高度専門職1号「ロ」とはどのような在留資格?外国人を雇用する企業に解説

2021年09月22日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

高度専門職とは、2015年に新設された高度人材のための在留資格です。高度人材とは、日本の経済や産業に良い影響をもたらしてくれる優秀な外国人を指します。このコラムでは、高度専門職の中でも、企業等に勤務する優秀な外国人に許可される高度専門職1号「ロ」について詳しく解説。優遇措置の内容や取得の条件、雇用するメリットについてもまとめていますので、外国雇用を考える企業の方は、ご一読ください。

 

目次

  1. 高度専門職とは
  2. 高度専門職1号「ロ」について解説
  3. 高度専門職1号「ロ」の在留資格を得る条件
  4. 高度専門職1号「ロ」の外国を雇用するメリット
  5. まとめ

高度専門職とは

高度専門職とは、高度な知識を持ち日本社会に貢献し得ると認められた外国人が持つ在留資格です。1号と2号に分かれ、さまざまな優遇措置があります。以下で詳しく説明しますので、参考にしてください。

高度人材のための在留資格

高度専門職は、高度人材のための在留資格です。高度人材とは、日本の産業に変革をもたらし、日本経済を活性化させてくれる人材を指します。たとえば、経優秀なIT技術者、研究成果を上げた博士号取得者などが高度人材に該当します。

1号と2号に分けられている

高度専門職の在留資格は1号と2号の2種類です。1号はさらにイ・ロ・ハの3種類に分類され、「イ」は研究活動や教育活動にあたる人、「ロ」は企業等に勤務する人、「ハ」は経営者などが該当します。

高度専門職1号の在留資格を得て3年を通過すれば、高度専門職2号の在留資格に変更申請することも可能です。

さまざまな優遇措置が取られている

高度専門職の在留資格を持つ外国人は、さまざまな面で優遇されています。優遇措置が取られている理由は、優秀な人材に日本で長く働いてもらうためです。また、優遇措置を用意することにより、海外にいる高度人材を日本に呼び込む目的もあります。優遇措置の詳細は後述しますが、代表的なものは永住許可申請の条件緩和や、配偶者の就労許可といった措置です。

高度専門職1号「ロ」について解説

この項目では、高度専門職1号の中でも、企業等に勤務する高度外国人が取得する種類である「ロ」の概要を詳しくまとめています。

高度な知識や技術を必要とする仕事のための在留資格

高度専門職1号「ロ」は、自然科学や人文科学に関して高度な知識や技術を持つ人のための在留資格です。主に、プログラマーやシステムエンジニア、ソフトウェアエンジニアの他、文系職種に従事している外国人が取得します。高度専門職1号の在留資格の中でも「ロ」を取得する人がもっとも多く、高度専門職の代表的な種類といえるでしょう。

高度専門職1号の優遇措置

高度専門職1号の在留資格を持つ外国人が受けられる優遇措置を、詳しく解説します。

最長の在留期間が許可される

高度専門職1号の在留資格を持つ外国人には、5年の在留期間が最初から許可されます。通常、在留期間は5年、3年、1年とある中、何回かの更新を経て初めて5年を得られるものです。しかし、高度専門職1号の場合は、申請が許可された段階で在留期間が5年あります。なお、高度専門職2号になると在留期間は無期限です。

永住許可申請の条件が緩和される

日本の永住権を得るための申請条件には「日本に10年以上滞在していること」とあります。しかし、高度専門職1号の在留資格を持つ外国人は、最短1年の滞在でも永住許可申請できるのです。なお、永住許可申請をするのか、高度専門職2号への変更申請をするのかは、外国人それぞれの判断によって異なります。

入管での審査がスムーズに進む

高度専門職1号を持つ外国人の入国や在留に関する申請は、優先的に処理されます。本来数カ月かかることもある手続きが、5~10日以内に終えられるのは、外国人にとって大きな利点です。

