日本に留学したい外国人のなかには、日本留学試験(EJU)の利用を検討している方もいるでしょう。日本留学試験は日本に留学を希望する外国人を対象にした試験で、さまざまな高等教育機関で利用されています。このコラムでは、日本留学試験を受験するメリットや試験の概要を解説。出願から結果発表までの流れもまとめているので、日本留学試験について理解を深めてスムーズに受験手続きを行いましょう。
目次
日本留学試験(EJU)とは
日本留学試験(EJU)は、外国人留学生として日本の教育機関への入学を希望する人を対象に、就学に必要な日本語能力や基礎学力を評価する試験です。2021年9月時点の日本留学試験の利用校数は、合計で889校に上ります。日本留学試験の受験に年齢や回数の制限はありません。日本留学試験は年に2回行われ、成績は受験後2年間有効なので、最大4回分の成績を保持できます。ただし、受験校に提出できる成績はそのうちの1回分のみです。入学選考に利用する成績を試験の実施日で決める学校は多いので、あらかじめ募集要項を確認しておきましょう。また、同じ大学内でも学部によって日本留学試験を利用できないこともあるようです。志望校の受験に日本留学試験が利用できるか気になる方は、日本学生支援機構のWebサイトで調べてみてください。
EJU(日本留学試験)を受験したい方は、「EJU(日本留学試験)の申し込み方法や試験科目について紹介」のコラムもチェックしてみましょう。申し込み時期や試験会場も確認できます。
参照元 独立行政法人日本学生支援機構「日本留学試験(EJU)利用校数」
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日本留学試験を受けるメリット
日本留学試験を利用した場合、奨学金の予約制度が利用できたり、渡日前入学許可が受けられたりといったメリットがあります。メリットの詳細が気になる外国人は、以下の内容をチェックしてみましょう。
奨学金の予約制度を利用できる
日本留学試験を受けた外国人は、出願時に奨学金の予約制度を利用できます。対象は、日本留学試験で優秀な成績を修めた者のうち、日本の大学や短期大学、高等専門学校、専修学校専門課程に正規生として入学する私費外国人留学生です。予約が決定した場合、指定期間内に入学したあと入学先の教育機関が日本学生支援機構に推薦を行います。採用決定を受けた外国人留学生は、日本学生支援機構から学習奨励費を受給可能です。奨学金の給付額は年度によって異なりますが、2021年度では月額48,000円が支給されます。
日本に入国せずに入学許可を得られる
2021年9月時点で、日本留学試験を利用して渡日前入学許可を行っている教育機関は189校あります。渡日前入学許可制度を利用すれば、入学選考から入学までの間渡日する必要がありません。また、渡日前入学許可制度を利用した私費外国人留学生のうち、学業や人物が優れており経済的理由で修学が困難な人は、学習奨励費の学校推薦を受けられる可能性があります。留学に対して金銭面が不安な方は、学校推薦が受けられる大学や専門学校を探してみましょう。
参照元 独立行政法人日本学生支援機構「EJUを利用した渡日前入学許可校数」 独立行政法人日本学生支援機構「2021年度日本留学試験(11月)受験用」
日本留学試験の概要
日本留学試験の実施時期や実施会場は毎年ほとんど変わりません。あらかじめ概要を把握しておけば、スムーズに出願手続きを進められるでしょう。ここでは日本留学試験の出題科目や難易度、実施会場などを解説するので知りたい方は参考にしてください。
実施時期
日本留学試験は年に2回実施されます。第1回は6月で出願期間は2~3月までです。成績は7月ごろに通知されます。第2回の実施は11月です。出願期間は7月中で、成績は12月ごろに通知されます。なお、日本国内で日本留学試験を受験する場合、出願はオンラインのみなので注意してください。
実施会場
日本留学試験は日本国内だけでなく、海外でも実施されています。日本国内の実施会場は以下のとおりです。
・北海道
・宮城県
・群馬県
・埼玉県
・千葉県
・東京都
・神奈川県
・石川県または富山県
・静岡県
・愛知県
・京都府
・大阪府
・兵庫県
・岡山県または広島県
・福岡県および沖縄県
海外で受験する場合の実施会場は以下のとおりです。
・インド(ニューデリー)
・インドネシア(ジャカルタおよびスラバヤ)
・韓国(ソウルおよびプサン)
