日本の留学生受け入れ状況とは?利用される試験や施策を紹介

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2023/04/07

日本への留学を考える人や学校関係者のなかには、受け入れ状況が気になる人もいるでしょう。日本は優秀な人材を育てるため、積極的に外国人留学生の受け入れを行っています。このコラムでは、国別・在学段階別に日本における留学生の受け入れ状況を解説。日本政府が外国人留学生の受け入れ拡大に向けて行っている施策や、留学に利用されている試験も紹介しているのでチェックしてみましょう。

目次

  1. 日本における外国人留学生の受け入れ状況
  2. 外国人留学生の受け入れに関する施策
  3. 日本留学に利用されている試験
  4. まとめ

日本における外国人留学生の受け入れ状況

日本における外国人留学生の受け入れ状況の画像

「2020年度外国人留学生在籍状況調査」によると、2020年5月1日時点で日本は279,597人の外国人留学生を受け入れています。これは、高等教育機関と日本語教育機関に在籍している外国人留学生を合計した数です。内訳としては高等教育機関に在籍する外国人留学生が218,783人、日本語教育機関が60,814人となっています。日本は優秀な人材を確保するため、外国人留学生の受け入れに力を入れているので今後も人数は増加していくでしょう。

在学段階別留学生数

在学段階別に外国人留学生の受け入れ状況を見ると、最も多いのは専修学校(専門課程)で79,598人です。次いで多いのは大学(学部)の79,826人でその差はわずかしかありません。一方で、高等専門学校に在籍する外国人留学生は423人と少なくなっています。高等専門学校は全国に57校しかなく入学定員も少ないため、外国人留学生を受け入れにくいと考えられるでしょう。

高等専門学校における外国人留学生の受け入れは、国費留学生や政府派遣留学生が中心です。どちらの場合も日本語教育や予備教育を受ける必要があり、編入学は3年次からになります。なお、国立の高専では私費留学生の積極的受け入れを推進していたり、タイ政府奨学金留学生を1年次から入学させる取り組みを行ったりしているようです。

国別留学生数

日本に滞在する外国人留学生の94.6%はアジア出身で、国別に見ると中国の121,845人が最も多く、次いでベトナムが62,233人です。以降はネパールが24,002人で韓国が15,785人、台湾が7,088人と上位5ヵ国をアジアが占めています。上位5ヵ国ほど人数は多くないものの、欧州や北米、アフリカなどさまざまな地域から渡日している外国人留学生も一定数いるようです。

日本に留学したい外国人必見!日本留学試験や在留資格について解説」では、日本に留学するまでの流れや必要な手続きについて解説しています。留学に利用できる奨学金制度やアルバイトの可否もまとめているので、気になる方はチェックしてみましょう。

参照元
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「2020(令和2)年度外国人留学生在籍状況調査結果」
独立行政法人 国立高等専門学校機構「受け入れの状況

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外国人留学生の受け入れに関する施策

外国人留学生の受け入れに関する施策の画像

日本政府はグローバル戦略の一環として、外国人留学生の受け入れ拡大のためにさまざまな施策を打ち出しています。ここでは主な施策を紹介するので、留学する際の参考にしてみましょう。

国費外国人留学生制度

大使館推薦もしくは大学推薦などを受けて日本政府の国費で留学できる制度を、国費外国人留学生制度といいます。対象となるのは以下に該当する外国人留学生です。

  • 学部留学生
  • 日本語・日本文化研修留学生
  • 高等専門学校留学生
  • 専修学校留学生
  • 研究留学生
  • 教員研修留学生
  • ヤング・リーダーズ・プログラム(YLP)留学生

大使館推薦は、海外にある日本国大使館(国によっては総領事館)が行います。書類審査と筆記試験、面接といった選考が行われるため、対策しておくと推薦される可能性が高まるでしょう。大使館推薦の申請方法や願書の締め切りは、該当する区分や国によって異なります。申請を考えている方は、自国の日本国大使館もしくは総領事館に問い合わせてください。

大学推薦の場合、募集・選考は研究留学生および日本語・日本文化研修留学生を対象に行われます。日本の受け入れ大学が審査と文部科学省への推薦を行うため、留学後の申請です。なお、YLPは海外の公的機関からの推薦や共同選考という独自の方法で選考するため、気になる方はチェックしてみましょう。

国費外国人留学生制度を利用すると渡航旅費が支給されたり、授業料の負担がなかったりします。また、外国人留学生の区分によって月額117,000~242,000円の奨学金を受けられるので、対象になる方は応募を検討してみましょう。

留学生受入れ促進プログラム

高等教育機関や準備教育課程を設置する機関、日本語教育機関に在籍する外国人留学生のうちは、留学生受入れ促進プログラムを利用できます。これは「文部科学省外国人留学生学習奨励費」を給付する制度で、採用者の選考方法は大学やそのほかの教育機関の推薦です。学習奨励費は大学院・学部レベルで月額48,000円、日本語教育機関で月額30,000円が給付されます。なお、給付には要件があり、以下の条件を満たさなければ学習奨励費を受給できません。

