若者同士の会話では「若者言葉」と呼ばれる独特な言葉遣いが頻出します。「うちゅくちい」「かわちい」などの意味を推察しやすい若者言葉のほかに、「羽ばたいてる」「ちょえ」などの難解なものも。このコラムでは2023年の若者言葉を中心に、2022年以前に使われていた略語も紹介します。定番化した若者言葉も多いので、使い方や意味を知って10代・20代とのコミュニケーションに活かしてください。
目次
若者言葉とは
若者言葉とは、10代の中高生を中心に使われる一種のスラングです。その年代の流行や世相が反映されやすく、近年では、YoutuberやTikTokerといったインフルエンサーの発言が若者言葉に取り入れられています。インターネットが普及してからは若者言葉が入れ替わる頻度が上がっているため、会話についていくのも一苦労でしょう。
若者言葉はフランクなため、目上の人に使うのは失礼です。相手に応じて適切な言葉を話せるように、敬語もきちんと勉強しておきましょう。「日本語の敬語5種類の一覧!使い分け方もわかりやすく解説」では敬語の使い方を解説しています。
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2023年に流行している若者言葉
ここでは、2023年5月末時点でよく使われている若者言葉を紹介します。読み方や意味を理解して、10代・20代とのコミュニケーションで使ってみましょう。
1.好ハオ
「好ハオ」は中国語の「好(ハオ)」から生まれた若者言葉です。好ハオと書いて「ハオ」と読みます。文字どおり「好き」という意味を持つ言葉で、自分のお気に入りやおすすめを紹介する際に使う場合が多いようです。同じ意味を持つ派生語に「ハオい」もあります。
「新しいドラマの主人公好ハオ」
「期間限定の苺フラペチーノ美味し過ぎてハオい」
2.てぇてぇ
「てぇてぇ」は「尊い(とうとい)」がなまった若者言葉です。もともとは価値が高い・身分が高いなどの意味を持つ言葉ですが、若者の間では純粋に「素晴らしい」「最高」といった使われ方をします。好きな人物・キャラクターを意味する「推し」という言葉とあわせて使われることが多いので、覚えておくと会話に役立つでしょう。
「今日も推しがてぇてぇ」
「この少女漫画、めっちゃてぇてぇから読んでみて」
3.限界オタク
「限界オタク」とは、自虐的な意味で使われる若者言葉です。推しと呼ばれる特定の人物やキャラクターが好き過ぎるあまり、うまく言葉に表せなかったり感情が抑えられなかったりするときに使います。推しへの好意が強すぎて言動や行動が痛々しいときも「限界オタク」と称する場合があるようです。
「推しのオフショット良過ぎて限界オタクになる」
「~~ちゃんの限界オタクしてる」
4.ちいかわ構文
— ちいかわ💫アニメ火金 (@ngnchiikawa) July 26, 2021
ちいかわ構文とは、『なんか小さくてかわいいやつ(ちいかわ)』という漫画から生まれた特徴的な言葉遣いです。主人公の「ちいかわ」や友人の「ハチワレ」「うさぎ」など、発言をまとめてちいかわ構文といいます。『ちいかわ』は若者を中心に人気な作品のため、キャラクターの発言をまねる10代・20代も多いようです。以下はちいかわ構文の一例なので、文字どおりの意味で使える若者言葉なので、コミュニケーションに生かしやすいでしょう。
「○○…ってコト!?」
「心がふたつある~」
「なんとかなれーッ!!」
「ヤダーッ」
「イヤッ」
5.蛙化現象
蛙化現象(かえるかげんしょう)も、昨今の若者がよく使う言葉です。蛙化現象とは片想いをしていた相手と両想いになり、相手から興味を持ってもらえた途端、気持ちが冷めてしまう心理的現象のこと。グリム童話の『カエルの王様』が由来です。ただし、若者がいう「蛙化現象」は上記のような意味ではありません。
昨今の若者は「好きな人のちょっとした行動で、相手への気持ちが冷めてしまう」という意味で蛙化現象を使います。つまり、相手が恋人でない場合も蛙化現象の対象になるのです。
「この前気になる人とデートしてきたけど、食事中の行動が無理過ぎて蛙化現象だった」
「そんなことで蛙化現象が起きるの?」
6.へんふよ
