外国人の雇用契約書はどこを確認する?サンプル付きでポイントを解説

WeXpats
2024/04/30

外国人が日本で就職する際に渡される雇用契約書は非常に重要な書類で、確認すべき項目がたくさんあります。基本的には、内容に日本人と相違はありません。しかし、停止条件や分かる言語で作成してもらうなど、一部注意すべきポイントがあります。この記事では、外国人が雇用契約書で特に確認すべき項目を解説しているので、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 雇用契約書とは
  2. 雇用契約書に書かれている主な内容
  3. 雇用契約書で特に確認するポイント
  4. 雇用契約書を確認するときの注意点
  5. まとめ
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雇用契約書とは

雇用契約書とはの画像

日本では就職が決まると、「雇用契約書」や「労働条件通知書」を就職先と取り交わします。

雇用契約書には、労働契約の内容について書かれています。具体的には、雇用形態や勤務時間、賃金など細かい労働条件です。内容を確認し、合意の上、署名捺印を交わして労働契約を結びます。採用や入社後のトラブルを防ぐことにも繋がる大切な書類です。

なお、2019年4月以降、雇用契約書については、本人の希望があり、かつ、書面で印刷できる形式であればFAXやメール、SNSでの通知も認められています。

一方、「労働条件通知書」は、雇用契約書と同じく労働条件が記載された書類です。雇用契約書と違い、署名捺印をする必要はありません。労働契約書は「通知」することが目的であり、労働条件通知書は企業からの交付が義務化されています。

雇用契約書と労働条件通知書の違いについて詳しく知りたい方は「雇用契約書と労働条件通知書とは?違いや役割を分かりやすく解説」にまとめています。

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雇用契約書に書かれている主な内容

雇用契約書に書かれている主な内容の画像

雇用契約書は、賃金や勤務時間、就業場所などの労働条件などが書かれた書類です。
雇用契約書や労働条件通知書、労働条件通知書兼雇用契約書などの内容はほとんど変わりませんが、書面には法律上、記載しなければならない項目が決まっています。
以下の画像は労働条件通知書の英語版です。
厚生労働省のWebサイトに13言語でサンプルが掲載されているので参考にしてください。

ここでは、労働条件通知書のサンプルを見ながら、書かれている内容について解説します。

労働条件通知書のサンプル画像

労働条件通知書のサンプル画像

労働条件通知書のサンプル画像

労働条件通知書のサンプル画像
引用:厚生労働省「外国人労働者向けモデル労働条件通知書(英語)

契約期間

雇用契約の期間に関する項目です。
契約期間のない正社員の場合は「なし」と記載し、契約期間を設ける場合はその期間を記載することが定められています。

2024年4月以降は、契約期間がある労働契約を結ぶ時と契約更新の時には、更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無、及び更新上限がある場合にはその内容について記載された項目も追加となりました。契約社員や雇用期間が定められて就職する場合は、雇用期間や契約更新の有無を確認すると良いでしょう。

就業の場所

勤務する場所の住所が記載されています。
従来は入社直後に配属が予定されている就業場所が記載されていました。2024年4月以降は、配置転換や人事異動、昇進などのタイミングで就業場所が変更になる場合、今後の見込みを含めた範囲も記載するのが義務づけられています。

従事する業務の内容

従事する業務の内容が、具体的に書かれている項目です。
こちらも入社直後に配属される業務の内容だけが記載されていましたが、2024年4月以降は、今後の見込みを含めた業務内容が記載されています。

始業・終業・休憩時間

始業や終業時間、休憩時間、所定時間外労働の有無は必ず記載が必要な項目です。
労働基準法では、所定労働時間が6時間以上、8時間以下の場合は45分、所定労働時間が8時間を超える場合は1時間の休憩が必要と定められています。

休日

休日の曜日や日にちに関する項目です。
雇用主は労働者に対し少なくとも1週間に1日、または4週間に4日の休日を与えることが労働基準法で定められています。休みが決まった曜日ではない場合は「週に▲日」や「月▲日」と記載され、1年単位の変形労働時間制の場合は、年間休日が記載されるのが一般的です。

休暇

雇用開始から6ヶ月間勤務し、出勤率が8割を超える従業員に対して必ず付与される、年次有給休暇。労働条件通知書では、年次有給休暇の日数を雇用形態に応じて記載されます。ほかにも、育児や介護休暇、会社で定める休暇が記載されているので、長期勤務する際は確認すると良いでしょう。

賃金

賃金の締め日や支払日、支払い方法は、必ず記載が必要な項目です。
企業は少なくとも月に1回以上、「毎月25日払い」など一定の期日を定めて賃金を支払うことが定められています。賃金の支払い方法や計算方法、締切日などについて書かれている大切な項目です。

