日本語能力試験N1の難易度は?外国人採用で参考になるレベルを解説

2023年01月10日
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島田亮司 (監修)
日本ビザ国際行政書士事務所
ストックホルム大学交換留学を経て、中央大学法学部卒業。東京書籍株式会社に入社、主に英語辞典や教材の編集、異文化理解教育のテキスト製作を担当。その後、PHP研究所にて英文月刊誌の副編集長として国内外の取材、執筆、編集に携わる一方、松下幸之助研究の研究スタッフとして外国人経営者向けの研修セミナーの企画、運営、講演を行う。伊藤忠商事食料カンパニー向けのアナリストを経て独立。1997年設立のNPO国際交流団体SIEN(埼玉県国際交流協会登録)の代表として現在までの22年間、異文化理解、交流促進に関わる社会活動をする他、外国人社員教育、外国人採用コンサルティング、在日外国人向けに生活サポートや賃貸物件のアドバイス等も行う。宅地建物取引士。英語通訳案内士。 http://visa-nihon.com/

日本人が日本語能力試験を受験することはないため、どのような試験なのか分かりにくいでしょう。日本語能力試験のレベルはN1~N5まであり、最上級のN1は日本人でも満点獲得が難しいといわれています。
このコラムでは、外国人社員の採用を検討されている企業に、日本語能力試験の概要やN1の難易度、在留資格取得のために必要な日本語レベルを解説。内容を参考にして募集時・採用選考時に活かしましょう。


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目次

  1. 日本語能力試験(JLPT)とは
  2. 外国人はなぜ日本語能力試験を受けるのか
  3. 日本語能力試験N1の難易度や合格率について
  4. 日本語能力試験N1の問題例
  5. 外国人が在留資格を取得するのに必要な日本語レベル
  6. 職種ごとに必要な日本語能力試験のレベルは異なる
  7. 日本語能力試験に関するQ&A
  8. まとめ

日本語能力試験(JLPT)とは

ここでは、外国人留学生や外国人労働者の多くが取得する、日本語能力試験(JLPT)の概要を解説します。

試験の概要

日本語能力試験は、日本語を母語としない人の日本語能力を認定する試験として、1984年に創設されました。主催しているのは国際交流基金と日本国際教育支援協会です。現在では多くの外国人が受験する、最も知名度のある日本語試験になっています。

受験者の数

直近の日本語能力試験の受験者数の推移は、以下のとおりです。

引用: 日本語能力試験公式ウェブサイト「応募者数の推移(1984~2021年)

2019年には、1,362,167人が応募し1,168,535人が受験と、過去最高の人数を記録しました。2020年に新型コロナウイルスが流行してからは、外国人の日本入国の目途が立たなくなったり試験そのものが中止になったりして、受験者数が大幅に減少しています。しかし、今後感染状況が落ち着けば、また多くの外国人が受験するようになるでしょう。

試験日程や会場

日本語能力試験は、日本のみならず海外でも実施されています。
日本国内の試験は7月および12月に各都道府県で実施されますが、住んでいる都道府県で受験できるとは限りません。選択できるのは地区のみで、受験レベルや会場の申し込み状況によって隣接する都道府県での受験になる場合もあるようです。

海外では、アジアを中心に76ヶ国で試験が実施されており、特に受験者の多い国や地域では、複数の都市で受験可能です。なお、海外の場合は、年2回の試験が1回しか行われない会場もあります。

各レベルの難易度

日本語能力試験はN1~N5の5段階に分かれており、数字が小さくなるにつれ難易度が上がります。各レベルの難易度の目安は以下のとおりです。

N5

N5は、基本的な日本語をある程度理解することができるレベルです。

読む

ひらがなやカタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文、文章を読んで理解することができる。

聞く

教室や、身の回りなど、日常生活のなかでもよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができる。

N4

N4は基本的な日本語を理解することができるレベルです。日常生活に必要な日本語が分かる状態といえます。

読む

基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活のなかでも身近な話題の文章を、読んで理解することができる。

聞く

日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。

N3

N3は、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルで、中級に該当します。

読む

・日常的な話題について書かれた具体的な内容を表す文章を、読んで理解することができる。

・新聞の見出しなどから情報の概要をつかむことができる。

・日常的な場面で目にする難易度がやや高い文章は、言い換え表現が与えられれば、要旨を理解することができる。

聞く

日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。

N2

N2は、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルです。N2を取得していると、ビジネスレベルの日本語が理解できると判断できます。

読む

・幅広い話題について書かれた新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、論旨が明快な文章を読んで文章の内容を理解することができる。

・一般的な話題に関する読み物を読んで、話の流れや表現意図を理解することができる。

聞く

日常的な場面に加えて幅広い場面で、自然に近いスピードの、まとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解したり、要旨を把握したりすることができる。

