外国人雇用・採用の疑問を解消するメディア
外国人エンジニアが増えているのを肌で実感している方も多いのではないでしょうか。外国人雇用には、人材確保や企業のグローバル化などのさまざまなメリットがあります。しかし、いざ自社で始めようと思っても、すぐ辞めてしまうのではないか、しっかりコミュニケーションを取れるのかといった不安で踏み出せない企業は少なくありません。
この記事では、外国人エンジニアの採用に関する不安を解消すべく、必要な日本語レベルの目安や離職を防ぐ工夫を解説します。
目次
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外国人エンジニアを採用する企業が増加した背景には、国内の深刻な人材不足だけでなく、政府の方針もあります。また、専門性やポテンシャルの高い人材を求めている企業が、外国人採用を積極的に行っているのも関係しているでしょう。
日本は少子高齢化の影響で、IT業界を含むさまざまな業界で人手不足が深刻です。労働者の母数は減少する一方で、IT技術を必要とする企業や行政機関は拡大しており、人材の確保が追いついていません。また、急激な技術の進歩に対応できる人材の育成の遅れも要因といえます。
国内の人材だけでは事業を維持するための労働力を確保するのが難しくなってきたため、外国人材の雇用に踏み出す企業が増加しているのです。
海外にまで採用の間口を広げることで、優秀な人材を採用しやすくなります。
日本はIT教育で他国より遅れをとっているといわれており、先端技術に対応可能で外国語対応もできる人材を探すのは容易ではありません。母数が少ないため、競争率も非常に高いでしょう。
早くからIT教育に力を入れている国では、高いスキルを持った人材が次々に生まれています。また、外国人採用を始めると単純に募集対象の母数が増えるので、より人材の獲得がスムーズに進めやすくなるのです。
日本政府は海外のIT人材を積極的に受け入れる体制を整えています。
その取り組みの一つが「高度人材ポイント制」です。高度人材ポイント制は、優秀な外国人に在留管理上の優遇措置を与え、日本に来てもらいやすくするために作られました。高度人材と認められた外国人には在留資格「高度専門職1号」が付与され、5年間の長期在留や永住要件の緩和などが認められます。
高度人材ポイント制度の導入により海外から優秀な人材を呼び込みやすくなったのも、外国人エンジニアが増えている理由の一つです。
関連記事:「外国人特化の人材紹介会社を比較!日本人採用と同じ選び方はNG」
外国人エンジニアの採用には、以下のようなメリットがあります。
企業の多様性が進む
優秀で意欲的な人材を雇用できる
今まで対応できなかった業務に着手できる
日本人エンジニアも働きやすい職場になる
詳しく見ていきましょう。
外国人を受け入れることで職場の多様化が進むメリットがあります。異なるバックグラウンドを持つ人材がともに働く環境では、新しいアイデアが生まれやすくなり生産性や利益率の上昇が期待できるでしょう。
日本人人材だけに採用対象を絞るよりも、海外に目を向けることで優秀で意欲的な人材を確保できる可能性が高まるでしょう。
日本の労働市場は完全な売り手市場なので、能力が高くモチベーションの高い人材の競争が激しくなっています。一方、海外にまで視点を広げてみると、自国の就職難により働き口のないエンジニアが多く存在するのです。
能力を活かせるポジションと適切な報酬を用意できれば、自国ではなかなか出会えない高いスキルを持つ人材を獲得できます。
自社で対応できる業務の幅が広がるのも大きなメリットです。外国人エンジニアを採用することで、技術面で今まで対応出来なかった業務にも着手しやすくなります。海外には生成AIやビッグデータ、IoTなど、トレンドの最先端技術を身に付けた人材が豊富です。
また、海外案件の獲得や海外展開に必要不可欠な英語力のある人材の確保も、英語話者の外国人エンジニアを採用すれば容易に叶います。
外国人エンジニアを雇用するには、事前の社内環境の整備が必要不可欠です。外国人にとって働きやすい職場作りは、同じ場所で働く日本人エンジニアの労働環境を整えることにも繋がります。
結果的に、外国人エンジニアの採用は社内で働く多くの人にとっても良い影響があるでしょう。
外国人エンジニアの採用を検討している企業が特に気にしているのは、必要な日本語レべルや企業としてどのようにコミュニケーションを取るべきかといった点なのではないでしょうか。
ここでは、外国人エンジニアに必要な日本語能力や企業の取り組みについて解説します。
