日本の食べ物といえば何を思い浮かべますか?寿司、天ぷら、たこ焼き、ラーメン――。日本には世界的に有名な食べ物が数多く存在します。このコラムでは、日本の有名な食べ物や郷土料理を紹介します。「食べてみたい日本料理」「お気に入りの日本料理」をぜひ見つけてください。
目次
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日本の食べ物=和食ではない?
日本の料理や食べ物がすべて和食というわけではありません。
一般的には、日本で古くから食べられてきた料理を「和食」、和食を含めた日本で主に食べられている料理を「日本食」といいます。たとえば、伝統的な懐石料理は「和食」、外国人に人気のお好み焼きやラーメンなどの料理は「日本食」です。
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」は、自然を尊ぶという日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」のことを指します。基本的な構成はご飯と汁物、数種類のおかずです。
参照元 農林水産省「「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されています」
日本食には海外の料理を独自にアレンジした料理も含まれる
日本食のなかには、海外から伝わった料理・食材を独自にアレンジした食べ物もあります。たとえば、カレーライスやカレーうどんはインドの「カリー」を日本風にアレンジした料理です。
インドのカリーは、香辛料が効いた汁気の多い煮込み料理を指します。お米やチャパティと呼ばれるパンとあわせて食べるのが一般的です。一方、日本のカレーはカレー粉(カレールウ)を使ったとろみのある煮込み料理を指します。日本人の味覚に合うよう香辛料の量や味付けが調整されているのが特徴です。
ほかには、イタリアのパスタ料理をもとにケチャップで味付けしたナポリタンやフランス料理のコートレットを参考に豚肉に衣をつけて揚げたカツレツなども日本食に分類されます。
日本の食べ物については「日本の食べ物を外国人に向けて紹介!文化について解説」「日本で定番の家庭料理を外国人に解説!和食・洋食・中華の人気メニューは?」でもそれぞれまとめています。
日本の有名な食べ物や料理15選
日本の有名な食べ物といえば、以下が挙げられます。
- 寿司
- うどん
- そば
- たこ焼き
- 天ぷら
- ラーメン
- つけ麺
- うなぎ
- 餃子
- しゃぶしゃぶ
- 馬刺し
- 牛タン
- 焼肉
- とんかつ
- 焼き鳥
それぞれの料理について紹介するので、興味があるメニューをチェックしてみてください。
寿司
日本では古くから生魚を食べる文化があり、代表的な料理に寿司があります。寿司は酢飯に生魚や調理した魚介類をのせた料理です。回転寿司や板前寿司、日本食レストランで食べられます。特に回転寿司は、リーズナブルな値段でさまざまな寿司を楽しめるので老若男女問わず人気です。板前と呼ばれる寿司職人がいる板前寿司は、回転寿司に比べて値段が高くなるものの、旬の食材を味わえ、魚に関する解説を聞くことができます。
和食レストランでは、皿の上にさまざまな種類の寿司をのせて提供するスタイルが一般的です。そばやうどんとセットで注文できることもあり、日本の食べ物を一度に楽しみたい人に人気があります。
寿司には一般的な「にぎり寿司」以外にも、具材を混ぜ込んで作る「ちらし寿司」や、保存食として誕生した「押し寿司」など、さまざまなスタイルの寿司が存在します。
うどん
うどんとは、小麦粉を練って作ったある程度太さや長さがある麺のことです。提供に時間が掛からず値段も安価なので、日本では気軽に食べられるファーストフードのような位置付けで親しまれています。
うどんの魅力は、さまざまな食べ方があるところです。だしの効いた温かいつゆとあわせた「かけうどん」や、冷たいつゆに付けながら食べる「ざるうどん」、丼に薬味とつゆをいれて混ぜて食べる「ぶっかけうどん」などがあります。また、合わせる食材を選ばないため、生卵や天ぷら、カレー味のつゆなど、さまざまなアレンジが可能です。
