日本にはさまざまなことわざがあり、日常生活やビジネスシーンでの会話に使われます。かっこいいことわざも多く、自分の人生や生き方、価値観を端的に表す「座右の銘」にする人も。
この記事ではかっこいいことわざの意味や読み方を紹介します。「かっこいいことわざを自然に言えるようになりたい!」「座右の銘が欲しい」という方はチェックしてみましょう。
目次
日本にはかっこいいことわざが多い
日本では古くからことわざが使われており、音の響きや意味がかっこいい言葉があります。ことわざは日本人の生活や気質と密接に関係しており、風刺や教訓が込められているのが特徴です。
また、中国の古い言い伝えからできた故事成語(こじせいご)も含まれており、さまざまな事象を表す言葉が存在しています。ことわざは会話のなかでもよく使われるので、ぜひ覚えておきましょう。
「日本語のことわざはビジネスや日常生活に役立つ?外国人が学ぶメリットとは」ではことわざを勉強するメリットを紹介しているので、参考にしてください。
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以下では、日常会話やビジネスシーンで使えるかっこいいことわざを紹介します。ことわざをうまく会話に取り入れて、伝えたい内容を的確に表現してみましょう。
1.風林火山
風林火山は「ふうりんかざん」と読み、中国の古い戦術を表した言葉から生まれました。「風のように素早く林のように静かに構え烈火のごとく侵攻し山のように構えて動かない」という意味のことわざです。
現代では、「情勢や時期に応じて物事に対処すること」との意味で使われます。スポーツや武道の心構えとして、風林火山が掲げられることも。知名度が高く、かっこいい日本のことわざとして広く知られています。
使い方としては、「今は売り上げが少ないが、今後社名の認知度が高まれば収益も増えるだろう。それまでは風林火山のように、状況に応じてその時々でできることをするべきだ」と使用できます。
2.虎穴に入らずんば虎子を得ず
虎穴に入らずんば虎子を得ずも中国の故事成語から生まれたことわざで、読み方は「こけつにはいらずんばこじをえず」です。「虎の子どもを捕まえるには虎のいる洞窟に入らなければならない」という意味があります。現在では、「危険を冒さなければ成功や利益は得られない」との意味で使われるようになりました。
ビジネスシーンにおいて、ハイリスクハイリターンを表す言葉として使われる場合もあります。
使用例は次のとおりです。「起業には借金を負うリスクもあるが、成功すれば高い収入を得られるかもしれない。虎穴に入らずんば虎子を得ず!思い切って挑戦してみよう。」
3.雨垂れ石を穿つ
雨垂れ石を穿つは、「あまだれいしをうがつ」と読みます。「どれだけ微力でもあきらめずに継続していれば努力が実る」という意味のことわざです。かっこいいことわざとして、座右の銘にする人もいるようです。
仕事やスポーツを頑張る人を励ます際にも使えることわざなので、覚えておくと役に立つでしょう。
たとえば、「今は試合に勝てない。でも雨垂れ石を穿つというし、毎日トレーニングを続けていれば、いつか結果に結びつくはずだ」と使えます。
4.百里を行く者は九十を半ばとす
百里を行く者は九十を半ばとすの読み方は、「ひゃくりをゆくものはきゅうじゅうをなかばとす」です。一里は昔の距離の単位で約4kmを表します。「百里の旅路は最後になるほど苦しいため九十里で半分と考える心構えがないと到達できない」という意味です。「百里の道は九十九里を半ばとす」「百里の道は九十里が半ば」も同じ意味で使われます。
何事もあと少しというときに気を引き締めないと失敗するという戒めが込められており、かっこいい心構えを説いたことわざといえるでしょう。
次のように使えます。「やっとレポートを書き終えた!でも、これから本文の見直しや参考文献の整理をしないと。百里を行く者は九十を半ばとす。ここからが大変だから、気を引き締める必要があるな。」
5.立つ鳥跡を濁さず
立つ鳥跡を濁さずは、「たつとりあとをにごさず」と読みます。水鳥が飛び立ったあとに、水面が澄んだまま美しい状態が維持されている様子が語源です。「引き際が潔く美しい」「立ち去るときは見苦しくないように痕跡を残さない」といった意味を持っています。去り際の志を説いたかっこいいことわざです。
対義語に「後は野となれ山となれ」「後足で砂をかける」などがあるので、あわせて覚えておきましょう。
立つ鳥跡を濁さずの使用例は次のとおりです。「アルバイトを明日で辞める。もう職場の人には会わないけど、立つ鳥跡を濁さずで、しっかり挨拶をしてから退職しよう。」
