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日本語能力試験の最上級であるN1は、幅広い場面で使われる日本語を理解することができるレベルです。合格率30%程度と高難易度で、所有している外国人は日本語能力が優れた人材といえるでしょう。
このコラムでは、外国人社員の採用を検討している企業に向けて、日本語能力試験の概要やN1の難易度を解説します。在留資格や職種ごとに必要なレベルもまとめているので、内容を参考にして募集時・採用に活かしましょう。
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目次
ここでは、日本語能力試験(JLPT)の概要や外国人の多くが受験する理由を紹介します。
日本語能力試験は、日本語を母語としない人の日本語能力を認定する試験として1984年に創設されました。現在では世界最大規模の日本語の試験として知られています。「Japanese-Language Proficiency Test」の頭文字を取って「JLPT」と呼ばれることも多いので、覚えておきましょう。
日本語能力試験で測れるのは「言語知識」「読解」「聴解」の能力です。日本語の文字や語彙、文法を知っているだけでなく、それらを使って文章を読んだり日本語の会話を聞き取ったりできるかも問われます。
外国人が日本語能力試験を受けるのは、日本語能力を証明できる試験として最も知名度があるからです。入学や就職、昇給などのさまざまな場面で日本語能力試験の所有レベルが判断材料として使われています。外国人を募集する求人に「日本語能力試験N△以上」と記載されていることも珍しくありません。また、在留資格のなかには日本語能力試験の特定レベルを獲得することを取得の条件としているものもあります。
日本語に関する試験はほかにもありますが、最も有名で日本語能力を明確に示せるのが日本語能力試験といえるでしょう。
ほかの日本語に関する試験については「実用日本語検定(J.TEST)のレベルとは?JLPTとの違いを解説」や「外国人対象の日本語能力試験とは?JLPT、EJU、BJTの違いを解説」のコラムをご覧ください
参照元 日本語能力試験公式ウェブサイト「日本語能力試験とは」
日本語能力試験はN1~N5の5段階に分かれており、数字が小さくなるにつれ難易度が上がります。各レベルの難易度の目安は以下のとおりです。
N5は、基本的な日本語をある程度理解することができるレベルです。
【読む】
ひらがなやカタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文、文章を読んで理解することができる。
【聞く】
教室や身の回りなど、日常生活のなかでもよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができる。
N4は基本的な日本語を理解することができるレベルです。日常生活に必要な日本語が分かる状態といえます。
【読む】
基本的な語彙や漢字を使って書かれた、日常生活のなかでも身近な話題の文章を読んで理解することができる。
【聞く】
日常的な場面でややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。
N3は、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルで、中級に該当します。
【読む】
【聞く】
日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。
N2は、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルです。N2を取得していると、ビジネスレベルの日本語が理解できると判断できます。
【読む】
【聞く】
日常的な場面に加えて幅広い場面で、自然に近いスピードの、まとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解したり要旨を把握したりすることができる。
N1は日本語能力試験の最上級で、幅広い場面で使われる日本語を理解することができるレベルです。
【読む】
【聞く】
幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを詳細に理解したり要旨を把握したりすることができる。
参照元 日本語能力試験ウェブサイト「N1~N5:認定の目安」
ここでは、日本語能力試験の最上級であるN1の難易度や合格率などを掘り下げて解説します。
直近の日本語能力試験N1の受験者数と合格率は以下のとおりです。
【受験者数】
