日本でインターンシップに参加したいという留学生は増えています。インターンシップに参加することで、企業への理解が深まり就職活動にも役立つでしょう。
このコラムでは、留学生がインターンシップに参加する際のメリットや注意点について解説します。インターンシップの期間や条件によっては「資格外活動許可」が必要な場合もあるため、確認しておきましょう。
目次
- インターンシップとは?
- インターンシップに参加する留学生が増えている
- 留学生がインターンシップに参加するメリット
- 留学生がインターンシップで報酬を受ける際の注意点
- 就労制限が例外として認められる対象者
- 留学生がインターンシップを探す方法
- まとめ
インターンシップとは?
インターンシップとは、学生が在学中に就業体験ができる制度です。日本人学生だけでなく、留学生も参加できます。就業体験先は、在学中の専攻と関連のある職業や企業を選ぶのが一般的です。そのため、専攻と全く関連性のない企業のへのインターンシップは、認められないケースもあるので注意しましょう。
インターンシップが教育課程の一環として行われている大学もあります。また、参加により単位を認定する大学も少なくありません。在学中に有意義な時間を過ごすためにも、ぜひ参加してみましょう。
日本と海外のインターンシップの違いについて詳しく知りたい方は、「就活をする外国人留学生必見!日本のインターンシップは海外とは違う」のコラムを参考にしてください。
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インターンシップに参加する留学生が増えている
インターンシップに参加する留学生は増加傾向にあります。独立行政法人日本学生支援機構の「令和3年度私費外国人留学生生活実態調査概要」の「インターンシップ参加の有無」の調査結果によると、「参加したい」と回答した学生が2,953人(69.6%)と最も多い結果となりました。また、実際に参加した留学生は、564人(13.3%)で平成29年度に比べると3%増加しています。
参照元 独立行政法人日本学生支援機構「令和3年度私費外国人留学生生活実態調査概要」
留学生がインターンシップに参加するメリット
ここでは、留学生がインターンシップに参加するメリットについて解説します。
日本企業への就職に役立つ
インターンシップの参加は、企業への就職を確定するものではありません。しかし、留学生と企業の希望が合えば内定に繋がる可能性があります。また、インターンシップは、面接などの採用試験だけでは分からない人柄や能力を、企業にしっかり見てもらえる絶好の機会です。採用面接においてもインターンシップの参加実績をアピールできるため、就職活動に役立つでしょう。
社会人としてのビジネスマナーを習得できる
インターンシップに参加することで、ビジネスマナーが身に付けられます。社会人としての言葉遣いや立ち振る舞いなどは実際に体験しなければ分からない部分も多いため、インターンシップ参加は良い機会となるでしょう。また、上司や同僚との会話を通じて、自分の日本語能力も確認できます。インターンシップ中に日本語能力やビジネス会話が不十分と感じた人は、卒業までにレベルアップを目指せるでしょう。
日本の企業文化を理解できる
日本の企業文化は、海外とは大きく異なる部分もあります。そのため、入社後にギャップを感じる人も少なくありません。インターンシップの参加によって組織の考え方や評価制度、働き方などを直に見聞きし体験できます。在学中に日本の企業文化に対する理解を深めることで、就職後もいち早く環境に慣れて社会人として良いスタートが切れるでしょう。
報酬を得ながら社会人生活を体験できる
インターンシップには無給と有給のものがあるため、参加するインターンシップによっては報酬を受け取れる可能性があります。普段アルバイトなどで在学中の生活費を稼いでいる留学生にとって、報酬付のインターンシップは生活面でも安心です。そのため、社会人生活を体験しながら、報酬を得られるインターンシップは、学生にとってもメリットが多いといえるでしょう。
日本の企業には、海外の企業とは異なる特徴があります。日本の企業文化について詳しく知りたい方は、「日本の企業文化の特徴を解説!組織内での働き方や仕事の慣習を理解しよう」のコラムを参考にしてください。