6.人事を尽くして天命を待つ
人事を尽くして天命を待つは、「じんじをつくしててんめいをまつ」と読みます。「全力でやれるだけのことをやったのであれば、あとは天の意思に任せるだけ」という意味のことわざです。中国の古典に記されている「人事を尽くして天命に聴す」が語源とされています。努力して全力を尽くす様子が思い浮かぶかっこいいことわざです。
ビジネスシーンで耳にする機会が多いことわざなので、覚えておくとコミュニケーションが円滑になるでしょう。
たとえば、「仕事の面接が終わったけど、採用されるか不安だ…。でも私はたくさん練習して面接に臨んだんだ!人事を尽くして天命を待つ。あとは結果を待つだけだ」と使います。
7.勝って兜の緒を締めよ
勝って兜の緒を締めよの読み方は、「かってかぶとのおをしめよ」です。「勝利を収めたあとこそ気を引き締めたほうが良い」という意味があります。
戦いにおいて勝利を収めて気が緩んだ隙を突かれて攻め込まれ、次の戦いで負けてしまう人は少なくありません。このことわざは、現代では「スポーツや仕事、学業などで成功を収めたあとも油断しないように」という意味で使われています。戦いに臨む武士を連想させるような、かっこいいことわざといえるでしょう。
次のように使います。「語学の資格に受かった!つい浮かれてしまうけど、勝って兜の緒を締めよというし、次の級の勉強もしっかり進めよう。」
8.衣食足りて礼節を知る
衣食足りて礼節を知るは、「いしょくたりてれいせつをしる」と読みます。意味は、「人は生活に余裕ができて初めて礼儀・礼節を重んじるようになる」です。貧しく、生活するのも必死な状況では、心の余裕がなく礼儀作法を気に掛けられません。礼儀・礼節を重んじる人間になるには、生活を整えるのが重要だという教訓が込められています。
たとえば「昔は自分が良ければ人に迷惑をかけても気にしなかった。しかし、今は生活が安定しているからか、衣食足りて礼節を知るというように、相手の気持ちを考える余裕が出てきた。」のように使えます。
9.禍を転じて福と為す
禍を転じて福と為すの読み方は、「わざわいをてんじてふくとなす」です。「災い転じて福となす」と書く場合もあるので、あわせて覚えておきましょう。
このことわざには「不幸が幸福に転じる」「災難を逆手にとって有効活用する」といった意味が込められています。逆境でもあきらめないポジティブさが、かっこいいことわざといえるでしょう。
使用例は次のとおりです。「自分の実力では難しい仕事を依頼されてしまった。大変な思いをしたが、必死に仕事に取り組んだ結果、スキルが上がって仕事の依頼が増えた。禍を転じて福と為すとはこのことだ。」
10.窮鼠猫を噛む
窮鼠猫を噛むは「きゅうそねこをかむ」と読みます。「本来弱者であるネズミも追い詰められれば猫を噛む」という意味です。捕食者である猫に対して、ネズミは弱く真っ向勝負しても勝てる見込みはありません。しかし、絶体絶命の窮地に立たされたことで通常以上のポテンシャルが発揮され、ネズミが猫に打ち勝つ場合もあるという教訓が込められています。
本来起こりえない状況を引き起こすかっこいいことわざとして、人気がある言葉です。
次のように使えます。「パワハラのひどい上司に部下が立ち向かって、態度を改めるよう要求した。上司はたじろいでいたので、窮鼠猫を噛むということを全く考えていなかったのだろう。」
11.天網恢恢疎にして漏らさず
天網恢恢疎にして漏らさずは、「てんもうかいかいそにしてもらさず」と読みます。「神は地に網を張り巡らしており悪行を行えば必ず捕らえられる」という意味のことわざです。「一時は逃れられてもいつかは捕まる」といった教訓も込められています。日本は主に仏教が信仰されている国です。そのため、人を叱ったり悪事を働かないように注意したりする際に、このことわざが使われます。音の響きがかっこいいことわざといえるでしょう。
「お天道様が見ている」「お天道様に顔向けできない」といった類義語もあります。
たとえば、「人が見ていないからといって、お金や物を盗んではいけない。天網恢恢疎にして漏らさずというように、結局捕まってしまうのだから」のように使えます。
12.実るほど頭を垂れる稲穂かな
実るほど頭を垂れる稲穂かなの読み方は、「みのるほどこうべをたれるいなほかな」です。「仕事や勉強ができる人ほど謙虚である」という意味があり、「会社や人は成長しても慎ましさを忘れてはいけない」と説いています。稲の実が大きくなるほどに穂先が下がる様子が由来です。