「へんふよ」は「返信不要」を省略した若者言葉です。チャットツールで連絡をする際に使われることが多いので、覚えておくとコミュニケーションがスムーズになるでしょう。
「おやすみ〜!へんふよです」
「心配してくれてありがとう~!へんふよってあったけどお礼だけ言わせて!」
7.ちょえ
「ちょえ」は「ちょっと待って」という意味の若者言葉です。Youtuber発祥の言葉で、10代を中心に流行しています。流行語大賞にも入るほど使用する若者が多いので、覚えておいて損はないでしょう。
「ちょえ、あと5分だけ待ってて」
「ちょえ!?欲しかった新作のコスメあるんだけど!」
8.プルい
「プルい」は「プルプルな唇」を意味する若者言葉です。メイク動画や美容動画のコメントでよく見られる若者言葉で、実際の会話に用いられることもあります。
「新しいリップクリーム使ってみたらめっちゃプルい~」
「プルい唇になるためにリップケアに力入れてる」
9.嗅がせ
「嗅がせ」は「匂わせ」と似た意味を持つ若者言葉です。匂わせとは、SNSの投稿や発言から交際相手の存在をほのめかすこと。嗅がせは、「匂わせ」にとどまらず交際相手の存在を気づかせるような発言・投稿に使われます。なお、俳優やアイドル、インフルエンサーなどの投稿に本人以外の誰かが写っていると、交際相手出なくても匂わせ・嗅がせといわれることがあるようです。
「昨日○○が上げてた写真に写ってた手、××くんだったら匂わせ超えて嗅がせでしょ」
「どう考えても嗅がせに来てるツイートしてる」
10.羽ばたいてる
「羽ばたいてる」は「盛れている」「イケてる」などと同じような意味の若者言葉です。モデル発祥の若者言葉で、メイクの調子が良いときや相手の容姿をほめる際に使われます。
「今日の顔面羽ばたいてるわ」
「いつもよりかわいいね!羽ばたいてるよ!」
2022年以前に流行した若者言葉
ここでは、2022年以前に使われていた若者言葉を紹介します。すでに使われなくなっており、時代にそぐわない言葉もあるので、定期的に情報収集して知識をアップデートしましょう。
1.きまZ
「きまZ」は「きまずい」を意味する言葉で、両手で「Z」を作るポーズと共に流行しました。最新の若者言葉は、YouTubeやTikTokをきっかけに広まるため、ポップカルチャーに詳しくないと文脈を理解しにくいかもしれません。
2.はにゃ?
「はにゃ?」は疑問を感じた際のリアクションとして口にする言葉です。とぼけたり、かわいこぶったりする意図で使われます。意味としては「あれ?」「ん?」「え?」とほぼ同じです。
3.あせあせ
「あせあせ」は「慌てて“汗”をかいている様子」を表す言葉で、2023年時点ではあまり使われていません。軽い謝罪の意味もありますが、親しい相手にのみ使うようにしましょう。
4.きゅんです
「きゅんです」は、好き・かわいい・ときめくといった意味の若者言葉で、感謝や喜びを伝えるシーンで使われます。TikTokをきっかけに広まっていったとされています。
「花柄のマグカップをもらってきゅんです」
「飼い猫にきゅんです」
「手伝ってもらえてきゅんです」
なお、「きゅんです」にはハンドシグナルがあり、親指と人差し指を交差させてハートマークを作ります。なお、ハートマークは2023年時点でも使われていますが、「きゅんです」の言葉はほとんど使われていません。
5.~しか勝たん
「~しか勝たん」は「~が一番」という意味で、「推し」を褒める際によく使われます。「~」の部分には自分が好きな人物・物事の名前を入れます。日本の芸能人やアニメが好きな人はぜひ覚えましょう。
「パフェしか勝たん」
「推ししか勝たん」
「猫しか勝たん」
6.マジ卍
「マジ卍(まじまんじ)」の意味は明確には定まっていません。気合が入っている状態など、ポジティブな感情の高ぶりを表す際によく使われます。非常に感覚的な言葉であり、使いこなす難易度は高いでしょう。
7.チルい
「チルい」はリラックスしている・落ち着いているといった意味の若者言葉です。冷静になるという意味の英単語である「chill out」が語源とされています。
「チルい曲を聞く」
「この前チルいカフェに行ってきた」
「海に夕日が沈んでいく光景はチルい」
8.○○み
「~~み」は、形容詞につける若者言葉です。「よさみ」「やばみ」「分かりみ」というような言い回しになります。
