日本の音楽の魅力を詳しく解説!歴史や伝統的な楽器を知ろう

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2023/03/20

邦楽は日本の音楽を意味する言葉です。日本の音楽にはどのような特徴があるのか、気になる方もいるでしょう。日本各地で開かれるお祭りに行くと、和楽器による演奏を楽しめます。能や歌舞伎(かぶき)といった伝統芸能も、音楽と切り離して語ることはできません。このコラムでは、邦楽の発展の歴史や代表的な民族楽器について解説します。近年登場したJ-POPやアニメソングなどの邦楽も紹介するので、チェックしてみましょう。

目次

  1. 日本の音楽の歴史や特徴を紹介
  2. 日本の音楽に使用される伝統的な楽器
  3. 日本の音楽が聴ける伝統芸能
  4. 日本の音楽を表す「邦楽」には2つの意味がある
  5. 多様化する日本の音楽
  6. まとめ

日本の音楽の歴史や特徴を紹介

日本の音楽の歴史や特徴を紹介の画像

日本の音楽は諸外国の影響を受けながら発展し、現代まで受け継がれてきました。ここでは、日本の音楽文化が諸外国とどのように交わり、邦楽の歴史が築かれていったのかを解説します。

外国の音楽が日本に伝来した古代

最初に外国の音楽が日本に伝わったのは、大和政権(4世紀~7世紀)のころだといわれています。朝鮮や中国の音楽が伝来し、日本の伝統音楽のルーツになりました。

飛鳥時代には、百済(くだら:古代に朝鮮半島にあった国家)から伎楽(ぎがく)が伝わりました。

奈良時代にはベトナムから林邑楽(りんゆうがく)が、平安時代には中国から渤海楽(ぼっかいがく)が伝わったとされています。林邑楽と渤海楽は、宮廷の儀式や行事などで演奏される雅楽(ががく)となりました。

古代には、前述した音楽以外にも声明(しょうみょう)や今様(いまよう)などが生まれました。

声明は、仏教の儀式で経文(きょうもん)を声高く読む声楽の総称です。今様は平安時代中期に生まれた歌曲で、平安時代末期に大流行しました。

※飛鳥時代・奈良時代・平安時代などの時代区分については、コラム「記憶に残りやすい日本の時代年表の覚え方!」をご覧ください。

音楽が広く庶民に親しまれた中世

中世には、東アジアの楽器である琵琶(びわ)を用いた琵琶楽(びわがく)が登場しました。琵琶楽は琵琶を演奏しながら弾き語る音楽の総称で、大きく分けると楽琵琶(がくびわ)と盲僧琵琶(もうそうびわ)の2種類があります。

楽琵琶は主に、雅楽の演奏に用いられました。

盲僧琵琶は、九州地方を中心に琵琶法師(びわほうし)と呼ばれる盲目の僧によって演奏された宗教音楽です。盲僧琵琶が元となり、筑前琵琶(ちくぜんびわ)・薩摩琵琶(さつまびわ)なども生まれました。また、平家琵琶(へいけびわ)も誕生し、武士の栄光と没落を記した『平家物語』を語る平曲の伴奏に用いられます。

琵琶楽のほかにも、漢詩や和歌などに独特の抑揚を付けて歌う詩吟(しぎん)も、武士や僧の間に広まりました。

西洋音楽の影響を受けた近代~現代

近代になると、ヨーロッパを中心とした西洋音楽が日本に伝わり、大きな影響を受けるようになります。日本の音楽教育は、クラシック音楽などの西洋音楽を主に扱うようになりました。明治政府は人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)や歌舞伎などの芸能の弾圧も行ったため、日本の伝統音楽は一度衰退します。

その後、「日本の音楽の魅力を再確認しよう」という動きが起こり、1960年代には演歌が生まれました。日本の音楽を大切にしつつ、アメリカから伝わったジャズやロック、ラップなどの音楽も浸透していきます。