近年は、日本の有名なうどんチェーンが世界各地に進出しています。来日するのが難しい外国人の方は、母国で食べられるお店を探してみたり、カップ麺でうどんも販売していることがあるので是非トライしてみてください。
そば
そばは、そばの実からできた「そば粉」を練って作った麺で、カツオや昆布からとった出汁で食べるのがスタンダードです。一味唐辛子やネギ、わさびなどと一緒に食べると、また違った味わいを楽しめます。すりおろした大根をトッピングした「おろしそば」や鴨肉と焼いたねぎをのせた「鴨南蛮そば」など、さまざまなバリエーションがあるのも魅力です。
日本では、引っ越しや年越しなどの祝いごとの際にそばを食べる風習があります。由来は諸説ありますが、「すぐ切れる=厄災からの縁を切る」「長く伸びる=長寿を願う」などの説が有力なようです。
たこ焼き
たこ焼きは大阪で生まれた「粉もん料理」の一つで、多くの日本人に愛されている料理です。専門店や軽食屋で出されるほか、お祭りの屋台料理としても知られていて、大人から子供まで人気があります。
一口サイズのたこ焼きにはタコや紅ショウガ、ねぎなどが入っており、外はカリッと中はとろっとした独特な触感が特徴です。マヨネーズやソースで味付けされるのが一般的ですが、だし汁に付ける食べ方もあります。たこ焼きは6~8個程度で1皿として売られており、軽食として食べる人も多い料理です。関西地方が発祥ですが、現在は日本のどの地域でも食べられます。
天ぷら
日本の天ぷらは海外のフリッターと異なり、衣が薄くサクサクした触感が特徴です。一般的には野菜や海鮮、きのこ類を材料に作られることが多く、和食の定番として人気があります。天つゆや塩を付けて食べるのが一般的です。
日本の小麦粉は海外で流通してる種類よりもきめが細かいため、食材本来の触感も楽しめます。本格的な天ぷらを楽しみたい場合は、職人が目の前で揚げてくれる専門店がおすすめです。和食レストランや和風の居酒屋だと、リーズナブルな値段で食べられます。
ラーメン
ラーメンは、中国の麺料理「拉麺(ラーミエン、ラーメン)」を日本人の味覚に合うようにアレンジした食べ物です。中華料理のイメージが強いですが、中国には日本のようなラーメンはありません。
日本のラーメンは、しょうゆやみそ、とんこつなど多様なバリエーションがあり、多くの愛好家がいます。来日したらまずラーメンを食べてみたいと思っている外国人の方も多いでしょう。
日本にはさまざまなラーメン店があります。外国人の方が初めて行くなら、個人経営のお店よりもチェーン展開されているラーメン店のほうが、外国語のメニューがあったり英語が話せるスタッフがいたりするのでおすすめです。
つけ麺
つけ麺はラーメンの一種で、中華麺を一口ずつスープに付けながら食べる料理です。ラーメンやパスタとは異なるもちもちした触感を持つ太麺と、魚介や豚骨をベースにした濃い味付けのスープの組み合わせは幅広い世代の人々に人気があります。
店によっては、麺を温かい状態で出したりつけ汁を薄めてスープとして飲めるようにしていたりと、工夫が凝らされているのも特徴です。また、麺の大盛りやおかわりが無料のお店もあり、満足いく量を安価に食べられます。食事を最大限楽しむための工夫が凝らされているのも、つけ麺の魅力です。
ラーメンとつけ麺両方を提供している店も多いので、食べ比べてみるのも良いでしょう。
うなぎ
うなぎは、何世紀も前から日本で食べられてきた人気の魚です。漁獲量が少なく貴重なため、日常的に食べるというよりは、高級な食べ物として扱われています。
さまざまな調理方法があり、メジャーなのは甘辛いたれを付けながら焼く「かば焼き」です。うなぎのかば焼きをご飯のうえにのせた「うな重」は、特別な日のごちそうとしてよく食べられます。うなぎ料理は世界にもありますが、かば焼きにするのは日本独自の調理法です。
うなぎのかば焼きを刻んでご飯にのせた「ひつまぶし」や、直火で焼いたうなぎを塩やわさびで食べる「白焼き」も人気なので、ぜひ試してみてください。
餃子
