「日本に留学したいけど、どのような準備が必要なのか分からない…」という方もいるでしょう。日本留学には条件があり、満たしていない場合は在留資格を取得できません。そこで、このコラムでは、日本に留学するまでのステップや主な留学先を紹介します。留学準備でお悩みの方は参考にしてください。また、留学生活をより良くするために知っておくべき情報もまとめているので、ぜひチェックしてみましょう。
目次
日本留学の主な選択肢
日本で外国人が留学する先は、日本語学校や専門学校、大学などの高等教育機関です。ここではそれぞれの留学先に関して詳しく解説するので、日本で教育を受けたい方は参考にしてください。
1.日本語学校
日本文化や日本語に興味がある方には、日本語学校がおすすめです。日本には、全国各地に外国人向けの日本語学校が存在します。少し調べるだけで自分の予算や学習スタイル、目標に応じた日本語学校が見つかるでしょう。選択肢が非常に多いため、良い日本語学校の見極め方を身につけてから、留学先を決めることをおすすめします。
2.日本語学校から専門学校や大学への進学
日本語学校で勉強したあと、日本の専門学校や短期大学、大学に進学する留学生もいます。「日本語学校で教育を受けたけど学び足りない」「日本語が分かるようになったから、専門的な勉強がしたい!」という方は、進学を検討してみましょう。なお、日本語学校で日本語能力を身につけたあとに、母国に戻って進学したり日系企業に就職したりする選択肢もあります。
3.高校・専門学校・大学
日本の高校や専門学校、大学などの教育機関は、一定の条件をクリアすれば海外からも入学できます。基本的には授業のために一定の日本語能力を求められますが、学校によっては英語が話せればOKなコースもあるので、気になる方は調べてみましょう。なお、海外からの直接入学で日本に留学する場合は、志望する学校に直接連絡して入学要件の確認と申請資料の請求を行う必要があります。入学試験を母国で受けられる場合もあるので、必ず確認しましょう。
「日本に留学したい外国人必見!日本留学試験や在留資格について解説」では、留学に関する手続きをまとめています。留学の際に利用できる奨学金も紹介しているので、参考にしてください。
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日本留学を実現するための7つのステップ
ここでは、日本に留学するまでのステップを解説します。日本留学の夢を実現するためにも、綿密に計画を立てて準備を行いましょう。
1.リサーチとプランニング
日本留学を行う1〜2年前から情報収集を行うことで、より良い留学計画を立てられます。まず初めに、日本に留学する理由と実現したい目的を明確にしましょう。たとえば、以下の質問に対する答えが明らかになれば、日本留学の目的や明確なプランがはっきりしていきます。
- 日本で何を勉強したいのか?
- いつまで日本で勉強を続けたいのか?
- 留学期間中に何を達成したいのか?
- いつ日本に留学したいのか?
大まかな目的やプランが見えてきたら、細かい部分を突き詰めていきましょう。
- 日本のどの地域で勉強したいのか?
- 自分の日本語能力は客観的に見てどのレベルなのか?
- 勉強したい内容を学べる学校はどこなのか?
- 入学要件は満たしているのか?
- 日本での生活費はどれくらい必要なのか?
- 日本留学を実現できる程度の経済的余裕はあるのか?
- 理想的な留学計画の実現が難しいときはどうするのか?
