外国人労働者の職種!資格や受け入れ条件も解説

2020年07月27日
濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

日本政府は、徐々に外国人労働者の受け入れ拡大へ方針を切り替えつつあり、人材確保しやすい環境になりつつあります。そして外国人は、在留資格を取得することで日本での就労が可能となります。

これから外国人労働者を採用するには、自社の事業が在留資格に含まれているか確認しなければいけません。しかし、対応職種と要件について、分かりにくさを感じるところです。

今回は外国人労働者の職種や要件が気になる企業へ向けて、対応職種や在留資格の概要をはじめ、取得要件などを紹介します。

外国人労働者の職種と要件

まずは外国人労働者が、日本でどのような職種で就労できるのか種類や要件を紹介します。

・専門技能が中心

これまで、日本では特定の専門技能を持った、外国人労働者の受け入れを中心としていました。(研究職や高度な技術など)

ただ、少子高齢化による人口減少が続いているため、政府は「特定技能」と呼ばれる就労ビザを新たに設け、受け入れ範囲を広げています。

特定技能は、一定の技術や知識を持った外国人労働者を対象としていますが、単純労働と呼ばれる分野「農業・漁業・介護・電気・電子情報関連産業」14種類での就労を認めているのが特徴的です。

・在留資格が必須

外国人労働者が、日本で働くためには就労可能な在留資格(就労ビザ)が必要です。在留資格は、日本で居住・働くことができます。そして、個々のビザによって在留期間(日本に住み続けられる期間)は異なります。

「特定技能」は、2019年4月1日に作られた新しい在留資格であり、単純労働分野で就労できることが特徴です。

そして以下のような状況の外国人を採用してしまうと、不法就労助長罪に企業が問われます。

  • 密入国の外国人

  • 観光目的のビザのみ取得している外国人

  • 在留期間を過ぎている外国人

外国人労働者を採用する企業は、必ず在留資格などの確認・所定の手続きを進めましょう。

・在留資格の種類

就労および日本に滞在できる在留資格は、複数存在します。以下に主な在留資格を紹介するので、外国人労働者を採用する企業も把握しておきましょう。

  • 技術・人文知識・国際業務:技術者、通訳、貿易業務等の従事者を対象

  • 経営・管理:企業の経営者等を対象

  • 医療:看護師や医師など医療従事者を対象

  • 研究:公的機関や企業の研究者を対象

  • 法律・会計業務:弁護士などを対象

  • 芸術:画家などを対象

  • 宗教:宣教師などを対象

  • 特定活動:ワーキング・ホリデーなど

  • 技能実習:技能実習生を対象

  • 特定技能:14業種の就労を可能とする在留資格

※本記事の後半で、特定技能や専門性の極めて高い職種を対象とした、在留資格を詳しく紹介します。

今後、採用が拡大する可能性のある外国人労働者は、特定技能ビザを取得した外国人だと言われています。

特定技能以外の在留資格は、専門性が高く一定レベル以上の教育をうけているか、相応の実務経験を持つ外国人に限られています。一方、特定技能は、建設業や介護・農業などの現業での就労が可能です。

また、特定技能の中には、技能実習から比較的簡単な手続きで移行できる業種もあるので、長期的に就労してもらえます。

外国人労働者が在留資格を取得している場合の職種

続いては、外国人労働者が取得できる在留資格の中で、特定技能や技能実習以外の在留資格について、特徴や対応職種などをさらに詳しく紹介します。

・特定技能以外の就労ビザは14種類以上

特定技能や技能実習以外の就労を目的とした在留資格は、14種類以上用意されています。数え方によって、20種類以上になることもありますが、ここでは分かりやすく14種類とします。