両親や家事使用人のビザが認められる

通常の在留資格では、外国人の親や家事使用人を海外から呼び寄せることは原則認められていません。しかし、高度専門職1号の在留資格を持つ外国人の場合、両親や配偶者の両親、家事使用人を日本に呼び寄せることが可能です。その際の連れ親や家事使用人の在留資格は「特定活動」になります。ただし、年収や子どもの年齢など、一定の基準を満たすことが条件です。

配偶者が就労できる

日本で活動する外国人の配偶者は「家族滞在」という在留資格を持っています。家族滞在で日本に滞o在している外国人の就労は「資格外活動」の許可を得たうえで、週28時間以内のパートタイムしか認められていません。しかし、高度専門職1号の在留資格を持つ外国人の配偶者は、「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「興行」の在留資格に基づく活動であれば、フルタイムでの就労ができます。

高度専門職1号「ロ」の在留資格を得る条件

高度専門職「ロ」の在留資格を得るには、ポイント計算表で70点以上獲得し、それを証明できること、また300万円以上の年収があることが条件です。以下で詳しく説明します。

ポイント計算表で70点以上を獲得すること

高度専門職1号「ロ」の在留資格を得るためにはポイント計算表で70点以上を獲得する必要があります。ポイント計算表は在留資格の種類によって異なるので「ロ」の表でのチェックが必要です。内容は学歴や職歴の基本項目のほか、日本語能力試験のレベルや国家資格などでのボーナスポイントもあります。合計したポイントが70点以上であれば、高度専門職1号の申請が可能です。なお、ただポイントをチェックするだけでなく、各項目の内容を証明する書類を用意しなくてはなりません。たとえば、学歴の立証書類は卒業証明書、職歴の場合は在籍証明書などが該当します。

年収を300万円以上得ていること

高度専門職1号「ロ」と「ハ」には最低年収基準があります。ポイント計算表の特定が70点以上獲得できていても年収が一定の金額に満たないと、ポイントが0点になってしまう決まりです。なお、ポイント計算表は随時更新されますが、2021年時点での最低年収基準は300万円以上と定められています。

参照元
出入国在留管理庁
ポイント計算表

高度専門職1号「ロ」の外国を雇用するメリット

企業が高度専門職1号「ロ」の在留資格を持つ外国人を雇用するメリットは、即戦力としての活躍が期待できることです。また、在留期限の長さや活動の幅が広い点は、外国人本人だけではなく企業にとっても大きなメリットになるでしょう。

企業の即戦力になる

高度専門職1号「ロ」の在留期限を得られる外国人は、日本にとって有益な人物であると認められたことになります。豊富な技術や知識を持っていないと許可されない在留資格であるため、即戦力になる可能性が高いでしょう。

長期で働くことができる

高度専門職1号「ロ」の在留期限は5年と最長の期限が初めから許可されています。また、永住者ビザもほかの在留資格より取りやすくなるため、長く働ける可能性が高くなるでしょう。なお、高度人材はどこにいっても重宝されるので、条件の良い会社がほかにあれば、転職してしまう可能性があります。企業は外国人の能力を適切に評価し、昇給やポジションの確保など、長く勤めたいと思えるような環境を整える必要があるでしょう。

在留資格による業務の制限が少ない

高度専門職1号「ロ」を持つ外国人には、活動の制限が少ないこともメリットです。活動に制限のある外国人を雇用した場合は、行える業務にも一定の制限があります。しかし、高度専門職1号「ロ」を持つ外国人の場合、関連業務であれば制限はありません。そのため、企業は幅広い業務を任せることができ、複数の人材を採用するより効率も上がります。

まとめ

高度専門職1号「ロ」の在留資格を持つ外国人は、日本の産業や経済にとって重要な人材であることから、さまざまな優遇措置が用意されています。優遇措置は外国人本人だけでなく、雇用する企業にとってもメリットの大きいものです。