海外進出企業の動向は?課題に対する取り組みも解説【2023年最新】

2023年06月19日
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海外に進出する企業は年々増加しており、2021年には拠点数が77,000を超えました。大企業だけでなく、中小企業がグローバル展開をするケースも増えています。
このコラムでは、日本貿易振興機構(ジェトロ)の行った「2022年度海外進出日系企業実態調査」をもとに、海外進出企業の現状や動向を解説。内容を参考にして、自社の海外進出に活かしましょう。

目次

  1. 海外進出企業の経営状況
  2. 海外進出企業の今後の動向
  3. 海外進出企業の賃金や人材の働き方
  4. 海外進出企業が抱える課題
  5. まとめ
  6. EORサービスを検討中の企業様へ

海外進出企業の経営状況

海外進出企業の経営状況の画像

ここでは、日本貿易振興機構(ジェトロ)の行った「2022年度海外進出日系企業実態調査」をもとに、海外進出企業の経営状況を解説します。

黒字を見込む企業が増加してきている

引用:日本貿易振興機構(ジェトロ)「2022年度海外進出日系企業実態調査

アンケートに回答した企業のうち、64.5%が2022年に黒字を見込む結果となりました。新型コロナウイルスが流行する前とほぼ同等の水準に戻ったといえます。2022年は新型コロナウイルスが完全に収束したとはいえないものの、各国で行動制限が解除されて徐々に以前の生活が戻ってきた年です。そのため、人々の消費活動が活発になり業績が回復していったのだと考えられます。

ロシア・中国に進出した企業は厳しい状況

黒字に転じた企業が前年より増えた一方で、ロシアや中国に進出した企業は赤字の割合が増加しました。2022年、中国は厳しいゼロコロナ政策を実施。人々の接触が厳しく制限されただけでなく、工場の操業停止や店舗の休業を余儀なくされた企業も多数ありました。事業継続を諦め、中国からの撤退を決めた企業も少なくありません。

ロシアに進出していた企業は、ウクライナ侵攻による国内の経済制裁の影響が甚大でした。未だ事態の収束の兆しはなく、2023年以降も厳しい状態が続くと見られます。

行動制限解除で営業利益が改善された業種もある

行動制限が解除されたことにより、前年比で営業成績が改善された業種もあります。

前年より営業利益が改善された企業が多かった業種は、以下のとおりです。
 

業種名

営業利益が改善見込みにあると答えた企業の割合

衣服・繊維製品

51.3%

ホテル・旅行

74.7%

人材紹介・人材派遣

73.3%

飲食

70.3%

これらの職種は新型コロナウイルスの影響が断定的になり、外出機会が増えたり雇用環境が改善されたりしたため、営業利益が改善されたと考えられる業種です。

参照元
日本貿易振興機構(ジェトロ)「2022年度 海外進出日系企業実態調査

海外進出企業の今後の動向

海外進出企業の今後の動向の画像

業種や進出国によって、今後の事業の方向性は分かれました。

飲食や人材紹介業の企業は事業拡大意欲が高い

この先1~2年で事業を拡大すると答えた企業の割合が高い業界は、以下のとおりです。

※青=拡大、緑=現状維持、オレンジ=縮小、赤=第三国(地域)へ移転、撤退

引用:日本貿易振興機構(ジェトロ)「2022年度海外進出日系企業実態調査

飲食業界は、行動制限の解除による外食需要の増加を見込んでいます。人材紹介業界は生産活動が活発になり、人材獲得需要が増加すると予想しているようです。

ただし、進出国によって企業の事業展開の方向性に違いがあります。経済発展が目覚ましいインドでは72.5%、ベトナムに進出している企業は60%が事業を拡大するとアンケートに回答しました。一方で、経済制裁の影響下にあるロシアは、事業を拡大すると答えた企業は1.7%に留まり、撤退や移転、縮小を計画する企業が60%を超えています。

これらの点を考慮して、進出国を決定するのも一つの方法でしょう。

多くの製造業が事業の見直しを進めている

物価や燃料費の高騰は、さまざまな業界に影響を与えました。なかでも、製造業の多くは事業の見直しを進めています。新型コロナが流行してから2022年後半までに、調達や生産、販売の過程(サプライチェーン)を見直したと答えた製造業の企業は49.7%でした。また、今後行う予定と答えた企業は59.9%にも上ります。

コスト増加や現地の物流混乱が懸念

多くの海外進出企業の間で、原材料の調達先や商品の販売先を見直す動きが高まっています。


引用:日本貿易振興機構(ジェトロ)「2022年度海外進出日系企業実態調査

調達先を見直す理由は原材料費の高騰が大きく、コストを抑える方法を模索している企業が多いようです。また、災害や経済状況、人材などによるサプライチェーン途絶リスクを考慮し、調達先を見直すと答えた企業も49.9%ありました。

