「日本のことわざを覚えたいけれど難しい」「ことわざのクイズに挑戦してみたい」という方もいるでしょう。ことわざは普段使われる言葉と異なっているため、簡単には覚えられないという人も少なくありません。しかし、クイズとして学ぶと、親しみやすく記憶にも残りやすくなります。このコラムでは、体や行動、数、色などに関するバラエティーに富んだことわざを紹介。ことわざを勉強する際の参考にしてください。
目次
体に関係することわざクイズ
日本には、体に関することわざが多く存在します。ここでは、体の一部を表す言葉が使われていることわざをクイズにして紹介するので、チャレンジしてみましょう。
クイズの問題
以下は体に関することわざのクイズです。△や●に、体の一部を表す言葉を入れましょう。
- 問1.△過ぎれば熱さを忘れる
- 問2.△隠して●隠さず
- 問3.△に●は代えられぬ
クイズのヒントは、「頭」「喉元」「腹」「背」「尻」です。
クイズの答え
体に関するクイズの答えです。
問1.喉元過ぎれば熱さを忘れる
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」は、「大変な苦労や苦痛も、過ぎてしまえば忘れてしまう」という意味のことわざです。飲食物を飲み込んだ際に、喉を通るときは熱くても通過したら感じなくなることから生まれました。「締め切り前は慌てていたのに、喉元過ぎれば熱さを忘れるでまたのんびりしてしまった」といったように使われます。また、「大変なときに助けてくれた恩も、苦難が過ぎたら簡単に忘れてしまう」と、戒める際にも用いられることわざです。
問2.頭隠して尻隠さず
「頭隠して尻隠さず」は「一部だけを見えないようにして、すべてを隠したつもりでいる様子」を表したことわざです。特に、欠点や悪事などの一部を隠して、まったく見つかっていないと思っている様子のたとえに使われます。
きじという鳥が隠れる際に、頭だけを草むらに隠して尾が出ていても気付かない様子が由来です。主に上手く隠したと思っている人の愚かさを笑う際の言葉として用いられます。
問3.背に腹は代えられぬ
「背に腹は代えられぬ」は、「危険を避けるために、ほかに良い方法がない状態で選択する」という状況を表すことわざです。「大きな被害の回避のために、多少の犠牲を出す」「大切な物を守るために何かを代わりに差し出す」といった場面でも使われます。
「背に腹は代えられぬ」の由来は、武士の行動にあります。武士は敵に斬られそうになった際に、内臓がある腹ではなく背中を向けるという選択をし、死を回避していました。「背中は内臓のある腹の代わりはできない。腹より背中を斬られた方がましだ」というたとえから、ことわざが生まれたのです。
日本には、ほかにも武士に関することわざがあります。「日本のことわざについて知りたい!外国人に向けて歴史や使い方を解説」のコラムで紹介しているので、チェックしてみましょう。
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行動に関係することわざクイズ
行動に関することわざからは、人生の教訓を得られます。ここでは、行動に関することわざをクイズにして紹介するので、意味を確認してみてください。
クイズの問題
以下は行動に関することわざのクイズです。△や●に、行動を表す言葉を入れましょう。
- 問1.△は一時の恥●は一生の恥
- 問2.△先に立たず
- 問3.△神に祟りなし
クイズのヒントは、「後悔する」「触る」「聞く」です。
クイズの答え
行動にまつわるクイズの答えです。
問1.聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥
「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」は、「自分の知らないことは恥ずかしがらず、積極的に聞くべきだ」という意味のことわざです。「知らないことを聞くと一時的に恥をかくが、聞かずに一生無知なままで過ごす方がより恥ずかしい」といっています。
よく使われるのは、仕事や学業などの場面で分からない内容や質問があるときです。「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥だから、質問があったらすぐ聞くようにしている」といったように用いられます。
