日本の電車では、電話や飲食を避けるのがマナーです。また、乗車後にドアの近くで立ち止まらないようにしましょう。やむを得ず立つ場合は、ほかの人の下車を妨げないように一度降りてから、再度乗車します。ほかにも、荷物を隣の座席に置くと乗客が座れないため、膝の上に置くか網棚を利用しましょう。
この記事では、日本の電車を利用する際のマナーについて詳しく解説します。また、満員電車や列車種別といった日本の電車の特徴も紹介。外国人が快適に利用する方法もまとめているので、ぜひご覧ください。
目次
外国人は驚く?日本の電車の特徴
日本の電車は定刻通りに来ることが一般的で、大幅な遅れはあまりありません。一方、通勤電車が満員であることや、運行体系が分かりにくいという短所もあります。また、電車内で寝る人が多いのも特徴です。
電車が時刻通りに運行している
国によっては、頻繁に電車が遅れたり、時間通りでないのが通常だったりする場合もあるでしょう。日本でも事故などで1時間前後の遅延が発生することはありますが、日常的な遅延は基本的に起こりません。
また、5分以上遅れた場合は遅延証明書が配られることが一般的です。遅延証明書は、公共交通機関が遅延があったと証明する書類で、労働者が電車の遅れで会社に遅刻する場合、企業によっては提出を求められることもあります。
通勤電車が混んでいる
都心の通勤電車の混み具合は、世界的にも有名です。どこの国にも通勤ラッシュはありますが、多くの本数が高頻度で走っているのにも関わらず、ここまで電車が満員になる場所はなかなかありません。
日本の会社では8時30分や9時頃に始業時間が定められていることが多く、朝の電車は満員です。急いでいるため、車内が混雑していても乗る人が多くいます。混み具合は、乗客同士の肩が触れたり、身動きが取れず、吊革につかまれなかったりすることもあるほどです。
電車内で寝る人が多い
外国では、電車内で無防備に寝ることは危険な行為だとされています。荷物の盗難に遭ったり、スリの標的になってしまったりするおそれがあるからです。
一方、日本では、通勤や通学の途中で電車の座席に座ったまま寝る人は珍しくありません。きちんと降りる駅で目が覚める場合もありますが、寝たまま乗り過ごしてしまう人もよくいます。
運行体系の種類が分かりにくい
日本には「特急」「準特急」「快速」「急行」「通勤急行」「準急」「各停」といったさまざまな列車種別が存在します。 止まる駅が異なるため、自分の目的に合わせて効率の良い電車を選べるのが特徴です。
列車種別が細かく設定された背景には、通勤の長距離化や利用者のニーズの多様化などがあります。種類は鉄道会社によって異なるため、路線図や鉄道会社の情報を見て判断すると良いでしょう。
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日本の電車を利用する際のマナー
日本の電車を利用する際は、ほかの人の邪魔にならないよう、立つ場所や荷物の置き方に注意が必要です。車内での電話や飲食を避け、優先席に座る場合は高齢者や体の不自由な人に席を譲るようにしましょう。
ここでは、日本の電車を利用する際のマナーを紹介します。
改札の前で立ち止まらない
電車を利用する際は、改札の前で立ち止まらないようにしましょう。改札の周りは人通りが多いため、待ち合わせや会話は離れた場所で行うほうが、周りの人の通行を妨げません。
ICカードの残高不足で改札を通れなかった場合も、後ろに並んでいる人が通れるようにすぐに道を空けます。
ホームにある階段の進行方向を守る
路線や駅にもよりますが、ホームにある階段には進行方向がペイントされています。階段を上る人は左側、下る人は右側などと区別されているため、矢印の方向通りに歩きましょう。
逆走してしまうと前から来た人と衝突する恐れがあるため、事故を防ぐため進行方向を守るのが大切です。
電車のドア付近で立ち止まらない
電車に乗車したら奥まで進みましょう。ドア付近で立ち止まってしまうと、後ろに並んでいる人たちの乗車を妨げてしまいます。
次の駅ですぐ降りたい、身体的な理由ですぐに乗り降りしたいなど、ドアの近くに立つしかない場合は、電車が停止したら一度降りましょう。そうすると、ほかの人がスムーズに下車可能です。降車する人が全員いなくなったのを確認してから、再び乗車します。
