日本のアニメ文化が海外で愛される理由とは? 「世界的人気アニメ」 2022年ベスト3も紹介

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2023/02/09

日本のアニメの魅力はどこにあるのでしょうか? かつては「オタクが見るもの」というイメージが強かったアニメですが、今やそんな偏見を持つ人の方が少なくなり、誰もがオープンにアニメ好きを公表できる時代となりました。NetflixやAmazon Videoといったオンデマンドサービスの普及により、世界的な注目度も爆発的に高まっています。

このコラムでは、日本のアニメが海外でも人気のある理由を詳しく解説。また、国外で有名な作品や日本と海外のアニメ映画の違いについてもまとめています。このコラムを参考にして日本のアニメに関する知識を深め、好みの作品を探してみましょう。

目次

  1. 日本のアニメが海外で愛される理由
  2. 日本のアニメが海外に広がるきっかけとなった作品とは
  3. 2022年に世界で人気だった日本の「覇権アニメ」BEST3
  4. 海外でレジェンド的人気を誇る日本のアニメ10選
  5. 日本のアニメ映画の特徴
  6. まとめ

日本のアニメが海外で愛される理由

日本のアニメが海外で愛される理由の画像

Image Credit: ©AnimeJapan 2022 

日本のアニメには、海外でも有名な作品が多々あります。日本のアニメを観て、日本文化に興味を持ったり、日本語の勉強を始めたりした人もいるでしょう。以下では、日本のアニメが海外で愛される理由を解説します。

日本のアニメには複数のジャンルがある

日本のアニメにはファンタジーやSF、恋愛、ホラーなど多彩なジャンルがあります。また、歴史や戦争など、日本に関する知識を深められるアニメが存在するのも特徴です。幅広いジャンルのなかから自分に合った作品を探せるため、世界各国に日本のアニメに関心を持つ人がいます。

日本のアニメは、物語の設定やキャラクターのバリエーションが豊かです。たとえば、『ソードアート・オンライン』というアニメでは、登場人物が仮想現実の世界でデスゲームを繰り広げます。海外では、ヒーローと敵が戦うバトル系のアニメが多く、『ソードアート・オンライン』のような設定の作品はあまり見られません。幅広いジャンルから自分好みの作品を選べるうえ、独特な世界観に浸れるのが日本のアニメの魅力といえるでしょう。

日本のアニメの絵やBGMは質が高い

日本のアニメは作画の質が高く、細部にまでこだわって繊細に描かれています。キャラクターの表情や細かい動き、建物の描写のリアルさなどに惹きつけられる人も多いでしょう。
また、日本のアニメのBGMも海外で注目されています。ピアノやオーケストラなどを用いた壮大な曲が多く、印象に残りやすいためでしょう。BGMには、登場人物の心情を表現したりアニメの雰囲気を印象付けたりする効果があります。日本のアニメのBGMは世界的に有名な曲も多く、「アニメは観たことないけれどBGMは知っている」という人も珍しくありません。

年代を問わずに楽しめるアニメが多い

子どもから大人まで楽しめる作品が豊富にあるのも、日本のアニメが海外で愛される理由です。海外のアニメのほとんどは子ども向けに作られているため、大人も楽しめる作品は少ないといえるでしょう。海外のアニメと異なり、日本の作品は大人が観ても楽しめるように制作されています。登場人物が困難に立ち向かったり挫折したりと、考えさせられるような作品が多いのも日本のアニメの魅力です。複雑な人生やリアルな人間の感情を描くアニメは、大人の心にも訴えかけるインパクトがあるといえるでしょう。

日本のアニメが海外に広がるきっかけとなった作品とは

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日本のアニメが海外に広がるきっかけになったのは、1963年にアメリカで放送された『鉄腕アトム』だといわれています。『鉄腕アトム』は感情を持っている少年ロボットのアトムが活躍する物語で、英語での題名は『ASTRO BOY』です。高い視聴率を誇り、多くの人に親しまれました。