問2.後悔先に立たず
「後悔先に立たず」は、「すでにしてしまったことは、あとから後悔しても取り返しがつかない」という意味のことわざです。「後悔先に立たずで、昨日歩き過ぎたせいで足が痛い」「後悔先に立たずというけれど、なかなか諦められない」といったように使います。
なお、「のちのち後悔しないように、事前によく注意すべきである」という戒めにも使われることもあるでしょう。「後悔先に立たず、間違いがないようによく調べよう」といったように用いられます。
問3.触らぬ神に祟りなし
「触らぬ神に祟りなし」の意味は、「物事に関わりさえしなければ、余計な災いを招かない」です。「トラブルとは関わらない方が良い」「面倒になりそうな事態は近づかないのが賢明である」などの意味でも使われます。揉めごとを仲裁しようとして逆恨みされるといった事態を避けるための、教訓にも用いられることわざです。
元々は、「神と関わりさえしなければ、祟られるはずもない」というたとえから生まれました。
「日本語のことわざはビジネスや日常生活に役立つ?外国人が学ぶメリットとは」や「ことわざと慣用句の違いは?特徴を覚えて日本語の勉強に役立てよう」のコラムでも、行動に関することわざを紹介しています。
数に関係することわざクイズ
数が関係することわざは、日本人が持つそれぞれの数字に対するイメージと密接に関係があります。ここでは、数字が使われていることわざをクイズにしているので、挑戦してみましょう。
クイズの問題
以下は数が関係することわざのクイズです。△に数字を入れましょう。
- 問1.人の噂も△日
- 問2.△階から目薬
- 問3.無くて△癖
クイズのヒントは、「2」「7」「75」です。
クイズの答え
数が関係するクイズの答えです。
問1.人の噂も七十五日
「人の噂も七十五日」は、「人の噂は長く続かず、75日もすれば忘れられる」という意味のことわざです。「一時的に噂になっても、人は忘れやすい性質があるから気にしなくても良い」という教訓として用いられます。
噂になってしまった当人は、気になったり反論したりしたくなるでしょう。しかし、黙って耐えていれば噂は短時間で消えて、状況が良くなる場合がほとんどです。たとえば、「人の噂も七十五日だから、気にせず堂々としていればいいよ」といったように用いられます。
問2.二階から目薬
「二階から目薬」には、2つの意味があります。1つ目の意味は「物事が上手くいかず歯がゆい」という意味です。建物の2階から下にいる人に目薬をさしてもなかなか上手くいかないように、「何度やっても成功せずもどかしい気持ち」を表す際に使われます。
2つ目は「直接的でなく効果が薄い」という意味です。2階から目薬をさしても命中する確率が低いように、「効率的でない様子」を表しています。
「二階から目薬」は、「2階から目薬をさして命中するくらい可能性が低い」という意味のことわざだとよく間違われます。しかし、「可能性が低い」という意味はありません。
問3.無くて七癖
「無くて七癖」の意味は、「人は誰でも多少癖がある」です。「七」は「無くて」と「な」の音を合わせて、リズムを良くしています。
なお、「無くて七癖有って四十八癖」ということわざもあります。意味は、「癖がなさそうな人でも少しはあるのが普通で、癖があるように見える人は一段と多くある」です。
どちらも人の癖に言及することわざでネガティブな意味を含むため、使う際は注意しましょう。
「かっこいいことわざを紹介!読み方や意味も合わせて覚えよう」のコラムでも、数に関係することわざを紹介しています。また、「日本の有名なことわざと意味を紹介!英語との違いも解説」のコラムでは、数に対する考え方も解説しているので、参考にしてください。
動物に関係することわざクイズ
日本には、動物に関することわざがいくつもあります。これらのことわざを知ることで、さまざまな動物に対する日本人のイメージへの理解を深める手掛かりになるでしょう。
クイズの問題
以下は動物に関することわざのクイズです。△に動物の名前を入れましょう。
- 問1.月と△
- 問2.飼い△に手を噛まれる
- 問3.△百まで踊り忘れず
クイズのヒントは、「犬」「雀(すずめ)」「すっぽん」です。
クイズの答え