「その考えは分かりみが深い」
「あの店のパスタはおいしすぎてやばみ」
「寝不足でつらみがある」
意味そのものは元の言葉と変わりませんが、「み」の響きがかわいさを含んでいることから、若者に好んで使われます。
9.尊い
「尊い」は最大限の賞賛を表すスラングです。もともとはアニメや漫画といったサブカルチャーが好きな人々が使っていた言葉で、SNSを通して若者にも浸透していったとされています。たとえば、「推しが尊い」と言う場合は「私の好きな人は、光り輝いて見えるほど素晴らしい存在です」という意味になります。
「今日も推しが尊い」
「主人公とヒロインの関係性が尊い」
「あまりにも尊い作品だった」
なお、貴重・価値が高い・ありがたいなどの意味で使われる「尊い」は、若者言葉ではなく一般的な日本語です。
10.映える
「映える」は、美しい風景や美味しそうな食べ物など、「インスタグラムに写真を投稿したら『いいね』されそうなもの」に対して使われる表現です。元は「インスタ映え」という言葉でしたが、短縮されて現在の形になりました。
「ランチは映えるものが食べたい」
「インスタ映えする景色」
日常会話にも使える定番化した若者言葉・略語
若者言葉のなかには使いやすさや意味の通りやすさから、定番化したものもあります。若者言葉や略語を日常会話に取り入れて、コミュニケーションを楽しみましょう。
やばい
「やばい」は英語の「oh my god」によく似た言葉で、大きく3つの意味があります。
第一に「とてもひどい」、そして第二に「とてもすばらしい」です。真逆の意味で混乱するかもしれませんが、会話の流れから読み取りましょう。第三に「あぶない」「困っている」という意味もあります。
「このハンバーガー、おいしすぎてヤバイ」
「このハンバーガー、マズすぎてヤバイ」
「宿題の締め切りがヤバイ」
「やばい」は使い方が難しい若者言葉です。「やばいの意味を一覧で解説!日本の代表的な若者言葉を覚えよう」では、「やばい」に含まれる意味をさらに詳しく解説しています。
ディスる
「ディスる」は相手を悪くいったり否定したりする際に使う若者言葉です。英語の「disrespect」が由来で、フリースタイルラップで対戦相手を批判する際にも使われています。
「○○が好きな俳優のことディスっちゃって喧嘩した」
「人のことディスるの性格悪いよ」
ワンチャン
「ワンチャン」は、「one chance」を省略した若者言葉ですが、本来の英語とは意味が異なります。日本語のワンチャンは「もしかしたら成功するかもしれない状態」という意味です。若者がよく使う「ワンチャンあるよ」には「うまくいくかもしれないから頑張れ!」と応援する意図が込められています。
「寝坊したけどワンチャンいつものバスに間に合う」
「好きな人が彼女と別れたので、ワンチャン狙える」
なお、昨今では「ぎりぎりだめかもしれない」という意味でも使われるようです。
「全く勉強しなかったのでワンチャン赤点かもしれない」
エモい
エモいは日本人も感覚的に使っている難しい言葉です。英語の「emotional」がもとになっており、「感情が揺れ動くもの」が「エモい」とされます。美しい風景、ため息が出るほど魅力的な人、アニメキャラクター同士の友情などに対して使われることが多いでしょう。
「この小説の内容はエモい」
「エモい風景を眺めながら物思いにふける」
「あのライブの演出はエモかった」
ウケる
「ウケる」は愉快な気持ちを伝える言葉です。笑わずにはいられない時に使いましょう。
「(相手の面白い発言に対して)ウケるね!」
「昨日のテレビめちゃくちゃウケた」
あーね
「あーね」は「あーなるほどね」を省略した若者言葉です。相槌に使える言葉で、若者同士のコミュニケーションで定番化しつつあります。
「あーね、それならこっちのほうがおすすめだよ」
「あーね、ウケる」
まとめ
若者言葉は時代の流行や背景にあわせた言葉なので、年月が経つにつれて使われなくなることが多々あります。このコラムで紹介した若者言葉のなかにも、数年後には「死語(誰も使っていない言葉)」になっている言葉もあるでしょう。言葉の移り変わりをしっかり見極めながら、若者とのコミュニケーションを楽しんでください。