海外で暮らす外国人のなかには、日本で働くことを目標にしている方もいるでしょう。昨今では、母国を離れて日本で働く外国人労働者が増えつつあります。このコラムでは、外国人が日本で働く理由や国籍別の就労状況を解説。外国人が日本で働く際に注意してほしいポイントもまとめています。「日本で働きたいけど不安…」という外国人は、ここで紹介する内容を参考に働くために必要な知識を身につけましょう。
目次
日本で働く外国人が年々増えている理由
日本は少子高齢化が進み労働人口が減っているため、必要な労働力を補おうと日本政府が主体となって外国人雇用を推進しています。実際に日本で働く外国人は年々増加傾向にあり、2021年10月末時点の外国人労働者数は約173万人です。日本では人手不足以外の理由でも外国人雇用のニーズが高まっています。ここでは日本で働く外国人が増えている理由をまとめているので、興味がある方はチェックしてみましょう。
外国人雇用による人手不足の解消
労働力となる年齢の人口が少ない日本では、人手不足を補うために外国人雇用が推進されています。特に深刻な人手不足に陥っている介護職や飲食業、農業などは日本人だけでは状況が改善されないため、即戦力となる外国人労働者の雇用が急務です。人手不足の業界は外国人雇用に積極的なため、採用が決まりやすい傾向にあります。「専門性のある仕事に就きたい」「手に職をつけたい」という外国人は、人手不足の業界での就職するのも一つの方法です。
日本企業のグローバル化推進
グローバル化のために外国人雇用を行う企業が増えていることもあり、日本の外国人労働者は増加傾向にあります。外国人を雇用することで従業員の意識改革やモチベーションアップ、新たなアイデアの創出につながると考える企業は多いようです。また、海外進出や事業拡大を目的とする企業は、外国企業とのコミュニケーションを円滑にするブリッジ人材確保のため、外国人雇用に積極的といえます。語学力を活かして日本で働きたい外国人は、グローバル化を推進している企業も視野に入れてみましょう。
外国人留学生に対する手厚い就職支援
日本政府は優秀な労働力を確保するため、外国人留学生向けに日本企業へのインターンシップの実施や合同説明会の開催といった支援を行っています。外国人留学生のなかには日本での就職を進路に希望する人も多いので、お互いにとって有益な関係といえるでしょう。学生として就職活動を行う場合、所属している学校も協力してくれるので1人で仕事を探すよりも効率的です。
日本での就労における知識を身につけたい方は「日本で働く外国人労働者の人数は?就労可能な在留資格も紹介」のコラムもぜひ参考にしてください。
参照元 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)」
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日本で働くことを希望する外国人がいる理由
日本政府や企業による支援の有無にかかわらず、日本で働きたい外国人も多いようです。外国人が日本で働く理由として、以下のようなものが考えられるでしょう。
ほかの国と比べて治安が良い
日本は世界的に見ても治安が良い国として有名です。夜の繁華街でも外出できたり衛生管理が行き届いていたりするので、安全のために日本での就職を目指す外国人もいます。「自国の治安が悪い」「家族と安全な国で暮らしたい」と考える外国人にとって、日本は理想的な国のようです。
給料が高く家族への仕送りができる
自国の給料が低かったり就職が難しかったりする外国人は、家族を養うために日本で働くことがあるようです。東南アジアや南米といった地域と比較すると、日本は物価も給料も比較的高い傾向にあります。
日本は少子高齢化ということもあって、就職の競争率はそれほど高くありません。特に正社員はアルバイトや契約社員よりも解雇される可能性が低く、安定的に収入を得られます。そのため、日本で働いて得た給料を自国の家族に仕送りする人も多いようです。
福利厚生が充実している企業が多い
日本は福利厚生が充実している企業が多く、外国人労働者も同じ待遇を受けられます。福利厚生の内容は企業によって異なるものの、一般的に社会保険完備・交通費支給・食事補助などが多いようです。特に社会保険に加入していると、医療費の負担額が3割になります。残りの7割は加入している保険組合が支払うため、体調を崩したときに病院に行きやすくなるでしょう。日本のように社会保険制度が整っている国は少ないため、外国人労働者にとって大きなメリットといえます。ほかにも、給料以外の経済的補助を受けられる福利厚生は、外国人労働者からの人気が高いようです。
