日本の漫画は独特なコマ割りや繊細な表現で描かれているのが特徴です。さまざまなジャンルの作品があるため、老若男女問わず楽しめるカルチャーといえるでしょう。
このコラムでは、日本の漫画が国を問わず人気の理由を解説します。また、ジャンルごとに人気の作品も紹介。読んだことない作品があれば、この機会にぜひ読んでみましょう。
目次
日本の漫画の歴史
日本の漫画のルーツといわれているのが、平安時代の絵巻物「鳥獣人物戯画（ちょうじゅうじんぶつぎが）」です。「鳥獣人物戯画」は、擬人化された動物が躍動感のある線で描かれており、現代の漫画に通じるファンタジーの要素が感じられます。
江戸時代になると、浮世絵師である葛飾北斎の「北斎漫画」が人気を集めました。「北斎漫画」は、風景や植物、妖怪などがユーモラスに描かれているスケッチ画集です。
明治から大正時代には、新聞に1コマや4コマの漫画が掲載され、漫画がより人々にとって身近になりました。昭和に入ると、日本漫画の巨匠といわれる漫画家の手塚治虫（てづかおさむ）が、「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」などの作品を発表します。大きな夢や感動を与える手塚治虫の作品は多くの人に影響を与え、現代でも若い世代に語り継がれています。
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日本の漫画が人気の理由
日本の漫画が人気の理由には、「世代を問わず楽しめる」「ジャンルが豊富」な点が挙げられます。また、ほかの国の漫画にはあまりない独特な表現やストーリー展開も評価されているといえるでしょう。
老若男女が楽しめる内容
日本の漫画は、子どもはもちろん大人も楽しめる作品が数多くあるのが魅力です。夢を与えるストーリーや緻密に張られた伏線、複雑な人間関係など、日本の漫画で描かれる物語は幅広い世代を引き付けます。作品によっては、親子が同じ日本漫画のファンになることもあるでしょう。また、重厚な内容や仕事をテーマにした大人向けの日本漫画もあり、老若男女が一緒に楽しめる物語は日本漫画の特徴の一つです。
ジャンルが豊富
ジャンルが豊富なのも、日本漫画の魅力です。たとえば、ファンタジー漫画と一言で言っても、「ダークファンタジー」や「SFファンタジー」「バトルファンタジー」などがあります。同じテーマでも、作風によっては全く違う雰囲気の漫画になるでしょう。多彩なジャンルの作品から読む人の好みに合った漫画を見つけられます。
特徴的なストーリー展開
日本の漫画は、独特なストーリー展開が人気です。定番の「正義が悪に勝つ」「主人公が報われる」という内容ばかりではありません。主人公が犯罪者だったりバッドエンドだったりする漫画も多くあるのです。また、複雑で小説のようなストーリー展開が楽しめる漫画もある一方、平凡な日常生活を面白おかしく描いた作品もあるなど、さまざまなストーリーの漫画が存在します。
独特なコマ割りと繊細な表現
日本の漫画は、独特なコマ割りと繊細な表現も人気の秘訣といえます。コマ割りは、読者の目線を誘導するように細かく配置されているのが特徴です。一方で、見開き全面を使った大きなコマで迫力のあるシーンが描かれることもあります。
また、日本の漫画は絵のタッチが非常に繊細です。機械の細部や登場人物の衣服の模様を、細い線で細かく書き込んでいきます。なかには、芸術作品のような漫画もあるほどです。
日本のアニメの多くは漫画が原作です。「日本のアニメ文化が海外で愛される理由とは？ 世界的人気アニメ」 2022年ベスト3も紹介」「日本語の勉強におすすめのアニメは？好きを活かして楽しみながら学習しよう」では、日本の人気アニメについて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
日本と海外の漫画の違い
日本と海外の漫画にはいくつかの違いがあります。海外の漫画といえばアメリカのコミック、通称アメコミが有名です。アメコミはヒーロー物が中心で、人々に勇気や希望を与えるような物語が好まれます。また、フルカラーが基本なので、色で迫力や雰囲気を伝えるのが特徴です。日本の漫画は基本的にモノクロで描かれます。
製作過程にも違いがあり、日本の漫画は作者がアシスタントとともにストーリーやペン入れ、色付けを担当するのが一般的です。しかし、アメコミの場合はそれぞれの分野のプロフェッショナルがチームとなり、一つの漫画を作り上げます。
昨今は、韓国のウェブトゥーンも世界的に人気です。韓国のウェブトゥーンは、日本の漫画と題材やストーリー展開が似ています。しかし、スマートフォンで読むことを想定しているため、あらかじめ縦スクロールに合わせたコマ割りになっているのが特徴です。
海外でも人気の日本の漫画をジャンル別に紹介
ここでは、日本の漫画のなかから、特に海外で人気のある作品をジャンル別に紹介します。日本の漫画に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