現代では、オペラの演奏に日本の伝統的な楽器を用いるといったように、西洋と日本の音楽をミックスした新たなスタイルも生まれています。

日本の音楽に使用される伝統的な楽器

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日本の音楽に使用される伝統的な楽器を和楽器といいます。和楽器は、日本の伝統音楽を構成する重要な要素の一つといえるでしょう。

【箏(琴)】 廻廻奇譚/Eve(呪術廻戦OP) - 箏cover

日本には、「こと」と呼ばれる2種類の弦楽器があります。一つは、琴(きん)という日本に古くからある楽器です。一説によると、すでに弥生時代には琴の元となる楽器が存在していたといわれています。古代日本では、権力や支配階級の象徴として祭祀で使われる神聖な楽器とされていました。琴は7本の弦があり、右手の指で押さえる場所により音を調整します。

もう一つは、中国から伝わった箏(こと・そう)です。13本の弦を支える柱の位置を調節し、指に琴爪をはめて演奏します。現代の日本では、一般的に「こと」と呼ばれているのは、箏のほうです。

三味線

【残響散歌】三味線だけで弾いてみたら火傷したぜ [鬼滅の刃 遊郭編:Demon slayer OP Theme " Zankyosanka " - Japanese Shamisen Cover]

三味線(しゃみせん)は、中国から伝わった三弦(さんげん)が元になったといわれている弦楽器です。琉球王国時代の沖縄県に三弦が伝わり三線(さんしん)となり、のちに三味線へ変化したといわれています。

三味線は、胴と棹(さお)に張られた3本の弦をヘラ状の撥(ばち)で弾き演奏します。棹の太さによって音域が異なり、演奏者の技量や音楽の種類によって使い分けるのが特徴です。

細棹は学校教材などに用いられ、初心者に向いています。中棹は小唄や民謡などに、太棹は音に深みがあり大きな音が出るので迫力ある演奏向きです。

日本の伝統音楽に用いられる横笛には、神楽笛(かぐらぶえ)、龍笛(りゅうてき)、高麗笛(こまぶえ)、能管(のうかん)、篠笛(しのぶえ)などがあります。

神楽笛や龍笛、高麗笛は雅楽や神社の儀式である神楽(かぐら)などに使われ、神聖な楽器として大事に受け継がれてきました。能管は日本の伝統芸能である能で、篠笛は各地の民謡やお祭りの際に使われています。

日本の伝統音楽に使われる楽器には、縦笛の尺八(しゃくはち)もあります。奈良時代に中国から伝わり雅楽に用いられ、その後、僧の修行の際にも用いられる楽器となりました。

太鼓

太鼓(たいこ)は日本の伝統的なお祭りや行事に欠かせない楽器です。日本の太鼓を総称して和太鼓といいます。桴(ばち)を使う太鼓や手で叩く鼓(つづみ)があり、大きさ・形態もさまざまです。

大太鼓(おおだいこ)は、お祭りで演奏される祭囃子(まつりばやし)によく使われる太鼓です。締太鼓(しめだいこ)や楽太鼓(がくだいこ)は、歌舞伎や民俗芸能などで用いられます。鞨鼓(かっこ)は、雅楽に使われる鼓です。

日本の伝統的な楽器についてさらに知りたい方には、「日本の伝統楽器にはどのような種類があるの?外国人向けに詳しく解説!」のコラムもおすすめです。

日本の音楽が聴ける伝統芸能

日本の音楽が聴ける伝統芸能の画像

日本の伝統芸能は音楽と密接な結びつきがあります。ここでは、能楽(のうがく)、人形浄瑠璃、歌舞伎について解説するので、参考にしてください。

能楽

能「松風」 Noh "MATSUKAZE"

日本の伝統芸能の一つである能楽は演者の舞と謡曲(ようきょく)といわれる歌、太鼓や笛による囃子(はやし)からなる音楽劇です。能楽には、能と狂言(きょうげん)の2種類があります。