餃子は、小麦粉でできた皮のなかに肉や野菜などを入れ、焼いたり茹でたりする料理です。ラーメンと同じく、中国から伝わったあとに日本で独自のかたちに変化していきました。中国では茹で餃子が主流ですが、日本では焼き餃子が定番です。中華料理屋で提供されるのが一般的で、ラーメンやチャーハンと一緒に食べる人も多くいます。
日本には「餃子の街」として知られる都市がいくつかあり、栃木県宇都宮市や静岡県浜松市、宮崎県宮崎市が特に有名です。それぞれの都市によって味付けや付け合わせが異なり、特色ある餃子が食べられます。
しゃぶしゃぶ
しゃぶしゃぶは、薄切りの牛肉や豚肉を出汁にくぐらせ、ポン酢やごまだれなどに付けて食べる料理です。肉のほかに、ブリやタイ、フグなど魚介類のしゃぶしゃぶもあります。モンゴルや中国で食べられていた、羊肉をスープに潜らせる「涮羊肉(シュワンヤンロウ)」がもとになり生まれたとされています。
日本人にとってしゃぶしゃぶのイメージは、高級なごちそう料理です。しかし、昨今では安価な値段で食べ放題を楽しめる、しゃぶしゃぶ専門のファミリーレストランも登場しています。
馬刺し
馬刺しは馬の肉の刺身のことです。日本では、熊本県の名物として知られています。馬肉を食べる国はほかにもありますが、火を通さず生のまま食べる国は世界的にも珍しいようです。
馬刺しは淡泊でさっぱりしているので、甘口醤油やにんにく、しょうがなどと一緒に食べます。脂身の多い「たてがみ」と赤身の「ロース」部分では味が異なるので、さまざまな部位を楽しめる盛り合わせを選ぶのがおすすめです。
牛タン
牛タンとは牛の舌の部分を指します。焼肉店では、薄切りを焼いてネギ塩だれと一緒に食べるのが人気です。また、宮城県仙台市では、厚切りの牛タン焼きと牛スープ、とろろがセットになった「牛タン定食」が名物になっています。
牛タンを食べる国はほかにもありますが、日本のように人気の部位とはいえません。日本に来て初めて牛タンの美味しさを知ったという外国人も多いようです。
焼肉
さまざまな部位の肉を焼いて楽しむ焼肉は、日本のごちそうの定番です。焼き肉屋ではキムチや冷麺もメニューにあるので、韓国料理と思われがちですが、韓国で食べられている焼肉と日本式の焼肉は形式が異なります。韓国の焼肉は豚肉が中心ですが、日本は牛肉が一般的です。また、韓国では基本的にサンチュやエゴマなどの野菜にお肉を包んで食べますが、日本では肉だけで食べたりご飯と一緒に食べたりします。
とんかつ
とんかつは、豚のヒレ肉やロース肉に小麦粉や卵、パン粉などの衣を付けて揚げた料理です。日本で発達した西洋料理の一つで、日本人の舌に合うようにたくさんの油を使った「ディープフライ」の調理法が用いられています。サクサクの衣と、分厚くジューシーな豚肉が相性バツグンです。
飲食店では、ご飯や味噌汁、漬け物とともに定食メニューとして提供されています。また、とんかつをパンで挟んだカツサンドやカレーライスに載せたカツカレー、たまねぎと一緒に卵でとじたカツ丼など、楽しみ方が多いのもとんかつの魅力といえるでしょう。
なお、とんかつソースは、西洋のウスターソースをもとに日本に合うよう独自に進化したソースです。
焼き鳥
鶏肉を串に刺して焼く「焼き鳥」は、お酒のおつまみとしてよく食べられます。定番のももやささみのほか、砂肝やぼんじりなど、さまざまな部位を最適の焼き加減で楽しめるのが魅力です。味付けは塩かたれが一般的で、好みによって選べます。
メニューが豊富な焼き鳥店では、鶏肉だけでなく、トマトやアスパラベーコン、ししとうなどの野菜串も楽しめるでしょう。
「和食とは?外国人におすすめの料理を紹介!マナーを知って日本食を楽しもう」のコラムでも日本の食べ物について解説しているので、あわせてご覧ください。
日本にしかない食べ物や料理10選
日本には、各地方ごとに名産の食べ物や料理があります。日本で旅行する際は、現地の郷土料理を食べるのを楽しみにしているという人も多いでしょう。ここでは、以下に挙げる郷土料理について紹介します。
- ジンギスカン
- なめろう
- あんこう鍋
- 長崎ちゃんぽん
- 芋煮
- ずんだもち
- きりたんぽ
- だご汁
- 六兵衛/ろくべえ
- 沖縄そば
