外国人の労働時間に制限はある?アルバイト・正社員雇用で守るべき法律とは

2023年09月14日
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外国人は持っている在留資格や雇用形態によって働ける時間が異なります。正社員の場合は、基本的に日本人と同様の勤務時間を設定しても問題ありません。ただし、労働基準法は厳守しましょう。アルバイト雇用の場合は、資格外活動許可で定められた範囲内の時間しか働けない場合があります。
このコラムでは、外国人の労働時間のさまざまなルールをはじめとして、雇用形態別で留意する点まで紹介。内容を参考にして、正しく外国人を雇用しましょう。

目次

  1. 外国人の労働時間の制限【正社員】
  2. 外国人の労働時間の制限【アルバイト】
  3. 外国人の労働時間に関する法律を犯したときの罰則
  4. 外国人の労働時間に関する法律を厳守するための対策
  5. まとめ

外国人の労働時間の制限【正社員】

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正社員雇用の場合、外国人の労働時間に特別なルールはありません。日本人と同様に労働基準法で定められた時間を意識することが必要です。

労働基準法で定められた労働時間が適用される

労働関係法令は国籍問わず適用されるため、外国人も労働基準法を守って雇用する必要があります。原則として、働けるのは1日に8時間、1週間で40時間です。外国人に「もっと働きたい」「残業したい」と言われたときは、労働基準法について説明しましょう。やむを得ず残業をしてもらうときは、後述する36協定を結びます。

休憩時間や休日も法律に則って設定する

労働時間と同じく、休憩時間や休日も労働基準法に則って設定します。
労働時間が6時間以上なら45分、8時間以上なら1時間以上の休憩を取らせるのが使用者の義務です。休日は、毎週1回もしくは4週間のうち4日以上設定します。

残業をさせる場合は36協定を結ぶ

労働基準法第36条に定められた労使協定(36協定)を結べば、定められた範囲内で従業員に時間外労働をしてもらえます。36協定における時間外労働の条件は、月45時間、年360時間です。特別な事情がある場合は、労使協定を結ぶことで延長が可能です(36協定の特別条項)。ただし、「年720時間以内」「月100時間以内」などの決まりを守らなくてはなりません。

外国人の正社員雇用については「外国人労働者を正社員雇用するには?在留資格や就労許可について解説」や「外国人留学生を正社員として雇用する際の注意点は?企業に向けて解説」のコラムを参考にしてください。

参照元
厚生労働省「時間外労働の上限規制

外国人の労働時間の制限【アルバイト】

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アルバイト雇用の外国人は、有している在留資格によって労働時間が変わります。日本でアルバイトができるのは、基本的に「身分に基づく在留資格を有している」もしくは「就労できない在留資格を持っているが、資格外活動許可を得ている」のどちらかに当てはまる外国人です。

身分に基づく在留資格を持つ場合

身分に基づく在留資格を持つ外国人には、労働時間の制限がありません。日本人アルバイトと同じように雇用できます。正社員のときと同じく、休憩時間や労働時間のルールを守りシフトを組みましょう。身分に基づく在留資格は「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の4種類です。

外国人だからといってシフトを減らしたり長く働かせたりするのは、国籍による差別を禁止している労働基準法に反しています。「日本語がまだ不慣れで業務を1人で任せられない」「できる業務が限られている」など、合理的な理由がない場合は区別せず平等にシフトを組みましょう。

「留学」や「特定活動」、「家族滞在」の在留資格を持つ場合

「留学」や「特定活動」、「家族滞在」の在留資格を持つ外国人は、「資格外活動許可」を得てアルバイト就労をします。資格外活動許可のうえでのアルバイトは、労働時間の制限があるので注意が必要です。応募があった時は、在留カードの裏側までしっかり確認しましょう。

基本の労働時間は週28時間まで

資格外活動許可を得たうえでのアルバイトは、労働時間を週28時間以内に納めなくてはなりません。労働時間は、週のどこから計算しても週28時間以内にする必要があります。外国人がアルバイトを掛け持ちしている場合は、労働時間の合計が28時間に収まるようにシフトを組みましょう。

また、資格外活動許可申請に関しては在留カードの裏側に記載がされているので、面接時や応募時にしっかり確認しておきましょう。

学校で定められた休暇中は例外で週40時間まで

外国人留学生の場合、夏休みや冬休みなどの学校が定めた長期休暇に限り、アルバイトの時間を増やせます。日本人アルバイト同様、週40時間のアルバイトが可能です。なお、臨時休暇や休講などは対象外なので注意しましょう。

外国人の労働時間に関する法律を犯したときの罰則

外国人の労働時間に関する法律を犯したときの罰則の画像

外国人の労働時間に関するルールを守らなかったら、以下の罰則が科せられる可能性があります。

労働基準法違反

労働基準法を守らずに、外国人を長時間働かせたり休憩を与えなかったりすると、企業が罰せられます。罰則の重さは犯した罪によってさまざまです。たとえば、36協定を結ばずに長時間働かせた場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されます。また、企業名が公表されたり悪い評判が広まったりすることで、採用活動や売上への影響も避けられません。

出入国管理及び難民認定法違反

資格外活動許可で定められた労働時間を超えて外国人アルバイトを雇用すると、企業は不法就労助長罪に問われます。不法就労助長罪の罰則は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはその併科です。この罰則は、知らずに労働時間の制限を超えてしまった場合でも適用されます。

参照元
e-Gov法令検索「労働基準法労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)」
e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)

外国人の労働時間に関する法律を厳守するための対策

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外国人労働者の労働時間に関する法律を犯さないために、事前の確認を入念に行いましょう。特に、アルバイトとして外国人を雇用する際は「どの在留資格を持っているか」「資格外活動許可を得ているか」の確認が重要です。持っている在留資格によって働ける時間が違うので、確認を怠ると知らず知らずのうちに法律を犯してしまう恐れがあります。
在留資格の種類や資格外活動許可の有無は、在留カードで確認可能です。雇用契約を締結する前に、本人に許可を取って在留カードを確認しましょう。そのうえで、外国人にふさわしい労働時間を設定し雇用契約を結びます。

まとめ

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外国人の労働時間は、有している在留資格によって異なります。日本人と同じ時間働ける外国人もいれば、労働時間に制限のある外国人もいるので注意が必要です。雇用前に在留資格の種類や資格外活動許可の有無を必ず確認しましょう。