さらに、海外の多くの人に日本のアニメを広めたのが、スタジオジブリの作品です。スタジオジブリのアニメ映画は「ジブリ作品」、または監督の名前から「宮崎駿作品」といわれています。『魔女の宅急便』や『天空の城ラピュタ』などの作品を観た人もいるでしょう。また、『千と千尋の神隠し』は、第75回アカデミー賞長編アニメーション部門を受賞し、世界各国で高い評価を受けました。

スタジオジブリやジブリ作品については、「日本が誇る映画監督について外国人に解説!国際映画祭の受賞歴も紹介」「日本語の勉強におすすめのアニメは?好きを活かして楽しみながら学習しよう」のコラムでも触れているので、ぜひご覧ください。

2022年に世界で人気だった日本の「覇権アニメ」BEST3

以下では、全世界のNetflix視聴数ランキングで2022年ベスト100位以内に入った3作品を紹介します。ランキングの対象作品は映画を除くテレビ番組全てであり、ドラマ、バラエティ、リアリティショーなどあらゆるジャンルの競合を押しのけて上位に君臨した、まさに「覇権」と呼べる作品です。

1.SPY×FAMILY

1.SPY×FAMILYの画像

『SPY×FAMILY』は、赤の他人だったスパイの男、殺し屋の女、超能力者の少女が「家族」になるコメディ作品です。最初はそれぞれの思惑のために集まった3人でしたが、騒動ばかりの日常を共に乗り越えていくうちに、本物の絆を育んでいきます。

クスリと笑えて心温まる物語が、年齢や性別を超えた人気を獲得。娘・アーニャの独特なしゃべり方(アーニャ語)は、若者を中心にSNSで大流行しました。

2.チェンソーマン(Chainsaw man)

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『チェンソーマン』は、週刊少年ジャンプで連載されていた漫画作品を原作としています。血しぶき飛び散る爽快&グロテスクなバトル、センス溢れるセリフ回し、謎が謎を呼ぶストーリー展開など、少年誌らしからぬ大人向けの作風で漫画ファンの心をわしづかみにしました。

アニメ版では、米津玄師を筆頭として毎週テーマソングを歌うアーティストが変わるという豪華な演出も話題に。様々なハリウッド映画のパロディが仕込まれているため、映画好きにも刺さる一作となっています。

3.ブルーロック(Blue lock)

3.ブルーロック(Blue lock)の画像

『ブルーロック』は「デスゲーム要素のあるサッカーアニメ」という斬新なジャンルの組み合わせで話題を呼んだ作品です。癖の強いキャラクターが個人の実力やエゴを発揮して戦う作風は、チームプレイや仲間との絆を重視する一般的なサッカーアニメとは一線を画します。ワールドカップ2022における日本代表の活躍も人気を後押ししたかもしれません。(作中には日本代表を批判するような発言も多いのですが……)

海外でレジェンド的人気を誇る日本のアニメ10選

海外でレジェンド的人気を誇る日本のアニメ10選の画像

海外では冒険やSF、サスペンスなど、幅広いジャンルのアニメ作品が人気です。以下では、世代を超えて海外で愛されている日本のアニメを紹介します。

1.ワンピース(ONE PIECE)

1.ワンピース(ONE PIECE)の画像

『ワンピース』は海賊王になるという夢を持つ主人公ルフィが、信頼できる仲間を集めて航路を冒険する物語です。仲間との絆や困難を乗り越える姿に心を打たれる人が多く、長年に渡って愛されています。「海賊王に俺はなる」というセリフや必殺技を繰り出す際の「ゴムゴムの~」という掛け声が有名です。
『ワンピース』は1997年に漫画の連載が始まり、1999年からアニメが放送されています。英語版の漫画も海外で販売されており、累計発行部数が全世界で5億部を越えるほど人気です。

2.新世紀エヴァンゲリオン(Neon Genesis EVANGELION)

