外国人留学生の方が持っている「在留カード」ですが、名前が変わったときには手続きが必要なのをご存知ですか。なかには、よく分からないからまた今度にしよう…と手続きを後回しにしようとしている方もいるのではないでしょうか。手続きには期限があるため、後回しせずにできるだけ早く行動することが大切です。
こちらのコラムでは、外国人留学生に知ってほしい「在留管理制度」の概要をはじめ、名前が変わった時に必要な手続き、その他届け出が必要なパターンについてもまとめています。日本での留学生活に、ぜひ当コラムをお役立てください。
目次
外国人留学生が知るべき在留管理制度とは?
在留管理制度の概要を、以下で分かりやすく説明していきます。
在留管理制度
現在、運用されている在留管理制度は、法務大臣が在留資格をもって日本に中長期間(3ヶ月以上)在留する外国人を対象に、その在留状況を継続的に把握し、外国人の適正な在留の確保に資する制度の構築を図ろうとする制度です。。2012年にスタートしました。
この制度の導入により、在留期間の上限が最長5年に延長され、出国日から1年以内に再入国する場合の手続を原則不要とする「みなし再入国許可制度」が導入されるなど、外国人の方々に対する利便性が向上したのが特徴です。なお、この制度の導入に伴い、外国人登録制度は廃止されました。
対象となる外国人
在留管理制度の対象となるのは、入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人。以下のいずれにも当てはまらない人が対象です。
・3ヶ月以下の在留期間が決定された人
・短期滞在の在留資格が決定された人
・外交または公用の在留資格が決定された人
・外国人に準ずるものとして法務省令で定める人
・特別永住者
・在留資格を有しない人
日本人と結婚している方や日系人の方、企業に勤めている方、技能実習生、留学生、永住者などが対象となり、観光目的で日本に短期間滞在する方は対象外となります。
在留カードとは
上陸許可や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可など、在留に関係する許可に伴い、在留管理制度の対象者に交付されるもの。
氏名や国籍、地域、生年月日、性別などの基本的身分事項や、在留資格、在留期限、就労の可否が記載され、顔写真が表示されます。また、カードには偽造防止のためICチップを搭載。カード面に記載された全部または一部が記録されています。
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名前が変わった時はどうする?
氏名や国籍、地域、生年月日、性別に変更があった場合、変更があった日から14日以内に居住地を管轄する地方出入国在留管理局に届け出る必要があります。
届出人
届け出は基本的に本人が行いますが、本人が16歳未満の場合や病気、その他の理由で届け出が困難な場合は、代理人による申請が可能。
本人と同居する16歳以上の親族か、地方出入国在留管理局長からの申請取次の承認を受け届出人本人から依頼を受けた者(弁護士、行政書士等)が、代理人として申請を行うことができます。
届け出に必要な書類
・届出書(届出内容によって書式が異なる)
・証明写真(16歳未満の方は不要)
・旅券または在留資格証明書
・在留カード
・変更が生じたことを証明する資料
代理人による届け出の場合には、上記の書類に加え以下が必要になります。
・在留カードのコピー
・診断書(本人が病気で親族が代理で届け出を行う場合)
・委任状(本人の依頼により親族が代理で届け出を行う場合)
住居地以外の記載事項の変更の届出があった場合には、新たな在留カードが交付されます。手続きに手数料はかからず、在留カードは原則として即日交付されます。ただし、旅券の訂正や再交付を先に受けていないと即日交付されない場合があるため注意しましょう。
在留カードが即日交付されず、後日改めて受領する際には次の書類の提出が必要となります。
・申請受付票
・旅券または在留資格証明書
・在留カード
・身分を証明する文書等
地方出入国在留管理局では手続き内容により曜日や時間が設定されている場合があるため、地方出入国在留管理局のWebサイトで事前に確認しておきましょう。在留カードの内容変更の手続きは「外国人留学生が在留カードの内容を変更する方法とは?」のコラムをご覧ください。
そのほかに届出が必要なパターンを知ろう
氏名や国籍などの変更以外にも、届け出が必要な場合があります。以下をご覧ください。
所属機関に変更があった場合
「留学」や「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を持っている方は、学校や勤務先に変更があったら地方出入国在留管理局に届け出る必要があります。「留学」ビザで入国していた留学生が就職した場合は、「日本で就職する外国人留学生必見!在留資格の変更申請について解説」で紹介しているとおり、在留資格の変更申請が必要です。
ただし、「芸術」や「宗教」「報道」の在留資格を有する方は、必ずしも所属機関の存在が在留資格の基礎にはなっておらず、在留管理上の問題も生じていないため対象とはなりません。また「日本人の配偶者等」など、身分や地位に基づく在留資格を有する方も、所属機関の変更について届け出る必要はありません。例えば、「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人は、転職したからといって届け出る必要はありません。
配偶者との離婚等の場合
「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「家族滞在」の在留資格を有する方のうち、配偶者としての身分が在留資格の基礎になっている方のみ、離婚や死別の際に地方出入国在留管理局に届け出る必要があります。
なお、「定住者」の在留資格を有する方については届け出の必要はありません。
住居地を新たに定めた場合及び住居地に変更があった場合
住居地に関する届け出は地方出入国在留管理局で行うことはできず、住居地の市区町村への届け出が必要です。
中長期在留者の方が日本に入国した後、住居地を定めた日から14日以内に住居地の市区町村窓口へ届け出ます。また、住居地に変更があった場合は、旧住居地の市区町村において転出手続きを行い、変更から14日以内に新住居地の市区町村で転入手続きを行いましょう。
住居地の変更の場合は在留カードに新しい住居地の記載がされるのみで、新たな在留カードが交付されることはありません。
外国人留学生の方にとって、在留管理制度やそれに関わる手続きは難しく感じるでしょう。しかし、日本で暮らすためには必ず知っておかなければならない大切な制度です。
しっかり理解して、安心で有意義な留学生活を送りましょう。
▶監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net