留学の計画を立てる際は、大まかな枠組みから考えてから、細かい内容を決めましょう。さらに具体的な計画を立てるには、以下のポイントも調べることをおすすめします。
- 入学要件や学費、気になる学校のコースを確認する
- 日本で住む場所を決めて生活費を計算する
- 利用できる奨学金があるかチェックする
- 母国の通貨と日本円の為替レートを確認する
情報収集を終えたら、本格的に留学計画を立てましょう。目指す留学先が日本語学校の場合、入学したい時期の1年前までに2ヶ月ほど調査を行い準備すれば十分です。ただし、専門学校や大学への直接入学を目指す場合は、2年以上前からリサーチとプランニングを行うことをおすすめします。
2.学校選び
自分の興味がある分野や学びたい内容がはっきりすると、留学先としてふさわしい学校も明らかになるでしょう。いくつか留学先の候補を出したら、具体的な授業内容や入学要件を知るために、学校に資料請求を行います。
日本語学校への留学を考えている方は、入学月の6ヶ月〜1年前には資料請求を行いましょう。たとえば、4月入学の場合は前年の7月、10月入学の場合は同年の1月までに資料請求することをおすすめします。一方、大学や専門学校へ留学する場合は入学月の1年前が理想のタイミングです。ただし、学校やコースによっては資料請求の開始時期が異なるので、志望校に確認しましょう。学校によっては、電子メールでパンフレットや出願書類を送ってくれたりビデオ通話で説明してくれたりすることもあります。
3.願書提出
日本留学の際は入学に必要な試験をあらかじめ受けてから、志望校に願書を提出します。学校によっては入学試験の一環としてJLPTやTOFELなどの試験が必要な場合もあるので、必要に応じて出願しましょう。また、留学生の受け入れを行っている大学の多くは、日本留学試験(EJU)を利用して入学試験を行っています。日本国外にも試験会場があるので、お住まいの地域によっては母国での受験も可能です。日本国内での受験が必要な方は、短期滞在ビザを取得して入学試験を受けましょう。
入学試験を終えたら必要な書類と受験結果の証明書を用意して、志望校に出願します。合否に関わらず受験費用を支払う必要があるので、用意しておきましょう。学校によっては独自の入学試験を設けているので、終了後に合否が発表されます。
日本語学校や大学の出願時期はおおむね6ヶ月前です。ただし、学校によって差があるので、志望校に出願時期を確認しましょう。
4.入学許可書の入手と学費の支払い
入学が認められると入学許可書が届きます。このタイミングで学費の支払いが発生するので、あらかじめ準備しておきましょう。一般的に学費は分割納入と一括納入が選べるので、無理のない支払い方法を選択してください。
引用元:在シドニー日本国総領事館「Student Visa」
学費の支払い後、学校が出入国在留管理官署に在留資格証明書(COE)の発行を申請します。COEは日本に入国するために必要な書類なので、届いたらなくさないように管理しましょう。なお、COEの発行には1〜3ヶ月ほど掛かります。
5.日本への入国手続き
COEは留学先の学校から郵送で届きます。日本への入国ビザを申請するには、COEの原本が必要です。以下の必要書類を用意して、自国の日本大使館で手続きを行いましょう。
- 有効なパスポート
- ビザ申請書
- 撮影日から6ヶ月以内の顔写真(45mm×35mm)
- 在留資格認定証明書(原本とコピー)
- 確認書
国籍によっては上記以外の書類を求められる可能性があります。念のため、自国の日本大使館Webサイトで確認しておくと、不備なく申請を行えるでしょう。COEがあればビザ発給までの日数が短くなり、おおむね5営業日でビザを受け取れます。
6.日本への出発準備
無事にビザが発給されたら、日本への出発準備を行いましょう。航空券や宿泊先の手配、日本への両替、荷物の梱包などが主な準備です。クレジットカードやデビットカードを日本でも使いたい方は、海外でも使えるように設定しておきます。生活必需品や重要書類など、詰め忘れがないか確認するために、チェックリストを使いながら確認すると良いでしょう。
7.留学生活のスタート
上記の日本留学の準備が完了したら、いよいよ留学生活のスタートです。日本に入国したらパスポートやビザ、COEを空港の入国管理カウンターに提示して在留カードを受け取りましょう。在留カードは、日本に滞在する間必ず携帯しなければなりません。なお、小規模な空港や港から入国した場合は、日本での住居地を管轄する市区町村の役所で申請し、後日郵送で在留カードを受け取ります。
日本留学試験(EJU)を受験するメリットは、「日本留学試験(EJU)とは?実施時期や受験のメリットを解説!」でまとめています。多くの大学がEJUを採用しているので、どのような試験か知りたい方はチェックしてみましょう。