  • 独自の計算方法で求められる「給付を受ける年度の前年度の成績評価係数」が2.30以上であること
  • 給付期間中も2.30以上の成績を維持する見込みがあること
  • 日本語能力試験のN2レベル以上に合格、または、日本留学試験(EJU)の日本語科目(読解、聴解及び聴読解)の得点が200点以上ある者(日本学生支援機構が別に認める語学水準以上でも可)
  • CEFRにおいてB2以上であると認められる者
  • 学習奨励費受給後、日本学生支援機構が在籍教育機関を通じて行う進路状況調査に協力する意思を持つ者
  • 入学金や授業料などを除く仕送り金額が月額90,000円以下であること
  • 在日している扶養者がいる場合、その年収が500万円未満であること
  • 学習奨励費との併給を制限されている奨学金の給付を受けていない者
  • 日本学生支援機構の海外留学支援制度による支援を受けていない者

上記の要件を満たす外国人留学生は学習奨励費を受給できます。留学生受入れ促進プログラムには予約制度があり、渡日前許可制度による学校推薦を受けた人や、EJUで優れた成績を修めた人が対象です。事前に予約を行えば4月から学習奨励費を受給できるので、対象になる方は在籍する学校を通して手続きを行ってください。

海外留学支援制度(協定受入)

日本と諸外国の高等教育機関での学生交流において、8日以上1年以内で外国人留学生を受け入れるプログラムを実施する場合、資格・要件を満たす学生は奨学金を受けられます。奨学金は月額80,000円です。なお、奨学金を受けるには、以下の支援対象学生の資格・要件を満たす必要があります。

  • 日本と国交のある国の国籍を有する者
  • 学生交流に関する協定に基づき、教育機関が受け入れを許可する者
  • 経済的理由により自費のみでの受け入れプログラム参加が困難な者
  • 受け入れプログラム参加にあたり、在留資格「留学」を確実に取得しうる者(90日以内のプログラムでは在留資格の種類は問わない)
  • 受け入れプログラム終了後、在籍する教育機関に戻り学業を継続し、学位を取得または卒業する者
  • 学業成績が優秀で人物面が優れている者
  • 受け入れプログラム参加のために本制度以外の奨学金を受ける場合、その支給月額の合計が80,000円を超えない者

上記のほかにも、国費外国人留学生制度や留学生受け入れ促進プログラムとの併用不可など、注意点があります。海外留学支援制度を利用する際は、要件をしっかりチェックしましょう。

参照元
独立行政法人日本学生支援機構「日本留学のための奨学金

日本留学に利用されている試験

日本留学に利用されている試験の画像

日本への留学にはさまざまな試験が利用されており、各教育機関によって指定が異なります。留学する際は志望校の募集要項を確認し、指定された試験を受験しましょう。実施回数や時期が決まっている試験もあるので、早めに確認するのが賢明です。

日本留学試験(EJU)

日本留学試験(EJU)は、外国人留学生として日本の教育機関に入学するために必要な日本語能力と基礎学力を測るテストです。受験回数や年齢の制限はなく、成績は2年間保持できます。日本の大学の過半数が外国人留学生の入学試験にEJUを導入しているため、受験して損はないでしょう。EJUを受験していると日本に入国せずに入国許可を得られる「渡日前入学許可制度」を利用できたり、成績優秀者として奨学金予約制度の対象者になったりすることがあります。EJUは日本を含む世界各国で6月と11月の年2回実施されているため、志望校への入学に必要な方は忘れずに申し込みましょう。

日本語能力試験(JLPT)

日本語を母語としない人の日本語能力を測定・認定するのが、日本語能力試験(JLPT)です。JLPTだけで入学の可否が決まることはあまりありませんが、合格しているレベルによって一部試験が免除されたり、入学試験の得点に加算されたりします。JLPTのレベルはN1~N5の5段階に分かれており、数字が小さいほど難易度が高いです。教育機関ごとに必要なレベルは異なるので、募集要項を確認してから受験しましょう。なお、N1はネイティブ並みに日本語を読んだり聞いたりできるレベルです。
JLPTは7月と12月の年2回実施されており、日本国内外で受験できます。N3以上は就職にも役立つレベルなので、入学試験に利用しない方も日本への留学を気にチャレンジしてみても良いでしょう。

大学入学共通テスト

日本人が大学に進学する際に受けるのが大学入学共通テストです。ほとんどの外国人留学生は、大学入学共通テストを受ける必要はありません。しかし、医学部や歯学部といった一部の大学の学部を志望する場合は外国人留学生も受験必須です。詳細は大学によって異なるので、募集要項を確認しましょう。

大学独自の外国人留学生入学試験

私立の大学では、独自の外国人留学生入学試験を実施していることがあります。推薦入試や一般入試、渡日前入学試験など大学によってさまざまな試験があるため、志望校のWebサイトや入試情報を確認してみましょう。大学によってはWebサイトから願書をダウンロードすることもできます。

この項目で紹介した試験については「日本留学試験(EJU)とは?実施時期や受験のメリットを解説!」や「JLPTの記事一覧」を参考にしてください。

まとめ

まとめの画像

日本はグローバル政策を推進する一環として、外国人留学生の受け入れにも力を入れています。中国やベトナムなどアジア圏出身の外国人留学生を中心に、北欧や欧米からも渡日する人が多いです。留学生受け入れ促進プログラムや国費外国人留学生制度など、留学を支援する施策もあるので、日本で学びたい方はぜひ活用してください。

ライター

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