受験回 |
国内受験者数 |
海外受験者数 |
国内・海外合計 |
2023年第1回 |
41,484人 |
78,923人 |
120,407人 |
2022年第2回 |
46,725人 |
33,793人 |
80,518人 |
2022年第1回 |
41,076人 |
49,223人 |
90,299人 |
2021年第2回 |
45,445人 |
44,091人 |
89,537人 |
【合格率】
受験回 |
国内認定率 |
海外認定率 |
国内・海外合計 |
2023年第1回 |
32.2% |
35.0% |
34.0% |
2022年第2回 |
25.9% |
37.5% |
30.8% |
2022年第1回 |
24.3% |
35.1% |
30.2% |
2021年第2回 |
26.7% |
42.7% |
34.5% |
受験者数は例年N2が最も多く、その次にN1が続きます。
日本語能力試験N1の近年の合格率は、おおよそ30~40%前後を推移していました。合格率は全レベルのなかで最も低い水準です。
日本語能力試験のN1レベルは、日本人でも満点を取れない可能性があります。日本の高等学校卒業程度の読解力が必要で、日本人でも迷ってしまうような複雑な問題が出題されるようです。
論説や論文などからも出題されるため、ネイティブではない外国人にとっては非常に難しい試験といえるでしょう。
N1の合格が難しいのは、漢字を深く理解している必要があるためです。漢字圏出身の外国人の合格率は高い傾向にありますが、漢字を見慣れない人からするとかなり難しい試験といえるでしょう。
言い換えれば、日本語能力試験N1合格者は、漢字の理解度が優れている人材と判断できます。外国人を雇用する際、会話には全く問題なくても、あまり漢字が読めず業務に支障が出るケースは少なくありません。あらかじめ漢字の理解力が保証されているN1保持者は、安心して雇用できる人材といえます。
日本語能力試験のN1については「日本語能力試験N1の合格率は?外国人採用時に注意すべき点を企業へ紹介」や「日本語能力試験N1レベルの合格率は?企業に向けて解説!」のコラムもご覧ください。
日本語能力試験のN1に合格するためには、900~1200時間程度の学習時間が必要といわれています。もちろん個人差はありますが、外国人にとって難解な日本語の問題が出題されるため、多くの勉強時間が必要となることは間違いないでしょう。
多くの外国人が日本語学校に通いますが、なかには独学でN1を取得できる人もいます。
ここでは、日本語能力試験の公式サイトで公表されている、N1の試験問題の例を紹介します。日本人でも一瞬悩んでしまうような問題もあり、外国人にとってはかなり難易度が高いといえるでしょう。
()の言葉の読み方として最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
「彼は今、新薬の研究開発に(挑んで)いる。」
(1)はげんで(2)のぞんで(3)からんで(4)いどんで
次の言葉の使い方として最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
「いたわる」
(1)弱い立場の人をいたわるのは大切なことです。
(2)山田さんはこれまでの努力をいたわってくれました。
(3)母は孫が遊びに来たら、いつもいたわっていました。
(4)政治家は国民の生活をいたわるべきだ。
次の文の()に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
「いまさら後悔してみた()、してしまったことは取返しがつかない。」
(1)ところで(2)といえども(3)にせよ(4)ばかりに
日本語能力試験を採用基準にする際は、最上級のN1にこだわらないのがポイントです。また、筆記や会話の能力は別途で確かめるようにしましょう。
行う業務の内容によっては、日本語能力試験N1以下のレベルでも問題なくこなせます。もちろん、N1を取得している外国人を雇用できるに越したことはありません。しかし、そのような能力の高い人材は競争率が高く、募集をかけても応募が集まらない可能性があります。自社の業務にはどの程度の日本語能力が必要なのかを見極め、求める人材の範囲を広げると良いでしょう。
日本語能力試験N1を所持しているからといって、仕事の能力も高いとは限りません。もちろん、難しい試験を突破しているので優秀である可能性は高いといえます。しかし、日本語能力だけに注目して採用を進めると、業務の処理能力に懸念のある従業員ばかりになってしまう可能性があるでしょう。多少日本語能力が求める基準に満たなくても、業務の処理能力が高いと判断できれば採用するなど、柔軟な対応が必要です。