意味がかっこいいので、実力をつけたり出世したりしても謙虚な態度を忘れないようにと座右の銘にする人もいます。
使用例は次のとおりです。「会社で成果を挙げて、昇進できた。でも、まだまだ自分の行動には改善できる点があるはずだ。実るほど頭を垂れる稲穂かなの精神でいよう。」
13.鶏口となるも牛後となるなかれ
鶏口となるも牛後となるなかれは、「けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ」と読みます。「鶏の口になっても牛の尻にはなるな」という意味です。現在では「大きな組織の末端に位置するよりも小さな集団の先頭に立て」という戒めに使われるようになりました。高い志を説いたかっこいいことわざといえます。
中国の古典が語源で、四字熟語の「鶏口牛後」も同じ意味です。就職・転職活動を行っている人に対して、助言を送る際によく使われます。
鶏口となるも牛後となるなかれは、「最近できたばかりの小さい企業に就職したから、いろいろな業務を幅広く任せてもらえる。リーダーのポジションも得られた。鶏口となるも牛後となるなかれというが、ほかの企業ではここまでの経験はできなかっただろう。良い選択をしたな」と使えます。
14.一寸の光陰軽んずべからず
一寸の光陰軽んずべからずの読み方は、「いっすんのこういんかろんずべからず」です。光陰は太陽と月を指しており、時間を意味しています。「人生は短いので、少しの時間も無駄にしてはいけない」という意味のことわざです。中国の古い詩の一節がもとになって生まれました。
同じ意味を持つことわざには「光陰矢の如し」や「時は金なり」があり、戒めの意味を持つかっこいいことわざとして知られています。
一寸の光陰軽んずべからずは次のように使えます。「通勤時間はいつも寝てしまうけど、時間がもったいないかもしれない。一寸の光陰軽んずべからずというように、勉強したり本を読んだりしたほうがいいだろう。」
15.塵も積もれば山となる
塵も積もれば山となるは、「ちりもつもればやまとなる」と読みます。「小さい物事でも積み重なれば大きな結果に繋なる」という意味のことわざです。仏教書の言葉が由来になっており、塵とはごみや埃のことではなく「とても小さなもの」を表しています。
「毎日少しずつ練習をすることでスポーツが上達する」といった状況を表す際に使えます。小さな努力の積み重ねが大きな成果を生むことを意味するかっこいいことわざです。
「塵も積もれば山となるを信じ、学校が終わったあと、毎日野球の素振りをしている。勉強があるからあまり時間を割けないけど、この小さな積み重ねが上達に繋がるはずだ」のように使います。
16.巧詐は拙誠に如かず
巧詐は拙誠に如かずは、「こうさはせっせいにしかず」と読みます。中国の古典が由来の言葉で、「巧偽(こうぎ)は拙誠に如かず」ともいうようです。「巧妙に偽ったりごまかしたりするのは、巧みでなくても誠意があるのにはかなわない」という意味があります。「信頼関係を築くときは、上手にごまかすよりも、不器用なやり方でも誠実であることが大切だ」と言いたい場面で使うと良いでしょう。
会話例は次のとおりです。「うまく面接で話せるか心配だな。すらすら言えないかもしれないから、文章を暗記しないと。」「巧詐は拙誠に如かずで、ぎこちなくても気持ちをこめて説明したら伝わるんじゃない?文章を暗記すると棒読みに聞こえてしまうかもしれないね」と使えます。
17.背水の陣
背水の陣は「はいすいのじん」と読みます。川を背にして戦うことで、逃げられない状況で覚悟を決め、敵を打ち破ったという中国の故事が由来のことわざです。
「あとがない状態まで追い詰められた危機的な状況で、全力を尽くす」という意味で使われます。強い覚悟を表すかっこいいことわざといえるでしょう。
次のように使用できます。「卒業までに資格を取るには、今回が最後のチャンスだ。もうあとがない背水の陣だが、だからこそ全力を尽くして絶対に合格する。」
18.忍の一字は衆妙の門
忍の一字は衆妙の門は「にんのいちじはしゅうみょうのもん」と読みます。中国の『東莱集』が由来の言葉で、「忍耐は成功のもとになる」という意味です。衆妙の門とは、あらゆるすべてのものの奥深い道理の入口のこと。この言葉は、忍耐を持つことがさまざまな分野で深い理解を得る基礎になるという意味を表しています。困難な状況でも耐え忍ぶことが成功の入口であることを示したことわざです。
「とてもつらい状況だが、ここから得られることがあるかもしれない。忍の一字は衆妙の門というし、もう少し頑張ってみよう。」と使えます。
19.眼光紙背に徹す
