事は、できたての料理が当たり前。新鮮で栄養価の高い食材を使い、栄養バランスを考え、季節や自然に感謝する「和食」のルールを守った、伝統的な日本料理が提供されます。
- 就寝前の布団の準備:これは、旅館ならではの体験です。広い部屋では布団が敷かれている場合もありますが、狭い部屋では就寝時間まで布団が収納されているので、夕食後にスタッフが布団を準備するのが一般的です。
- 夕食と朝食:部屋で食べる場合と食事処で食べる場合があります。部屋の場合は、料理が運ばれてきて、テーブルの上に宴会のように並べられます。後片付けもスタッフが行います。食事処では、予定時刻までに料理が用意されます。
- お別れの挨拶と感謝の言葉:チェックアウト時に、お別れと感謝の気持ちを込めて、何人かのスタッフが宿泊客をお見送りし、深々とお辞儀をします。ビジネスマンがエレベーターの前で、ドアが閉まるまでお客様にお辞儀をするのと同じです。
伝統的な日本食(和食)が食べられる
旅館の食事は、旅館での体験の大部分を占める重要なものです。そのため、旅館での宿泊は食事付きが多く、夕食と翌日の朝食の2食が一般的です。
旅館ではどのような食事が提供される?
日本の伝統的な料理の和食はもちろん、外国人観光客の増加に伴い、洋食などの選択肢を用意している旅館もあります。
夕食の会席料理とは?
伝統ある旅館では、通常、夕食に会席料理が出されます。会席料理は、前菜、主菜、ご飯、汁物、香の物、デザートがセットになっている豪華な料理です。旅館は最高の食事を提供することに誇りを持っているため、和食の技を身につけた料理人が最高の食材を使い、季節感を表現したメニューを考案します。
朝食に本格的な和食?
旅館の朝食は和食が多いですが、外国人観光客の増加に伴い、洋食を提供する旅館もあります。和食の朝食は、白米、味噌汁、おかず、お茶がセットになっています。おかずの品数は旅館によって異なりますが、卵、納豆、漬物、野菜料理、焼き魚、豆腐などが一般的です。日本の伝統的な朝食は量が多いので、普段朝食をあまり食べない方は、かなり重いと感じるかもしれません。
旅館では浴衣を着てリラックスできる
旅館に泊まると浴衣が用意されます。部屋に用意されている場合もあれば、スタッフが自分に合ったサイズの浴衣を持って来てくれる場合もあります。お風呂上りに浴衣に着替える方、チェックイン後すぐに浴衣に着替えてお風呂に入る方など、人それぞれです。浴衣は旅館内で自由に着用できます。ただし、旅館によっては、宿泊客以外の方も利用できる食事処では、浴衣ではなくきちんとした服装をお願いされる場合もあるので、ご注意ください。浴衣は右側・左側の順番で体に巻き、左の襟が上になっているのが正しい着方です。その逆は死人に服を着せるときの着方になってしまうので、やめましょう。
スリッパは通常2足用意されます。1足は部屋で履き、もう1足は温泉や大浴場など旅館内を歩き回るのに使います。
温泉や大浴場がある
ほとんどの旅館は温泉地にあります。旅館の温泉には、宿泊者専用の温泉や、日帰りで温泉を楽しみたい人にも開放している「日帰り温泉」があります。温泉のない旅館には、銭湯のような大浴場があり、より豪華な造りになっています。
最近では、温泉や貸切風呂付きの部屋を備えた旅館も増えてきています。見知らぬ人と裸で入浴することに抵抗がある方や、タトゥーがあって温泉に入れない方などにおすすめです。
お風呂に入る際のマナーはこちらの記事をご覧ください。
旅館のマナー
他の宿泊客や旅館のスタッフに思いやりの心を持ち、礼儀正しく接することが、快適で楽しい滞在につながります。旅館に宿泊する際に気をつけたいことをいくつかご紹介します。
時間を守る
日本の社会では、時間を守ることが重視されており、これは旅館にも当てはまります。チェックインやチェックアウトの時間はもちろん、夕食や朝食の時間もきちんと守りましょう。旅館にチェックインすると、夕食の時間を確認されます(部屋に案内された後、再度確認されることもあります)。
部屋で食事をする場合でも、食事処で食事をする場合でも、時間通りに到着することが求められます。旅館によってはスタッフが出迎えるところもあるので、遅刻するとスタッフに迷惑がかかります。朝食も同様です。部屋で食べる場合は、「おはようございます」とスタッフが元気に挨拶してくれるので、朝食は着替えてからにしましょう。
また、和食料理が一番おいしいタイミングは、できたての時です。熱々の味噌汁や熱々のご飯、絶妙な温度の刺身や寿司、サクサクの天ぷらなどがありますが、できたてが一番です。遅刻するということは、究極の食卓を演出するためにシェフが入念に調整したものを台無しにするということです。もし、料理が冷めてしまったら、おもてなしの一環として、スタッフが温め直したり、全部作り直したりしてくれることもあるでしょう。しかし、できればスタッフに迷惑をかけず、一番おいしい状態の食事を楽しみたいですよね。
畳の上は土足厳禁
畳の上は土足厳禁です。部屋に入ったら、玄関で靴を脱いでください。畳の上では裸足か靴下で過ごしましょう。
また、荷物が重い場合は置く場所に注意が必要です。重さで畳が傷む可能性があるので、しっかりした床の部分に置くようにしましょう。荷物の置き場所はスタッフが案内してくれるので、荷解きの際もそこに置いて行いましょう。
チップは不要
前述したように、海外ではチップを渡す習慣があるかもしれませんが、日本ではその習慣がありません。そのため、旅館でのおもてなしに感動したからといってチップを渡しても、かえってスタッフの迷惑になる場合があります。ですから、その場合はチップではなく、口頭でお礼を言うか、短いメモを添えて感謝の気持ちを伝えましょう。
旅館(およびホテル)で使う日本語フレーズ
温泉街はもちろん、無名な場所にも温泉旅館はたくさんあります。実際、草津温泉のような日本の名湯の多くは、海外からの観光客にあまり知られていないため、外国語でのサポートが不十分な場合があります。そのような場合、自分だけでなく、旅館のスタッフのためにも、チェックインやチェックアウトの際に役立つ日本語を勉強しておくとよいでしょう。
「チェックインお願いします。」
Chekku in onegai shimasu.
- Check-in, please.
「〇〇の名前で予約したものです。」
〇〇 no namae de yoyaku shita mono desu.
- I have a reservation under 〇〇.
「チェックアウトは何時ですか?」
Chekku auto wa nanji desu ka?
- What time is check-out?
「チェックアウトの時間を延長することができますか?」
Chekku auto no jikan wo enchou suru koto ga dekimasu ka?
- Is it possible to extend my check-out time?
「とてもいい滞在になりました。お世話になりました。」
Totemo ii taizai ni nari mashita. Osewa ni nari mashita.
- I enjoyed my stay. Thank you very much. / We enjoyed our stay. Thank you very much.
レストランでの日本語は『レストランで使える日本語を紹介!覚えて外食に挑戦しよう』、買い物での日本語は『買い物に役立つ日本語を紹介!欲しい物を購入できるようになろう』をぜひご覧ください。
まとめ
旅の素晴らしさのひとつは、その国の文化に触れることです。日本の旅館は、ただ泊まるだけの場所ではなく、歴史、文化、伝統がひとつになったすばらしい場所です。美味しい料理、素晴らしい景色、温泉、おもてなしなど、旅館では多くの日本文化に触れることができます。一生に一度くらいは、自分へのご褒美として、日本の旅館で癒しの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。