参照元 独立行政法人日本学生支援機構「日本留学試験出願方法」 独立行政法人日本学生支援機構「留学準備」 外務省「一般ビザ:留学」 厚生労働省「Fast Track」
日本留学の条件
日本留学を実現するには、一定の条件をクリアする必要があります。以下で詳しく条件を説明しているので、日本で教育を受けたい方は参考にしてください。
在留資格「留学」の取得
日本で教育を受けるには、在留資格「留学」が必要です。パスポート、大学での研究内容を証明する文書など、申請に使う書類はあらかじめ用意しておきましょう。また、在留資格「留学」を取得するには、日本滞在費の支払い能力を証明する必要があります。日本滞在に掛かる費用は留学の期間と学費、生活費によって異なるので、一概にいくらあれば問題ないということはありません。自分や親など、留学中の生活費の支払いを行う人の通帳のコピーや納税証明書を提出して、支払い能力を証明しましょう。
一定の言語能力
日本留学を実現するには、一定の日本語能力や英語力が必要です。なお、求められる語学力は学校の種類やコースによって異なります。日本語学校の場合は、日本語の知識がない方は初級クラスからスタートです。ある程度日本語の知識がある方やJLPTを受けたことがある方は、テストを行い、結果に応じたクラスに割り振られます。実践的な日本語を勉強したい方は、あらかじめ独学で日本語を学んでおきましょう。
専門学校や大学に留学する場合は、授業で使われる言語によって日本語や英語の能力が求められます。日本の大学の中には、留学生向けに全授業通して英語で進行する学校もあるので、その場合は日本語の読み書きや会話ができなくても十分な教育を受けられます。ただし、日本語で授業を行う専門学校や大学に留学する場合は、JLPTのN3〜N2レベルの日本語能力が必要です。入学要件で必要な言語能力を提示している学校が多いので、出願前に確認しましょう。
12年間の教育の修了
日本の大学に留学するには、初等教育・中等教育・高等教育を合計で12年受けていなければなりません。12年間の教育を修了していない場合は、志望校に出願する前に1〜2年間の大学進学準備コースで学んでから、大学進学を目指すことになります。
参照元 独立行政法人日本学生支援機構「STUDY IN JAPAN 基本ガイド」
日本の生活で知っておくべきこと
日本の生活様式は母国と異なることが多く、文化の違いに戸惑う人もいます。また、住む地域によっては物価や生活費が高く、想定より出費がかさむこともあるでしょう。そこで、ここでは留学生活をより良くするために、事前に知っておくべき日本に関する情報をまとめています。
生活費は地域によって異なる
引用元:独立行政法人日本学生支援機構「生活費・物価」
留学生の日本滞在中の出費は、地域によって1〜3万円程度の差があります。特に日本の首都である東京都はほかの地域に比べて物価や生活費が高く、支出が増えやすいのでしょう。一方で、四国や九州、東北などの地方は物価や生活費を安く抑えられます。留学生は許可を取れば一定の制限のもとアルバイトを行えるので、留学資金に悩んでいる方は働きながら勉強するのも一つの選択肢です。なお、日本での生活に掛かる主な費用は、家賃や水道光熱費、食費、通信費、交通費、医療費などがあげられます。ほかにも美容費や交際費などさまざまな出費があるので、支出はしっかり管理しましょう。また、日本で暮らすために、母国からの引っ越し費用が発生するのも忘れてはいけません。
アパートを借りるには保証人が必要
日本でアパートやマンションといった賃貸住宅を借りるには、基本的に保証人が必要です。留学生の主な住まいには学生寮やアパート、シェアハウスなどがあります。どの物件でも、日本国内に住んでいる人を保証人として求められることが多いので、頼れる人がいない場合は留学先の学校に相談してみましょう。学生寮以外の住居を借りる際に、保証人を立ててくれる専門学校や大学もあります。
文化の違いにカルチャーショックを受けることも
日本に訪れる留学生は、必ずといっていいほど文化や生活様式の違いにカルチャーショックを経験します。日本に来てすぐは何事も新鮮で刺激的なため、母国との違いに触れても楽しく感じるでしょう。しかし、ある程度学校生活や日本に慣れてきたころに文化の違いに触れると、驚きよりも母国に対する恋しさが強くなる傾向にあります。不安になったりイライラしたり、時には留学自体を後悔することもあるでしょう。カルチャーショックは、自分の行動や心構えによって緩和できます。留学生活を楽しむためにも、カルチャーショックの緩和方法を勉強しておくと良いでしょう。
まとめ
このコラムを読み終えるころには、日本留学の準備が完璧になっているでしょう。留学は人生を豊かにする経験の一つであり、多くの人々にとって良い思い出になります。学べることを学びながら知見を深め、さまざまな体験を楽しんでください。