販売先を見直す企業の42.7%は、物流費の高騰を理由に挙げています。また、コロナ収束後の消費者の行動や市場の変化を理由とする企業も、40.8%ありました。

海外進出企業の賃金や人材の働き方

海外進出企業の賃金や人材の働き方の画像

ここでは、海外進出企業の賃金や人材の働き方の変化を紹介します。

物価高騰を受けて賃金は上がっている

2022年は物価高騰を受け、多くの国でベースアップ(賃金上昇)が行われました。なかでも、ブラジルやインドのベースアップ率は8%代と高い水準です。
インドやベトナムではベースアップ率がインフレ率を上回り、好景気であることが伺えます。

現地従業員が増えている

海外に進出した企業には、今後1~2年で現地従業員を増やし、駐在員を減らしていく動きが見られました。コロナ禍で駐在員の引き上げや削減を行った企業は、現地採用の従業員を日本から上手くマネジメントする手法を確立したといえます。

欧州ではリモートワークが定着化している

コロナ禍により、出勤せずに自宅で働くリモートワークは人々の間に浸透しました。しかし、コロナ収束後の定着率は地域によって異なります。
2023年に、全員出社(出社比率90%)の対応を取ると回答した企業の地域別割合は、以下のとおりです。

地域

2023年に全員出社を実施する企業の割合

南西アジア

70.6%

北東アジア

68.1%

ASEAN

67.2%

中東

57.3%

アフリカ

55.9%

中南米

46.3%

北米

38.0%

欧州

29.6%

上記を見ると、欧州はコロナ後もリモートワークを継続する企業が多かったのに対し、アジアではコロナ前の働き方に戻す企業が多いのが分かります。

欧州や北米では、コロナ前からオフィスに出社をしない働き方が普及していました。もともとリモートワークがしやすい環境が整っていたため、人々に浸透しやすかったのだと考えられます。

一方、アジアでは全員で同じ場所に出社して働くことが一般的でした。コロナ禍によりリモートワークを導入したものの、システムが整っておらず効率の低下やマネジメント課題が浮き彫りになった企業も少なくありません。そのため、リモートワークが定着しにくかったのでしょう。

海外進出企業が抱える課題

海外進出企業が抱える課題の画像

海外に進出した企業は、「温室効果ガスの削減」や「人権尊重のための取り組み強化」が求められています。

温室効果ガスの排出量

アンケートに答えた企業のうち、71%が脱炭素化を経営課題として挙げていました。

引用:日本貿易振興機構(ジェトロ)「2022年度海外進出日系企業実態調査

特に、製造業の企業で取り組みが進んでいるようです。
日本企業は、欧州の企業と比較すると環境配慮への取り組みが遅れていました。しかし、そのままでは各国のサプライチェーンから除外される恐れがあるうえ、環境に配慮した現地の新たな制度・法律に対応できません。それゆえに、本格的な対策に乗り出した企業が増えたのだと考えられます。

人権への責任ある行動が求められている

2011年に国連が「ビジネスと人権に関する指導原則」を成立させたのを皮切りに、日本を含む各国で人権尊重のためのガイドラインが策定されました。

人権尊重の取り組みを怠る企業は評判を落とし、売上に影響がでる可能性があります。実際に、海外進出企業のうち、59.8%がサプライチェーン上の人権への取り組みを課題としていました。

現状、人権尊重への取り組みを実施している海外進出企業は28.7%に留まっていますが、今後さらに増えていくでしょう。

まとめ

まとめの画像

2022年は、海外進出企業にとって変化や改革が迫られていた年でした。進出国によって、事業の拡大を見込める企業、撤退を余儀なくされる企業の割合が分かれているのも特徴です。内容を海外進出を検討する際の参考にしてください。

EORサービスを検討中の企業様へ

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海外雇用代行(EOR)サービスとは、現地法人を設立することなく、様々な国で現地人材の雇用を可能にする新しい形の雇用モデルです。

通常、企業が海外人材の雇用や海外進出を行う際には現地法人設立の手間がかかりますが、EOR事業者が保有している各国法人で、企業に代わって現地人材を雇用するため、最短2週間で労働者を雇用することが可能です。

海外雇用代行(EOR)サービスとはの画像

また、EOR事業者が各国の法律を遵守する形で、現地人材への給与支払や社会保険の支払を行うことで、企業のグローバル市場への参入や世界中の人材雇用を柔軟かつ容易にします。

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