眼光紙背に徹すは「がんこうしはいにてっす」と読みます。紙の裏まで目の力が通るという意から、「文章の表面上だけではなく、背後に含まれた深い意味を読み取り理解する」という意味です。江戸時代末期の儒者である塩谷宕陰の文章が由来だといわれています。
「この計画書はどんな意図でつくられたのだろう。眼光紙背に徹すというように、作成者の考えを理解しよう。そうすれば、意見交換で食い違いが生まれないはずだ」のように使うと良いでしょう。
20.一念天に通ず
一念天に通ずは、「いちねんてんにつうず」と読みます。「物事を達成しようと強い意志を持つことで、その思いが天に通じてどんなことでもできる」という意味です。目標に向かって努力するときの心がけや、頑張っている人を励ますのに使うと良いでしょう。
使用例は次のとおりです。「目標はまだまだ遠いし困難が多い。でも、一念天に通ずで、強い意志を持って取り組んでいれば、成し遂げられるはずだ。」
21.禍福は糾える縄の如し
禍福は糾える縄の如しは、「かふくはあざなえるなわのごとし」と読みます。故事成語が由来になっており、「幸せと不幸せは、より合わせた縄のように互い違いに来る」という意味です。「良いときも悪いときも交互に訪れるので、その時々の幸せや不幸せに振り回されるのは意味がない」と言うのに使えます。
このことわざを覚えておくと、不幸だと感じるときは自分を励まし、幸福だと感じるときは悪いことも起こり得ると前もって注意できるでしょう。
たとえば次のように使用できます。「今はとてもつらいが、禍福は糾える縄の如し。これから幸せを感じられることもあるに違いない。」
ことわざは外国にもあります。「日本の有名なことわざを一覧で紹介!英語と似た意味のことわざも」では日本語と英語で似た意味を持つことわざも紹介。興味のある方はぜひチェックしてみましょう。
座右の銘にも使われるかっこいいことわざ
ここでは、座右の銘にするのにふさわしい、かっこいいことわざを紹介します。自分の座右の銘を探している方はぜひご一読ください。
能ある鷹は爪を隠す
能ある鷹は爪を隠すの読み方は、「のうあるたかはつめをかくす」です。鷹は鋭い爪を持っていますが、狩りの瞬間以外には見せません。その様子から、このことわざは「真に実力や才能がある人は力を見せびらかさず、いざというときにだけ本領を発揮する」という意味があります。かっこいいことわざとして人気があり、座右の銘にする人も多いようです。
使い方は次のとおりです。「あの人は成果を挙げ続けているのに全く自慢しない。能ある鷹は爪を隠すのようでかっこいい。」
初心忘るべからず
初心忘るべからずは「しょしんわするべからず」と読みます。もともとの意味は、「新しい物事を始めたころの未熟さや初めての体験を忘れてはいけない」です。転じて、「物事を始めたときの真剣さや謙虚さを忘れてはいけない」という意味のことわざになりました。
特にスポーツやビジネスシーンで、戒めの言葉としてよく使われます。
「最近仕事に慣れたと思っていたが、確認を怠ってしまいミスが増えてしまった。初心忘るべからずだな。気を引き締めよう」のように使えます。
七転び八起き
七転び八起きの読み方は「ななころびやおき」です。「何度失敗しても必ず立ち上がる」「人生は浮き沈みが激しい」といった教訓が込められています。何度転んでも必ず立ち上がろうとする意気込みがかっこいいことわざです。
類義語に「七転八起」や「失敗は成功のもと」などがあるので、好きな言葉を座右の銘にしてみましょう。
使用例は次のとおりです。「失敗ばかりだけど、ここで諦めちゃいけない。人生は七転び八起きだ。」
故きを温ねて新しきを知る
故きを温ねて新しきを知るは、「ふるきをたずねてあたらしきをしる」と読みます。四字熟語の温故知新と同じ意味のことわざで、「古い情報や先人の知恵に触れて、新しい知識・発見を得る」という教訓が込められた言葉です。
あえて、古い情報や知識から学ぼうとする姿勢をかっこいいと感じ、座右の銘にする人も少なくありません。
「故きを温ねて新しきを知るというように、既に経験がある人から情報を得るのは大切だ。過去の成功や失敗を知ることで、今後に生かせるのだから。」のように使用が可能です。
「日本のことわざクイズをご紹介!あなたはいくつ分かる?」では、日本のことわざをクイズ形式で紹介しています。興味がある方はぜひ挑戦してみてください。
まとめ
日本にはかっこいいことわざが数多くあります。さまざまなことわざを使いこなせるようになれば、表現力のアップが可能です。また、自分を鼓舞するかっこいいことわざを知っていると、人生に迷ったときの指針にできるでしょう。