退職に関する事項

定年制と継続雇用制度について、制度の有無が書かれています。
日本では、定年退職の年齢について60歳を下回ってはいけません。自己都合退職を希望する場合の届出日、解雇される時の条件や手続きなどについても記載されています。退職する際の情報として、企業の就業規則を把握しておくことは非常に重要です。

その他

社会保険の加入状況や雇用保険の有無、年金制度について記載されています。
社会保険の加入対象は国籍で区別されません。一定の条件で加入となり、必要なときに保障や給付を受けられます。

外国人向けの社会保険や社会保障制度に関する記事は「社会保険の加入は外国人も対象!脱退一時金や社会保障協定の仕組みを解説」「外国人労働者も社会保険に加入する!日本の社会保障を徹底解説」でも紹介しています。

雇用契約書で特に確認するポイント

雇用契約書で特に確認するポイントの画像

ここでは、雇用契約書を確認する際に、特にチェックすべき項目を解説します。自分が考える条件や将来的なプランと一致しているか、安心して働けるかを考えながら、目を通すと良いでしょう。

雇用形態

雇用形態は、最も重要な確認事項といえます。雇用形態によって、賃金や福利厚生、待遇などのさまざまな条件が異なりやすいからです。正社員や契約社員、派遣社員など、自分がどの雇用形態で入社するのかを確認します。

勤務地・異動の有無

転勤や異動の可能性があるポジションの場合、雇用契約書や労働条件通知書には「就業場所」や「従事すべき業務の内容」の「変更の範囲」に内容が記載されています。転勤の頻度・期間の目安や入社後すぐの転勤の可能性について事前に確認すると良いでしょう。

賃金・賃金の計算方法・支払方法

募集要項や面接で確認した賃金と実際の賃金に相違がないか確認します。企業によっては、勤務地によって賃金が変動するケースも珍しくありません。また、時期や実績によって変動があるかどうかも確認しておきましょう。また、企業によっては、昇給や賞与の有無も記載されています。

所定時間外労働の有無

所定時間外労働とは、残業のことです。残業時間や残業代の支払いの有無は、重要な項目といえます。日本では、特別な理由がない限り月45時間を超える残業は認められていません。残業について、企業がどのように対応しているのか、確認しておくことをおすすめします。

社会保険や労災

社会保険は一定の条件を満たせば、国籍を問わず加入しなくてはなりません。労災保険も、雇用形態に関わらず、すべての労働者が加入対象です。社会保険の加入や労災保険、雇用保険の適用の有無については、雇用契約書に必ず記載が必要な項目ではありません。しかし、勤務をする上で重要な確認ポイントになるので、雇用契約書に記載がない場合、加入状況や条件を企業へ確認しておくと良いでしょう。

停止条件(停止条件付雇用契約)

外国人が企業と雇用契約を結ぶ際に、特に記載されている項目です。在留資格がないままに働いた場合、「不正就労」になってしまいます。そのため、多くの企業は「本契約の効力は、就労可能な在留許可を得ることを停止条件とし、その効力を生じる」というような文言を雇用契約書に記載していることが一般的です。どのような内容が停止条件となっているのか確認することをおすすめします。

雇用契約書を確認するときの注意点

雇用契約書を確認するときの注意点の画像

雇用契約書を確認するときの注意点は、確認漏れがないように丁寧にチェックすることが重要です。

確認漏れがないように丁寧にチェックする

確認漏れがないよう、書面の内容を丁寧にチェックします。雇用契約書は確認事項が多いため、大事な部分を見落としてしまうのを防ぐためです。万が一、確認漏れがあると入社後の企業とのトラブルに繋がりかねません。

口頭で契約をしない

雇用契約は口頭でも成立します。しかし、労働条件を把握するためにも書類を交わしましょう。なお、雇用契約書もしくは労働条件通知書は、在留資格を申請する際に出入国在留管理局にコピーを提出する必要がある書類です。

分かる言語で作成してもらう

双方の認識に相違がないか確認するためにも、分かる言語で雇用契約書を作成してもらうことをおすすめします。母国語で作成もしくは雇用契約書に翻訳文をつけてもらうと良いでしょう。

労働条件を承諾できない場合は辞退も考える

労働条件を承諾できない場合は辞退も考えます。内定通知をもらったからといって、必ずしも入社する必要はありません。自分がその会社で勤務することが可能かどうかをよく考え、疑問に思う点があれば企業に質問しましょう。

まとめ

まとめの画像

雇用契約書の内容に外国人と日本人で、基本的に相違はありません。雇用契約書は、日本で働く上で非常に重要な書類です。しかし、停止条件や分かる言語で作成してもらうなど、注意が必要な部分もあります。入社後に安心して働き続けられるよう、細かい部分までイメージしながら確認することが大切です。

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