留学生がインターンシップで報酬を受ける際の注意点
インターンシップは、学生が無給で参加する「無給インターンシップ」がほとんどです。報酬を得ない場合は、参加する際に特別な許可や申請は必要ありません。しかし、なかには報酬を得られる「有給インターンシップ」もあります。留学生が「有給インターンシップ」に参加する際には、いくつか条件があるため注意が必要です。
1週間につき28時間以内で従事する場合
従事する時間が週28時間以内であれば、資格外活動許可の「包括許可」が必要です。資格外活動許可は、アルバイトなど日本で学業以外の活動を行う際に申請します。留学生が資格外活動許可を得ずに報酬付のインターンシップに参加するのは法律で禁止されているため、忘れずに申請を行いましょう。
1週間につき28時間を超えて従事する場合
従事する時間が週28時間以上であれば、資格外活動許可「個別許可」が必要です。また、インターンシップで個別許可を受ける場合は、以下の条件を満たす必要があります。
【大学生】
- 在留資格「留学」をもって大学(短期大学を除く。)に在籍し、インターンシップを行う年度末で修業年度を終える人
- 卒業に必要な単位を9割以上修得している人
【大学院生】
- 在留資格「留学」をもって大学院に在籍し、インターンシップを行う年度末で修業年度を終える人
個別許可の対象と想定されるのは、主に大学4年生や修士2年生、博士3年生です。
海外の大学に在籍中の場合
海外の大学に在籍中であっても、日本でインターンシップに参加可能です。海外の大学に在籍中の人が報酬を得てインターンシップに参加する場合は、原則として1年を超えない期間で従事します。また、その際の在留資格は「特定活動(告示9号)」です。
なお、報酬を得ないインターンシップに参加する場合の在留資格は90日以上で「文化活動」、90日以内で「短期滞在」となります。対象者や詳細は、「出入国在留管理庁」の公式Webサイトで確認しましょう。
参照元 出入国在留管理庁「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について」
「資格外活動許可」について詳しく知りたい方は、「資格外活動許可とは?アルバイトを始めたい外国人留学生に向けて解説」のコラムを参考にしてください。
就労制限が例外として認められる対象者
留学生は資格外活動許可を取得することで報酬を得られるインターンシップに参加できますが、原則として従事できるのは週に28時間以内と決まっています。しかし、「特定活動」ビザで在留し、日本で就職活動を行っている学生や就職内定者については、就労制限が例外として認められ1週間につき28時間以上のインターンシップ参加が可能です。ほかにも、専攻科目と強い関連性が認められる企業でインターンシップに参加する場合は、許可されるケースもあります。
「特定活動」について詳しく知りたい方は、「特定活動とはどのような在留資格?主な種類や申請方法」のコラムを参考にしてください。
留学生がインターンシップを探す方法
インターンシップを探す方法はさまざまです。在学している大学の掲示板に掲載される場合もあるため、参加したいと考えている人はチェックしてみましょう。過去にどのようなインターンシップがあったか知りたい人は、就職課の担当職員に直接聞いてみるのもおすすめです。
また、就職支援サイトには、多くのインターンシップ情報が掲載されています。自分でじっくり探したい人は、就職支援サイトを確認しましょう。
ほかにも、インターンシップを専門としたあっせん業者もあります。あっせん業者を利用することで、企業情報を詳しく理解できるでしょう。また、自分の希望に合った企業を紹介してもらえたり、企業と学生とのミスマッチを防いだりできるなどのメリットもあります。
インターンシップに応募する際の志望動機の書き方について詳しく知りたい方は、「外国人留学生向けインターンシップ用の志望動機の作り方」のコラムを参考にしてください。
まとめ
インターンシップは、在学中に就業体験ができる制度です。日本で就職を希望する留学生にとって、日本企業を理解できるのは大きなメリットといえるでしょう。そのため、「インターンシップに参加したい」という留学生も多く、関心も高まっています。留学生が有給インターンシップに参加する際は、資格外活動許可が必要です。参加前に、必ず条件や対象を確認しておきましょう。