能は、室町時代に「観阿弥(かんあみ)」と「世阿弥(ぜあみ)」によって作られました。歴史上の人物や物語をテーマにしており、能面をかぶった演者が登場します。豪華な衣装を用い、専用の能舞台で上演されるのが特徴です。

狂言は演者の対話によって話が進む演劇です。面や豪華な衣装、舞台装置は用いません。中世の一般の人々の日常生活をテーマに、人間の行動や癖を面白く表現しているのが、能と異なる点です。

人形浄瑠璃

人形浄瑠璃文楽は、物語の語り手である太夫(たゆう)と三味線、人形から構成される日本の伝統的な人形劇です。江戸時代初期に生まれ、2008年にはユネスコの世界無形文化遺産にも登録されました。

人形浄瑠璃では、太棹の三味線が使われます。太棹は重々しく落ち着いた音が出せるため、太夫の語りに迫力を持たせたる演出が可能です。太夫と三味線の息の合った音楽と細やかな人形の動きから、人間の複雑な心情や背景までもが描き出されます。

歌舞伎

歌舞伎は、役者の演技と踊り、音楽から成る日本の伝統的な演劇です。江戸時代に「出雲阿国(いずものおくに)」という人物が、奇抜な格好の傾奇者(かぶきもの)をまねて踊ったのが始まりといわれています。現代でも、豪華な衣装と隈取(くまどり)という目の周りを黒く縁取った化粧などが印象的です。

歌舞伎で演奏される音楽は、三味線を用いた長唄(ながうた)、義太夫(ぎだゆう)、常磐津(ときわづ)、清元(きよもと)の4種類です。曲により、複数の音楽が一度に演奏される掛合(かけあい)も用いられます。

歌舞伎についてさらに詳しく知りたい方には、「日本の歌舞伎の特徴や歴史を解説!役者や人気の演目も紹介」のコラムもおすすめです。歌舞伎以外の日本の伝統芸能に興味がある方は、「日本の伝統文化といえば何がある?継承への取り組みについても解説」のコラムも、ぜひご覧ください。

日本の音楽を表す「邦楽」には2つの意味がある

日本の音楽を表す「邦楽」には2つの意味があるの画像

日本の音楽を表す「邦楽」は、2つの意味で使われます。1つ目の意味は、「日本の伝統音楽」です。雅楽や神楽、声明、伝統芸能などに使われる古くから受け継がれてきた音楽を指し、国楽(こくがく)や和楽(わがく)ともいいます。

2つ目の意味は、「現代の日本で知られている曲」です。特に、日本のロックやポピュラーミュージックなどの曲を指して、よく使われます。

なお、日本のポピュラーミュージックは「J-POP」と呼ばれています。J-POPについては「J-POPの特徴は?K-POPとの違いとはも外国人に向けて解説」のコラムでも詳しく解説しているので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

多様化する日本の音楽

多様化する日本の音楽の画像

近年、動画サイトやアプリなどを利用して、さまざまな形で音楽を楽しめるようになりました。自動で選曲されるツールもあり、自分が選ばないような音楽に触れる機会も増えたといえるでしょう。

以前は、有名なアーティストやアイドルがTVやCDで音楽を発表するのが主流でした。近年は、一般の人でも、動画サイトやSNSなどを通じて音楽を発信するようになっています。より多くの人が音楽を発信できるようになり、さらに多様な音楽が生まれているといえるでしょう。

まとめ

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日本の音楽は、長い歴史の中で海外の影響を受けながら発展してきました。宮中や神社などで演奏される雅楽や日本各地のお祭りに用いられる囃子まで、日本の伝統音楽はさまざまです。近年では、音楽の多様化によって、さらに多彩なスタイルが生まれています。「邦楽はこうあるべき」という考えに縛られず、さまざまな日本の音楽を聞いてみましょう。

ライター

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