日本語能力試験では試験内容が文章読解と聴解のみなので、「書く」「話す」能力は測れません。そのため、文章作成や会話のコミュニケーションが必要になる職種では、ほかの方法で日本語能力を確かめる必要があります。採用選考では、面接のほか、小論文やレポート、ディスカッションなどの方法を取り入れると良いでしょう。
日本語能力試験のN1を取得する外国人を雇用する最大のメリットは、コミュニケーションがスムーズに進むことです。外国人雇用において、企業が最も苦労するのが意思疎通の難しさです。日常会話には問題がなくても、ビジネス会話になると途端にコミュニケーションが難しくなるケースは珍しくありません。その点、N1を持っている外国人はかなり意思疎通が取りやすい人材といえます。前述したとおり、試験勉強の過程では会話能力はなかなか鍛えられません。しかし、語彙や文法の知識は豊富なので、サポートがあればすぐに上達するでしょう。
在留資格ごとに求められる日本語レベルは異なります。一般的に職種や仕事内容が高度であるほど、高い日本語レベルが必要です。
外国人が在留資格「技能実習」を取得するには、事前講習にてN4相当の日本語能力の習得が必要です。ただし、日本語能力試験の受験の有無は問われません。
介護分野で技能実習を行う場合に限っては、入国時に日本語能力試験N4、もしくはそれと同等と認められている試験に合格している必要があります。
在留資格「特定技能」を得るには、日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストで200点以上を獲得していなくてはなりません。なお、技能実習2号から移行する場合は、日本語能力に関する試験は免除されます。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」をあらたに取得する際の審査基準として、日本語能力試験N2以上に相当する日本語能力が必要とされています。「留学」や「家族滞在」など、ほかの在留資格から変更する際は明確な基準がありません。ただし、在留資格「技術・人文知識・国際業務」で行う業務の内容を考えると、N2相当の日本語能力がないと許可を得るのは難しいでしょう。
在留資格「特定活動46号」は、日本の大学や大学院を卒業し、習得した知識や技能、高い日本語能力を活かす仕事をする外国人に付与されます。求められる日本語能力は非常に高く、下記のいずれかに該当していなければなりません。
在留資格「特定活動46号」では、日本語能力を活かした業務内容であれば単純労働も可能です。
在留資格の詳細については「在留資格29種類を一覧で紹介!就労の可否や「特定技能」についても」をご覧ください。
ここでは、職種ごとに必要とされる日本語能力試験のレベルを紹介します。
物販店での接客業務は定型的な会話が中心になるので、日常会話レベルのN3程度が目安とされています。なお、販売するのが専門的もしくは高価な品物の場合は、より高い日本語能力が必要になるでしょう。
広報やマーケティング職で働くには、複雑な表現を交えた会話能力に加えて読解能力や文章作成能力も求められます。そのため、ビジネスレベルであるN2以上は必要になるでしょう。なお、日本企業の多くはN2以上を募集の基準としています。
外国人が通訳として働くには、日本語能力試験N1の取得は必須といえます。なお、通訳業務では日本語能力試験では測れない話す能力が非常に重要となるため、N1を持っているからといって優秀な人材とは言い切れません。面接の質疑応答以外に比較的長めの会話をする機会を設け、能力を判断しましょう。
ここでは、日本語能力試験に関するよくある疑問を、Q&A形式でまとめています。
日本語検定は日本語を使うすべての人が対象で、受験者の多くは日本人です。一方、日本語能力試験は、日本語を母語としない人の日本語能力を測るのを目的に運営されています。
日本語能力試験のレベルの認定に、有効期限はありません。ただし、あまりに昔に取った認定だと有効性が疑問視されるため、参考にする際に独自に期限を設けている企業や学校もあります。
一般的にN1は「ネイティブレベル」、N2は「ビジネスレベル」とされています。日本語という言語を突き詰めて学習した人が取得できるのが、N1レベルといえるでしょう。
なお、N2の場合はN1と比較すると同じ取得者のなかでも能力の差が大きいのが現状のようです。
日本語能力試験N1は、日本人でも満点を取るのが難しいといわれる難易度です。N1レベル保持者は、複雑な表現や漢字を理解している、貴重な人材といえるでしょう。ただし、求める企業が多く競争率も高いため、自社での業務に必要なレベルをよく見極めて応募をかける必要があります。