就労ビザや留学ビザで日本に在留する外国人の配偶者や子どもは、家族滞在ビザの取得が可能です。扶養者と同じ期間の在留期間が許可されるので、家族が離れ離れにならず日本で一緒に生活できます。
このコラムでは、家族滞在ビザを取得する条件や申請に必要な書類を紹介。内容を参考にして、家族を呼び寄せる準備を始めましょう。
目次
家族滞在とはどんなビザ?
家族滞在ビザは、就労に関するビザや留学ビザで日本に在留する外国人の家族に付与されます。外国人が日本で暮らすためには、何らかの在留資格を取得しなければなりません。就労に関する在留資格は、基本的に専門的な能力を活かして働く外国人に付与されます。学歴や実務経験、資格がないと取得は難しいでしょう。自分が就労に関する在留資格を取得できても、家族まで得られるとは限りません。しかし、家族が家族滞在ビザを取得することで、一緒に日本で暮らせるのです。
日本の在留資格の種類については「在留資格29種類まとめ!外国人に知ってほしい基礎知識も紹介」や「さまざまな種類の日本の就労ビザを紹介」のコラムでより詳しくまとめています。
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家族滞在ビザを得られる外国人とは
ここでは、家族滞在ビザを得られる外国人の条件を解説します。
特定のビザを持つ外国人に扶養される配偶者か子ども
家族滞在を取得できるのは、以下の在留資格を持つ外国人に扶養される配偶者(妻か夫)か子どもです。
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能2号
- 留学
在留資格「技能実習」や「特定技能1号」を持つ外国人の家族は、家族滞在ビザを取得できません。
扶養者に扶養能力がある
家族滞在ビザは、就労ビザや留学ビザを持つ外国人の扶養(経済的なサポート)を受ける配偶者や子どもに許可されます。そのため、扶養者に十分な扶養能力があることを証明できなければ、許可されません。審査時には扶養能力の確認のため、課税証明書や納税証明書を提出します。
なお、必要な収入金額は子どもの数や家賃、住んでいる地域の物価などから総合的に判断されるため、明確な基準はありません。
家族関係を書類で証明できる
家族滞在ビザの対象者は、扶養者との家族関係を書類で証明する必要があります。
配偶者の場合は、結婚証明書や婚姻届受理証明書を提出します。なお、日本もしくは外国の法律で婚姻関係が認められていない場合、家族滞在ビザは申請できません。内縁の妻や夫、婚約状態では申請できないので注意しましょう。
子どもの場合は、出生証明書などを提出します。実子のほか、連れ子や特別養子、普通養子も家族滞在ビザの取得が可能です。
参照元 出入国在留管理庁「在留資格「家族滞在」」
家族滞在ビザはアルバイト就労のみ可能
家族滞在ビザで日本に滞在する外国人には、就労が許可されていません。しかし、資格外活動許可を得れば、決められた範囲内でアルバイトができます。
資格外活動許可を得ればアルバイトができる
家族滞在ビザを持つ外国人は、資格外活動許可を得れば制限の範囲内でアルバイトができます。資格外活動許可とは、在留資格外の活動をする際に必要な許可のことで、地方出入国在留管理官署で申請可能です。
資格外活動許可には、勤務先や業務内容を1ヶ所に定めない「包括許可」と勤務先や業務内容に制限がある「個別許可」があります。家族滞在ビザの場合は、一般的に包括許可を得ることになるでしょう。
資格外活動許可でアルバイトする際の注意点
資格外活動許可の包括許可でアルバイトをする場合、働けるのは週に28時間のみです。どの日から見ても勤務時間が週28時間に収まるよう調整する必要があります。また、家族滞在ビザは収入が上がり扶養から外れると取り消される可能性があるので、働きすぎには注意しましょう。ただし、週28時間の制限の範囲内で働いていれば、万が一時給が上がり扶養を外れてしまっても取り消しになるケースは少ないようです。