動物に関するクイズの答えです。
問1.月とすっぽん
「月とすっぽん」は、「比べられないほど2つの物事に大きな違いがある」という状況を表しています。「すっぽん」とは、かめの一種です。「美しいといわれる月と比べすっぽんは顔が醜く、比較対象にならない」というたとえとして用いられます。
「月とすっぽん」は、2つの物事に優劣がある場合に使われることわざです。使う場面によっては相手に不快感を与える可能性があるので、注意しましょう。
問2.飼い犬に手を噛まれる
「飼い犬に手を噛まれる」の意味は、「普段から世話をしていた人に裏切られる」です。飼っている犬は日ごろなついているようでも、急に噛みつくことがあります。同じように、面倒をみていた部下や後輩からの裏切りをたとえたことわざです。なお、上下関係がある人に用いられることわざのため、対等な相手には使われません。
たとえば、「飼い犬に手を噛まれる」が用いられる場面は職場です。「仕事を教えた部下が、ライバル企業に転職してしまった。飼い犬に手を嚙まれた気分だ」というように使われます。
問3.雀百まで踊り忘れず
「雀百まで踊り忘れず」は「すずめひゃくまでおどりわすれず」と読みます。ことわざの意味は、「若いころについた習慣は何歳になっても直らない」です。「雀の踊るように飛び跳ねて地面を歩く癖は直らないように、小さなころについた習慣は変えられない」というたとえから生まれました。
「子どものときに覚えた芸事は、大人になっても忘れない」との意味でも使われますが、元々は良くない習慣に対して用いられることわざです。
「日本のことわざクイズをご紹介!あなたはいくつ分かる?」や「日本語のなかでも特に難しい言葉は?外国人が知っていたら驚かれるフレーズ」のコラムでも、動物に関係することわざを紹介しています。ぜひご覧ください。
色に関係することわざクイズ
日本には色にまつわることわざもあります。これらのことわざを知ると、日本人に親しまれている色に関する知識が増えるでしょう。
クイズの問題
以下は色に関することわざのクイズです。△と●に色名を入れましょう。
- 問1.隣の芝生は△
- 問2.△屋の●袴
- 問3.△に交われば●くなる
クイズのヒントは、「白」「青」「紺」「赤」「朱」です。
クイズの答え
色に関するクイズの答えです。
問1.隣の芝生は青い
「隣の芝生は青い」は、「人と自分を比べて、相手の所有物や環境がよく見える」という精神状態を表したことわざです。「隣」は実際に横にいる人だけではなく、「自分以外の者」を指します。「青」は、深い緑色を指して「青々しい」といったようにも使われる色の名前です。「隣の芝生は青い」では、「芝生が成長して茂っている様子」を表します。
なお、「隣の芝生は青い」は似ている状況にある相手に用いられることわざで、環境や立場が大きく異なる人同士には使われません。「隣の芝生は青いというけど、友人は毎日楽しそうでうらやましい」といったように用いられます。
問2.紺屋の白袴
「紺屋の白袴」は「こうやのしろばかま」と読みます。「他人の世話で忙しく、自分は後回しになっている状況」を表すことわざです。「紺屋」は「こんや」とも読み「染物屋」を、「白袴」は「しらばかま」とも読み「染めていない袴」を指します。江戸時代に繁盛していた染物屋の店員が、忙しくて自分の袴を染める時間がない様子から生まれました。
一般的に褒め言葉ではなくネガティブなニュアンスを含むことわざのため、使う際は注意が必要です。
問3.朱に交われば赤くなる
「朱に交われば赤くなる」は、「人は付き合う相手の影響を受けて変わる」という意味のことわざです。交友関係が人に及ぼす影響力の強さを表す言葉で、良い悪いどちらの場合にも使われます。
なお、付き合う友人から影響を受けやすい、子どもや若者に対する教訓の言葉としても一般的です。たとえば、「朱に交われば赤くなるというように、遊ぶ友達は選びなさい」というように言われます。
まとめ
ことわざは国々の文化や価値観に根付いています。日本のことわざを学ぶうちに、日本の文化や言葉に関する知識も深まるでしょう。このコラムで紹介した以外にも数多くのことわざがあるので、興味を持った方はぜひ調べてみてください。ことわざに詳しくなれば、日本人の会話や日本語の小説・アニメといった作品もより楽しめるようになるでしょう。