ファンタジー
空想世界を描いたファンタジーは、日本でも人気のジャンルです。ファンタジー漫画には、アクションやスポーツなど、さまざまな要素が組み合わさった作品が数多くあります。さまざまな能力を持つ「麦わらの一味」が海賊王になるため航海の旅をする『ONE PIECE』は、ファンタジー漫画の代表格といえるでしょう。
ファンタジー漫画のなかには、ダークファンタジーというジャンルもあります。ダークファンタジーは、過激描写や重苦しいストーリー展開が特徴です。人体錬成に失敗した兄弟による失った体を取り戻すための旅を描いた『鋼の錬金術師』や、巨人との過酷な戦いがテーマの『進撃の巨人』は、ダークファンタジーに分類されます。
海外でも大ブームを巻き起こした『鬼滅の刃』は、主人公の「竈門炭治郎」が鬼になった妹を人間に戻すために、鬼殺隊に入り戦う漫画です。日本の大正時代を舞台としており、敵も味方も個性豊かなキャラクターが登場します。単行本のあまりの売れ行きに購入が制限されるなど、大きな話題となったダークファンタジー作品です。
アクション
日本のアクション漫画といえば、『NARUTOーナルトー』が有名です。忍者見習いの「ナルト」が、さまざまな戦いを乗り越えながら、仲間とともに成長していきます。NARUTOを読んで、日本の忍者文化に興味を持った方も多いでしょう。
『ジョジョの奇妙な冒険』は、ストーリーはもとより劇画風の独特な作画と個性の強いキャラクターが海外でも受け入れられ、世界的スターにもファンが多くいる作品です。
『僕のヒーローアカデミア』は、定番のヒーロー漫画でありながら一味違ったストーリー展開が魅力です。主人公の「デク」は、憧れのヒーローになるためにヒーロー養成科のある高校に入学します。そこでの授業やイベントなどを通して、ヒーローとしての素質を身に付けていくという斬新な物語です。海外のヒーロー漫画とは異なる作風が、国内外問わず人気があります。
スポーツ
スポーツ漫画のジャンルでは『スラムダンク』が海外でもよく知られています。不良で喧嘩ばかりしていた主人公の「桜木花道」が、ひょんなきっかけで未経験ながらバスケットボール部に入部し、たぐいまれなる才能を開花させていくストーリーです。1990年～1996年と短い連載期間ながら、当時日本では競技人口が少なかったバスケットボールを人気スポーツにするなど、世間に多大な影響を与えました。2022年12月には映画『THE FIRST SLAM DUNK』が公開され、改めて原作漫画が注目を集めています。
日本には、サッカーや野球、バスケットボールなどのメジャースポーツ以外の漫画もたくさんあります。海外でも人気の作品はバレーボールが題材の『ハイキュー！！』やアメリカンフットボールの『アイシールド21』、自転車競技の『弱虫ペダル』などです。また、競技かるたの世界を描いた『ちはやふる』は、海外でかるた人気を巻き起こしました。
ミステリー
日本の漫画にはミステリーをテーマにした作品もあります。『DEATH NOTE』は、主人公の「夜神月」が、死神の落とした「デスノート」を使って犯罪者に制裁を下す漫画です。正義とは何かを考えさせられるストーリーや警察側と月との頭脳戦が魅力です。
『名探偵コナン』は、薬を飲まされ子どもの体になってしまった高校生「工藤新一」が、「江戸川コナン」という小学生になりきりつつ、持ち前の頭脳で数々の事件を解決していく漫画です。黒の組織との対決や複雑な事件のトリック、登場人物の人間関係などさまざまな魅力があります。1994年に第1巻が発行されてから、長年にわたって多くの人に読まれている作品です。
少女漫画
少女漫画とは主人公が女性で、少女向け雑誌で連載されている作品を指します。日本を代表する少女漫画といえば『美少女戦士セーラームーン』です。セーラー服を模した戦闘服を着た少女が悪と戦うストーリーで、太陽系の惑星や月がモチーフになっているファンタジー要素の多い作品といえます。初めて女性のヒーローが登場する日本漫画として非常に話題となり、その後の少女漫画にも多くの影響を与えました。
『カードキャプターさくら』は主人公の桜が魔法のかかった「クロウ・カード」を集めることから物語が始まります。繊細なタッチと高い画力で描かれているのが魅力です。また、かわいらしい登場キャラクターやファッション、桜のアイテムなども少女の心をくすぐります。
大人向けの少女漫画として欧米を中心に人気なのが、「矢沢あい」氏の作品です。特に有名なのが、デザイン系の学校に通う幼なじみと仲間達の日々を描いた『ご近所物語』や同じ名前を持つ2人の女性の交流を描いた『NANA』です。リアルな恋愛模様やファッショナブルな世界観がほかにはなく、現在でも熱狂的なファンが存在します。
まとめ
日本の漫画は多彩で、老若男女問わず楽しめるカルチャーです。このコラムで紹介した以外にも人気の作品がたくさんあるので、書店やインターネットでお気に入りを見つけてみましょう。