荷物を座席に置かない
電車に乗る際は、荷物を周りの座席に置くのではなく、膝の上に載せましょう。ほかの席に荷物を置くと、乗客が座れなくなってしまいます。
邪魔になりそうな大きな荷物は、座席の上にある棚に置くことも可能です。
優先席は高齢者や体の不自由な人に譲る
優先席は、高齢者や妊婦、具合が悪い人に積極的に譲る席です。誰でも利用できるため、席が空いていれば座り、対象者が現れたら譲ろうと考えている人もいます。しかし、体調が悪い人を見た目で判断するのは難しい場合があるため、常に数席空けておいたほうが親切でしょう。
なお、電車内が混雑しているときは、立っている人のスペースを空けるため優先席に座る場合もあります。その際は、周りに対象者がいないか確認してから座りましょう。優先席を必要とする人が来たら、すぐに席を譲るのがマナーです。
車内で電話をしない
日本では、電車で通話をすることは鉄道会社から明確に禁止されています。ほかの人から注意されてトラブルに発展することもあるため、車内での電話は控えましょう。
また、着信音が響くことを避けるため、マナーモード設定をしておくと安心です。動画を見る際は音を出さないよう、イヤホンを使用しましょう。
そのほか、体に医療機器を入れている人に電波が影響しないよう、優先席付近では混雑時に携帯電話の電源をオフにしておくことも重要です。
車内で飲食しない
車内での飲食はマナー違反になる場合があります。匂いや音が出るものを食べたりお酒を飲んだりすると、ほかの乗客が迷惑に感じることもあるからです。ただし、水やお茶、ジュースなどでの水分補給や、飴などの目立たないものは食べても構わないでしょう。
なお、普通列車のグリーン車では飲食物が車内販売されていることもあります。食事する際は、ほかの人に配慮しながら食べるようにしましょう。
また、車内でペットボトルや缶、飴の包み紙などのゴミが出た場合、その場に置いていかずゴミ箱に捨てることも重要です。
整列乗車する
日本では電車に乗る前に整列し、降りる人を優先してから列の順番通りに乗車します。整列乗車は、割り込みなどのトラブル防止や、時間通りの列車の運行に繋がるのが利点です。
利用客が多い駅では、利用する列車の種類によって乗車位置を分けていることもあります。目立つ色や文字でホームに表示されているため、確認してから並びましょう。
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外国人が快適に日本の電車を利用するには
朝夕の通勤・通学ラッシュなどを避けるだけでも、電車は快適に利用できます。また、分からないことがあれば、駅員に聞くとスムーズに解決できるでしょう。
ここでは、外国人が日本の電車を快適に利用する方法を詳しく解説します。
あらかじめ下調べをしっかりする
日本の電車を使う際は、特徴やマナーをあらかじめ理解しておきましょう。事前に下調べをしておくことで、実際の利用の際に慌てることが減ります。また、マナー違反の行動を知っておけば、トラブルを回避しやすいでしょう。
それでも不明点がある場合は、駅員に尋ねることも可能です。券売機の操作方法や目的地までの行き方など、一人で悩むよりも早く解決できます。
混んでいる時間帯を避けて乗車する
観光の際は、混んでいる時間帯を避けて乗車するのが良いでしょう。朝夕の通勤時間は混雑するため、身動きが取れない場合もあるためです。
女性専用車両がある場合は乗車するのも良いでしょう。痴漢から女性を守るため導入されたもので、体の不自由な人や介助する男性、小学生以下の男の子も利用できます。ほかと比べて人数が少ないため、混雑を避けられるはずです。なお、路線によって利用できる時間帯は異なります。
まとめ
日本の電車は時刻通りに運行し、一般的に、5分以上遅れた際は遅延証明書が配られます。通勤電車は身動きが取れないほど混んでいるため、観光の際は朝夕の利用を避けたほうが良いでしょう。
マナーとしては、乗車中の電話や飲食を避け、ドア付近に立つ際はほかの人がスムーズに下車できるように、一度降りてから再び乗車することが大切です。優先席は高齢者や体の不自由な人に譲りましょう。