エンジニアにはプログラミング言語という共通言語があるため、接客業で求められるような高度な日本語は基本的に必要ありません。日常会話が話せれば、業務に支障はでないケースがほとんどです。
一般的にエンジニアに高度な日本語は必要ないといわれていますが、実際のところは求める人材や外国人の働くポジションによって必要なレベルは変わってきます。
たとえば、海外のクライアントやエンジニアとのやり取りが主な業務となるポジションで採用する場合です。このケースでは、日本語よりも英語を使う機会のほうが圧倒的に多いでしょう。そのため、日本語能力試験(JLPT)のN3レベル(日常会話レベル)に相当する日本語が理解できれば、無理なく業務を行えます。
また、コミュニケーション能力よりも専門的な知識の有無を優先して採用する場合も、N3程度が一つの基準になるでしょう。
一方、プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーとして、チームメンバーをまとめ上げるポジションに就く人材を採用したい場合は、日本語能力検定のN2以上(ビジネスレベル)の日本語能力は必須です。
人材のどの能力を優先して採用するのか、現場の責任者とよく要件をすり合わせましょう。
外国人エンジニアに必要な日本語能力は、企業の取り組みによって左右されます。たとえば、英語でコミュニケーションを取れるチームがあれば、日本語能力は最低限でも問題ありません。
実際に、採用対象の拡大や企業のグローバル化を目的に、エンジニア組織を完全英語化した企業もあります。
とはいえ、すべての企業がすぐに大規模な改革を実行できるわけではありません。まずは、外国人とのコミュニケーションで易しい日本語を使うようにトレーニングしたり、社員の英語学習を支援する制度を整えたりと、できることから始めていくのをおすすめします。
そのような取り組みを踏まえて、採用する外国人に求める日本語能力を具体的にイメージしましょう。
外国人エンジニアの離職率の高さが気になる方も多いのではないでしょうか。確かに、離職が発生しやすい傾向はあります。しかし、それは外国人だからという理由ではなく、人材の需要の高さや企業文化の違いが影響しているのです。
外国人エンジニアが離職しやすいのは、人材の市場価値が高く、より良い条件の企業へ転職するケースが多いからだと考えられます。外国人エンジニアは専門性が高いばかりではなく、英語をはじめとした外国語も話せるので、どの企業も欲しがる人材です。そのため、他社からのオファーが届きやすい傾向にあります。
海外では一つの企業に長く勤めるよりも、良い条件の企業に身を移しながらキャリアアップしていく働き方が一般です。転職がポジティブなことと捉えられており、ハードルが低いため、結果的に離職率が高くなっています。
裏を返せば、外国人エンジニアの能力に見合ったポジションや報酬を用意できれば、長く勤めてもらえるということです。他社に負けない条件を用意し、優秀な人材を逃さないようにしましょう。
文化や価値観の違いにより、離職に至るケースもあるでしょう。特に、仕事に対する考え方の違いによって外国人エンジニアが不満を覚えてしまうことは珍しくありません。
たとえば、日本企業では与えられたミッション以上の成果を上げたときに評価を受けられる傾向にあります。一方、海外では与えられたミッションを完璧に遂行できたかが評価対象になっている場合が多いのです。やるべきことをやっているのにも関わらずキャリアアップができない現状に対し、不満を感じて離職してしまうエンジニアもいます。
ただし、このような理由の離職は企業のマネジメントによって予防が可能です。まずは、日本と海外の評価基準が違うことを人事担当者やマネージャーが理解し、認識のすり合わせを行いましょう。そのうえで、外国人エンジニアとコミュニケーションを取り、日本企業におけるミッションの取り組み方を適切に指導していくことが大切です。
外国人が日本で活動するためには、在留資格という入管法上の資格を取得しなくてはなりません。身分や職業に合った種類を取得する必要があり、外国人エンジニアが取得するのは、「技術・人文知識・国際業務」です。 ここでは、取得条件や申請手続きを解説します。
外国人エンジニアが日本で就労するためには在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得が必要です。
「技術・人文知識・国際業務」は、「技術」「人文知識」「国際業務」の3つの分野に対応しており、特に取得者の多い在留資格として知られています。エンジニアは、理学や工学、自然科学に関係する「技術」分野に該当する職種です。
ほかの「技術」分野に該当する職種には、プログラマーやCADオペレーター、航空整備士などがあります。