2.新世紀エヴァンゲリオン(Neon Genesis EVANGELION)の画像

『新世紀エヴァンゲリオン』は、1990年代を代表する日本のアニメ作品といわれています。主人公の碇シンジが汎用人型決戦兵器であるエヴァンゲリオンを操縦して、「使徒」と戦う物語です。作品には、綾波レイやアスカなどの個性の強いキャラクターが登場します。魅力的なキャラクターに加えて複雑なストーリー展開も、アニメがヒットした理由といえるでしょう。
主題歌である『残酷な天使のテーゼ』も作品とともに知られており、アニメソングの枠を超えた高い知名度を誇っています。

3.ドラゴンボール(Dragon Ball)

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『ドラゴンボール』は、中国の明時代に生まれた小説『西遊記』をもとにしたアニメです。主人公の孫悟空は、7つ集めると願いが叶うといわれているドラゴンボールを探す旅に出ます。西遊記を大幅にアレンジして、冒険や夢、仲間との絆を描いたバトルアニメです。
孫悟空の得意技である「かめはめ波」は、作品を代表する技の一つとして知られています。また、アニメを観たことがなくても、悟空やベジータなどの主要なキャラクターを知っている人も多いでしょう。
『ドラゴンボール』は日本だけでなく世界40ヶ国以上で放送されており、海外にも多くのファンがいる作品です。

4.DEATH NOTE

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『DEATH NOTE』は、名前を書かれた人の命を奪える「DEATH NOTE」を拾った夜神月と、名探偵Lによる頭脳戦を描いたアニメです。ノートを拾ったことで変貌していく主人公の様子や探偵Lとの心理戦など、ほかのアニメには見られない緊張感が魅力といえます。
日本では2006年に『DEATH NOTE』の実写映画が公開され、2015年にはドラマが放送されました。ハリウッドでも実写化されるほど、国内外で人気のある作品です。

5.ドラえもん(Doraemon)

5.ドラえもん(Doraemon)の画像

『ドラえもん』は、ネコ型ロボットのドラえもんと主人公ののび太の生活を描いた物語です。日本はもちろん海外でも人気が高く、家族で楽しめるアニメとして知られています。日本では1979年から2022年9月現在までアニメの放送が続いており、海外でも多くの国で放送されてきました。夢のあるひみつ道具やドラえもんとのび太の友情、優しい世界観が、国や年代を超えて長く愛される理由といえるでしょう。

6.NARUTO-ナルト-疾風伝(Naruto Shippuden)

6.NARUTO-ナルト-疾風伝(Naruto Shippuden)の画像

『NARUTO』は、主人公のナルトが里一番の忍者を目指すアニメです。数々の苦難を乗り越えながら成長していくナルトの姿が、人々に感動を与えます。ユニークなキャラクターが登場し、派手なアクションシーンがあるのも魅力です。忍者という日本特有のモチーフを扱っているアニメということもあり、海外でも人気があります(画像はPR timesより)

7.進撃の巨人(Attack on Titan)

7.進撃の巨人(Attack on Titan)の画像

『進撃の巨人』は、主人公エレンとその仲間が人を襲う巨人と戦うアニメです。閉塞感のある独特の世界観や張り巡らされた伏線が魅力といえます。残酷な描写も多いアニメですが、話が進むごとに真実が明らかになっていき、目が離せません。また、巨人と戦うために考えられた武器や戦術も見どころです。ほかのアニメにはないダークな雰囲気が人気で、海外にも多くのファンがいます。

8.鋼の錬金術師(Fullmetal Alchemist)

8.鋼の錬金術師(Fullmetal Alchemist)の画像

『鋼の錬金術師』は、国家錬金術師である主人公エドと弟アルが失った体を取り戻すために旅をするアニメです。エドは錬金術を増幅させる力を持つ賢者の石があれば、体を取り戻せるのではないかと考えます。しかし、賢者の石には恐ろしい秘密があり、なかなか元の体には戻れません。重厚な世界観を描きながら、家族愛や友情などの人の温かさが表現されているのも、『鋼の錬金術師』の魅力の一つです。

9.涼宮ハルヒの憂鬱(The Melancholy of Haruhi Suzumiya)

