日本留学の準備を本格的にする前に、日本で日本語を勉強したいと思っている方も多いのではないでしょうか。そんな方々のために日本語学校の概念、授業期間(短期、長期)、入学時期など、必ず知っておくべき基本知識をご紹介します。日本語を勉強できる「留学生別科」についても紹介するので、日本語学校とよく比較してみてください。
目次
日本語教育機関の種類
日本語教育機関とは、日本の大学や専門学校などの高等教育機関に進学したい外国人や日本就職を目指す外国人が日本語を勉強するところをいいます。日本語教育機関は大きく3つに分けられ、本国で学校教育を12年受けた人のための「日本語学校」と「留学生別科」、学校教育を12年受けていない人のための「準備教育課程」があります。
日本語学校
日本語学校とは、日本語を勉強できる代表的な教育機関です。JLPT(日本語能力試験)合格のための領域別日本語学習を基本とし、学校によっては就職のためのビジネスコース、大学入試のために日本語で数学科目を勉強できるコース、EJU(日本留学試験)準備コースなどもあります。
留学生別科
日本の大学の中には、簡単な程度の機能教育を目的に設立された「大学別科」が設置されたところがあります。このような大学別科の中で、日本の大学・大学院・短期大学に留学生、研究生、研究員として入学しようとする外国人のために準備教育の一環として、日本語及び日本事情、日本文化などの教育内容を提供する大学別科を一般に「留学生別科」と呼びます。国立大学などに設置されている「留学センター」とは異なり、その多くが私立大学に設置されてることから、「私立大学留学生別科」とも呼ばれています。
主に日本事情、日本文化を日本語で教育しますが、英語で教育する留学生別科がありますので、よく確認しなければなりません。大学のキャンパス環境の中で勉強できるのが特徴です。
*参考:留学生別科が設置された学校紹介:文部科学省 「外国人留学生向けの教育を行う大学別科における教育の実施状況の公表について」
[参考]準備教育課程
本国で12年以上教育を受けた場合は、上で紹介した日本語学校や留学生別科に入学ができますが、日本の大学などの高等教育機関への進学の条件である12年に満たない10年、11年の場合は入学できません。
その場合は、文部科学大臣が指定した「準備教育課程」に1年以上在学すれば大学入学資格を得ることができます。「日本語教育センター」、「日本語研修センター」、「日本語学習院」、「日本語学院」、「日本語学校」などの名前がついた学校でこうした「準備教育課程」の設置が進められています。
*参考:「準備教育課程」を提供する学校紹介 文部科学省 「(※1)文部科学大臣指定準備教育課程一覧(令和元年8月22日現在)」
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日本語学校の主要コースと授業期間(短期、長期)
日本語学校で語学研修をしようとする場合、短期(短期語学研修)と長期(長期語学研修)があるので、授業期間について悩む方も多いのではないでしょうか。
文部科学省が発表した2017年の調査結果「日本語教育機関の外国人留学生教育の実施状況」によると、日本語学校に設置されたコースの種類は次のとおりです。
<目的に応じて>
- 一般コース:就職、学習後帰国など。
- 進学コース:大学などに進学。1年6ヶ月コース、2年コースを多く開設。
(*コース名は違いますが、就職を目指していても進学コースの授業を聞くことができる場合が多いです。詳しくは学校にお問い合わせください。)
<授業期間に応じて>
1年9ヶ月コース
1年6ヶ月コース
1年3ヶ月コース
1年コース
6ヶ月コース
短期コース:例)1ヶ月~3ヶ月コース・1ヶ月~6ヶ月コース
(*学校ごとにコースが異なります。特に短期コースは開設していない学校もあるので、直接問い合わせてみることをお勧めします。)
<入学時期に応じて>
日本語教育機関の入学時期は教育機関によって異なりますが、一般的に1年に2回(4月、10月)または1年に4回(1月、4月、7月、10月)です。
1月入学コース:例)2023年1月に入学、2024年3月に卒業すると1年3ヶ月コース
4月入学コース:例)2023年4月に入学、2025年3月に卒業すると2年コース
7月入学コース:例)2023年7月に入学、2025年3月に卒業すると1年9ヶ月コース
10月入学コース:例:2023年10月に入学、2025年3月に卒業すると1年6ヶ月コース
日本語学校に入学したいけれど、「短期」が良いのか「長期」が良いのか学習期間に悩むという方は、日本語学校卒業後の目標、到達したい日本語のレベルなどに応じて決めてみてください。
日本語学校の入学申請時期、ビザ申請方法