以下に14種類の在留資格を紹介します。

  1. 企業内転勤

  2. 医療

  3. 研究

  4. 技術・人文知識・国際業務

  5. 教育

  6. 介護

  7. 報道

  8. 教授

  9. 興行

  10. 法律・会計業務

  11. 技能

  12. 経営・監理

  13. 宗教

  14. 高度専門職

どれも専門性が高く、後半で紹介する特定技能とは異なる分野です。

・取得要件

在留資格を取得するためには、就労を希望している外国人が出入国在留管理局へ申請・審査を受ける必要があります。

また、外国人労働者の学歴や職歴・雇用予定の企業情報などから、在留資格の取得に適した人物・状況か判断されます。

出入国在留管理局が在留を認めた場合は在留資格認定証明書が発行され(海外から呼び寄せる場合)、各在留資格に定められた在留期間だけ日本に滞在したり就労したりできます。

・就労ビザの特徴

続いては、それぞれの就労ビザの特徴を分かりやすくまとめました。

種類 概要
企業内転勤 外国に支社を置く日本企業の外国人が、日本国内の本社などへ転勤する場合。また、外国企業から日本の支社へ転勤する場合も同様。
技術・人文知識・国際業務 理工学系の研究職や業務を遂行する外国人を対象。また、法律や経済学、もしくは外国の文化・知識を活かした通訳やマーケティングなどに従事する外国人を対象。
医療 日本の医療に関する資格を所有している外国人の医師や看護師などを対象。
研究 国や地方自治体、公共団体などで試験や研究を行う外国人を対象。
教育 公立の小中高等学校で教育活動に従事する外国人を対象。
芸術 画家や作曲家などクリエイティブ系の仕事に従事している外国人を対象。
報道 記者やカメラマンの他、外国の放送局や新聞社などに勤務している外国人を対象。
教授 大学等教授や准教授などとして受け入れ予定の外国人を対象。
興行 舞踊や歌謡、テレビ番組など芸能関係の仕事に従事している外国人、プロスポーツ選手などを対象。
法律・会計業務 日本の資格を取得した、外国人の弁護士や公認会計士を対象。
技能 製造業や調理・建築・貴金属など、特定の技術を習得した熟練技術者および外国人を対象。
経営・管理 経営や投資事業を進める外国人を対象。
宗教 外国の宗教を布教する、外国人宣教師を対象。

上記の概要から分かりますが、農業や漁業・サービス業など、一般的な業種は少ない特徴を持っています。

外国人労働者が特定技能を取得している場合の職種

ここでは外国人労働者が取得できるだけでなく、多くの企業にとっても役立つ「特定技能」の概要や職種を紹介します。

・特定技能は14業種

特定技能は1号と2号に分かれていて、1号は14業種・2号は3業種(1号に含まれている業種)に対応しています。

また、在留期間は以下の通りです。

  • 特定技能1号:取得した年から累計で5年間

  • 特定技能2号:無制限(更新は必要)

外国人労働者が取得できる在留資格で、2019年4月から導入されています。これまで運用されていた在留資格との違いは、単純労働分野(多くの企業が関連している業種や職種)の就労を目的としている点です。