9.涼宮ハルヒの憂鬱(The Melancholy of Haruhi Suzumiya)の画像

『涼宮ハルヒの憂鬱』は、女子高校生の涼宮ハルヒを中心とする、SOS団が繰り広げる学園生活を描いたアニメです。物語の語り手は平凡な男子学生のキョンですが、ほかのSOS団のメンバーは意外な正体を隠しています。キャラクターの設定が魅力的なうえに見た目もかわいいのが、本作の魅力の一つといえるでしょう。また、ストーリーも優れており、学園での生活や恋愛を軸にした話から、SFに発展していくのも特徴です。

10.鬼滅の刃(Demon Slayer)

10.鬼滅の刃(Demon Slayer)の画像

『鬼滅の刃』は、主人公の炭治郎が鬼に変えられた妹の禰󠄀豆子を人間に戻すために鬼と戦う日本のアニメです。重要なキャラクターが次々に死んでしまうストーリーですが、家族愛や仲間の大切さが鮮明に描かれています。日本の大正時代が舞台になっており、キャラクターたちが身につけている着物や刀も魅力の一つです。
日本漫画の歴史や特徴を外国人に解説!各ジャンルの人気作も紹介」「日本の漫画作品は海外でも人気?理由やブームの発端とは」のコラムでも、日本のアニメや漫画について紹介しています。

日本のアニメ映画の特徴

日本のアニメ映画の特徴の画像

日本のアニメ映画は、監督のオリジナリティーが色濃く反映され、低予算でもクオリティーが高いのが特徴です。以下では、日本のアニメ映画の特徴を解説します。

監督のオリジナリティーが活かされている

日本のアニメ映画には、監督ならではの世界観が表現されている多くの作品があります。たとえば、『君の名は。』『天気の子』などの「新海誠作品」は、圧倒的な映像美と切ない物語で有名です。新海誠監督といえば、美しい自然描写や切ない恋模様をイメージする人も多いでしょう。
日本のアニメ映画は海外ほど大きな組織で制作されないため、より監督の個性が反映されやすいといえます。監督のオリジナリティーが作品に活かされているからこそ、「新海誠作品」や「宮崎駿作品」などと監督名で呼ばれるのでしょう。

世界観やストーリーが作り込まれている

日本のアニメ映画は、独自の世界観を持っていたりストーリーが作り込まれていたりするのが特徴です。詳細な設定に基づき高い画力で描かれているため、作品の世界にリアリティを感じられます。架空の街や現実には起こり得ない出来事でも、説得力があるのです。また、謎に満ちていたり複雑に展開したりするストーリーも多くの人を惹きつけます。結末が気になり、映画に見入ってしまうことも少なくありません。独特な世界観や深いストーリーに魅力を感じて、日本のアニメ映画にハマってしまう人も多いでしょう。

日本のアニメ映画は海外と比べて製作費が安い

日本のアニメ映画は、海外と比べて製作費が安く抑えられています。2019年に公開された『アナと雪の女王2』の製作費は1.5億ドルで、当時の日本円にすると約164億円です。それに対して、2020年に日本で公開された『劇場版「鬼滅の刃(Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba)」無限列車編』の製作費は、推定約5億円と差があります。
『劇場版「鬼滅の刃(Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba)」無限列車編』は日本で大ヒットし、日本映画のなかで最も高い興行収入を記録しました。クオリティーが高いと評判で、海外でも多くの観客を動員し人気を博した作品です。製作費が安いにも関わらず高い興行収入を得る作品があるのも、日本のアニメ映画の特徴といえるでしょう。

まとめ

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日本のアニメはジャンルが豊富で、大人の心にも訴えかける作品が多々あります。そのため、日本のアニメに共感したり感動したりする人は世界中少なくありません。
日本のアニメのなかでも、『ワンピース』や『NARUTO-ナルト-疾風伝』などは、特に海外で人気があります。誰からも愛されるキャラクターの存在や海外の作品にはない独特な世界観が、日本のアニメが人気の理由といえるでしょう。バラエティーに富んだ日本のアニメから、ぜひ好きな作品を探してみてください。

ライター

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