・シンガポール
・スリランカ(コロンボ)
・タイ(バンコクおよびチェンマイ)
・台湾(台北)
・フィリピン(マニラ)
・ベトナム(ハノイおよびホーチミン)
・香港
・マレーシア(クアラルンプール)
・ミャンマー(ヤンゴン)
・モンゴル(ウランバートル)およびロシア(ウラジオストク)
実施国・地域外に住んでいる外国人でも、日本留学試験を受けられます。ただし、受験を希望する国に出願から受験票の受け取りができる代理人がいるほか、入国に必要なビザを取得したり試験室で使われる言語が理解できたりしなければいけません。これらの条件を満たせる外国人は、海外在住であっても日本の会場で日本留学試験を受けられます。試験当日のトラブルを防ぐためにも、受験しやすい会場を選びましょう。
出題科目
日本留学試験の出題科目は、「日本語」「理科」「数学」「総合科目」の4科目です。志望校の指定に基づいて科目選択と出題言語の指定を行いましょう。出題言語は日本語と英語です。なお、日本語の科目は英語で受験できません。
解答方式はマークシートを用いた多肢選択方式ですが、日本語の科目は記述式を含みます。「日本語」は、日本での勉強に必要な日本語能力(アカデミック・ジャパニーズ)を測定する科目です。読解・聴解・聴読解が400点満点、記述が50点満点となっています。「理科」「数学」「総合科目」はそれぞれ200点満点です。「理科」と「総合科目」は同時に選択できないので注意しましょう。
日本留学試験の難易度は、日本人が大学受験の際に受ける共通テストよりやや簡単な傾向にあります。ただし、文系の学部でも数学コース1の選択が必要だったり、日本語を正しく理解できないと問題が解けなかったりするので、しっかり勉強しておくのが大切です。出題範囲は日本留学試験シラバスで確認できます。
「日本留学試験の過去問の入手方法とは?おすすめの勉強方法を紹介!」や「EJU(日本留学試験)とは?過去問の見方や試験科目について解説」では、EJUの試験科目や過去問を利用して勉強する際のコツを紹介しています。受験するメリットや高得点を取るための対策もまとめているので、参考にして良い点数を目指しましょう。
参照元 独立行政法人日本学生支援機構「日本留学試験の実施要項」
出願から結果発表までの流れ
先述したように日本留学試験は年2回実施されるため、試験日によって出願期間や成績発表のタイミングが異なります。また、日本国内で受験する場合、出願や成績確認はオンライン上でしか行えません。受験予定がある外国人はスムーズに手続きを行えるように、出願から結果発表までの流れを確認しておきましょう。
日本留学試験の出願期間は第1回は2~3月、第2回は7月中に行います。日本で受験する場合、オンライン上でのみ出願が可能です。出願方法は個人出願と団体出願があります。学校に所属している方は出願方法を確認しておくと安心です。海外で受験する場合は実施機関に問い合わせ、指示に従って出願を行います。どちらの場合も出願時に6ヶ月以内に撮影した証明写真が必要になるので、あらかじめ用意しておきましょう。なお、受験料は試験を受ける国によって異なるので確認が必要です。支払いはクレジットカードや銀行振込、コンビニエンスストアでの支払いなどから選択できます。
受験票はおおむね試験日の1~2ヶ月前に届くので、試験日まで保管しておきましょう。日本は郵送で送られてきますが、海外の場合は現地機関との調整の結果、異なる方法で受験票が渡される可能性があります。
日本留学試験の実施日は第1回は6月、第2回は12月です。国や地域ににかかわらず同じ日に試験が行われます。試験成績は同月下旬ごろから確認可能です。日本国内の受験者はオンライン上での確認になり、海外の場合は実施機関を経由して成績通知書が届きます。海外の受験者でも登録を行っていれば、オンライン上で成績を確認できるので活用してみてください。
参照元 独立行政法人日本学生支援機構「出願から結果(成績通知)まで」
まとめ
日本留学試験は外国人留学生向けの入学試験として、さまざまな教育機関で利用されています。試験の難易度は日本人の入学試験である共通テストよりやや簡単といわれていますが、しっかり勉強していなければ合格するのは難しいでしょう。日本留学試験の出願から結果発表までの流れは、日本と海外で異なる部分があります。このコラムでは日本留学試験の概要や出願方法を紹介しているので、スムーズに手続きを進めるための参考にしてください。