N1

N1は日本語能力試験の最上級で、幅広い場面で使われる日本語を理解することができるレベルです。

読む

・幅広い話題について書かれた新聞の論説、評論など、論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで、文章の構成や内容を理解することができる。

・さまざまな話題の内容に深みのある読み物を読んで、話の流れや詳細な表現意図を理解することができる。

聞く

幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを詳細に理解したり、要旨を把握したりすることができる。

試験方式

日本語能力試験はマークシート方式で言語知識(文字・語彙・文法)と読解、聴解能力が測られます。各レベルの試験時間は以下のとおりです。

レベル

言語知識・読解

聴解

N1

言語知識(文字・語彙・文法)および読解:110分

聴解:55分

N2

言語知識(文字・語彙・文法)および読解:105分

聴解:50分

N3

・言語知識(文字・語彙):30分
・言語知識(文法)、読解:70分

聴解:40分

N4

・言語知識(文字・語彙):25分
・言語知識(文法)、読解:55分

聴解:35分

N5

・言語知識(文字・語彙):20分

・言語知識(文法)、読解:40分

聴解:30分

日本語能力試験は「読む」「聞く」能力を測定する試験であり、「書く」「話す」能力を測る項目はありません。 日本語能力試験については「日本語能力試験の難易度は?外国人を雇用する企業へ向け詳しく解説!」のコラムでも詳しく触れています。

参照元
日本語能力試験公式ウェブサイト「日本語能力試験とは

外国人はなぜ日本語能力試験を受けるのか

外国人が日本語能力試験を受験する理由には、自分の日本語能力が可視化され入学や就職に役立つことが挙げられます。国際交流基金が外国人に対して行った、受験理由の調査結果は以下のとおりです(海外で実施された2018年第2回試験を受けた外国人対象)。

引用: 日本語能力試験公式ウェブサイト「受験理由

日本語能力試験を受けると、日本国内のみならず母国での就職・受験にも役立つことが分かります。また、日本語学習者が自分のレベルを知るために力試しで受験するケースも多いようです。

日本語能力試験N1の難易度や合格率について

ここでは、日本語能力試験の最上級であるN1の難易度や合格率などを掘り下げて解説します。

日本語能力試験N1の受験者数

直近の日本語能力試験N1の受験者数は以下のとおりです。

受験回

国内受験者数

海外受験者数

国内・海外合計

2022年第1回

41,076人

49,223人

90,299人

2021年第1回

44,851人

50,324人

95,175人

2021年第2回

45,445人

44,091人

89,537人

2020年第2回
(第1回は中止)

38,537人

41,700人

80,237人

最も難易度の高いレベルにも関わらず、例年多くの外国人がN1を受験しています。

日本語能力試験N1の合格率

日本語能力試験N1の近年の合格率は、おおよそ30~40%前後を推移していました。合格率は全レベルのなかで最も低い水準です。

受験回

国内認定率

海外認定率

国内・海外合計

2022年第1回

24.3%

35.1%

30.2%

2021年第1回

29.9%

47.9%

39.4%

2021年第2回

26.7%

42.7%

34.5%

2020年第2回
(第1回中止)

41.8%

48.3%

45.2%

なお、例年国内試験よりも海外試験のほうが、合格率が高い傾向にあります。

N1はネイティブでも満点を取るのが難しい

日本語能力試験のN1レベルは、日本人でも満点を取れない可能性があります。日本の高等学校卒業程度の読解力が必要で、日本人でも迷ってしまうような複雑な問題が出題されるようです。

論説や論文などからも出題されるため、ネイティブではない外国人にとっては非常に難しい試験といえるでしょう。

N1合格者は漢字の理解が優れているといえる

日本語能力試験N1合格者は、漢字の理解度が優れている人材と判断できます。N1の試験では多くの難しい漢字が使われており、読んで意味が分からない外国人は合格は難しいでしょう。 外国人を雇用する際、会話には全く問題なくても、あまり漢字が読めず業務に支障が出るケースは少なくありません。あらかじめ漢字の理解力が保証されているN1保持者は、安心して雇用できる人材といえます。

日本語能力試験のN1については「日本語能力試験N1の合格率は?外国人採用時に注意すべき点を企業へ紹介」や「日本語能力試験N1レベルの合格率は?企業に向けて解説!」のコラムもご覧ください。

参照元
日本語能力試験公式ウェブサイト「過去のデータ

日本語能力試験N1の問題例

ここでは、日本語能力試験の公式サイトで公表されている、N1の試験問題の例を紹介します。

問1

()の言葉の読み方として最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。

「彼は今、新薬の研究開発に(挑んで)いる。」

(1)はげんで(2)のぞんで(3)からんで(4)いどんで

問2

次の言葉の使い方として最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。

「いたわる」

(1)弱い立場の人をいたわるのは大切なことです。
(2)山田さんはこれまでの努力をいたわってくれました。
(3)母は孫が遊びに来たら、いつもいたわっていました。
(4)政治家は国民の生活をいたわるべきだ。