人材不足の解決を目的としているので、さまざまな職種への就労を予定している外国人が取得できます。

・取得要件

外国人が特定技能を取得するには、2つの方法から選択します。

  • 技能実習2号から特定技能へ移行手続きを行う

  • 特定技能を取得するための試験を受け、合格すること

特定技能の中には、技能実習2号から移行できる業種・職種もあり、その場合は試験を免除してもらえます。

そして、技能実習生として来日していない、技能実習2号から移行を認められていない業種・職種を選択している外国人は特定技能の試験を受験します。

・14業種の特徴

特定技能に含まれる14種類の産業・職種について、分かりやすく紹介します。前半で紹介した在留資格と違い、多くの企業に該当する産業を対象としているのが特徴的です。

種類 概要
ビルクリーニング オフィスビルや工場など建物内部の清掃業務を行う外国人を対象。
介護 介護業務全般を対象とした在留資格。また、身体介護の他にも支援業務も含まれている。
産業機械製造 金型部品製造や成形加工をはじめ、プリント基板の配線やめっき・鋳造・機械加工など幅広く、インフラ関連職種へ就労する外国人を対象。(18職種)
電気・電子情報関連産業 産業機械製造と重なる職種もあるが、インフラ関係の産業ではなく自動車や電子機器端末などの製造業務を対象。(13職種)
素形材産業 機械加工や板金、溶接や鋳造などの加工を用いた、素形材(材料を加工しさまざまな製品へ活用できる素材)関連職種への就労を行う外国人を対象。
建設業 左官・トンネル推進工・鉄筋施工・建設機械施工などへ従事する外国人を対象。
造船・船用工業 造船に関わる塗装・機械加工・溶接・鉄工などへ従事する外国人を対象。
自動車整備業 自動車整備士として業務を遂行する外国人を対象。
宿泊業 宿泊施設での接客やフロント、企画などの業務へ従事する外国人を対象。
航空業 航空会社で、航空機の整備や手荷物・貨物取扱業務等を行う外国人を対象。
漁業 水産物の収穫や養殖業務、安全衛生の確保、管理業務へ従事する外国人を対象。
外食業 外食産業で、調理加工や接客、管理業務へ従事する外国人を対象。
農業 農産物の栽培や畜産物の管理、出荷や選別など農業全般に関わる外国人を対象。
飲食料品製造業 飲料品、食料品の製造・加工や衛生管理に関する業務へ従事する外国人を対象。

このように特定技能に関しては、各産業の人材不足を解決するための制度ということもあり、幅広い職種や業務に関わる外国人の就労を認めています。

人材不足に悩む多くの企業は、特定技能を取得している外国人を探すのが大切です。

技能実習で認められている職種

最後に、技能実習生が取得する在留資格、技能実習の職種や特徴を簡単に紹介します。

・技能実習2号移行対象は82職種

技能実習は、特定技能や他の就労ビザと違い、国際貢献を目的とした在留資格です。また、一定期間日本で雇用されながら技術を身に付け、母国で活かしてもらうのが主な流れです。

しかし、深刻な人材不足を少しでも解消するため、政府は技能実習を取得している一部の外国人を対象に、書類手続きのみで特定技能を取得できる制度を追加しました。

これまでも企業の中には、人材不足を補うために雇用しているケースもあります。

・82職種の主な特徴

技能実習2号に該当する職種(つまり3年以上実習できる職種)は、82職種と豊富な点も特徴的です。そして技能実習の資格は1号~3号の3種類に分かれています。

  1. 第1号技能実習:入国1年目

  2. 第2号技能実習:第1号技能実習の期間に身に付けた技術をさらに磨く期間(2~3年目)

  3. 第3号技能実習:4~5年目で、より専門的な技術を身に付ける期間

つまり、技能実習として日本で就労できる期間は、最長5年間です。また、企業や個人事業主が受け入れる「企業単独型」と、非営利の監理団体が管理・企業へ受け入れを行わせる「団体管理型」の2種類から成り立っています。

そして対応82職種の概要を、以下へ簡単に紹介します。

業種 主な職種や概要
漁業 漁船での作業(漁船漁業)や養殖業といった2職種を対象。
農業 畜産(養豚や酪農など)と耕種農業(畑作や野菜など)といった2職種を対象。
食品製造 パンや惣菜・食肉加工・非加熱性水産加工・加熱性水産加工など11職種を対象。
建設 左官・内装仕上げ・建築など建設関連の22職種を対象。
機械・金属 機械検査や保全・プレス加工・電気機器や電子機器組立など機械加工や電子機器製造関連の15職種を対象。
繊維・衣服 紳士服や子供服・染色・生地製造・寝具製作など13職種を対象。
その他 空港グランドハンドリング(航空機の誘導やタイヤの確認、貨物の搬出入)など
上記の職種に該当しない家具製作・印刷・プラスチック成形・陶磁器製品の製造など15職種を対象。


外国労働者の職種は豊富で自社に適しているか確認

まとめると、外国人労働者が日本で就労できる職種は、80職種以上存在します。また、各産業の人材不足を少しでも解決するために、政府は特定技能と呼ばれる在留資格を2019年4月に導入しました。

2020年3月時点でも豊富に取り扱っていますが、今後さらに幅広い職種で採用できるよう各種制度が整備・拡大される可能性もあります。

これから企業が外国人労働者を採用する場合は、取得している在留資格と職種を確認した上で判断しましょう。