日本語学校に入学意思を明らかにし、学校が求める申請書類を提出すると、入学可否を審査されます。入学許可を受けた場合、3ヶ月以上の語学研修コースであれば留学ビザ(在留資格「留学」)を申請しなければなりません。その際、留学ビザ申請のための「在留資格認定証明書」の交付までを日本語学校側が代理で行ってくれる場合が多いですが、申請件数が多いため、入学時期に合わせて申請時期に期限が定められていることが多いです。そのため、希望する入学時期に入学したい場合は、少なくとも6ヶ月前には日本語学校に入学申請をした方がよいでしょう。
日本語学校を見る
日本語教育機関を探したい場合は、日本語教育振興協会が提供する「日本語教育機関案内」を参考にしてください。こちらは英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語に対応しています。
[参考]適正校(適正校)
日本語学校には適正校と非適正校があります。適正校とは、国家が「留学生に対する管理体制が整っている学校」と認めた学校をいいます。入学を考えている日本語学校が適正校なのか、学校のホームページで調べたり、直接日本語学校に聞いたりして事前に確認しましょう。
「WeXpats Guide」では、日本語学校のインタビューや特徴の記事もご用意しています。日本語学校を探す際にぜひ参考にしてください。
>>【インタビュー付き】東京の日本語学校、5校
>>【インタビュー付き】全国の日本語学校紹介
>>【インタビュー付き】日本語学校紹介
留学生別科の選択、申請方法
留学生別科に入学する場合でも「留学ビザ」(在留資格「留学」)を受けることができます。
留学生別科を卒業後にその大学に進学する場合、そのまま進学可能な学校もあれば、優遇条件を設ける学校もあり、その対応は大学によって異なります。そのため、留学を考える方は、該当学校の入試要項などを通じて関連内容をあらかじめ把握しておくことをお勧めします。
留学生別科の申請方法
留学生別科の入学は一般的に大学の「春学期(4月)」、「秋学期(9月)」に合わせてありますが、学校によって多少異なる場合があるので、大学のホームページなどで入試要項を確認しましょう。入学申請(願書受付)は、入学を希望する学期の6ヶ月前に行われることが多いです。申請時期、必要な書類や証明書などを事前に確認し、申請時期に合わせて準備しましょう。
留学生別科に合格した後は、「入学許可書」を受け取って出入国在留管理庁(入国管理局)に「在留資格認定証明書交付申請」を行い、「留学ビザ(在留資格:留学)」を発行してもらわなければなりません。「在留資格認定証明書」が交付されたら、これを本国に発送してもらい、本国の日本大使館を訪問します。そして、日本入国のための査証(VISA)の発行を申請し、発行された査証で日本に入国することになります。ちなみに、在留資格認定証明書の有効期間は3ヶ月です。
留学生別科の場合、観光ビザなどを目的とした「短期滞在」ビザで入国した後、「留学ビザ」に在留資格を変更することは原則的に不可能(**)とされているので、日本入国前に「留学ビザ」を申請して入国しましょう。
*参考:日本私立大学団体連合会「私立大学留学生別科とは」(2018年8月時点の私立大学留学生別科紹介) **参照:日本私立大学団体連合会「Ⅱ 日本への入国まで(pdf)」 pdf 6。
日本語教育機関の学生のための奨学金
日本語学校、留学生別科の学生にも支給される奨学金があります。
2022年2月時点の奨学金(学校奨学金、研究者奨学金・助成金を除く)は、JASSO STUDY in JAPANの「日本留学奨学金パンフレット(日本留学奨学金パンフレット)2022-2023」で調べられるので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
日本で日本語を学びたい場合は、まず「日本語学校」と「留学生別科」と呼ばれる学校の概念を理解し、自分に合った学校を選びましょう。そして、入学時期に合わせて申し込みをし、長期語学研修の場合は「留学ビザ」もあらかじめ用意しなければなりません。日本語学校の選び方については「日本語学校の選び方 必要な費用や4つのチェックポイントを紹介!」、留学ビザについては「外国人留学生に必要な在留資格「留学」とは?就労に必要な手続きも解説」をぜひ参考にしてください。
また、日本語学校卒業後に進学を考えている場合は、日本の大学の種類に関する知識も必須です。日本には専門学校(専修学校)、短期大学、大学、専門職大学…と、さまざまな高等教育機関があり複雑なので、詳しくは「日本の高等教育の概要と進学率を解説!良い点や問題点も紹介!」 をご覧ください。