日本で暮らしたい
生活そのものを目的として、日本での就職を希望する外国人もいます。食事やサブカルチャー、芸術などの日本文化に直接触れるため、日本で働くことを選ぶ外国人もいるようです。実際に、日本特有の文化への興味から「日本で暮らすために働きたい」と考え、外国人労働者として働く人も一定数います。
母国でも活かせるスキルを身につけたい
母国の発展や自身のキャリアアップのために、日本で働くことを希望する外国人もいます。たとえば、製造業や建設業で働けば手に職をつけられるうえ、自国でも役立つ専門的な技術を習得できるでしょう。また、日本で働くことで日本語を学んだり異なる文化への理解を深めたりすることもできるため、海外就職・転職におけるキャリアアップにも役立ちます。
日本で働く外国人の国籍別の状況
厚生労働省の発表によると、2021年10月末時点の外国人労働者は約173万人です。外国人労働者の中で最も多い国籍はベトナムで、453,344人と全体の26.2%に上ります。2番目に多い国籍は中国で、その次はフィリピンです。外国人労働者の約6割は上位3ヶ国が占めています。なお、対前年増加率が高いのはペルー、フィリピン、ブラジルの3ヶ国です。
日本では、ベトナム人の外国人労働者が年々増えています。その理由としてベトナムよりも日本のほうが給料が高く、生活環境が優れていることが挙げられるでしょう。技術力が高くキャリアアップやスキル習得につながるのも、日本で働く魅力です。また、日本政府が留学ビザの条件を緩和したためベトナム人留学生が増え、学校卒業後に日本で就職するケースもあります。
日本政府は外国人労働者の受け入れに積極的なので、日本で働きたい方はチャレンジしてみると良いでしょう。
参照元 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)」
外国人が日本で働く際の注意点
ここでは、外国人が日本で働く際に押さえておくべき注意点を紹介します。また、日本で働く外国人には出入国管理及び難民認定法と労働基準法が適用されるため、必ず覚えておきましょう。
就労可能な在留資格を取得する
外国人が日本で働くには就労可能な在留資格が必要です。職種や仕事内容に応じた在留資格がなければ、働くことはできません。なお、外国人留学生が日本で就職する場合は専攻科目と仕事内容に関連性がないと、在留資格が許可されないので注意しましょう。
就労条件や労働環境のチェックをする
日本で働く外国人労働者の給料や待遇は、日本人と同等以上と法律で定められています。そのため、不当な扱いを受けないように就労条件や労働環境を事前に確認しておくことが大切です。また、自国の一般的な就労条件が日本と同じとは限りません。働くうえでの常識の違いを理解し、食い違いがないようにきちんと雇用主と話し合って雇用契約を結びましょう。就業後も内容を確認できるように雇用契約は書面で結び、可能であれば母国語でも作成してもらうと安心です。
異なる文化・習慣に対する受け入れ体制を確認する
就職先に、異なる文化・習慣に対する理解があるかを確認しておくのも大切です。外国人と日本人では常識や価値観が異なるため、働くうちにトラブルに発展することも考えられます。外国人労働者に対する事前講習や日本人の社員へのオリエンテーションなど、受け入れ体制が整っているか確認しておきましょう。また、国籍にかかわらず平等に扱っているかを確認するのも大事です。
生活や仕事の相談ができる窓口を把握する
外国人が日本で働く際は、仕事や生活の悩みを相談できる窓口をあらかじめ把握しておきましょう。悩みや不安を聞いてもらえる場所があれば、トラブルになる前に対処できる可能性が高まります。仕事に関する相談窓口は、ハローワークや外国人雇用サービスセンターです。生活に関する相談は、各自治体の外国人相談窓口や総務省行政相談センターで聞いてもらえます。多言語対応している相談窓口もあるので、事前に探しておくと良いでしょう。
まとめ
給料の高さや治安の良さ、日本文化への興味といった理由から日本で働く外国人労働者は多いようです。日本は外国人雇用に積極的で、外国人留学生が国内で就職する際も手厚い支援を行っています。また、在留外国人向けの相談窓口もあるので、仕事や生活の悩みがあるときに話を聞いてもらうことも可能です。外国人が日本で働く際は、不安を払拭するためにも労働に関する法律や悩みを相談できる場所を把握しておくと良いでしょう。
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