資格外活動許可については「資格外活動許可とは?アルバイトを始めたい外国人留学生に向けて解説」や「外国人留学生のアルバイトは、資格外活動の許可が必要!」のコラムでまとめています。外国人留学生向けのコラムですが、家族滞在ビザの人も参考になるでしょう。
家族滞在ビザを取得する際に必要な書類
ここでは、家族滞在ビザを取得する際に必要な書類を紹介します。
あらたに取得する場合
外国人があらたに家族滞在ビザを取得する際は、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。必要な書類は以下のとおりです。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、必要な額の郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの)
- 申請人と扶養者との身分関係を証する文書(戸籍謄本、婚姻届受理証明書、結婚証明書の写し、出生証明書の写し、またはこれらに準ずる文書)
- 扶養者の在留カードまたは旅券の写し
- 扶養者の職業および収入を証明する文書(扶養者が会社員や経営者の場合は在職証明書や営業許可証の写し、住民税の課税証明書や納税証明書など。扶養者が留学生の場合は扶養者名義の預金残高証明書または奨学金給付に関する証明書)
海外にいる配偶者や子どもの代わりに、扶養者が申請を行うのが一般的です。また、配偶者や子どもが短期滞在ビザで入国し、自ら申請することもできます。
ほかのビザから変更する場合
ほかのビザから家族滞在ビザに変更する際は「在留資格変更許可申請」が必要です。たとえば、外国人留学生が就労に関する在留資格を持つ外国人と結婚し、扶養に入るケースが当てはまるでしょう。
必要な書類は以下のとおりです。
- 在留資格変更許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- パスポートおよび在留カード(提示)
- 申請人と扶養者との身分関係を証する文書(戸籍謄本、婚姻届受理証明書、結婚証明書の写し、出生証明書の写し、またはこれらに準ずる文書)
- 扶養者の在留カードまたは旅券の写し
- 扶養者の職業および収入を証明する文書(扶養者が会社員や経営者の場合は在職証明書や営業許可証の写し、住民税の課税証明書や納税証明書など。扶養者が留学生の場合は扶養者名義の預金残高証明書または奨学金給付に関する証明書)
在留資格変更許可申請の場合は、原則本人が行います。
参照元 出入国在留管理庁「在留資格「家族滞在」」
家族滞在ビザに関するQ&A
ここでは、家族滞在ビザに関するさまざまな疑問をQ&A形式で解説します。
扶養者がビザを失ったらどうなる?
扶養者が退職したり退学したりしてビザを失い帰国した場合、家族滞在ビザも取り消されます。家族滞在ビザは扶養者の存在のもと付与されるので、引き続き日本に居続けるには、自らがほかのビザを取得しなくてはなりません。
成長した子どもは家族滞在ビザを得られる?
家族滞在ビザで日本に在留していた子どもが成人し就職する場合、ビザを変更しなくてはなりません。日本で高校まで卒業し、就職先が決まっている子どもは「定住者」もしくは「特定活動」ビザの取得が可能です。
すでに成長した子どもを家族滞在ビザで呼び寄せる場合、高校生までであれば申請が許可される可能性が高いでしょう。一方、成人している子どもは自分で働ける年齢とみなされるので、家族滞在ビザでは呼び寄せられません。病気や怪我で働けず、親のサポートが必要と判断されたときにのみ、許可される可能性があります。
家族滞在ビザで親を呼び寄せられる?
家族滞在ビザで呼び寄せられるのは、配偶者もしくは子どものみです。もし親が高齢で本国に身寄りがない場合は、人道的観点から「特定活動」ビザを取得できる可能性があります。ただし、かなり難易度は高いといえるでしょう。
もう一つの方法として、自身が在留資格「高度専門職」を取得すれば、優遇措置として親を本国から呼び寄せられます。
まとめ
配偶者や子どもが家族滞在ビザを取得すれば、日本で一緒に暮らせます。家族を呼び寄せるためには、扶養できるだけの安定した収入がなくてはなりません。自身の経済状況を確認し、申請を進めましょう。