外国人エンジニアが在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
学歴もしくは実務経験の要件を満たすこと
在留資格と実際行う業務に該当性があること
同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬を受け取ること
以下で詳しく解説します。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得する際の学歴要件は、「日本国内外の大学(短期大学を含む)、もしくは日本の専門学校を卒業している」ことです。
また、業務内容と学んだ内容に関連性がなくてはなりません。特に専門学校を卒業している場合は、専攻内容と在留資格の関連性が厳密に審査されます。
たとえば、IT系の専門学校卒業者がエンジニアとして在留資格を得る場合は問題ありませんが、文系の専門学校卒業者の場合、履修科目と職務内容の密接な関連性が必要です。大学や大学院を卒業している場合は比較的緩やかに審査され、文系科目を専攻していた外国人がエンジニアとして在留資格を取得するケースもあります。
学歴要件を満たしていない外国人は、10年以上エンジニアとしての実務経験があれば、在留資格を取得することが可能です。
なお、IT告示で定められた情報処理の資格を取得している場合、特例として学歴や実務経験の要件を満たしていなくても在留資格が許可されます。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」で許可されている活動と、実際行う業務が一致している必要があります。
たとえば、エンジニアとして在留資格「技術・人文知識・国際業務」を申請しているのにも関わらず、実際行うのが受付や清掃などの業務の場合、申請は不許可になるでしょう。これらの作業は単純作業に分類されており、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では認められていないからです。
多くの在留資格に「同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬を受け取ること」という取得条件があります。同じ仕事をする日本人がいない場合は、同じ地域の他社で働く日本人の報酬を参考にしましょう。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請手続きは、採用する外国人エンジニアの状況によって異なります。ここでは、留学生を新卒採用する場合と海外から招へいする場合とに分けて紹介するので、申請時の参考にしてください。
留学生をエンジニアとして新卒採用する際は「在留資格変更許可申請」を行い、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更する必要があります。
申請先は住居地を管轄する地方出入国在留管理局で、外国人本人が申請を行うのが一般的です。とはいえ、企業が作成する書類も複数あるので、サポートは欠かせません。
海外にいる外国人が一から在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得するには、「在留資格認定証明書交付申請」が必要です。申請は国内からしか行えないため、雇用する企業が代わりに手続きをします。
在留資格認定証明書は、外国人が在留資格を取得するのに相応しい人物であることを証明する書類です。
企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理局で申請を行い、在留資格認定証明書が交付されたら、原本を郵送するか、メールで電子在留資格認定証明書のデータを外国人本人に送付しましょう。外国人は在留資格認定証明書を用いてビザ(査証)の発給申請をし、日本に入国します。
参照元 出入国在留管理庁「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件」 出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」
優秀な外国人エンジニアの獲得は、企業にとって大きな戦力になるでしょう。外国人雇用における懸念の多くは、あらかじめ対策をしておくことでほとんど払拭できます。コミュニケーションの取り方や離職を防ぐ取り組みを把握し、採用を成功させましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net