日本で旅行する際は、滞在先を選ぶのに参考にしてください。
ジンギスカン
ジンギスカンは、主に北海道で食べられているマトンやラムなどの羊肉を野菜とともに焼く料理です。中央に突起のあるジンギスカン鍋で作られます。日本では、羊肉を食べることは一般的ではありません。そのため、ジンギスカンで初めて羊肉を食べたという人も多くいます。
なめろう
なめろうは、千葉県の房総半島が発祥の漁師料理です。房総沖でよく獲れるアジを、味噌やねぎ、大葉などの薬味と一緒に包丁でたたいて作ります。なお、アジ以外のイワシやサバ、サンマなどで作られる場合もあるようです。
しっかり味付けがされているため、ご飯やお酒ともよく合います。なお、なめろうを大葉で挟んで焼いた料理は「さんが焼き」といい、なめろうとあわせて人気です。
あんこう鍋
あんこう鍋は、茨城県の常磐沖で冬によく食べられている郷土料理です。あんこうは捨てる部分がほとんどない魚で、肝や皮、エラなども美味しく食べられます。茨城県では、肝と味噌だけで味付けした「どぶ汁」のあんこう鍋が有名です。
しかし、独特の風味があるため、日本の味にあまり慣れていない方は醤油仕立てのあんこう鍋から試してみると良いでしょう。
長崎ちゃんぽん
長崎県の名物である長崎ちゃんぽんには、小麦粉で作られた太めの麺とたっぷりの野菜や豚肉、魚介類が入っています。濃いめのスープが特徴で、とても食べ応えがあります。
長崎ちゃんぽんは長崎市にある中華料理屋「四海樓」の主人が、中国人留学生のために作った栄養満点の麺料理から生まれました。現在では長崎ちゃんぽんのチェーン店も登場し、日本全国で気軽に食べられます。
芋煮
芋煮は山形県で食べられている里芋や牛肉、ねぎなどが入ったみそ仕立ての煮込み料理です。味付けや具材は地域や各家庭によって異なります。
屋外でゴザを敷き、大きな鍋に芋煮を作って食べる芋煮会は、山形県民にとって重要な秋の行事の一つです。秋に開かれる「日本一の芋煮会フェスティバル」などのイベントのほか、山形の郷土料理を出す飲食店でも味わえます。
ずんだもち
ずんだとは、枝豆やそら豆をすりつぶしたペーストのことで、宮城県でよく食べられています。ずんだをのせた「ずんだもち」は、ほのかな甘さと豆の風味が特徴です。宮城県ではずんだを使った「ずんだシェイク」のほか、「ずんだケーキ」や「ずんだアイス」などのスイーツも楽しめます。
きりたんぽ
きりたんぽは、すりつぶしたお米を棒に巻き付けて作る秋田県の郷土料理です。おもちのようですが、もち米は基本的に使いません。鍋に入れたり味噌を付けたりして食べます。秋田県には自分できりたんぽを作れる体験スポットもあるので、観光で秋田県を訪れた際はぜひ訪れてみてください。
だご汁
だご汁は、小麦粉を練って作った団子が入っている汁物料理です。主に大分県や熊本県で食べられており、だんごは熊本弁で「だご」と呼ぶことから名付けられました。地域によって味噌べ―スだったり醤油ベースだったりと、味に違いがあります。
六兵衛/ろくべえ
六兵衛・ろくべえとは、長崎県島原半島および対馬地域に伝わる、さつまいもの粉を山芋で繋いで麺状にした料理です。島原半島が飢饉に襲われたとき、非常食のさつまいもを食べやすくするために作られたのが始まりとされています。
沖縄そば
沖縄名物の沖縄そばは、「そば」と名前が付いていますがそば粉は使われません。小麦粉で作られた麺と、とんこつとカツオの合わせだし、豚の三枚肉がのっているのが特徴です。なお、同じく沖縄名物のソーキそばは、三枚肉ではなく骨付きのあばら肉(ソーキ)がのっています。
日本の食べ物についてさらに詳しく知りたい方は、「日本の名物料理や名産って?都道府県別に有名なものを紹介」「日本の伝統料理について解説!美味しい食べ方や人気のお取り寄せグルメも紹介」のコラムをご覧ください。
参照元 農林水産省「うちの郷土料理」
まとめ
現代、日本の有名な食べ物は世界中に伝わり、さまざまな国で楽しめるようになりました。しかし、その時々の季節や地方でしか味わえないような郷土料理もたくさんあります。日本への来日を考えている方は、このコラムを参考にして、日本の美味しい食べ物を楽しんでください。