問3

次の文の()に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。

「いまさら後悔してみた()、してしまったことは取返しがつかない。」

(1)ところで(2)といえども(3)にせよ(4)ばかりに

以上のように、日本人でも一瞬迷ってしまうような問題が多く出題されます。

参照元
日本語能力試験公式ウェブサイト「問題例

外国人が在留資格を取得するのに必要な日本語レベル

在留資格ごとに求められる日本語レベルは異なります。一般的に職種や仕事内容が高度であるほど、高い日本語レベルが必要です。

技能実習

外国人が在留資格「技能実習」を取得するには、事前講習にてN4相当の日本語能力の習得が必要です。ただし、日本語能力試験の受験の有無は問われなません。なお、介護分野で技能実習を行う場合に限っては、入国時に日本語能力試験N4、もしくはそれと同等と認められている試験に合格している必要があります。

特定技能

在留資格「特定技能」を得るには、日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストで200点以上を獲得していなくてはなりません。なお、技能実習2号から移行する場合は、日本語能力に関する試験は免除されます。

技術・人文知識・国際業務

在留資格「技術・人文知識・国際業務」をあらたに取得する際の審査基準として、日本語能力試験N2以上に相当する日本語能力が必要とされています。「留学」や「家族滞在」など、ほかの在留資格から変更する際は明確な基準がありません。ただし、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で行う業務の内容を考えると、N2相当の日本語能力がないと許可を得るのは難しいでしょう。

特定活動46号

在留資格「特定活動46号」は、日本の大学や大学院を卒業し、習得した知識や技能、高い日本語能力を活かす仕事をする外国人に付与されます。求められる日本語能力は非常に高く、下記のいずれかに該当していなければなりません。

  • 日本語能力試験N1を取得
  • BJTビジネス日本語能力テストで480点以上を獲得
  • 大学または大学院で日本語を専攻し卒業

在留資格「特定活動46号」では、日本語能力を活かした業務内容であれば、単純労働の職種で
も働けます。

職種ごとに必要な日本語能力試験のレベルは異なる

ここでは、職種ごとに必要とされる日本語能力試験のレベルを紹介します。

物販店での接客業務

物販店での接客業務は定型的な会話が中心になるので、日常会話レベルのN3程度が目安とされています。なお、販売するのが専門的もしくは高価な品物の場合は、より高い日本語能力が必要になるでしょう。

一般企業での広報やマーケティング業務

広報やマーケティング職で働くには、複雑な表現を交えた会話能力に加えて読解能力や文章作成能力も求められます。そのためビジネスレベルであるN2以上は必要になるでしょう。なお、日本企業の多くは、N2以上を募集の基準としています。

通訳業務

外国人が通訳として働くには、日本語能力試験N1の取得は必須といえます。なお、通訳業務では日本語能力試験では測れない話す能力が非常に重要になるため、N1を持っているからといって優秀な人材とは言い切れません。面接の質疑応答以外に比較的長めの会話をする機会を設け、能力を判断しましょう。


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日本語能力試験を採用基準にする際のポイント

日本語能力試験を採用基準にする際は、最上級のN1にこだわらないのがポイントです。また、筆記や会話の能力は別途で確かめるようにしましょう。

必ずしもN1が必要なわけではない

行う業務の内容によっては、日本語能力試験N1以下のレベルでも問題なくこなせます。もちろん、N1を取得している外国人を雇用できるに越したことはありません。しかし、そのような能力の高い人材は競争率が高く、募集をかけても応募が集まらない可能性があります。自社の業務にはどの程度の日本語能力が必要なのかを見極め、求める人材の範囲を広げると良いでしょう。

日本語能力試験では筆記や会話の能力は測れない

日本語能力試験では試験内容が文章読解と聴解のみなので、「書く」「話す」能力は測れません。そのため、文章作成や会話のコミュニケーションが必要になる職種では、ほかの方法で日本語能力を確かめる必要があります。採用選考では、面接のほか、小論文やレポート、ディスカッションなどの方法を取り入れると良いでしょう。

日本語能力試験に関するQ&A

ここでは、日本語能力試験に関するよくある疑問を、Q&A形式でまとめています。

日本語検定とはどう違うの?

日本語検定は日本語を使うすべての人が対象で、受験者の多くは日本人です。一方、日本語能力試験は、日本語を母語としない人の日本語能力を測るのを目的に運営されています。

レベルの認定に有効期間はある?

日本語能力試験のレベルの認定に、有効期限はありません。ただし、あまりに昔に取った認定だと有効性が疑問視されるため、参考にする際に独自に期限を設けている企業が学校もあります。

まとめ

日本語能力試験N1は、日本人でも満点を取るのが難しいといわれる難易度です。N1レベル保持者は、複雑な表現や漢字を理解している、貴重な人材といえるでしょう。ただし、求める企業が多く競争率も高いため、自社での業務に必要なレベルをよく見極めて応募をかける必要があります。